国会質問

質問日:2021年 4月 9日  第204国会  安全保障委員会

汚染全容調査を要求 赤嶺氏 泡消火剤流出ただす

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は9日の衆院安全保障委員会で、2月26日に航空自衛隊那覇基地から流出した泡消火剤から有機フッ素化合物PFOSが検出されたことに関し、再発防止策の徹底と汚染の全容調査を求めました。

 那覇基地は、基地内の水路の廃水から最大で、国の基準値(1リットルあたり50ナノグラム)を超える同3010ナノグラムのPFOSが検出されたとする分析結果を公表。自衛隊は当初、流出した泡消火剤にはPFOSは含まれていないと説明していました。

 赤嶺氏は、那覇市が「地域住民に適切な説明を行い、不安解消に努めること」を文書で求めていたにもかかわらず、同基地は検査結果をホームページで公表したのみで、記者会見や住民説明会を実施しなかったと指摘。「住民に真摯(しんし)に説明する姿勢か」と批判しました。

 岸信夫防衛相は「記者会見、住民説明会の実施も重要だ。対応を検討するよう指導する」と答弁しました。

 PFOSが含まれていた原因について、交換作業で配管内の洗浄をしなかったためとしていることについて、岸防衛相は「マニュアルには配管を洗浄する旨の記載がない」と弁明。赤嶺氏はマニュアルの見直しも含め「関係省庁とも連携し、再発防止策を講じるべきだ」と求めました。(しんぶん赤旗 2021年4月16日)

 

日印軍事協力が拡大

防衛省設置法案可決 赤嶺氏が反対

 日印間の軍事協力や宇宙・サイバー・電磁波領域での自衛隊の体制強化などをすすめる防衛省設置法改正案が13日、衆院本会議で採決され、自民・公明両党などの賛成多数で可決しました。日本共産党と立憲民主党は反対しました。

 同改正案は、昨年9月に日印政府が署名した日印ACSA(物品役務相互提供協定)に関連し、インド軍への平時の物品・役務の提供権限を自衛隊法に整備するほか、航空自衛隊「宇宙作戦群」やサイバー防衛隊の新編に伴う自衛官定数の変更などが主な内容。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は9日の衆院安全保障委員会で反対討論し、憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階でACSAを通じた日印間の軍事協力が可能になると指摘。宇宙・サイバー・電磁波領域における体制強化は、領域横断的な作戦を打ち出した日米ガイドラインの具体化であり、「米国の軍事戦略に日本をいっそう深く組み込むものだ」と批判しました。

 また質疑で赤嶺氏は、インド太平洋地域での軍事訓練の拡大に触れ、「事態がエスカレートして軍事的な衝突が起こったときに、真っ先に被害を受けるのは沖縄だ」として、東アジアに平和的環境をつくる外交努力を強化するよう求めました。(しんぶん赤旗 2021年4月21日)

 

質問の映像へのリンク

泡消火剤流出事故、防衛省設置法改正案について質問(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 先ほど屋良議員も取り上げました自衛隊那覇基地問題、航空自衛隊那覇基地からの泡消火剤の流出事故について質問をします。
 二月二十六日、那覇基地から泡消火剤が流出する事故が起こりました。PFOSを含む泡消火剤を含まないものに交換した後、消火剤が適正に放出されるか確認する発泡試験を行った際、配管が破裂して流出したものであります。流出した泡は、基地の中の水路に流れ込んだだけでなく、基地の外にも飛散をしました。基地周辺のモノレールの駅、保育園、さらに、基地から約三キロも離れた那覇市役所の付近でも確認をされております。
 自衛隊は、当初、飛散した泡消火剤は交換した後のものであり、PFOSは含まれていないと説明していました。
 ところが、京都大学の原田浩二准教授が基地の外に飛散した泡消火剤を分析したところ、国が定める基準値の五倍以上になる一リットル当たり二百四十四ナノグラムものPFOSが検出をされました。
 これを受けて、自衛隊も、消火剤が流れ込んだ基地の中の水路などについて分析を行っております。この結果、明らかにしていただけますか。

