エッセイ

水曜随想 脅威あおる策動に痛打

 

 9月11日投開票で行われた沖縄県知事選挙は、玉城デニーさんが、自公推薦の佐喜真淳候補を圧倒的大差で破った。

 各メディアは、投票箱のふたが閉まった午後8時ちょうどに 「玉城デニー当確」を伝えた。同時に行われた県議補選でも「オール沖縄」の候補が勝利した。統一地方選挙の開票は夜遅くまで続いたが、14自治体18名全員が党議席を守った。

 デニーさんは、「どのような民意が示されたか」と記者団に聞かれ、「間違いなく辺野古新基地建設は大きな争点だった。翁長雄志前知事、私の前回知事選、県民投票で7割以上が反対。私の再選は、この県民の思いが1ミリもぶれていないという結果と受け止めている」と答えた。

 選挙後の9月22日、辺野古ゲート前の座り込みは3000日を迎えた。参加者は、機動隊に取り囲まれながらも、「民意は出たぞ」「違法工事やめろ」と元気よく声をそろえて抗議活動を展開した。

 ちなみにその日、ヘリ基地反対協の浜のテントの座り込みは6836日になっていた。その8年前から辺野古のオジーオバーたちの座り込みが続いていたから、このたたかいはもうすぐ10000日を迎える。

 県知事選挙の結果を受けた日経新聞の社説が興味深かった。「7月の参院選に続き、安全保障への関心の高まりが追い風になるとの政府・与党の期待は空振りに終わった」と、政府の沖縄戦略の失敗を指摘した。さらに「台湾有事の最前線になりかねない沖縄が示した民意を、政府は今後の安全保障論議で重く受け止めなければなるまい」「台湾や尖閣諸島の近海の緊張を肌で感じる沖縄県民にとって、危機回避への思いは外交重視を唱える現職を支持する方向に働いたようだ。台湾に近く自民党支持層が比較的厚い石垣市や宮古島市でも、玉城氏が与党の推薦候補を上回ったのはその表れだろう」と、選挙結果の意味を正確に分析している。脅威をあおりつづけた日本政府の軍拡政策、憲法改悪の策動にも痛打をあびせた選挙だった。(しんぶん赤旗 2022年9月28日)

 

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