エッセイ

水曜随想  自共対決際だつ論戦

 

 国会図書館のまわりの桜が満開だといって話題になっていたのは先週のこと。もう葉桜に変わりつつある。今年もついに花見に行けなかった。与党が多数になり、会期中にはさばけない数の法案が提出され、審議も短時間だ。民主党の議員の中からは、「懸案事項が次々成立している。自民党はたいしたものだ」と、感嘆の発言がとびだす。

 

 安保委員会は自共対決が際立つ論戦の場だ。一つは、「武器輸出三原則の廃止」。呼び方も「防衛装備移転三原則」に変わり、武器輸出を従来の禁止から解禁・推進へと百八十度転換した。

 

 憲法にもとづく「平和国家」に対する安倍首相の重大な挑戦だと厳しい追及を続けた。新しい防衛大綱・中斯防に「水陸機動団」の新編が盛り込まれた。別名「日本版海兵隊」の編成だ。佐世保市にまず拠点をつくり、宮古島市や石垣市にも配備をねらう。軍事的緊張をあおる日本に、近隣諸国や米国の警戒心は高まるばかりだ。

 

 安倍首相は、集団的自衛権行使容認の根拠として、1959年の砂川事件の最高裁判決をもちだした。これは、在日米軍が憲法9条2項のいう「戦力」にあたるかどうかを判断したもので、日本独自の自衛力の保持については判断していない。しかも米軍駐留は憲法違反とした第一審判決(伊達判決)を、米国大使と田中最高裁長官が覆した経過がある。米国の介入でゆがめられた屈辱的な判決を根拠にして恥ずかしくないのか。憲法学者からも厳しい批判の声があがっている。

 

 4月7日の朝日新聞の世論調査が面白い。「集団的自衛権について行使できるようにする29%、行使できない立場を維持する63%」、「憲法9条を変える方がよい29%、変えない方がよい64%」、「武器輸出の拡大に賛成17%、反対77%」などなど。安倍内閣に対する国民の危機感の反映だ。国会での安倍内閣との論戦は苦労も多い。一方で国民の変化に励まされている毎日でもある。(しんぶん赤旗 2014年4月9日)

 

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