国会質問

質問日:2021年 12月 14日  第207国会  予算委員会

強権的な沖縄政策改めよ 衆院予算委 赤嶺議員、岸田首相を追及

安倍・菅政権と何が違う

 日本共産党の赤嶺政賢議員は14日の衆院予算委員会で、来年で本土復帰50年を迎える沖縄の米軍基地問題について岸田文雄首相の認識をただし、県民の思いを全く顧みずに強権的に基地建設を進める沖縄政策を改めるよう迫りました。

 赤嶺氏は、沖縄の米軍基地は占領下でも私有財産の没収を禁じた国際法に違反し、銃剣とブルドーザーで住民の土地を奪って造られ、本土復帰から半世紀たつ今も引き継がれていると指摘。占領下に構築された米軍基地の縮小・撤去に取り組むのは政府の沖縄に対する責務だと述べました。

 赤嶺氏は、2012年の安倍政権発足以降、政府の沖縄政策は県民の民意を全く顧みない強権的なものになったと強調。名護市辺野古の新基地建設に関わり、政府の設計変更申請を不承認とした沖縄県の玉城デニー知事の決定に対し、岸田政権も安倍・菅政権同様、法の趣旨をねじ曲げた行政不服審査請求に踏み切ったことを批判しました。所信表明で「丁寧な説明、対話による信頼」を言いながら「これまでの政権と何が違うのか」と追及したのに対し、岸田首相は「法律にのっとって対応している」と開き直りました。

 赤嶺氏は、同じ政府の一員の沖縄防衛局が国交相に不服を訴えている上、防衛省には国交省職員が出向して辺野古の事業を進めていると怒りを込めて告発。岸信夫防衛相が12月現在で10人、延べ35人が出向していると明かしたのに対し「基地建設は防衛省と国交省が一体で進めている。中立公正な審査など行われるはずがない」と強調しました。

 赤嶺氏は、補正予算案で801億円もの巨費を埋め立て工事費に追加計上していると指摘。「安倍・菅政権以上に強硬に基地建設を進めようとしている」と追及しました。

 「工事を着実に進めることが普天間飛行場の一日も早い返還につながる」と述べる岸田首相に対し、赤嶺氏は、政府の試算でもあと12年かかるうえ、試算に根拠もないと批判。普天間の危険性除去のためにも基地の縮小・撤去が岸田政権の任務だとして、安倍・菅政権以上の強権は許されないと訴えました。

 

 

論戦ハイライト

沖縄基地縮小・撤去が最大の任務

赤嶺議員が首相に迫る 衆院予算委

首相「戦時中に米軍上陸後に土地を接収し建設されたと認識」

赤嶺氏「『ハーグ陸戦法規』に違反していた」

 「戦後沖縄がたどってきた歴史への理解があれば、強権的なやり方はできないはずだ」―。14日の衆院予算委員会で、安倍政権以降、県民の苦難の歴史や思いに寄り添わずに沖縄政策を進めてきたと批判した日本共産党の赤嶺政賢議員。県民の願いに反し、米軍基地が押しつけられてきた歴史的経緯を語り、辺野古新基地建設の中止を迫りました。

 赤嶺氏は、沖縄の本土復帰から来年で50年を迎えるも、今なお広大な米軍基地が存在し、県民の命と安全を脅かしていると指摘。沖縄の米軍基地の形成過程について岸田文雄首相の認識をただしました。

 首相 普天間飛行場については戦前、役場、国民学校、病院が所在し、街道が通り、集落や田畑が広がっていた。戦時中に米軍上陸後に土地を接収し、建設されたと認識している。沖縄の基地の形成過程についてはさまざまな見方や議論がある。

 赤嶺 沖縄の米軍基地は、住民を収容している間に土地を奪ってつくられ、占領下での私有財産の没収や略奪を禁じる「ハーグ陸戦法規」に違反していた。さまざまな見方はない。事実は一つだ。