○杉山政府参考人 お答えいたします。
 今回の事故後、回収した泡消火薬剤につきましては、ドラム缶三十九缶に保管しておりますが、この中から五つの検体を採取し、分析したところ、二つの検体から三十一ナノグラム・パー・リットルと三千十ナノグラム・パー・リットルのPFOSが検出され、残りは定量下限値五ナノグラム・パー・リットル未満の結果となっております。
 また、基地内水路の上流については六十八ナノグラム・パー・リットル、水路の下流と海域の三地点につきましては定量下限値五ナノグラム・パー・リットル未満の結果となっております。
 保育園の土壌につきましては、水たまりなどに溶け出した場合のシミュレーションを行った結果、泡が付着した二地点の土壌はそれぞれ十九ナノグラム・パー・リットルと四ナノグラム・パー・リットル、泡が付着しなかった一地点の土壌は十五ナノグラム・パー・リットルのPFOSが検出されたところでございます。

○赤嶺委員 数字だけ報告されても理解しにくいんですが、つまりは、基準値の百二十倍もの量のPFOSなどが検出されたということです。
 那覇市も、基地の中の水路から採取した検体を検査しています。その結果、PFOSが検出されたことから、四月六日付で那覇基地司令に要請を行い、地域住民に対し適切な説明などを行い不安解消に努めることを求めております。ところが、那覇基地は、四月七日に検査結果をホームページで公表しただけで、記者会見も住民への説明会も行っておりません。
 沖縄では、米軍基地から大量のPFOS含有泡消火剤が漏出し、基地周辺の河川や地下水から高濃度のPFOSが検出されるなど、県民はPFOSに対し大きな不安を感じております。
 防衛大臣に伺いますが、この那覇基地の対応が、不安を抱いている住民に対し真摯に説明する姿勢だと言えるんですか。なぜ記者会見すら行わなかったんですか。

○岸国務大臣 今回の流出事故を受けて、近隣の皆様には御心配、御迷惑をおかけしておることを大変申し訳なく思っております。
 今、引き続き、お問合せに対して丁寧にお答えし、住民の皆様の御心配、御不安の払拭に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 公表の方法につきましては、一義的には、地元の皆様との関わりの深い現地部隊の判断を尊重しているところであります。その上で、今回の公表は、航空自衛隊那覇基地のホームページに掲載するとともに、沖縄県、那覇市にも報告をし、基地周辺自治会や漁協にも個別に説明するなど広く周知をしており、公表に関する報道関係者からのお問合せにも真摯にお答えをしているところでございます。
 しかし、今委員の御指摘のとおり、住民の皆様の御不安、御心配を取り除くという観点で申し上げますと、記者会見、住民説明会を実施することも重要であると考えます。必要な対応をよく検討するように指導をしてまいりたいと思います。

○赤嶺委員 現地部隊の判断といって、最初の判断は、PFOSは含まれていないから安全ですよ、手を洗えばこれでいいんですよという説明をして歩いたわけですよ。それが間違っていたわけですね。間違っているんじゃないかという那覇市の問合せに対して、その日の午後、ホームページにお知らせという形で上げて、何の説明もないですよ。ですから、こんなことで、PFOSは入っていませんと言った自衛隊が、入っていましたということについてもう広く知らせているから聞きたい人は電話したら教えますよと、こんな態度で、信頼を失いますよ、これは絶対に。
 大臣が今、記者会見や住民説明会、必要であったんじゃないか、このように言っておられましたが、そもそも、今回の事故というのは、原田准教授が事故が起こった日のそのときに検体を採取して、分析結果が報道されてPFOSの含有が明らかになったものです。それまで自衛隊は大丈夫だと説明していたわけですから、やはりこの態度が住民に対して誠実さを欠いていた、愚弄するものであったという反省の上に立って、住民との説明会あるいは記者会見、こういうのを強く求めておきたいと思います。
 自衛隊は、流出した泡消火剤にPFOSが含まれていた原因について、配管内の洗浄をしていなかったためPFOSの成分が残っていたと説明をしております。なぜ配管を洗浄しなかったのか、交換の際、洗浄するよう業者に指示しなかったのか、疑問でならないんですが、いかがですか。

○岸国務大臣 泡消火薬剤の交換においては、一般社団法人の消火装置工業会が作成したマニュアルに基づき作業を行っておるところでございます。
 当該のマニュアルには交換作業に当たって配管を洗浄する旨の記載がなかったため、今回の委託業者においても配管の洗浄は実施しなかったと承知をしております。
 今後は、万が一の消火配管の破損に備えて、PFOSを含まない泡消火薬剤に交換する際には消火配管を洗浄するなど、再発防止に万全を期してまいります。

