国会質問

質問日:2023年 3月 2日  第211国会  憲法審査会

対話外交の努力こそ 衆院憲法審 赤嶺氏、大軍拡を批判

 

 衆院憲法審査会が2日に開かれ、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は「いま必要なのは、改憲のための議論ではなく、憲法に反する政治をただすことだ」と指摘。「岸田政権が推し進める大軍拡は憲法を破壊するものだ」と批判しました。

 赤嶺氏は、岸田政権が集団的自衛権のもとで敵基地攻撃能力の行使を可能にしたことは重大だと述べ、「憲法9条のもとで絶対に許されない」と強調。1月13日の日米首脳会談の共同声明は、敵基地攻撃能力の効果的な開発と運用の協力を強化すると明記しているとして、「米軍の指揮統制下で自衛隊が相手国を攻撃するものだ」と批判しました。

 赤嶺氏は、政府が全国で長射程ミサイルの配備や大型弾薬庫の創設を計画していることをあげ、「日本全土を攻撃の危険にさらす」と指摘。政府自身が約300の自衛隊基地で核攻撃にも耐えられる司令部の地下化を計画しているとして、「日本全土を戦場にし、国民に甚大な被害をもたらす大軍拡は絶対に認められない」と強調しました。

 赤嶺氏は、沖縄戦を体験した「元全学徒の会」が「声明」(1月12日)で「日本政府がすべきことは、非戦の日本国憲法を前面に、近隣の国々や地域と直接対話し、外交で平和を築く努力である。いかに戦争するかの準備ではない」と指摘していることを紹介し、憲法9条に基づく徹底した外交努力こそ必要だと主張しました。(しんぶん赤旗 2023年3月3日付)

質問の映像へのリンク

対話外交の努力こそ(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私たち日本共産党は、憲法審査会は動かすべきではないという立場です。審査会は改憲原案の発議と審査を任務としています。国民の多くは改憲を重要課題と考えておらず、憲法審査会は動かすべきではありません。
 憲法の議論で今必要なのは、憲法の原則に反する政治を正すことです。
 何より重大なのは、岸田政権が推し進めている大軍拡が憲法を破壊するものだということです。
 岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書は、戦後の日本の安全保障政策を文字どおり大転換し、敵基地攻撃能力の保有に公然と踏み切ろうとしています。軍事費をGDP二%、世界第三位の水準に倍増させ、公共インフラや研究開発の予算まで軍事に組み込んで、平和国家から戦争国家へとつくり変えようとしています。そのために、増税と歳出削減を押しつけ、物価高騰に苦しむ国民生活を更に追い詰めようとしています。
 安保三文書が、安保法制に基づく集団的自衛権の下で敵基地攻撃能力の行使が可能だとしていることは極めて重大です。日本に対する武力攻撃が行われていないにもかかわらず他国を攻撃するなど、憲法九条の下で絶対に許されるものではありません。これまで歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ完全に投げ捨てるもので、断じて認められません。
 強調したいのは、安保三文書がアメリカの軍事戦略に沿ったものだということです。
 アメリカは、南西諸島から南シナ海に至る地域に長射程ミサイルを配備することを計画し、同盟国と協議する考えを示していました。自衛隊の長射程ミサイルの配備は、米軍の計画を補完するものだと報じられています。岸田首相は、安保三文書を、国民にも国会にも諮らないまま、真っ先にバイデン大統領に報告しました。日米共同声明は、日本の敵基地攻撃能力の効果的な開発と運用について協力を強化すると明記しています。安保三文書を具体化し、米軍の指揮統制下で自衛隊が相手国を攻撃しようというものにほかなりません。
 その下で、沖縄県では、宮古島や石垣島、うるま市の勝連で長射程ミサイルの配備を計画しています。さらに、陸上自衛隊の増強、司令部の地下化、補給拠点や弾薬庫の整備、空港、港湾の軍事利用の拡大など、まさに軍事要塞化しようとしています。
 沖縄だけではありません。政府は、本州から北海道に至るまで、射程二千キロとも三千キロとも言われるミサイルを配備する方針です。長射程ミサイルを保管する大型の弾薬庫を今後十年間で全国に百三十棟増設することを計画しています。
 こうした軍事強化は、日本全土を攻撃の危険にさらすものです。浜田防衛大臣は、日本が集団的自衛権を行使した結果、相手国から反撃を受け、大規模な被害が生じる可能性を認めました。そのとき真っ先に標的になるのは、自衛隊や米軍の軍事基地です。そのために、政府は、全国約三百の自衛隊基地で核攻撃にも耐えられる司令部の地下化まで計画しているのです。
 日本全土を戦場にし、国民に甚大な被害をもたらす大軍拡は、絶対に認められません。政治がやるべきは、戦争の準備ではなく、絶対に戦争を起こさせないための平和の準備です。
 沖縄戦を体験した元全学徒の会が、「沖縄を戦場にすることに断固反対する声明」を出しています。そこでは、このように述べています。
 戦争する国は美しい大義名分を掲げるが、戦争には悪しかない。爆弾で人間の命を奪うだけである。犠牲になるのは一般の人々だ。さきの大戦では、若い学徒を含め三百十万人の日本人が犠牲になり、アジア全体での軍民の犠牲者は約二千万人を超えるとされる。日本は侵略した国の人々を虐げ、収奪し、命を奪った。今、日本政府がすべきことは、侵略戦争への反省と教訓を踏まえ、非戦の日本国憲法を前面に、近隣の国々や地域と直接対話し、外交で平和を築く努力である。戦争を回避する方策を取ることであり、いかに戦争するかの準備ではない。
 このように述べています。
 今必要なのは、改憲のための議論ではなく、憲法九条に基づく徹底した外交努力だと改めて強調して、発言を終わります。

すべて表示

このページをシェアする