国会質問

質問日:2021年 12月 16日  第207国会  憲法審査会

憲法生かす政治こそ 衆院憲法審自由討議 赤嶺氏が主張

 

 衆院憲法審査会は16日、岸田政権発足後初の自由討議を行い、各党が意見を表明しました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、改憲原案の発議・審査を任務とする憲法審は「動かすべきではない」と主張。多くの国民は改憲を優先課題とは考えていないと述べました。各党からは改憲をめぐってさまざまな意見が出されました。

 赤嶺氏は「いま求められているのは、憲法に反する現実をただし、憲法を政治に生かすための議論だ」と強調。日米地位協定のもとで国民の命と暮らしが脅かされていると述べ、米軍機による落下物が相次ぐなどの重大事故が起きても日本の警察は捜査・検証を行うことができない現実をあげ、「これで主権国家と言えるのか」と指摘しました。全国知事会が地位協定の抜本改定を提言するなど国会内外で改定を求める声が広がっていると述べ、「地位協定を改定し、国民に基本的人権を保障することは政治が最優先で取り組むべき課題だ」と主張しました。

 

 

 社民党の新垣邦男議員は、沖縄では米軍に起因する事件・事故が集中し、「沖縄は日本国憲法の番外地に置かれている」と指摘。「いま政治がなすべきことは、改憲ではなく憲法が保障している国民の権利の実現ではないか」と主張しました。

 立憲民主党の奥野総一郎議員は、自民党の改憲4項目を前提とする議論であってはならいと表明。憲法53条に基づく野党の臨時国会召集の要求を自公政権が無視してきたことをあげ、「現行憲法を尊重しない与党が憲法を語る資格はない」と指摘しました。

 自民党の新藤義孝議員は、9条改憲などを盛り込んだ自民党の「改憲4項目」について「今後の議論のためのたたき台だ」と述べました。

 日本維新の会の馬場伸幸議員は、各党へ憲法改定案の提出を呼びかけるとともに、「岸田首相は具体的スケジュールを提示し、審査会での精力的な審査をリードすべきだ」と主張。公明党の北側一雄議員は、自衛隊を明記する9条改憲を念頭に「各国をみても実力組織の存在を明記するだけの規定は見あたらない。慎重に議論したい」と述べました。(しんぶん赤旗 2021年12月17日)

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憲法生かす政治こそ(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 憲法審査会は、第一次安倍政権下の二〇〇七年につくられたものです。私の内閣として憲法改正を目指すという安倍首相の発言が始まりでした。
 二〇一二年に政権に復帰した安倍首相は、歴代内閣が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使を一片の閣議決定で容認し、憲法違反の安保法制を強行成立させました。
 一方、二〇一五年六月四日には、この憲法審査会で、三人の憲法学者がそろって安保法制は違憲だと述べ、これを機に、多くの国民が、憲法を守れと国会を包囲しました。この六月四日以降、自民党は、一年半の間、憲法審査会を動かそうとしませんでした。
 ところが、安倍首相は、二〇一六年の参議院選挙の結果、衆参でいわゆる改憲勢力が三分の二を占めたことを背景に、二〇一七年五月三日の憲法記念日に、改憲団体の集会へのビデオメッセージで、二〇二〇年と期限を区切って九条改憲を提起し、国会での議論をあおってきました。その下で、自民党は改憲四項目をまとめ、審査会に持ち込もうとしてきたのです。
 しかし、安倍首相が躍起になればなるほど、改憲を望まない国民の声は大きくなりました。退陣表明の際には、国民世論が盛り上がらなかったのは事実だと述べました。安倍改憲が破綻したことは明白です。
 にもかかわらず、岸田首相が、改憲四項目を中心に改憲議論を進めていきたいと述べ、いまだに安倍改憲に固執していることは極めて重大です。
 憲法審査会は憲法改正原案の発議と審査を任務としており、ここでの議論は改憲項目のすり合わせにつながります。今、多くの国民は、改憲を政治の優先課題とは考えていません。憲法審査会は動かすべきではありません。
 今求められているのは、憲法に反する現実をただし、憲法を政治に生かすための議論です。その点で強調したいのは、日米地位協定の下で、国民の命と暮らしが脅かされていることです。
 四年前の二〇一七年十二月、普天間飛行場所属の米軍ヘリが、保育園と小学校に相次いで部品を落下させました。子供たちの目と鼻の先で起こった命に関わる重大な事故でした。
 ところが、日本の警察が機体の捜査、検証を行うことはできず、普天間基地への立入りの際に行ったのは、米軍に部品を返却することでした。日米地位協定と航空特例法の下で、在日米軍には日本の航空法が原則として適用されず、米軍の財産に対する捜査、差押え、検証を行う権利も奪われているからです。
 保育園の保護者や保育士の皆さんは、せめて日米合意どおりに、保育園の上空を米軍機が飛ばないようにしてほしいと何度も国に要請してきました。ところが、米軍機は今も保育園上空を我が物顔で飛行し、十一月には、離陸直後のオスプレイからステンレス製の水筒を民家の表玄関に落下させる事故を引き起こしました。
 四年前に小学校で落下事故に遭遇した小学生が、地元紙の取材に答えて、ヘリが飛んできたら、注意して、音を聞いて、目で見て、危険を感じたら逃げるよう、行動できるように考えたいと。子供たちにこのような発言をさせる政治は、余りにも異常です。
 沖縄だけではありません。先日も、三沢飛行場のF16戦闘機が、燃料タンク二個を投棄しました。そのうちの一個が落下したのは、民家から二十メートルの場所でした。ところが、米軍は、事故原因の調査中にもかかわらず、日本政府の飛行停止の要請も無視して、二日後にはF16の飛行を再開したのです。これで主権国家と言えるでしょうか。
 度重なる事故に、国会内外の、地位協定の改正を求める声が広がっています。全国知事会は、航空法や環境法令を米軍にも適用するなど、地位協定の抜本改定を提言しています。日米地位協定を改定し、国民に基本的人権を保障することは、党派を超えて政治が最優先で取り組むべき課題なのではないでしょうか。
 岸田首相が、所信表明演説で、敵基地攻撃能力の保有、検討を明言しました。これも重大です。平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではないと説明してきたのは、政府自身です。憲法を守らない人たちに、憲法改正を提起する資格はありません。
 以上、広範な国民と力を合わせ憲法九条を守り抜く決意を表明し、発言といたします。

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