 赤嶺氏は、本土復帰後も米軍基地はほとんど残され、「占領下で構築された広大な米軍基地がいまに引き継がれている」と語りました。

 さらに赤嶺氏は、復帰を控え、琉球政府(後の沖縄県)が県民の要求をまとめた「復帰措置に関する建議書」で、「県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法のもとで基本的人権の保障を願望していたから」「基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでいる」と訴えていたと指摘。琉球政府の屋良朝苗主席が、建議書を持って東京に向かうも、羽田空港に到着する3分前に、沖縄返還協定が衆院で強行採決され、その当時の心境を「沖縄県民の気持ちは弊履(破れた草履)のように踏みにじられた」と日記に残したと紹介。「日米両政府が推し進めた沖縄返還は、県民が望んだ復帰とはかけ離れたものだった」と強調しました。

 赤嶺 沖縄の歴史を振り返れば、基地の縮小・撤去は政府の責務だ。どう認識しているのか。

 首相 丁寧な説明、対話で地元のみなさんと信頼を築き、基地負担の軽減に力を尽くす。

 赤嶺 大事なのは返還協定をつくる時に建議書を国会で受け取らず、沖縄の気持ちが踏みにじられたことだ。岸田内閣はよほど決意をしないと解決できない。対話とか軽々しい問題ではない。

 赤嶺氏は、2012年に安倍政権が発足してから、機動隊の大量動員による基地建設強行や、国策に協力しない自治体への予算の冷遇など、強権的な手段がとられるようになったと指摘。「沖縄がたどってきた歴史への理解があれば、このようなやり方はできないはずだ」と迫り、安倍政権以降の沖縄政策への認識を問いました。

 首相 北部訓練場の返還など負担軽減を実現した。

 赤嶺 返還されたのは古くて使わなかった区域だ。代わりにオスプレイの着陸帯を住宅近くにつくった。住んでいる人は誰も負担軽減とは思っていない。

 

 

首相「(不服審査請求の)手続きを見守る」

赤嶺氏「防衛省と国交省が一体で 進める構造で中立公正のはずがない」

 赤嶺氏は、沖縄県の玉城デニー知事が辺野古新基地建設の軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更を不承認としたことに対し、政府が国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を乱用し、県の権限を抑え込もうとしていることを追及。沖縄防衛局の請求を審査する国土交通相の「手続きを見守りたい」とする岸田首相の答弁に赤嶺氏は、「新基地建設は閣議決定されており、その決定に拘束されている国土交通大臣に中立公正な審査などできるはずがない」と迫りました。

 さらに赤嶺氏は、港湾整備に蓄積がある国土交通省から防衛省に職員が出向している実態を告発しました。

 赤嶺 国交省から防衛省に何名出向しているか。

 岸信夫防衛相 12月現在で10名、延べ35名。

 赤嶺 まさに防衛省と国土交通省が一体となって進める構造であり、審査が中立公正であるはずがない。

 戦没者の遺骨が混じった土砂を埋め立てに使用することは、戦没者を冒とくし、遺族の心情を踏みにじる、と迫った赤嶺氏に対し、岸田首相は「遺骨の問題は重要だと認識している」と述べるにとどまりました。

 赤嶺氏は801億円という巨額な埋め立て工事費を補正予算に計上することはかつてなかったことだと強調し、「『丁寧な説明』と言いながら、実際にやっていることは、安倍・菅政権以上の基地建設の強行なのではないか」と追及。「工事を着実に進めることが普天間の一日も早い返還につながる」などと答弁した岸田首相に対し、赤嶺氏は、工事はいつ完成するかわからず、「普天間の一日も早い返還につながる」という政府の説明は矛盾していると批判。普天間基地から飛びたったオスプレイから1・8リットルの容量のステンレス製の水筒が民家の玄関先に落下した事故に言及し「普天間基地では、明日何がおこるかわからない状況に直面している。危険性の除去というなら明日にでも閉めなければならない」と主張。「沖縄の基地は歴史的にも縮小・撤去する。これが岸田内閣の最大の任務だ」と迫りました。

