昨年12月に米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)で有害物質PFOSを含む泡消火剤が漏出した事故をめぐり、日本共産党の赤嶺政賢議員は20日の衆院外務委員会で、当時の防衛省の説明と異なり、実際には基地外に漏出していたことを明らかにしました。
防衛省は昨年の事故当時、米軍から「施設・区域外への流出は確認されていない」との回答があったと説明。しかし、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が情報公開請求で入手した事故調査報告書の中に現地部隊が在日米軍司令部宛てに漏出事故を報告した文書があり、基地外への漏出の有無についてYESと記載していました。赤嶺氏が日本政府の説明と報告書の食い違いをただすと、防衛省の青木健至地方協力局次長は「米軍に確認する必要があるため具体的な記載内容への答えは控える」と述べました。赤嶺氏は「情報公開請求で入手できる報告書をいまだ手に入れていないということは恥だ」と政府の姿勢を批判しました。
赤嶺氏は4月に同基地から大量のPFOS含有泡消火剤が基地外に漏出した事故をあげ、昨年の事故で基地内への立ち入り調査が実現していれば、事故を防ぐことが出来たと指摘。日米両政府の責任は極めて重大だと批判しました。(しんぶん赤旗 2020年5月21日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。きょうは、どうぞよろしくお願いします。
初めに、四月十日に起こった、米軍普天間飛行場から有機弗素化合物PFOSを含む泡消火剤が漏出した事故について質問をいたします。
PFOSは、有毒で残留性が高い有機弗素化合物の一つで、わずかな量でもがんや低体重出産などの重大な健康被害を引き起こすと言われています。二〇一〇年以降、化審法で第一種特定化学物質に指定をされ、国内での製造、輸入、使用などが原則禁止をされています。
今回、普天間基地からPFOSを含む泡消火剤が大量に流れ出し、大きな白い泡の塊が住宅街にまで空中を舞いながら広がっていました。その泡は、帰宅しようとしていた保育園児たちの頭上にも降り注ぎ、普天間基地に隣接する第二さつき保育園では園児約百三十人が保育室内に避難をいたしました。浮遊する泡を見て、干していた洗濯物を慌てて取り込んだ住民もいます。宜野湾市の防災無線からは、泡には触れないでくださいという警報が鳴り響き、町は異様な光景になりました。
今度の事故で、消火設備から約二十二万七千リットル放出されております。その飛行場の外に漏れ出した量は約十四万三千八百三十リットル、これは、二百リットル入りのドラム缶に換算をしますと七百十九本にも及びます。基地内の泡消火剤は米軍によって回収をされていますが、基地の外に流れ出した泡のほとんどが未回収のままです。
まず問われなければならないのは、この事故を防ぐことはできなかったのかということであります。
この問題には経緯がありまして、沖縄県が二〇一六年に、嘉手納基地や普天間基地周辺の河川から高濃度のPFOSが検出されたことを明らかにして、当時から沖縄県は基地への立入調査とPFOSの早期交換を繰り返し求めてきました。
私も国会でこの問題をたびたび取り上げてきました。二〇一六年の予算委員会分科会でこの問題を取り上げたとき、当時の外務大臣、岸田外務大臣でありましたけれども、PFOSを含む泡消火剤の大部分はPFOSを含まないものと交換しており、今後も引き続き交換していく、このように答弁をされました。あれから四年が経過しています。
外務大臣に伺いますが、二〇一六年当時、交換するとしていたにもかかわらず、なぜPFOSの漏出事故が起きたんでしょうか。なぜ今も使われているんですか。
○茂木国務大臣 米側からは、在日米軍が保有しているPFOSを含有する泡消火剤について、これらを厳格に管理するとともに、二〇一六年以降は順次交換を進めている、また、訓練に当たっては、現在は水を利用し、当該消火剤は使用していないといった措置について説明を受けてきております。
同時に、これらの泡消火剤は、在日米軍施設・区域内のみならず、自衛隊や消防等の国の施設や、消火、予防の必要性がある民間施設にも偏在しており、PFOSを含有する製品に対する規制開始以前に製造された泡消火剤においては、現在もなお、消火設備に充填されたものや、廃棄に向けていまだ保管されているものが残っていると承知をいたしております。
このような中で、我が国は、米側に対し、在日米軍施設・区域内におけるPFOS含有消火剤の早期の交換を求めてきたところであります。今回の漏出事故発生に対しても遺憾の意を伝達するとともに、原因究明や再発防止の徹底と、立入りの実施も求めてまいりました。そして、立入りも行っております。
以上のとおり、PFOSを含有する泡消火剤への対応については、既に日米間で種々協議が行われているところでありますが、今般の漏出事故を受けて、在日米軍のPFOS含有消火剤の交換促進や再発防止策について、改めてしっかり議論を進めていきたいと思っております。
