国会質問

質問日:2020年 5月 15日  第201国会  外務委員会

米軍駐留経費 外務省 米側負担知らず 赤嶺議員「交渉の前提欠く」

 

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は15日の衆院外務委員会で、在日米軍駐留経費について政府をただしました。

 駐留経費の日本側負担(「思いやり予算」)に関する特別協定の締結交渉が今秋にも始まるとされていますが、米側の負担額は2011年度から公表されていません。赤嶺氏は「日米間の負担割合を把握しないまま在日米軍駐留経費の新たな特別協定の交渉に臨むのか」とただしました。

 これに関して外務省の鈴木量博(かずひろ)北米局長は「11年度以降は米側から情報が提供されなくなり外務省として情報提供することは困難になった」と述べ、把握していないことを認めました。その上で「どんな情報に基づいて交渉するのかと米側がどんな情報を公開するかは別問題だ」と開き直りました。赤嶺氏は「交渉の前提を欠くと言わざるを得ない」と批判。新型コロナウイルスで国民生活が深刻な状況にある中で「思いやり予算」を増額するなどあってはならないと強調しました。

 また、赤嶺氏は在日米軍駐留経費の総額や内訳に関する資料が毎年提出されていたのに、今年度から「提出不可」となった問題を追及しました。鈴木氏は「外務省の予算は計上されていないため取りまとめ作業を行わなかった」と説明。赤嶺氏は、駐留経費に関して米側と交渉するのは外務省だとして「取りまとめは外務省の所管事項だ」と批判し、提出を強く要求しました。(しんぶん赤旗 2020年5月17日)

質問の映像へのリンク

米軍思いやり予算で政府を追及(衆院外務委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。どうぞよろしくお願いします。
 初めに、租税条約について質問をいたします。
 今回の六つの租税条約では、これまでの条約と同様に、株式から生じる配当、信用に係る債権から生じる利子、著作権や特許権などの使用料について、源泉地国での課税を当該国の法令に従って軽減又は免除する措置が定められております。例えばウズベキスタンとの条約の場合、日本の親会社がウズベキスタンにある子会社から受ける配当を見ると、現行一五%の課税が行われていたものが、条約の改定後は五%に軽減されることになります。
 財務省に伺いますが、日本では親会社が外国子会社から受け取る配当には益金不算入制度が適用される場合があります。この制度の概要を簡潔に説明していただけますか。

○安居政府参考人 お答えいたします。
 外国子会社配当益金不算入制度でございますけれども、この制度は内国法人が外国子会社から受け取る配当に対しまして国際的な二重課税を排除するための方式として国際的に広く採用されているものでございまして、我が国でも、企業の配当政策の決定に対する税制の中立性等の観点から、平成二十一年度税制改正において導入されたものでございます。
 制度の中身を申し上げますと、原則といたしまして、内国法人の持ち株割合が二五%以上かつ保有期間が六カ月以上の外国子会社から受け取る配当につきまして、その配当額の九五%相当額を、当該内国法人の課税所得の計算上、益金不算入とする制度でございます。

○赤嶺委員 要するに、今の説明ですけれども、持ち株割合が二五%以上の外国子会社からの配当である場合は、日本の親会社には受け取った九五%の配当に税金がかからないということであります。これでは、日本の大企業とその海外子会社は、当該国での外資優遇税制の利益を十二分に受けつつ、かつ租税条約によって源泉地国での課税が劇的に軽くなり、税制優遇を二重三重に享受することになります。
 日本貿易会などでつくる国際課税連絡協議会、これが昨年九月に政府に出した要望では、租税条約の締結促進とともに、外国子会社配当益金不算入の対象を現行の九五%から一〇〇%に拡大するよう求めております。持ち株割合についても、現行二五%以上の要件を二〇%に引き下げるよう要求しております。
 今回の条約では、既にペルーやジャマイカで二〇%、ウルグアイで一〇%の保有割合となっています。これを見ても、今回の租税条約というものは、財界の要求に応え、国際課税分野での大企業優遇税制を国内外で一層拡大強化するものであることは明らかであり、私たちとしては容認できません。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 在日米軍駐留経費について伺います。
 資料を配付していただきました。
 私ども日本共産党は、毎年、予算委員会のたびに、予算委員会の要求資料の中で、在日米軍駐留経費の総額や内訳の資料を外務省から御提出いただいております。
 一枚目、この一枚目は昨年二月に提出されたものですが、1で「総額および各省庁分の内訳」として、防衛省や他省庁の計上額、土地の借料の試算額、これらを合わせた総計が書かれております。二〇一八年度は総計五千八百二十一億円となっています。ここには書かれておりませんが、それ以外にSACO関連経費や米軍再編関係経費を合わせたら、在日米軍関係経費では八千二十二億円に上ります。
 ところが、今回から、同じ資料が提出されておりません。二枚目を見ていただきたいと思いますが、「一 在日米軍駐留経費」のところは、「提出不可」、このようになっているんですね。
 外務省に伺いますが、これまで毎年提出されてきた資料が、なぜ突然提出不可になったんですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の在日米軍駐留経費に関する資料につきましては、この在日米軍駐留経費負担の中におきまして、日本側が負担している経費は全て防衛省を始めとする関係各省におきまして個別の予算要求を行っており、外務省の予算要求としては一切計上されていないところ、本年度、外務省としては取りまとめの作業を行わなかった次第でございます。
 いずれにしましても、本件は、従来、外務省が便宜的に取りまとめを行ってきたものでございますが、今申し上げましたとおり、外務省の予算が一切含まれていないこと、また同時に、防衛省におきましてホームページ等で同様の予算額が公表されていること、こうしたことを踏まえまして、外務省として同じ取りまとめ作業を行う必要はないと判断した次第でございます。
 以上です。