 

 

軽石被害

漁民へ休業補償を

衆院予算委 赤嶺議員が要求

 日本共産党の赤嶺政賢議員は14日の衆院予算委員会で、沖縄県や鹿児島県をはじめ全国の漁港などに漂着している軽石の被害について質問し、漁民への休業補償を求めました。

 赤嶺氏は、沖縄県内で出漁を自粛せざるを得ない漁船が全体の34%に上るなど漁業への被害が深刻だと指摘。自治体の意見書で一番強い要求は漁に出られない漁民への休業補償だと述べました。

 大半の漁業従事者は小規模・零細で漁業共済に加入していないという漁業関係者の話を紹介し、モズク栽培やソデイカの漁期と重なり大きな打撃だと指摘。補正予算には除去作業への財政支援策はあるものの、休業補償はないとして、「漁民が漁業を続けられるように、この点での支援を」と要求しました。

 金子原二郎農林水産相は、漁業共済に加入していない漁業者には資金繰り支援を行うなどと述べるだけ。赤嶺氏は、資金融資にはとても手が出ないと指摘。糸満市では漁協の収入の7割がソデイカで、漁期に入って2カ月も漁に出られないと述べ「災害であり、休業支援の検討を」と重ねて迫りました。(しんぶん赤旗 2021年12月15日)

質問の映像へのリンク

強権的な沖縄政策改めよ(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 今日は初めに、軽石被害の問題から質問をいたします。
 小笠原諸島の海底火山、福徳岡ノ場の噴火で発生した大量の軽石が、沖縄県や鹿児島県を始め全国各地の漁港、港湾、海岸に漂着し、漁業や観光、離島航路などに被害を及ぼしています。
 私も現地調査を行ってきましたが、護岸で囲われた港一帯がセメントを流し込んだように灰色に覆われ、停泊している漁船が身動きできなくなっておりました。白い砂浜も、波打ち際に沿って灰色の帯が続いておりました。ショベルカーなどで除去作業が続けられておりますが、沖合には大量の軽石が帯状になって漂っており、北風が吹くとまた漁港に戻ってくる、こういうイタチごっこであります。
 専門家は、元の環境に戻るまでは一、二年はかかるだろうと指摘しております。
 特に漁業は深刻で、出漁を自粛せざるを得ない漁船が全体の三四%に上っております。県内の地方議会でも意見書が次々と上がっておりますが、一番強い要求は、漁に出られない漁民への休業補償であります。
 漁業関係者のお話も伺いましたが、大半の漁業従事者は小規模や零細で、共済に加入していないとのことでありました。特に、この時期はモズク栽培やソデイカの漁期に重なっており、漁に出られないのは大きな打撃であります。
 総理に伺いますが、今回の補正予算には、除去作業への財政支援策は盛り込まれております。しかし、休業補償は入っておりません。漁民が漁業を続けられるように、この点での支援が必要だと思いますが、総理、いかがですか。

○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
 海底火山の福徳岡ノ場の噴火に伴う軽石につきましては、漁港等に漂着した軽石の回収、処理の対応として、リエゾンの派遣や国土交通省と連携した回収に関わる技術的な支援に加えまして、災害復旧事業等による財政的な支援を行います。
 その上で、軽石の影響による操業自粛や漁船の故障などの被害に対しましては、漁業共済等による減収補填や漁船の修繕費用への支援を行います。
 漁業共済に加入していない漁業者に対しても、資金繰り支援を行いつつ、関係する地方自治体と連携し、現場の状況を丁寧に把握しながら、引き続き災害復旧事業等による支援を行ってまいります。
 以上です。