○赤嶺委員 この間の岸田外務大臣の答弁を聞いていますと、当時も、水道水の汚染にかかわってPFOSのことが問題になったわけです。順次PFOS以外のものに切りかえていくんだということが言われていたわけですが、沖縄県がこの問題を指摘したのは四年前ですね。しかし、直ちにPFOSの処理は行われなかった。そして、今回の漏出事故が起きた。
外務大臣、その米軍基地の漏出事故は、飲料水を汚染させていて大問題になっているんです。非常に責任は重大だと思いますが、どんな努力を米側に求め、米側は行ってきたのか。泡消火剤を、二〇一六年当時どれだけ保管し、その後どれだけ処理し、現時点でどれだけ残っているか、基地ごとに明らかにしていただけますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
米側からは、在日米軍が保有しているPFOSを含有する泡消火剤について、これらを厳格に管理するとともに、二〇一六年以降は順次交換を進めている、また、訓練に当たっては、現在水を利用し、当該消火剤は使用していないといった措置について説明を受けております。
これ以上の詳細につきましては、防衛省にお尋ねいただければ幸いに存じます。
○赤嶺委員 二〇一六年以降減らしている。厳格に管理をしている。そんなのが、今の現状で、このアメリカ側の説明、そのまま受け取れるんですか。厳格に管理していたら漏出事故なんか起きなかったはずですよ。いかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
米側からは、申し上げましたとおり、厳格な管理をするとともに、米側自身がこのPFOS含有消火剤の早期交換というものを進めてきているというふうに考えております。今般の事案もよく検討した上で、日米間で協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 アメリカがそう言っています、厳格に管理していますと言って、現実に県民は漏出事故に直面している。そのまま言葉どおりに受け取れるわけないじゃないですか。政府としてもっと責任ある対応が必要だと思いますがね。
今回が漏出事故は初めてじゃないんですよね。去年の十二月、同じ米軍普天間飛行場内の格納庫で、消火システムの誤作動により、PFOS含有泡消火剤が漏出をいたしました。
これは防衛省に伺いますが、当時、米軍から事故についてどのような説明があったんですか。基地の外への漏出があったのかなかったのか、その点はどのような説明がありましたか。
それから、外務省は先ほど防衛省に聞けと言っておりましたが、今米軍はどれだけ持っているかということも含めて、あわせて答弁していただけますか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、二〇一九年十二月五日の事件の件でございますけれども、米側からは、普天間飛行場の格納庫内において、消火システムの誤作動により泡消火剤が漏出したが、ほぼ全ての薬剤を施設・区域内で除去した、施設・区域外への流出は確認されておらず、環境への影響等の懸念はない、再発防止のため関係者への再教育を徹底したとの情報提供を受け、米側から、関係自治体に対し速やかにお知らせするとともに、米側に対し再発防止の徹底を強く求めたところでございます。
二つ目のお尋ねでございますけれども、現在、日米間におきましては、PFOS等に係る問題への対応について包括的な検討を行っているところであり、その検討の結果につきましては、今後、米側の了解も得た上で、必要に応じ、随時説明を行っていく考えです。
また、米側から、普天間飛行場で保有するものも含めまして、在日米軍が保有している泡消火剤について、二〇一六年以降は訓練を目的として使用しておらず、また、これらを厳格に管理するとともに、順次交換を進めている旨の説明を受けております。
その上で、自衛隊、消防などの我が国の施設や在日米軍施設・区域内において、PFOSを含む製品の製造禁止等の規制が始まる前に製造された泡消火剤は、現在もなお、火災などの緊急時に使用するため消火設備に充填されたものや、廃棄のため保管されているものが残っていると承知しております。
このため、防衛省としては、自衛隊が保有するPFOS含有泡消火剤の交換を加速するとともに、米側に対しても早期の交換を求めてきたところでございます。
その上で、PFOS等をめぐる問題につきましては、これまで何度も河野防衛大臣とエスパー米国防長官との間で議題とするなど、日米間で連携を一層強化して、在日米軍の対応を含め、包括的に検討を進めているところです。
○赤嶺委員 先ほどの、去年の事故についての今の防衛省の説明にかかわって、資料をお配りしてあります。二枚の資料ですが、一枚目を見ていただきたいと思います。
