国会質問

質問日:2023年 3月 9日  第211国会  憲法審査会

軍拡反対の声 受け止めよ 衆院憲法審 赤嶺議員が主張

 

 衆院憲法審査会が9日に開かれ、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、自民党の新藤義孝与党筆頭幹事が大規模災害や感染症のまん延などを理由に、緊急事態条項の議論を深めていきたいと主張したのに対し、「東日本大震災でも、コロナ感染症の拡大でも、緊急事態条項がなかったから対応できないという問題はなかった」と反論しました。

 赤嶺氏は、同条項の狙いが戦時などに「緊急事態」と称して政府に権力を集中させ、国民の権利制限を強化しようというものだと指摘。「国会の機能を奪い、基本的人権を抑圧する憲法停止条項に他ならない」と批判しました。

 赤嶺氏は、岸田政権が、政府が存立危機事態と認定すれば、集団的自衛権を行使して相手国領土へのミサイル攻撃まで可能だとしたことは「憲法上絶対に許されない海外での武力行使そのものだ」と厳しく批判。国民から軍拡反対の声が上がっているとし、「この声を正面から受け止めるべきだ」と述べ、徹底した外交努力こそ憲法は求めていると主張しました。

 立憲民主党の奥野総一郎議員は、歴代政府は、敵基地攻撃は行わないという前提だったと述べ、「反撃能力を保有した自衛隊が戦力でないと強弁できるのか」と批判しました。(しんぶん赤旗 2023年3月10日)

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軍拡反対の声 受け止めよ(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 まず、いわゆる緊急事態条項について意見を述べます。
 憲法審査会で、大規模災害や感染症の蔓延などを理由に緊急事態条項を創設すべきだという主張が繰り返されています。しかし、東日本大震災やコロナ感染症の拡大においても、緊急事態条項がなかったから対応できなかったという問題は起きていません。想定外の上に想定外のことをあれこれと仮定して改憲議論をすること自体が問題です。この審査会に参考人として出席した憲法学者や災害の専門家が、極端な事例を出して議論すれば間違う危険性が高いと繰り返し指摘したことを思い起こすべきであります。
 さらに、戦争やテロ、内乱まで挙げられていますが、その核心は、緊急事態と称して、政府に権力を集中させ、国民の権利制限を強化しようとしているものです。いついかなるときも国会の機能を維持することが必要だとも言いながら、国会の機能がどうしても維持できない事態を想定して、内閣による緊急政令や緊急財政処分を可能にするべきだという主張が繰り返し出されています。
 権力を統制するためと言いますが、その中身は人権の制限を容易にするための議論です。まさに、国会の権能を奪い、基本的人権を抑圧する憲法停止条項にほかなりません。
 その一方で、国会議員の身分だけは延長する規定を盛り込もうなど、保身のための議論も甚だしいと言わざるを得ません。
 今、私たちがすべきことは、改憲のための議論ではなく、憲法に反する現実を正し、憲法が生きる社会を実現するための議論です。
 岸田政権が集団的自衛権の下で敵基地攻撃能力が可能としたことは、憲法九条を真っ向から踏みにじる極めて重大な問題です。
 政府は、二〇一四年に、七月の閣議決定によって憲法解釈を百八十度変え、集団的自衛権の行使を容認し、二〇一五年に安保法制を強行しました。これに対し、全国各地で多くの国民が憲法を守れの声を上げ、十万人もの人が国会を包囲しました。
 この審査会でも、参考人として出席した三人の憲法学者が、集団的自衛権は違憲だと断言しました。安保法制は憲法違反という批判に対して、政府は、安保法制で認めるのは限定的な集団的自衛権だと説明してきました。集団的自衛権行使の事例として、先ほど立憲民主党の奥野先生も触れられましたが、挙げたのは、ホルムズ海峡での機雷除去だけでした。
 ところが、今回、存立危機事態と認定すれば、相手国領土へのミサイル攻撃まで可能としたのです。一旦、集団的自衛権行使に道を開いたことが、相手国領土への攻撃にまで拡大しているのです。憲法上絶対に許されない、海外での武力行使そのものです。日本が攻撃されていないにもかかわらず敵基地攻撃を行えば、相手からすれば、先制攻撃以外の何物でもありません。大規模な報復攻撃を受けることになります。まさに、日本全土を戦場にするものです。
 問題は、敵基地攻撃の判断を誰が行うのかということです。
 日米首脳会談の共同声明は、敵基地攻撃能力の開発と効果的な運用の協力を強化するとしています。米軍の指揮統制の下で日米一体に相手国を攻撃することにほかなりません。
 今行われている予算委員会でも、アメリカの軍事行動に追従して集団的自衛権を発動し、米軍の指揮の下で敵基地攻撃を行い、その結果、日本が攻撃される危険性が繰り返し指摘されています。
 衆議院の予算委員会公聴会に与党の推薦で出席した川上高司拓殖大学教授は、有事になれば米軍が指揮権を持つ、敵基地攻撃の際は米軍の戦略に基づく展開がなされると述べています。
 立場を超えて警鐘の声が上がっていることは重大です。今、国民の中から、大軍拡に反対する声が上がっています。どの世論調査でも、軍拡のための増税には反対が圧倒的です。軍事費の増額そのものにも反対が多数です。政府が長射程ミサイルの配備を計画している沖縄県では、敵基地攻撃能力の保有に反対する声が過半数を超えています。この声を正面から受け止めるべきです。
 今、大事なことは、絶対に戦争を起こさせないことです。そのために政治がやるべきは、戦争の準備をする大軍拡や改憲の議論ではありません。東アジアの平和のための徹底した外交努力です。これこそ、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう、諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持するとした日本国憲法が求めていることです。この道こそ進むべきだということを強調して、発言といたします。

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