○赤嶺委員 余りにも身勝手過ぎる話じゃないですか。
 在日米軍の駐留経費というのは、外務省の所管事項そのものですよね。日本側の負担状況をベースにして、外務省が五年ごとにアメリカ政府と交渉しているわけですよ。だから、各省庁に計上された予算額を、防衛省だけじゃないですよ、それを取りまとめて国会に提出するのに最もふさわしい省庁は、これは外務省じゃないですか。ふだんから、日米同盟だ、日米同盟だ、このように繰り返しているわけですから。だから、これまでは取りまとめて提出してきたわけであります。
 なぜ、自分が負担していないから、こんな身勝手な理由で提出しないことにしたんですか。誰の判断ですか、こんなの。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘いただきましたとおり、我が国は、昭和六十二年度以降、日米安保体制に不可欠な在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するために、その時々の日米両国を取り巻く諸情勢に鑑み、日米地位協定により米側に負担義務がある経費の一部につきまして、同協定の特則である特別協定を締結し、負担してきております。この部分につきまして、外務省が、特別協定でございますので、所管官庁であることは言うまでもございません。
 他方におきまして、予算上の資料ということで提出されている資料でございましたので、外務省の予算は一切含まれていないこと、また同時に、在日米軍駐留経費日本側負担において大宗を占めます防衛省におかれて、ホームページ等で同様の予算額が公表されていることから、同じ取りまとめ作業を行う必要はないというふうに判断した次第でございます。

○赤嶺委員 だから身勝手というんですよ。
 防衛省だけじゃないでしょう、在日米軍駐留経費を担当しているのは。どこかが取りまとめなければいけない。その取りまとめる役割というのは外務省じゃないですか。こんな基本的な資料さえ提出されなくなるということは、あってはならないと思います。この場で、総額と各省庁分の内訳、明らかにしていただけますか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 令和二年度予算におきまして、在日米軍駐留経費負担として計上されております額は千九百九十三億円と承知しております。また、在日米軍駐留経費に係る関係の予算は、各省においてそれぞれ計上しているところでございますが、防衛省が公表している資料によりますれば、二〇一九年度について、防衛省分が三千八百八十八億円、防衛省以外の関係他省庁分として、基地交付金等が四百十一億円、提供普通財産借り上げ試算が千六百四十一億円であり、これらの総額は五千九百四十億円であるというふうに承知しております。

○赤嶺委員 聞かれたら答えられるじゃないですか。まとめているんじゃないですか。
 大体、日米同盟に関する、皆さんが誇りとしている日米同盟に関する予算でしょう。それを、各省庁にまたがっているから、それを取りまとめるのは外務省だと、誰が見たって思うんじゃないですか。外務省に無理な仕事を押しつけているわけじゃないですよ。
 公文書は、主権者国民の共有の財産、民主主義の根幹を支えるものだという認識が、やはり欠落していると思います。駐留経費について、国民自身が考え、そして判断するための基礎資料です。これを見て、私のように反対と言う人もいるでしょう。これを見て、適切に日米同盟に貢献していると言う人もいるでしょう。そういう資料というのは、提出するのが当たり前ですよね。
 外務大臣に伺いますが、大臣の指示で、これまでの対応を改めさせて、従来どおり資料が提出されるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○茂木国務大臣 従来も、この資料を拝見しますと、衆議院の予算委員会に、要求を受けまして、こういった資料を提出しているということになっていると思います。
 委員会の方で御議論いただきまして、必要な資料等々がありまして、出せるものがありましたら提出させていただきます。