○赤嶺委員 共済に入っていない人が大部分で、資金融資なんて、とてもじゃないけれども手が出ないですよ。
 ソデイカというのは非常に高価なものでありまして、例えば糸満市の漁協の収入の七割はソデイカで、そのシーズンが始まっているんですね。しかし、もう二か月も漁に出られない。この後も、どうやったら漁に出られるか見通しがない。いろんなエンジンなんかも工夫して、しかし、出かけるのは命懸けですよ。
 災害ですから、総理、是非、休業支援について検討していただきたいと思います。これは是非、農水大臣の方もよろしくお願いいたします。
 沖縄の米軍基地問題について質問をいたします。
 総理とは外務大臣の時代から何度もこの議論を積み重ねてまいりましたが、今日は、その沖縄の基地問題の形成過程、総理としてどんな態度で沖縄の問題に臨まれるのか、この点から議論をしていきたいんです。
 ちょうど沖縄が本土に復帰してから来年で五十年です。半世紀がたとうとしている今なお、広大な米軍基地の存在が沖縄の政治、経済、社会に重大な影響を与えております。沖縄本島の面積の約一五%を米軍専用施設が占め、米軍機の墜落や爆音、環境汚染、米軍関係者が引き起こす犯罪などによって、県民の命と安全が脅かされております。周辺の海や空にも広大な訓練区域が設定され、漁業活動や航空交通への制約ともなっています。
 こうした広大な米軍基地がどのようにして造られたのか、基地の形成過程についての総理の認識をまず伺いたいと思います。(発言する者あり)

○岸田内閣総理大臣 質問の趣旨が、私の基地問題形成に対する認識ということでありましたので、私から直接答えさせていただきます。
 例えば普天間飛行場につきましても、戦前は、その地域において役場、国民学校、郵便局、病院、こうしたものが所在をし、街道が通っている、そして集落が所在して田畑が広がっていた、こういった地域であったと認識をしています。そして、戦時中、昭和二十年四月、米軍が上陸した後に土地を接収し、そして普天間飛行場が建設された、これが経緯であったと承知をしています。
 その他、沖縄の米軍施設・区域の形成過程については様々な見方や議論があるということは承知しておりますが、いずれにせよ、世界一危険と言われる普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと思っておりますし、また、沖縄の基地負担の軽減、このために、そうした経緯も振り返りながらしっかりと取り組んでいかなければならない、これが基本的な認識であると考えます。

○赤嶺委員 今総理がおっしゃったとおりなんですよ。
 戦前、村役場や学校がある、まさにその村の中心地を、中心市街地を米軍が乗っ取って基地にしたから、今、市街地のど真ん中に普天間基地ができ上がっているんですよ。造ったのは米軍なんです。世界一危険な基地という他人事の話ではなくて、まさに戦前、そういう場所に基地を造ったから、今危険な状態になっている。
 しかも、県民が収容所に入れられている間に、私有財産を強奪して造ったわけですね。一方的に囲い込んで構築したものであります。私有財産の没収や略奪は、占領下においても最低限守るべき基準を定めたハーグ陸戦条約という国際法に違反するものです。
 一九五二年にサンフランシスコ講和条約が発効いたしましたが、沖縄は、奄美、小笠原とともに本土から切り離され、米軍占領下に置き去りにされました。その後、いわゆる銃剣とブルドーザーで、抵抗する住民を力ずくで排除して、基地は拡張をされました。
 国際法に違反して、住民の土地を強権的に奪って造られたのが沖縄の米軍基地であります。様々な見方はありません、事実は一つですから。そういう歴史を見ていただきたいと思います。
 戦後二十七年間に及ぶ米軍の直接統治下で、県民は、憲法が適用されない無権利状態に置かれ、度重なる米軍の事件、事故に苦しめられました。
 沖縄の祖国復帰を求める運動が本土と連帯して取り組まれ、一九七二年には、不可能と言われた祖国復帰が実現をいたしました。私も、小学校、中学校時代は憲法に憧れ、大学に入学してからは、東京で、沖縄の返還運動、祖国復帰運動、これに必死に頑張りました。
 しかし、七二年の復帰が実現しても、広大な米軍基地はほとんどそのまま残されております。占領下で構築された広大な米軍基地がいまだに引き継がれているのであります。
 復帰に当たって、当時の琉球政府が県民の要求をまとめた、復帰措置に関する建議書という文書があります。当時の屋良朝苗主席の名前を取って屋良建議書と呼ばれているものです。総理、御存じでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 復帰措置に関する建議書、復帰の前年、一九七一年、当時の屋良主席が提出された建議書であると承知をしております。

