国会質問

質問日:2021年 4月 15日  第204国会  憲法審査会

改憲議論の前提欠く 衆院憲法審 赤嶺・本村両氏

 

 衆院憲法審査会は15日、与党提出の国民投票法改定案に対する質疑と自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は質疑で、総務省の違法接待問題、河井克行元法相と案里前参院議員夫妻による選挙買収事件など安倍・菅政権下で政府と行政の腐敗が次々明らかになるもと、「国民が政治への不信感を増しており、改憲を議論する大前提を欠いている」と指摘しました。

 法案提出者の逢沢一郎氏(自民党)は、「憲法改正につながる議論は国民の政治への信頼が大前提」としながら「憲法審査会での議論そのものが国民に対する信頼につながる」と強弁しました。

 赤嶺氏は「現実に起こっている腐敗と疑惑をわきに置き、憲法審査会だけは議論しようというのは、信頼が得られるどころか政治不信を拡大する」と厳しく批判しました。

 自民、公明両党などは、与党案は公職選挙法に盛り込まれた7項目と並ぶ措置だとして、速やかな採決を繰り返し求めました。

 自由討議で立憲民主党の大串博志議員は、公選法に基づく投票と憲法改正国民投票における投票は性格が違うとして、根本的な議論の必要性を指摘。CM規制などを含め納得いく議論を尽くすべきだと求めました。

 日本共産党の本村伸子議員は「憲法改定の手続きが公職選挙法並びでいいのか。法体系の根本から議論すべきだ」と主張。「最低投票率やCM規制など重大な課題が残っている」として、「旧国民民主党が提出した法案も含め議論すべきだ」と求めました。また、「政治の再優先課題は新型コロナ対策だ」と指摘。医療体制は逼迫(ひっぱく)し、中小業者、学生から悲鳴が上がっていると述べ、「憲法を変える議論でなく、憲法が規定する生存権を保障する具体的な施策を議論することが必要だ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2021年4月16日)

 

議事録

○赤嶺委員 現実に起こっている腐敗と疑惑の問題は脇に置いて、憲法審査会だけは静かに議論しようと言ってみても、これはとても、政治に対する国民の信頼は、得られるどころか、ますます政治不信を拡大していくばかりであります。私は、安倍、菅政権による政治の腐敗の下で、憲法を議論する前提を欠いているということを強く指摘しておきます。
 国民投票法について、幾つかまとめて質問をいたします。
 前回、私が最低投票率について質問したのに対し、提出者は、最低投票率の規定がないことは問題だとは考えていないと答弁されました。その理由として、ボイコット運動や民意のパラドックスなどを挙げられましたが、少ない投票率で改憲できることは民意を酌み尽くすことに反するのではないかという指摘には、正面から答えられませんでした。その後の自由討議では、自民党の委員からも、最低投票率や絶対得票率など、国民の意図を反映させる方法を真摯に考えるべきだという趣旨の発言がありました。
 問われているのは、どう国民の意図を酌み尽くし、反映させるかということだと思いますが、その点をどう考えておられるか。
 また、民意を酌み尽くす上で、公選法並びでいいのかということが問われなければなりません。
 この間の国政選挙では、当日投票所の削減と投票所の閉鎖時刻の繰上げが進んでおります。
 衆議院選挙では、二〇〇〇年に五万三千四百三十四か所あった投票所が、二〇一七年には四万七千七百四十一か所へと、五千六百九十三か所も減っております。有権者からは、投票所の距離が遠くなり、投票のハードルが高くなったという声が上がっており、投票率の低下にもつながっています。
 一方で、閉鎖時刻を繰り上げた投票所は、二〇〇〇年に四千六百四十四か所だったのが、二〇一七年には一万六千七百四十七か所に増えています。県によっては、県庁所在地や都市部も含め、投票所の九割で閉鎖時刻を繰り上げているところもあります。
 投票所の数や投票時間の保障は、有権者の投票権の行使、投票機会の公平を確保する上で極めて重要です。公選法の体系に倣って作られた国民投票法の下でも、同様に、投票所の削減、閉鎖時間の繰上げによる投票環境の悪化が起きるのではないかと思いますが、その点、提出者はどのように認識しておられますか。

○逢沢議員 赤嶺先生にお答えを申し上げたいと思います。
 国民投票の結果が主権者である国民の意思をできる限り反映したものになるようにすることは、大変重要なことでございます。投票率が低いことは望ましくないということは、もちろんそのとおりでございます。
 しかし、これを制度的に担保しようといたしますと、最低投票率制度の導入ということになると考えられますが、この点につきましては、前回の委員会でも答弁をさせていただきました、検討しなければならない点が多くあるということは既に申し上げているとおりでございますし、また、山花会長代理も、御自身のブログの中で、この最低投票率について見解を述べておられます。また、立憲民主党の枝野代表も、かつて国会でもこのテーマについての発言もございます。時間の関係でそのことについて詳しくは触れませんが、指摘をしておきたいと思います。
 できるだけ多くの国民から投票において意思を示してもらえるように、国民に対する周知を徹底し、そして国民投票運動において適切に働きかけ、投票率を向上させる努力を与野党の努力の中で行ってまいりたいと思います。
 また、投票所の削減あるいは投票所閉鎖時刻の繰上げ等々の問題について御指摘をいただきました。
 過疎化や市町村合併の影響を受けまして、当日投票所の統廃合が行われている地域があることは、もちろん承知をいたしております。各市町村選管の判断で期日前投票所や共通投票所を弾力的に設置することによりまして、有権者の投票機会が決して奪われることがないよう、それぞれの選管が適切に配慮をされているものと認識をいたしております。
 また、当日投票所の閉鎖時刻の繰上げにつきましては、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限りできるとされており、投票機会を奪うような形での閉鎖時刻の繰上げは、制度上も認められていないということを確認いたしておきたいと思います。
 したがいまして、当日投票所の削減や投票所の閉鎖時刻の繰上げは、投票率の低下に必ずしもつながるわけではなく、国民投票におきましても、投票人の投票機会を十二分に確保するため、選挙と同様の取組が各自治体選管で行われるものと認識をいたしております。

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