エッセイ

水曜随想  若い力が追い詰める

 
 米軍再編を抱えている二つの自治体の選挙戦で、日本共産党の若い議員が2週連続して誕生した。2月3日に投開票された鹿児島県・種子島の西之表市議選挙。
 島の西方12キロの海上に馬毛(まげ)島があり、米空母艦載機訓練場建設の候補地になっている。米軍基地建設反対の島ぐるみのたたかいの先頭にたってきたのが日本共産党の野口寛さんだ。昨年12月の総選挙では鹿児島5区候補になった。

 野口さんの西之表市での得票率は40・85%。米軍基地建設反対のたたかいへの信頼が、得票にあらわれた。年明けの市議選では、野口さんの後継者に32歳の渡辺道大(みちひろ)候補を擁立、橋口美幸候補とともに現有2議席を確保した。

 住民分断の政府の策動をはね返しての貴重な勝利だ。馬毛島での艦載機訓練場建設が進まなければ、岩国基地への空母艦載機の移転も困難になり、パッケージは壊れ、米軍再編は頓挫する。

 2月10日には、沖縄県浦添市の市長・市議選挙が行われた。現職市長は、基地とリンクした振興策予算を歓迎し、那覇軍港の代替施設として沖合に新軍港建設を狙って、美しい海岸線を埋め立ててきた人物だ。対立候補の新人2人も、新軍港建設にあいまいな態度をとった。

 日本共産党は、どの候補者も推さず、市政転換の力である市議選2議席確保に全力をあげた。西銘健候補は31歳の現職。もう一人は比嘉愛子市議の後継者、伊礼悠記(ゆうき)候補、30歳。選挙は予想を超える驚きの結果だった。伊礼候補は3124票で1位。西銘候補が3088票で2位。党の得票の合計は5議席分だ。

 特筆されるべきは、政治論戦での2人の奮闘だ。市長選挙にも大きな影響を与えた。選挙最終盤「新軍港建設と西海岸埋め立て反対」を打ち出す大胆な方針転換をした新人候補が市長選挙を制したのだ。

 新しい市長は、公約の順守が厳しく求められる。30代コンビの党議員の出番だ。安倍政権は普天間・辺野古新基地問題とならんで、新軍港の建設中止という難問題をまたひとつかかえた。ニつの市議選挙は日米同盟の土台に大きな亀裂をつくりだした。(しんぶん赤旗 2013年2月13日)

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