○赤嶺委員 国会図書館でも閲覧できるようになっておりますし、復帰五十年を迎える沖縄にとって、五十年前、どんな建議書であったかという原点に返る上でも非常に大事なものでありますから、是非目を通していただきたいと思います。
 屋良建議書にはこう書かれております。「県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからに外なりません。」「基地あるがゆえに起るさまざまの被害公害や、とり返しのつかない多くの悲劇等を経験している県民は、復帰に当っては、やはり従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります。」このように書かれておるわけですね。
 さっき総理がお答えになりましたように、五十年前の一九七一年秋の臨時国会は、当時、沖縄国会と呼ばれておりました。米軍基地の存続を前提とした沖縄返還協定が審議されていました。屋良主席は、県民の声を届けようと、建議書を携えて東京に向かいました。羽田空港に降り立ったその三分前に、返還協定は衆議院の特別委員会で強行採決をされました。
 屋良主席は、当時のことを、沖縄県民の気持ちというのは全く弊履のように踏みにじられるようなものだと日記に書きつづっております。破れた草履のように踏みにじられた、沖縄県民の気持ちは破れた草履のように踏みにじられたと述べているのであります。日米両政府が推し進めた沖縄返還は、県民が望んだ復帰とはかけ離れたものでありました。
 こうして沖縄の歴史を振り返れば、占領下で構築された米軍基地の縮小、撤去に取り組むことは政府の沖縄に対する責務だと思いますが、総理はどのように認識しておられますか。

○岸田内閣総理大臣 御指摘の建議書の中に、基地のない平和な島としての復帰を強く望む、また、施政権が返還されるときには整理なり縮小なりをして返すべきだ、こうした内容があるということ、承知をしております。こうした歴史を振り返りながら、政府としましても、沖縄における米軍施設・区域の整理縮小のために様々な取組を進めてまいりました。
 しかしながら、戦後七十五年以上たった今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいているということ、これは政府としても重く受け止めなければならないと考えます。
 これからも、丁寧な説明、対話による信頼、こうしたものを地元の皆さんと築きながら、未来に向けて大きな可能性を持つ沖縄の発展を思い、また、そのために基地負担の軽減、全力を尽くしてまいりたいと考えます。

○赤嶺委員 総理は外務大臣も務めておられましたので、基地の現状について、私も何度も質問をしましたからよく御承知の上だと思いますが、建議書の中身にも触れられました。
 大事なことは、返還協定を作るときに、基地のない沖縄を目指して建議書を持ってきたのに、羽田に着く三分前には特別委員会で強行採決して、屋良建議書は、国会は受け取らなかったんですよ。弊履のように踏みにじられた、破れた草履のように県民の気持ちは破られてしまった、こういう思いを持って、五十年、今なお基地が続いている、広大な基地が続いている。この問題は、よっぽど岸田内閣が決意をしないと解決しないと思います。対話とか、そんな軽々しい問題ではないですよ。
 政府は、復帰以降も曲がりなりに基地の整理縮小を掲げてきました。ところが、その多くは県内移設が条件とされて、進みませんでした。例えば、那覇空港に隣接する米軍の那覇軍港の返還が合意されたのは一九七四年ですよ。いまだに返還されていないどころか、先日はオスプレイが突然飛来し、県民を驚かせました。
 それでも、従来の自民党政権は、県民の苦難の歴史に寄り添おうという姿勢を見せたときもありました。
 ところが、二〇一二年に安倍政権が発足して以降は、政府の沖縄政策は全く異質なものになってしまっております。県民の民意や思いを全く顧みず、強権的に物事を推し進めるようになりました。選挙の翌日に大量の機動隊を沖縄に動員して基地建設を強行する、国策に協力しない自治体には容赦なく予算を冷遇する、こういうやり方が露骨に取られるようになりました。戦後、沖縄がたどってきた歴史への理解があれば、このようなやり方はできないはずです。
 総理は、安倍政権以降の沖縄政策についてどのように認識しておられますか。