○赤嶺委員 交換する際に、マニュアルに書いていなかったからやらなかった、やらなかったことが事故の原因になったわけですよね。
 だから、マニュアルどおりにやったんだ、手続に間違いはなかったという言い分はいかにもお役所的で、私は、住民の安全を考えた場合に全てのPFOSを交換するのが当然だという態度で、今回、マニュアルに沿って交換してもPFOSが漏出する可能性があることが明らかになったわけですから、これは、防衛省・自衛隊だけでなく、関係省庁とも連携し、再発防止策を講じ、徹底すべきだ、マニュアルの見直しも含めて、そういうことを考えておりますが、いかがですか。

○杉山政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の件につきましては、関係省庁と連携して対応していきたいと思います。

○赤嶺委員 まだ不思議なことがあるんですよ。
 自衛隊の分析結果では、消火剤が流出した、水路に流れ込んだ場所だけでなくて、それよりも上流の方で基準値を超えるPFOSが検出されております。
 水は上から下に流れるものと思っておりましたが、PFOSは上流の方で高い値が検出されているんですが、これはなぜですかね。

○杉山政府参考人 お答えいたします。
 基地内の水路上流からPFOSが検出された理由については、分かっておりません。また、基地内水路の上流及び下流の水質分析の結果について、那覇市の分析結果と異なる状況となっております。このことから、再度分析を行うこととしているところでございます。

○赤嶺委員 さっき、風で流れた、確かに北風ではあったんですが、しかし暗渠ですから、やはりここの原因解明は重要だと思うんですよ。
 京都大学の原田准教授は、PFOSなどが日常的に土壌に蓄積し、水路に流れ出た可能性を指摘し、基地内の汚染状況を把握する必要があると述べております。
 二〇一〇年にPFOSの使用が規制をされる以前は、那覇基地でもPFOSを含んだ消火剤の発泡試験が行われておりました。さらに、那覇基地は、かつては米軍の基地でありました。米軍の嘉手納基地では、一九七〇年代から八〇年代に消火訓練場で使用したPFOS含有泡消火剤が地中にしみ込み、河川や井戸に流れ込んでいるのではないかと指摘されております。那覇基地でも、米軍が使用した泡消火剤が、含まれていたPFOSによる汚染の可能性があります。
 この際、過去の火災や消火訓練などでのPFOS含有消火剤の使用履歴や、消火訓練場所の調査も含め、那覇基地におけるPFOS汚染の全容を調査し、明らかにすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○岸国務大臣 那覇基地におきます火災の実績としては、記録が残っている範囲では、泡消火設備を使用するような火災が発生したということはないということを確認をしております。
 消火訓練について、PFOSが規制されました二〇一〇年以降は、PFOSを含む泡消火薬剤での訓練は行っておらず、二〇一五年に那覇空港事務所の消火訓練場がなくなって以降は、全国の他の基地に出向いて訓練を実施をしている状況であります。
 PFOSは、規制される以前には様々な製品に使用されており、環境省が、昨年度及び一昨年度に、全国の都道府県の協力を得ながら、水環境中における有機フッ素化合物の存在状況について全国的な調査を実施したと承知をしております。
 防衛省としても、その調査で、自衛隊の施設の近辺で、環境省が定めた水環境中における暫定的な目標値を超えるPFOSが検出された場合には、自衛隊施設に起因するものか否かについて、地方自治体等の求めに応じ、例えば自衛隊施設内の浄化槽などの水質の分析を行うなど、必要な調査協力をしているところでございます。
 那覇基地についても、地方自治体等から協力要請があった場合には、同様に調査に協力をしてまいります。

○赤嶺委員 今、大臣の答弁の中で、那覇空港の中にあった消火訓練場、那覇空港は自衛隊の共同使用ですから、ここがどういう実態になっていたかもっと聞きたいところですが、今日はちょっと法案もありますので法案に移りますけれども、後できちんと説明をしていただきたいと思います。
 次に、日印ACSA協定について質問をします。
 まず初めに、他国との違いで一点確認しておきます。
 これまで日本が結んできたACSAでは、国際連携平和安全活動が協定本文に明記されておりました。ところが、今回のインドとの協定においては明記されておりません。一条一項eの「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」との規定により、対象に含まれるようになっています。
 どうして、今回、協定本文に明記されなかったんですか。

○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国とインドとの交渉の過程におきまして、インド側から、自国の外交政策に照らし、現時点で、我が国法令で言うところの国際連携平和安全活動への参加をするということは想定されないため、個別に記述をするということは避けたいとの説明があったところでございまして、これを踏まえて、個別に記述をしてはいないというところでございます。
 他方で、インドの国内法によって、国際連携平和安全活動と同種の活動への参加そのものが禁止されているわけではないということから、参加の可能性は排除されないというところでございます。
 今後、インドがこうした活動に参加する場合には、委員御指摘がございましたとおり、日印ACSA第一条一eに規定される、それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動の下で、自衛隊及びインド軍隊のニーズに基づき両当局の間で物品、役務の提供が行われ得るとの認識で、日印間において一致をしておるというところでございます。