これは事故当時に防衛省が米側から聞き取った内容をまとめたものでありますが、今答弁もあったように、当時も防衛省は、施設・区域外への流出は確認されておらず、公共の安全や環境への影響の懸念はない、このように回答しております。
ところが、ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが情報公開請求で入手した調査報告書には、雨や風のため完全に回収することができなかったこと、幾らかの泡消火剤は吹き飛び、排水管に流れ込んだことが書かれております。
それだけではありません。この文書の中には、在日米軍宛て現地部隊が提出した漏出事故報告書が盛り込まれております。資料の二枚目ですが、そこに丸印をつけていますが、基地の外に漏出の有無を聞いた設問があり、そこにはイエス、つまり漏出したと書かれています。
この違い、一体どういうことなんでしょうか。基地の外への漏出があったことを米軍自身が認めているにもかかわらず、日本政府への説明はその反対になっているわけですね。何でそんなことになっているんですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十二月の御指摘の事案に関する調査報告書につきましては、引き続き米側に提供を求めているところでございます。
その上で、昨年十二月に発生した事案につきましては、先ほども申し上げましたが、米側からは、漏出したほぼ全ての泡消火剤は普天間飛行場内でも現地担当者により除去されており、環境への影響等の懸念もない旨の説明を受けております。
他方、今般、四月十日に発生しました同飛行場における大規模な流出事故との関連性を調査する観点から、御指摘の調査報告書について現在米側に提供を求めているところでございます。
防衛省といたしましては、今般のような流出事故が再び起こることがないよう、現在、PFOS等をめぐる問題全体に関して日米間で集中的に行っている検討の中で、在日米軍が保有する泡消火剤の交換や再発防止策等について議論をしているところです。こうした取組の一環といたしまして、今後の情報共有のあり方についても日米間でしっかり議論をしていく考えです。
また、お配りいただきました御指摘の文書についてでございますけれども、米側に確認する必要がありますので、具体的な記載内容についてはお答えを差し控えたいと思います。
○赤嶺委員 基地外に漏出したというアメリカ側の文書は、情報公開で入手した文書であります。報告書です。私たちは、去年はその事故が起こった直後に、参議院議員の伊波洋一議員が報告書を入手するべきだと当時から言っていたわけですよ。今度の事故が起こったから、それとの関連を調べる上で必要だから今から求めていくというのでは、余りにも遅きに失するというか、全くPFOSに対する真剣味が足りない。大体、こんな事故が起きた直後に、米軍は厳重に管理していますなんて公の場で言える話ですか。言いながら恥ずかしいと思いませんか、そういうことが。
それで、今、アメリカは真剣に議論していると言っておりましたが、アメリカ政府がタスクフォースを立ち上げている中で、国防総省は、交換に必要な予算も膨れ上がり、あと十八年要する、こういう報告書がアメリカ議会に提出されていると報道されているわけです。厳重に管理しても漏出事故が起きる。報告書は手に入れない。幾ら保管しているかわからない。だから、幾ら努力したかもわからない。この六年間、全く努力の跡さえ見えない、そういうような事態があると思います。
私は、今回の事故を通しても、報告書を提出させるということは絶対に不可欠であるということを申し上げておきたいと思います。六カ月たっても、情報公開で手に入れられる文書を日本政府が手に入れていないということは、大いに恥だということを自覚していただきたいと思います。
今回の事故では、地下貯水タンクから泡消火剤が漏出していたことが問題になっています。昨年の事故の際、立入調査が実施できていれば、タンクの状態を把握し、米軍に対策をとらせることをできたのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の昨年十二月の普天間基地における事案につきましては、米側から、消火システムの誤作動によりPFOSを含有する泡消火剤が漏出したものの、土壌への浸透も施設・区域外への流出も確認されておらず、環境への影響等の懸念はないといった情報提供がございました。この結果、環境補足協定で認められる立入りには至らなかった経緯がございます。
したがって、昨年十二月の御指摘の事案における漏出の状況は比較的軽微であったと考えられますところ、その後発生した今回の漏出事故との関係において、かかる事案の状況のもとで何ができたかといった仮定の質問に具体的にお答えすることは差し控えたいと思っております。
いずれにいたしましても、PFOSを含有する泡消火剤への対応については、既に日米間で種々協議が行われているところでございます。今般の漏出事件を受け、政府としては、立入り結果や米側調査チームによる報告等をもとに、事実関係を究明し、再発防止策についてしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 外務省も問題のありかをつかんでいないと思いますよ。