○根本委員長 復興大臣西銘恒三郎君。(赤嶺委員「何で。沖縄担当大臣は答えられないよ、基地の問題、所管じゃないよ。総理ですよ。沖縄の基地のですよ。沖縄政策じゃないですよ」と呼ぶ)
 ちょっと、一度答弁してください。

○西銘国務大臣 沖縄振興策に関わるものですから、お答えさせていただきます。
 今、赤嶺委員のお話にありました屋良先生の教え子が西銘順治であり、台湾のところで教えているときの、山中先生が教え子であり、そういう御縁で、この沖縄国会で、赤嶺委員の先輩の瀬長亀次郎も、私のルーツの父も、西銘順治も沖縄国会にいたことを思い出しながら、今、赤嶺委員の質問に答えさせていただきたいと思います。
 安倍政権以降の政府においては、平成二十五年の十二月、当時、総理の発言に基づいて、従来よりも一段と高い水準の予算を確保し、沖縄振興に取り組んできたところであります。具体的な事業を一つ一つ目に見える形で実現してきたものと思います。
 赤嶺委員も私も、高校、あるいはそれ以上に、米ドルで生活してきたものからすると、例えば、那覇空港の第二滑走路の供用開始や、あるいは名護東道路の問題等……(発言する者あり)

○根本委員長 簡潔に、簡潔にお願いします。

○西銘国務大臣 見事に実現してきたものもありますので、その辺はしっかりと御理解をいただきたいと思います。
 以上です。

○赤嶺委員 西銘大臣、沖縄の選出ではあるんだが、今そういう答え方をしたら、総理、駄目ですよ。
 私が聞いたのは、振興策ではなくて、安倍内閣になって沖縄の基地問題はどう取り扱われてきましたか、その取扱いについて総理はどのように認識しておりますかと。だって、安倍、菅政権の後でしょう。大事な質問じゃないですか、総理の認識を聞くのは。
 総理、答えてください。

○岸田内閣総理大臣 先ほどの質問は、沖縄政策について認識をということであったので、今、沖縄振興についてもお話をさせていただきましたが、これは、振興は、沖縄の基地負担ということにも深く関わっております。北部訓練場の過半の返還、嘉手納以南の土地の返還、こうしたことは、この沖縄振興という部分にも関わっておりますし、そして何よりも沖縄の基地負担の軽減につながる、こうした取組であると思っています。
 私も、外務大臣時代、沖縄の基地負担というこの課題に様々な場面で立ち会わせていただきました。多くの関係者の御努力を、それと御協力をいただきながら前進を図ってきたわけであります。
 是非、来年、本土復帰五十年という大きな節目を迎える、そして沖縄振興も新しい計画がスタートする、こうした年に当たって、まず、大事な基地負担軽減というテーマを忘れることなく、沖縄問題にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