○赤嶺委員 衆議院の予算委員会に提出資料として求めることは一番大事なことでしょう。予算委員会で日米間の駐留経費のあり方を議論するものですからね。これは、予算委員会、委員会において決めるものではないと思います。外務省が従来どおり提出するということを、やはり大臣の方から指示していただきたいと思います。恥ずかしいですよ。こんなふうに資料を人に見せないようなやり方をとるのは、余りにもこそくであります。
 これだけじゃないんですよ。アメリカ側の負担額、これも問題であります。
 一枚目の資料を見ていただきたいんですが、アメリカ側の負担額は、「二〇一〇年度は約五十三億ドル、」このように書かれています。「二〇一一年度以降については現時点では不明。」このようになっているんですね。
 何で、米軍の負担、不明なんですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一一年度までは、米側から、米側が試算し公表してきた在日米軍駐留経費に係る米側負担額の情報提供がございました。外務省としては、この情報提供に基づき米側負担額を提出してきた次第でございます。その後、二〇一一年度以降は、米側から日本側に対しこのような情報が提供されなくなりましたことから、予算委員会の資料要求に対し、外務省として情報提供することが困難となった次第でございます。

○赤嶺委員 日本政府は、アメリカ側の負担額がどれだけなのかを知らないということで、米側の負担額がどれだけなのか、それも認識しないで、日米間の負担割合がどうなっているのかを把握しないまま、新たな特別協定の交渉に臨もうとしているということですか。そういうことですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 いかなる情報に基づいて交渉するのかという点と、米側がいかなる情報を対外公表するのかというのは別問題と考えておりますが、いずれにせよ、次期交渉を行う際には、厳しさを増す安全保障環境、我が国の厳しい財政状況等を踏まえて適切に対応していくこととなると考えております。

○赤嶺委員 日本における米軍の駐留経費の米軍負担分がわからない、国民はわからないけれども、今の北米局長の言いぶりだと、いかなる資料を公表するかどうかはアメリカにかかっているという話ですが、外務省は知っているわけですね、アメリカの負担分。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカが公表している数値としましては、二〇〇四年版米国防省の報告書、共同防衛に対する同盟国の貢献に対する統計概要というものがございまして、この中で、米軍駐留経費の日本負担割合として七四・五%というのが計上されていると承知しております。

○赤嶺委員 これから皆さん、特別協定の交渉を始めようというわけですよね。私たちは反対ですけれどもね。交渉の前提を欠いていると思います。
 政府はいつも、駐留経費は適切に分担されている、このような説明を聞かされてまいりました。ところが、米軍駐留経費について、相手側の負担額も知らないのに、なぜ、日本側の負担は適切に分担されている、こんなふうに言えるんですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほども申し上げましたとおり、いかなる情報に基づいて日米間で交渉するのかという点と、米側がいかなる情報を対外公表するのかというのは別次元の問題だというふうに考えている次第でございます。

○赤嶺委員 あなた方は交渉当局です。日本側が地位協定に基づく負担、それから思いやり予算に基づく負担、それに加えて米側が負担しなければいけない予算の総額、それによって在日米軍基地がどんなふうに強化され、国民にどんな被害を与えているのかというのは日々チェックしなきゃいけないと思います。そして、それが適切だと一方で言うわけですよ。
 私は、こんな国民に説明しないやり方で、しかも、アメリカが説明しなければ、アメリカが説明しないと言っていますよとこんな資料を出して、これからの交渉、大丈夫なんですか。私は、今の態度は交渉以前の問題だと思います。これも、外務大臣、直ちにアメリカ側に負担額を明らかにさせるべきだと思いますが、いかがですか。

○茂木国務大臣 恐縮なんですが、先生とかなりアプローチ、私は交渉については違うと思います。
 まず、日米安全保障体制のもとでの米軍の日本への駐留、これは当然、日本の平和、安全に資するものでありまして、また地域の安定に資するものであります。赤嶺先生のように、どういう害を出すのか、こういう発想でやる交渉ではありません。
 どういった形で日本の国民の安心、安全を守っていくか、そのためにはどのような機能が必要であるか。そして、それは全て米軍がやるわけではありません。日本の自衛隊もやるわけでありまして、どういった役割分担をしていくか、また、米軍の経費についてもどう役割分担をしていくか、こういうアプローチの中で解決されるべきものだ、こんなふうに思っております。