要するに、現地米軍は、外への漏出があったといって米軍の司令部に報告して、情報公開で入手したものに、基地の外に漏れたかどうか、それはイエス、あったと。今、外務省は、それは軽微だったから環境補足協定の対象にならなかっただろうといって要らぬ答弁までつけ加えておりますが、事実が報告されていなかったことが重大問題なんですよ。基地の外に漏れたか漏れていなかったか。
ところが、分量が少なかったから、だからしなかったんだろうというのは、余りにも、基地の中の環境問題に対する取組が非常に弱い、米軍に対して物言おうという、そういう姿勢がないということを今の答弁を聞いて感じました。
防衛省は、今回の事故の対応について聞きますが、四月十日の十六時四十分ごろに基地の外に泡消火剤が漏出し、そのことを十七時四十分ごろに米側から連絡を受けた、このようにしています。しかし、地元紙の報道では、既に十七時ごろ、普天間飛行場に隣接する第二さつき園の園児が飛んでいる泡に気づいております。私は、住宅地に飛散する前に、もっと早く連絡されるべきだったと考えます。
今回の地元自治体への通報に要した時間、もう通報されるころには町じゅう大騒ぎになっている。そういうようなことでの通報のあり方について、防衛省、どんな認識ですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
本件につきましては、四月十日に米側から、米海兵隊普天間飛行場の格納庫内の消火システムが作動し、PFOSを含む泡消火剤が放出された、速やかに泡消火剤の回収に当たっていたところ、一部が飛行場外に流出した等の情報を受けまして、防衛省として、関係自治体に対して直ちにお知らせするとともに、職員を現地に派遣するなど、対応に当たったところです。
具体的には、十日十七時四十分ごろに米側から一報を受け、事実関係について米側に確認後、十八時二十分ごろに関係自治体へ情報提供を行っており、可能な限り速やかに対応したというふうに考えております。
防衛省としては、今般のような事案が発生した場合、可能な限り正確かつ具体的な情報について速やかに地元自治体等にお知らせすることが重要と考えており、引き続き、こうした情報共有を行うことができるよう努めてまいりたいと思います。
○赤嶺委員 まるで適切であったという認識ですが、もう保育園の周りに泡がどんどんどんどん基地の中から飛んできている、それよりもずっと後に、何が起こったか市民が心配しているずっと後に防衛省が対応した、これは適切であると。こんな話はないと思いますよ。
去年の事故の調査報告書を見ると、火災警報システムがどのように機能したか、これが書かれております。大変興味深い内容であります。それによりますと、火災報知器が作動すると、信号がすぐにキャンプ・バトラーに送られ、そこから警報が普天間基地のEFRという消防救助隊に転送される、そのようなシステムになっているようです。
このときは、事故の約十五分後には、普天間基地の消防部隊は、キャンプ・バトラーから連絡を受け、そして現場に到着しております。キャンプ・バトラーというのは、沖縄県内の海兵隊基地を統括する組織であります。要するに、火災があった場合には、直ちにそこに情報が集約され、そこから各地の消防部隊に警報が出される仕組みになっています。
この事故を見れば、当然、こういう仕組みであれば、十五分後には日本側にも通報できるということではありませんか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたが、米側からは十七時四十分ごろに、十六時四十分ごろに発生した本件事故についての一報があったところでございます。
日本側への一報までの間、この間、米側が普天間飛行場内において泡消火剤の回収に全力を尽くしていたという事情があるというふうに認識しております。
いずれにいたしましても、更に迅速かつ正確な情報提供を実現すべく、日米間で一層緊密に連携をしてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 米側は基地の中で一生懸命対策をとっていたと。基地の外では、基地から飛んできた泡消火剤、流れ出てきた泡消火剤、PFOSを含む消火剤によって大騒ぎになっている。日本の当局は誰も、何が起こっているかわからない。そういうようなことで、適切な対応であったということは絶対言えない。
今、もっと迅速な情報提供をとおっしゃいましたけれども、これは、米軍間では短時間の間に情報共有ができているわけですから、本当に、迅速な情報共有、これを求める努力をしていただきたいと思います。
それで、基地の外に漏出した泡の回収作業について聞きますが、回収作業には、事故を起こした米軍ではなく、防衛局から協力要請を受けた宜野湾市消防が当たりました。