○赤嶺委員 北部訓練場の返還を基地負担軽減の前進とおっしゃっていますけれども、北部訓練場は、半分は返還して、ここは米軍も使わなかったんですよ、古くなって。古くなって使わなかった場所を返還したら、代わりに新しいオスプレイの着陸帯を六か所造れといって、北部訓練場の別の場所に、住宅に近いところにそういうオスプレイの離着陸帯を造って、今騒音で大変ですよ。住んでいる人の立場に立って考えてください。何か、過半を返還したら負担軽減が進んだなんて、そんなの住んでいる人は誰も思っていませんよ。
 具体的に聞いていきますけれども、十一月の二十五日に、辺野古新基地建設に関わって、玉城デニー知事が、政府が昨年四月に提出した軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更申請を不承認といたしました。ところが、政府はまたしても禁じ手を使いました。国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を濫用し、同じ政府の一員である沖縄防衛局が国土交通大臣に不服を訴えるという、安倍政権、菅政権が繰り返してきた法律無視のやり方に踏み切りました。
 総理は、所信表明演説で、丁寧な説明、対話による信頼を強調していますが、これまでの政権のやり方と全く変わっておりません。何が違うんですか。安倍政権や菅政権と同じことをやろうとしている。何が違うんですか。教えてください。

○岸田内閣総理大臣 御指摘の点につきましては、これは、行政不服審査法、法律にのっとって対応をしているところであります。沖縄防衛局は、この行政不服審査法にのっとって審査請求の手続を行ったと承知をしております。その上で、所管大臣であります国土交通大臣において、法律に従って手続が行われている。
 こういったことでありますので、政府としては、この手続、しっかり見守っていきたいと考えております。

○赤嶺委員 常識で見てもそこがおかしいと何で考え切れないんですか。
 いわば、行政不服審査請求というのは、国民の権利救済のためですよ。それを防衛局が国土交通大臣に申請をしている。国土交通大臣、見守っていくということですが、辺野古の新基地建設というのは閣議決定をされているわけですよね。政府方針そのものですよ。閣議決定に拘束されている国土交通大臣に中立公正な審査なんかできるはずがないではありませんか。総理、いかがですか。

○斉藤国務大臣 法定受託事務に係る都道府県知事の処分についての審査請求は、地方自治法の規定により、法令を所管する大臣に対してすることとされております。公有水面埋立法は国土交通省の所管となりますので、行政不服審査法の審査庁として、今後、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出される書面の内容を検討し、法令の規定に基づき、適切に対応してまいります。
 行政不服審査法の審査庁として、法令の規定に基づき、公平公正に審理してまいります。

○赤嶺委員 立派らしい答弁をしておりますけれども、あれですよ、国土交通大臣、ああ、防衛大臣に聞きましょうか。
 防衛省は、これまで、港湾整備の専門家を国土交通省にお願いをして防衛省に職員を出向させてもらって、辺野古の事業を進めております。防衛省で辺野古の事業を進めているのは、国土交通省の港湾の専門家の皆さんですよ。
 今、何名出向しているんですか。

○岸国務大臣 今、国土交通省から海洋土木工事に関する経験、知見などを有する職員が出向し、担当部局において防衛省職員として業務に従事しているところです。
 国交省から防衛省に出向し、普天間飛行場代替施設建設事業推進チーム、いわゆるFRFチーム及び沖縄防衛局で勤務をしている職員数は、令和三年十二月現在で十名であり、同チームが設置された平成二十七年四月以降現在まで、延べ三十五名であります。

