国会質問

質問日:2020年 12月 3日  第203国会  憲法審査会

国民投票法改定許さず 衆院憲法審 赤嶺・本村氏が強調

 

 衆議院憲法審査会は3日、与党提出の改憲国民投票法案について前回に続き質疑と自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は質疑で、自民・公明両党が、与党案は公職選挙法改正で盛り込まれている7項目並びの措置だとして、早期採決を主張していることに対し、「『公選法並び』だからよいのかということ自体が問われている」と指摘しました。

 赤嶺氏は、現行の国民投票法が、地位利用を理由として国・地方公務員や大学教授、幼稚園の先生など教育に携わるものすべての国民投票運動を規制しており、「国民の自由な意見表明や運動を制限する」と批判。2007年の法制定当時、提出者が公選法を準用したと答弁していたことを挙げ、「公選法を倣ったことが欠陥を生んでいる」と強調しました。

 赤嶺氏は、こうした現行法の欠陥に正面から向き合うことが必要だと指摘し、「公選法並び」を理由に与党案のみ一方的に採決することは許されないと主張。立憲民主党の原口一博議員らの提出法案を並行して、慎重に審議するよう求めました。

 

 

 立憲民主党の本多平直議員は、与党案が公選法に合わせて期日前投票時間の弾力化を認めていることに対し、「憲法を改正する国民投票の時間を短くするというのは全く別な問題だ」と疑問を呈し、引き続き審議するよう求めました。自民、公明両党などは速やかな採決を繰り返しました。

 自由討議で日本共産党の本村伸子議員は、現行法に最低投票率の規定がないことについて、自民党議員からも1割台の国民の信認しかなくていいのかという疑問が出されていたことを挙げ、「少数の賛成で改憲案を押し通せることになりかねない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2020年12月4日)

 

質問の映像へのリンク

国民投票法改定許さず(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 前回に続いて質問をいたします。
 前回、私は、コマーシャル規制の問題や最低投票率の問題を挙げ、現行法の欠陥に向き合うことが重要だと指摘しました。逢沢議員は、原口・奥野案に対する考えを述べられましたが、最低投票率の問題については触れられませんでした。
 最低投票率の是非については、参議院の附帯決議で、速やかに検討することとされたにもかかわらず、十年以上にわたって放置されてきました。
 逢沢議員に伺いますが、憲法改正にかかわる問題については、主権者である国民意思を幅広く酌み尽くすことが不可欠です。現行法に最低投票率の規定がなく、有権者の一割台の賛成でも改憲案が通ってしまう仕組みになっていることは問題ではないかと思いますが、いかがですか。

○逢沢議員 赤嶺先生にお答えをいたします。
 国民投票法制定当時に最低投票率制度を導入すべき旨の意見が出されたということは承知をいたしております。
 当時の提案者でございました保岡興治先生からは、憲法九十六条が許容する以上の加重要件となる疑義があるということ、また、いわゆる選挙をボイコットするボイコット運動を誘発をする可能性があること、また、最低投票率を境に賛成と反対が逆転してしまうという、いわゆる民意のパラドックスが生じ得るということなどを理由に、最終的には最低投票率制度に関する規定は設けないこととなったと伺っております。
 また、申し上げますが、民主党案の提案者であった枝野幸男先生も、今申し上げた理由のほか、発議された憲法改正案の内容がいずれ専門的、技術的であることになる、その場合には必ずしも高い投票率が期待できないこともあり得るということを理由に挙げられて、与党提案者と同様に、最低投票率制度を設けるべきではないと主張されたと記憶をいたしております。
 また、例えば、山花会長代理は、御自身の発言、ブログでございますけれども、「投票率が低いという事実をもって、憲法によってつくられた権力である国会が、法律でその効力を否定することはできない」と述べておられ、最低投票率制度を設けることには否定的なお立場に立っていらっしゃると認識をさせていただいております。
 等々、したがいまして、最低投票率の規定がないから問題であるということは、提案者としては考えていないということを申し上げさせていただきます。

○赤嶺委員 提出者は、七項目案は公選法並びの措置だから速やかに成立させるべきだと言いますが、私は、先ほど本多委員の質問にもありましたように、公選法並びだからよいのかということ自体が問われなければならないと思います。
 例えば、現行法が、地位利用を理由に、公務員や教育者の国民投票運動を不当に制限している問題です。
 憲法改正の国民投票では、主権者である国民の自由な意見表明や活動を保障することが不可欠です。定義の曖昧な地位利用を理由に、国、地方の公務員や、大学教員から幼稚園の先生に至るまで教育に携わる者全ての国民投票運動を禁止することは、国民の意思を酌み尽くすことに反し、国民の自由な意見表明や運動を制限することにつながります。
 現行法制定当時、提出者は、この規定について、公選法を準用したと答弁をいたしました。
 私たちは、今の公選法のべからず体系や、公務員の政治的、市民的自由を不当に制限していることにも重大な問題があると考えていますが、国民投票法について言えば、公選法に倣ったことが欠陥を生んでいるのではありませんか。当時の審議でも、参考人や公述人から、憲法改正の国民投票法と公選法を一緒にして考えるのはおかしいという指摘が相次ぎました。
 私たちは、こうした問題こそ正面から向き合うことが必要だと指摘しているのであり、公選法並びを理由に与党案のみ一方的に採決することは認められません。原口・奥野案も含め、趣旨説明をして、並行して審議し、現行法の欠陥を慎重に時間をかけて議論することを求めて、きょうは質問を終わります。

すべて表示

このページをシェアする