外務省に伺いますが、米軍基地から漏出した、流れ出した泡消火剤、これは誰が回収すべきだと考えますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
本件事故の発生に際して、米側は、飛行場外へのさらなる流出防止のための措置を飛行場内でまずは実施し、その上で、宜野湾市が飛行場外で回収したPFOS含有泡消火剤を引き取って飛行場内に保管するなど、防衛省、宜野湾市と連携して回収作業を実施したものと承知しております。
本件事故につきましては、米側においても調査チームが事故原因を調査しているところでございます。
政府としては、米側と連携して、立入り結果や米側の調査チームによる報告等を踏まえて、まずは原因究明にしっかりと取り組むとともに、事実関係を明確にしたいと考えております。
○赤嶺委員 今の答弁もひどいですね。
米軍は、さらなる基地の外への漏出を防ぐために基地の中で一生懸命やっていた。基地の外に流れ出ていく泡消火剤は、全く責任を持つものもないわけですよ。しかも、基地の中では、米兵は事故処理に当たって防護服を着て、厳重な警戒態勢をとりながら泡消火剤の処理に当たっていたわけです。
防衛局は宜野湾消防に依頼をしたようですが、宜野湾消防は、何か防護服とか、そういう泡消火剤の対策をきちんととって処理に当たっていたんですか。きょうは消防庁がお見えだと思いますが、いかがですか。
○鈴木(康)政府参考人 お答え申し上げます。
本年四月十日に発生いたしましたPFOS含有泡消火剤の漏出事故につきましては、地元の宜野湾市消防本部におきまして、防火服、N95マスク、ゴーグル及びゴム手袋などを着装いたしまして活動したと聞いております。
○赤嶺委員 米側はどんな防護体制をとっていたかおわかりですか。
○茂木国務大臣 事実関係ですから、多分、今手元にないということは通告いただいていないんだと思いますので、調べて御連絡を差し上げます。
○赤嶺委員 通告があったかどうかについてはきょうはちょっと控えて、もう今は時間がありませんので次の質問に移りますが、無防備に等しい状態で、宜野湾消防署は、流れ出てくる泡消火剤を抑え切れずに、途中で吸水も処理もできなくて、そのまま流れ放題だったと。
大体、米軍が、自分たちはさらなる流出を防ぐために基地の中で一生懸命やっていましたと。基地の外で何が起こっているか米軍もわからない、外務省、防衛省も誰が責任あるかを説明できない、こんな状態で、厳重に管理されているはずのPFOSが常に住宅地帯を襲っているという問題であります。
それで、基地内立入りの調査の問題について最後にちょっと聞きたいんですが、沖縄県は当時から基地内の水と土壌のサンプリングを求めていました。ところが、最初の立入りは、立入りを要求していた沖縄県を除いた国だけで立ち入り、次の立入りで水の採取は認められたものの、土壌の採取は認められませんでした。
外務省、アメリカ側が土壌の採取を拒否した理由、これを教えてください。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
今般の泡消火剤漏出事故につきましては米側も深刻に受けとめておりまして、日本側による環境補足協定に基づく立入り要請に対して、過去に先例のない形でこれを受け入れまして、更に沖縄県庁、宜野湾市関係者の調査参加も受け入れるなど、全体として見れば、米側は日本側の要請に対して真摯な対応をとってきたと認識しております。
その上で、御指摘のサンプリングの件につきましては、米側からは、漏出したPFOSを含有する泡消火剤の流出経路が全てコンクリートに覆われていたことを踏まえて、排水溝沿いの土壌には浸透していないというふうに当初しつつ、サンプリングの必要性に対して疑問が呈されたことは事実でございます。しかし、その後、米側は日本側の主張を尊重し、御指摘の土壌のサンプリングを含めまして、計五回の立入りが実現しております。
このように、環境補足協定第四条に基づく今回の普天間飛行場内への一連の立入りに当たっては、汚染状況の確認や米側による汚染除去措置の効果を確かめる観点から、現時点で分析に必要と考えられる全ての土壌と水のサンプリングが実施された次第でございます。
○赤嶺委員 サンプリングを認められたと言っていますが、米側は、土壌の調査にPFOSとPFOA以外はだめだよ、ほかの有機弗素化合物についての調査は認めないという限定をつけているんですね。しかし沖縄県は、その他の有機弗素化合物も調査したい、これはもう国際的に問題になっているからだと。
結局、今度の基地の立入りについても、環境補足協定に基づいて、異例なことだと言いますが、当たり前のことにしないといけないですよ。米側の同意がなければ基地の立入りも調査も沖縄側、日本側が思うようにできないというのであれば、やはり、日米地位協定の枠内にある環境補足協定は見直しをしなければ環境問題、環境汚染問題は解決できないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。