○赤嶺委員 私、今、茂木大臣と私の立場の違い、アプローチの違いを問題にしているわけではないんですよ。
 とにかく、在日米軍基地の負担割合について、米軍がどれだけ負担しているか。過去にはちゃんと報告も出していた。ところが、今は出さなくなっている。これで適切な負担割合という説明の根拠、出てこないじゃないですか。一方的に負担させられているということになるかもしれませんよ。
 それから、やはり茂木大臣は、ここは余りきょうは議論しませんが、それによって国民がどんな被害を受けているかということも念頭に置いていただきたいと思いますが、私はきょうはこれを問題にしているんじゃありません。こういう……(茂木国務大臣「私はそういうふうに言っていないですよ。逆ですよ。先生のことを言ったんですよ」と呼ぶ)いや、だから、私はそういうことを今問題にしているんじゃないんですよ。
 ただ、アメリカ側の負担割合、日本側の負担割合という場合に、アメリカが在日米軍基地でどれだけ負担しているかというのを数字でわからないと適切な負担割合って説明できないんじゃないですか、茂木大臣。

○茂木国務大臣 結果的にはそういうところに持っていくんですが、まず、日本を取り巻く安全保障環境、これが変化をしてきております。
 どのような脅威があるのか、こういったことをきちんと見きわめる。さらには、安全保障の対象というものが、従来型のものからサイバー、宇宙、新たな領域に広がって、その脅威が拡大している。こういった環境認識を持った上で、どういった防衛力を持つ必要があるんだろうか、こういう議論から入らなかったら、ただ単に、幾ら持ちますという話ではないんです、そこは。その上で議論をして、最終的にはそれぞれがどう役割をするか、そのためにはどれだけの費用がかかって、その費用分担をどうするか、こういうアプローチをしなければ、正しい姿には私はならないと思います。

○赤嶺委員 ちょっともう時間がないのであれですが、ただ、トランプ大統領はことしの特別協定の予算について日本に大きな期待を抱いていて、シンゾウはよく自分の言うことを聞いてくれるという絶賛の中で、やはりどんなふうになっていくのか。宇宙、サイバーの話じゃないですよ、在日米軍基地の話ですよ。ここでの米側の負担についてもきちんと明らかにするよう求めたいと思います。
 それから、やはりコロナのこういう時期に思いやり予算をふやすようなことがあってはならない、このように思います。
 緊急に、沖縄県の伊江村で伊江島補助飛行場の問題が起こっております。
 きのうきょうの地元紙の報道で、米軍が伊江島補助飛行場内で滑走路や離着陸帯の改修工事を進めていることがわかりました。
 防衛省、工事の概要を明らかにしていただけますか。

○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の工事につきましては、米軍から、既存の滑走路及び附帯施設の損傷、劣化が著しいため、本年二月下旬から六月下旬にかけまして補修工事を実施する旨の連絡を受けております。

○赤嶺委員 いやにあっさりした説明ですけれども。
 報道によると、改修工事について、伊江村には沖縄防衛局から情報提供があったものの、沖縄県にはなかったとされています。むしろ、滑走路補修工事周辺に赤土が積まれていて、それが流出したら伊江島の海が汚されてしまうという不安が議会に伝えられ、議会の側から視察しに行こうということで、米側が議会やそういうものを認めたということになっているそうですが、ただ、防衛局は何で沖縄県にはそういう情報提供をしなかったんですか。

○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の工事は、既存の施設の安全性を確保するための補修工事と認識しておりますけれども、施設・区域外の粉じんや騒音の可能性を考慮いたしまして、伊江村へ二月二十一日に情報提供いたしました。また、沖縄県につきましても、五月十二日、問合せに対して工事概要の説明を行っております。
 今回、沖縄県より情報提供を求められたことも鑑みまして、米軍による工事について得られた情報につきましては、今後、沖縄県に対しましても幅広く提供していきたいというふうに考えております。

○赤嶺委員 時間が来ましたけれども、終わりますけれども、今の伊江島での工事が更に伊江島の訓練を激化させていく、そういうことにもつながるし、情報提供がきちんとやられていないということは大いに問題だと思います。引き続き、問題提起していきたいと思います。
 終わります。

すべて表示

参考資料

衆議院予算委員会要求資料

このページをシェアする