エッセイ

水曜随想 自民からも共感の拍手

 

 先週は憲法審査会と安保委員会の質問が続いた。憲法審査会では、「韓国に拠点を置く反国民的な謀略団体、統一協会と自民党が一緒になって改憲を進めるなど到底許されない」「憲法を議論する前提そのものが問われている」と厳しく指摘した。

 安保委員会では、中国脅威論の大合唱だ。「台湾有事」に備えて継戦能力を高めるべきだとか、地下シェルターの準備を急げとか、なかには核シェルターも用意すべきだとの主張もとびだす。発言は勇ましいが、戦争を知らないから言えるのだ。軍事的脅威をあおるのではなく、平和外交の重要性をもっと大きな世論にしなければいけない。そんなことを考えながら、彼らの発言を聞いていた。

 私がとりあげたのは、米海兵隊オスプレイの低空飛行訓練に関する日米合意だ。

 防衛省は9月26日の日米合同委員会で、米軍普天間基地所属のMV22オスプレイが、日本の航空法が定める最低安全高度150メートル以下の90メートルで低空飛行訓練を行うことを容認する合意を取り交わした。航空法の安全基準は守らなくていいと政府がお墨付きを与えてしまったのが今回の合意だ。住民の不安と怒りはいまや全国各地にひろがっている。住民の犠牲のうえに、日米の軍事力の強化がすすめられてよいはずがない。防衛大臣の答弁も苦しそうだった。

 質問が終わった直後、自民党席からも拍手が起こった。そんなこともあるもんだと不思議に思いながら、自席に戻ろうとすると、「キャンプ富士も大変だよ。よく言ってくれた」とか、「横田も大変だよ。またとりあげてくれ」と私を呼び止める。2人とも国会では有名な安保族の議員だ。「私ばかりに取り上げさせないで、自民党もやればいいんだよ」と返すと、「それができないから、共感の強い拍手をした」と真顔で言う。

 日米安保体制の強化は、自民党の国会議員でさえ頭をかかえざるを得ない矛盾が生まれている。国民のたたかいは絶対にやむことはない。(しんぶん赤旗 2022年11月2日)

 

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