○赤嶺委員 日本側は日本側に都合のいい解釈ができるようになっているかもしれないけれども、インドは国際連携平和安全活動というものへの参加は望んでいないというのも今回の協定の中で明らかになっているんじゃないかと思います。
 この間、アメリカは、自由で開かれたインド太平洋の名の下で、インド太平洋地域で、日本を含む二国間、多国間の共同訓練を拡大してきました。その一方で、中国は、大量の戦闘機を台湾の防空識別圏に進入させたり、台湾周辺の海域で空母による訓練を行っています。
 軍事的緊張が高まり衝突が起こるような事態は絶対に避けなければいけない、このように思いますが、大臣はこの状況をどのように認識されておりますか。

○岸国務大臣 近年、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しております。国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を確実に守り抜くために、我が国自身の防衛体制、日米同盟及び各国との安全保障協力をそれぞれ強化していくということが必要であります。
 これらの強化に当たりまして、各自衛隊が行います共同訓練は重要な役割を果たしております。日米共同訓練の実施は、日米同盟の抑止力、対処力を強化するために不可欠であります。また、諸外国の軍隊との共同訓練は、我が国が推進いたします自由で開かれたインド太平洋の維持強化に資するものであります。
 一方、自衛隊が行う共同訓練は、あくまでも自衛隊の戦術技量の向上、また外国軍隊との連携の強化が目的でありまして、特定の国を念頭に置いて実施するものではございません。共同訓練の拡大によって周辺諸国との軍事的な緊張を高めるといった御指摘は当たらないものと考えております。

○赤嶺委員 当たらないどころか、今本当に台湾海峡をめぐる軍事的なエスカレート、これに対して、私たちは、沖縄は当事者ですからね。言ってみれば、事態がエスカレートして軍事的な衝突が起こったときに、真っ先に被害を受けるのは沖縄なんですよ。だから、その被害を受ける沖縄が、去った戦争でも本土防衛の最前線になって大きな犠牲を出した、今度も米中対決の軍事的エスカレートの巻き添えになるんじゃないか、ここは絶対にそうなってはいけないという具合に思っているわけですよ。東アジアに平和環境をつくるための外交努力こそ求められているということを、強く申し上げておきたいと思います。
 もう一点確認しておきますが、この間、日本国内で、イギリス軍やオーストラリア軍と自衛隊が共同訓練を行っております。五月には、宮崎県の霧島演習場で日米仏の共同訓練が計画されております。
 こうした共同訓練を実施するに当たって、日本国内に米軍以外の第三国の軍隊が入国する際の検疫、これはどうなっておりますか。誰が検疫を行う仕組みになっているんですか。

○岸国務大臣 一般に、自衛隊と米軍以外の外国の軍隊が日本国内で訓練を実施するに当たっては、相手方との間で、当該軍隊の構成員の刑事や民事の取扱いとともに、検疫、税関などに関する各種の措置を定める文書を必要に応じて作成をしております。
 これまでの例で申し上げますと、我が国において、英空軍との共同訓練、二〇一六年に行われております、また英陸軍との共同訓練、これは二〇一八年、また豪州の空軍との共同訓練が二〇一九年にございますけれども、こうした実施に当たりまして、相手国の国防当局との間で同様の文書を作成したところであります。
 一方、これらの文書の具体的な内容については、相手国との間で、内容は差し控えさせていただいておりますけれども、こうしたことで、検疫についても取扱いについては定められておるところでございます。

○赤嶺委員 相手国との関係があるから明らかにすることはできないとおっしゃるわけですが、第三国の軍隊の関係者が公務中、公務外の事件、事故を引き起こした場合の刑事裁判権や損害補償の取扱いというのはどうなっておりますか。

○岸国務大臣 先ほども申しましたけれども、相手国との間で、当該軍隊の構成員の刑事や民事の取扱い、こうしたものを、検疫、税関などに関するものと併せて、各種の措置を定める文書を必要に応じて作成をしているところでございます。

○赤嶺委員 これらの取組について、国民に秘密にするのではなくて、きちんと明らかにすることを求めて、質問を終わります。

すべて表示

このページをシェアする