○赤嶺委員 今の答弁にありましたように、防衛局の中で、防衛省の中で辺野古の新基地建設を進めているのは、国土交通省から出向してきた港湾の専門家の皆さんですよ。
 さっき、審査庁として公正にやると国土交通大臣がおっしゃっていましたけれども、国民がどんなに考えても、これは公正ではないという結論しか出ないんじゃないですか。
 辺野古の基地建設は、防衛省と国土交通省が一体となって進めているものです。こうした実態からいっても、中立公正な審査が行われるはずがありません。
 行政法の研究者も、行政不服審査制度が濫用されるものだ、法治国家にもとる、このように厳しく批判をしています。今年六月には全国知事会も、総理、そういうやり方は改善してほしいという意見書を出しているんですよ。
 これらの地方自治を全く無視して、国土交通省と防衛省の共同事業である辺野古の新基地建設を進め、そして、不服があるからといって、国土交通省が公平な審査をしますと。こんなのは冗談でも言えないんじゃないですか。やめるべきじゃないですか、そういうことは。
 設計変更申請には、沖縄戦の最後の激戦地である沖縄本島南部から埋立土砂を調達する計画が盛り込まれています。沖縄戦跡国定公園に指定され、今なお、戦没者の遺骨を収集し、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域です。戦没者を冒涜し、遺族の心情を踏みにじる計画の中止を求めて、全国の地方議会で意見書を可決する動きが出て、広がっております。
 総理は、遺骨の眠る土砂や戦没者の血がしみ込んだ土砂を辺野古の埋立てに使うというこの計画、これを総理としてどうするんですか。

○岸田内閣総理大臣 沖縄防衛局が沖縄県に提出していた変更の承認申請書においては、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達の候補地として沖縄本島の南部地区が記載されているということ、承知をしております。
 この変更承認申請については、先日の不承認処分を受けて、先ほど来議論になっておりますように、沖縄防衛局が国土交通大臣へ審査請求を行っているところでありますので、この土砂の調達先について現時点でコメントすることは控えなければならないと思います。
 ただ、いずれにせよ、さきの大戦で悲惨な地上戦を経験した沖縄において今なお戦没者の御遺骨の収集が進められている、こういった現状を考えますときに、この御遺骨の問題、これは大変重要な問題であるということは認識をいたします。

○赤嶺委員 重大な問題であるという認識を持っておられるのであれば、防衛省は計画を変えていませんので、いずれ使うという計画のままですので、総理として直ちにやめさせるようにしていただきたい。
 私、岸田内閣になってもう一つ驚いたのがあるんですよ。今、玉城デニー知事が辺野古の不承認を出して、そして、工事は止めて話合いに応じてくれと総理に求めているときに、辺野古では八百一億円の膨大な補正予算を今度計上しているんですね。問答無用で進めていこうとしている。私、この補正予算の額を見たときに、岸田総理は、安倍、菅さん以上に強硬に辺野古新基地建設を進めようとしているのか、余りにも強引過ぎると思いました。いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 世界で最も危険だと言われている普天間基地が固定化され、また危険なまま放置される、こうしたことは絶対に避けなければならない、これは地元の皆様との共通認識であると考えます。
 そして、日米同盟の抑止力、そして普天間飛行場の危険性の除去、これを考え合わせたときに、辺野古移設、これは解決策として唯一のものであると考えて取組を進めているところであります。
 この方針に基づいて着実に工事が進められていく、このことによって、一日も早く普天間飛行場の全面返還が実現し、危険性を除去することにつながるということを考え、しっかり努力を続けていきたいと思っております。
 そういったことから、今回の補正予算において、御指摘の埋立工事に係る緊要な経費、これを計上している次第であります。

○赤嶺委員 もう終わりますけれども、工事の完成まで、政府の試算でも十二年ですよ。ところが、それも根拠はないですよ。今、普天間では、ヘリやオスプレイから物資が落下している。この間も水筒が落下している。こんな危険、明日は何が起こるか分からないような宜野湾市で、危険性の除去だからあと十二年待ってくれというんですか。危険性の除去というなら、あしたにでも閉めなきゃいけないんですよ。運用停止をしなきゃいけないんですよ。
 中国とアメリカの覇権争いの舞台にもなっておりますが、軍事対軍事の対決ではなくて平和的に解決、そして、沖縄の米軍基地は歴史的にいっても縮小、撤去しなければならない、これが岸田内閣の最大の任務だ、菅内閣や安倍内閣以上のことをやってはならないということを強く申し上げて、質問を終わります。

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