エッセイ

赤旗水曜随想 菅新政権と沖縄の矛盾

 

 菅政権が発足した。マスコミは、たたき上げの苦労人政治家と持ち上げる。菅氏の虚像を無批判にばらまいているメディアに、率直に言ってがっかりさせられている。

 彼は官房長官時代、沖縄基地負担軽減担当大臣を兼務していた。辺野古ゲート前の抗議行動や東村高江のオスプレイ着陸帯建設に反対する住民運動を弾圧するために、全国から機動隊を動員する陣頭指揮を取ってきた。新基地を建設しなければ普天間飛行場の返還はありえないと県民にすごんできた。

 政府の言う「基地負担軽減」は「新基地建設」と不離一体。国策に抗議の声を上げるなら、国家権力の暴力で抑え込む。菅氏が沖縄基地負担軽減の任についたとき、地元紙は「悪い冗談」と書いた。彼ほど沖縄県民から嫌われた政治家はいない。

 翁長前知事が菅官房長官と会談した際、戦後沖縄の苦難の歴史と米軍占領下の国際法違反の基地形成過程を語り、辺野古新基地はつくるなと強く迫った。菅氏は「私は戦後生まれだから沖縄の戦後の歴史は知らない。大事なことは日米間で合意した辺野古唯一を実現すること」と居直った。

 菅氏の強権姿勢に翁長知事は「米軍の軍政下の最高権力者、キャラウェイ高等弁務官は『沖縄の自治は神話である』と言った。菅官房長官の姿勢はキャラウェイ高等弁務官の姿と重なる」と厳しく批判した。菅氏は反論不能となり、すごすごと沖縄を引きあげた。

 2018年10月9日に翁長知事の県民葬が行われたとき、安倍首相の追悼文を代読したのが菅官房長官だった。菅官房長官が「県民に寄り添い」と言った瞬間、会場から「うそつき」と怒声がとんだ。怒声はたちまち会場全体に広がった。そして「帰れ、帰れ」の唱和。抑えようとしても抑え切れない安倍政治と菅官房長官へのたまっていた怒りのマグマがふきだした。

 政府が提出した辺野古・大浦湾の軟弱地盤の設計変更申請を不許可にしようと提出された意見書はすでに約6000通に達した。菅新政権と沖縄県民の矛盾は、安倍政権以上に激化していかざるをえない。(しんぶん赤旗 2020年9月30日)

 

(しんぶん赤旗 2018年10月10日)

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