国会質問

質問日:2016年 10月 3日  第192国会  予算委員会

沖縄・高江のオスプレイパッド 環境より対米公約優先 赤嶺議員「条件つけず直ちに返還を」

 日本共産党の赤嶺政賢議員は10月3日の衆院予算委員会で、自然環境への影響を無視し、対米公約最優先で沖縄県東村高江への米軍オスプレイパッド(着陸帯)建設を強行する政府の姿勢を批判しました。

20161004_%e8%b5%a4%e5%b6%ba%e2%91%a0 防衛省・沖縄防衛局は、工事に関する「環境影響評価図書」(2007年)で、当初は「動物への影響を少なくする」ために着陸帯建設を「1地区ずつ行う」としていたものを、今年7月には「3地区同時に行う」と変更しました。

 理由をただした赤嶺氏に、防衛省の深山延暁地方協力局長は、「一番早く可及的速やかな工事方法をとりたいからだ」と答弁。環境への配慮を投げ捨て、オスプレイパッドを早期に米軍に提供するためであることを認めました。

 さらに防衛局は、7月に樹木の伐採を避けるとして資材運搬のために工事用モノレールを使用するとしていたものを、9月には工事用道路の整備に変更。3700本以上の樹木の伐採を強行しています。これについて深山氏は、反対運動で「(工事用車両の)通行困難が悪化しているからだ」と強弁しました。

 安倍晋三首相は、「六つのヘリパッドは、米側との約束であり、それを実行するためにはやらざるを得ない」と繰り返しました。

 赤嶺氏は「4000ヘクタール返還されるから、騒音被害が拡大する地域があっても仕方がないという考えだ」と厳しく批判。移転予定の着陸帯は、米軍さえ使っていないものだと認めていると指摘し、「地位協定でさえ、未使用の基地は速やかに返還することになっている。(高江への着陸帯移設という)条件をつけずに、北部訓練場4000ヘクタールをただちに返還すべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2016年10月4日)

 

■高江ヘリパッド 安倍政権の「負担軽減」は基地の一大強化だ 衆院予算委 赤嶺議員の質問

20161005-%e9%ab%98%e6%b1%9f%e8%b3%aa%e5%95%8f%e2%91%a0 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は、安倍政権が「沖縄の負担軽減」とする沖縄県東村高江の米軍オスプレイパッド(着陸帯)建設が住民と環境に重大な負担を強い、北部の基地機能の強化につながる実態を告発。建設工事の即時中止と北部訓練場の無条件返還を強く求めました。

面積「0・96ヘクタール」どころか160ヘクタール以上の大増強に

20161006_%e3%83%91%e3%83%8d%e3%83%ab%e2%91%a0 政府は「0・96ヘクタール」の着陸帯建設により北部訓練場の4000ヘクタールが返還されると強調しています。これに対し、赤嶺氏は、実際には「着陸帯以外にも大量の樹木を伐採して、自然環境に影響を及ぼす」として、政府が事業にともなう面積を小さくみせようとする姿勢を批判。米軍機が離着陸する際に障害にならないための幅15メートルの「無障害物帯」を合わせて約3ヘクタール、工事用道路や新たに提供された区域と合わせて約160ヘクタール以上が整備されることを明らかにしました。

「軽減に最大限努力」 実態は騒音被害激増

 赤嶺氏は、2012年に普天間基地にオスプレイが配備されて以降、東村高江の住民への騒音被害が年々増加している実態を示しました。

 沖縄防衛局による騒音測定調査では、N4地区の2カ所の着陸帯が先行提供された15年度は昼間の騒音発生回数は2988回、夜間は552回に及び、12年度の回数(昼間465回、夜間102回)などと比較し急増(グラフ)。琉球大学の渡嘉敷健准教授が東村内の小中学生に実施したアンケート(4月)では、77%の児童・生徒がヘリの騒音が「気になる」と回答、「授業に集中できない」「うるさくて寝られない、家の上は飛ばないでほしい」と記述し、周辺住民からも「寝ていた赤ちゃんが飛び起きる」「飛んだ後は、頭痛、吐き気がする」などと悲痛な声が出ています。

20161006_%e3%83%91%e3%83%8d%e3%83%ab%e2%91%a1赤嶺 二つの着陸帯が完成しただけで、深刻な騒音被害が発生している。残り四つの着陸帯をつくれば、被害がいっそう拡大することは明らかだ。

首相 4000ヘクタールの返還は今まで陸上においては最大の面積。六つのヘリパッドは米側との約束であり、(返還を)実行するためには(建設を)やらざるを得ない。騒音等が軽減するよう最大限努力をしながら、米軍とも緊密に連携していく。

赤嶺 問題は、4000ヘクタールが返ってくるから、騒音の被害が拡大する地域があっても仕方ないという政府の考えだ。こんな日米外交のあり方はおかしい。

工事計画相次ぐ変更 自然環境に重大な影響

 さらに赤嶺氏は、政府がヘリパッド建設にかかわる環境アセスの評価を早期に完成させるために都合よく変更し、自然環境に重大な影響を及ぼしていることを批判しました。

赤嶺 当初、工事の進め方について、動物への影響を少なくするため「1地区ずつ行う」としていたのに、7月の修正版では「3地区同時に行う」と変更した。「大きな影響はない」と述べたが、環境の専門家から疑問の声が上がっている。

深山延暁防衛省地方協力局長 一日も早く可及的速やかな工事方法をとりたいということで提出した。

赤嶺 9月に出した修正版では、資材運搬のために使うとしていた工事用モノレールを中止し、代わりに3700本以上の樹木を伐採して、工事用道路を整備する計画に変更した。工事に合わせて都合よく(アセス)評価を変えるのは許されない。

防衛省地方協力局長 計画していた道路の一部での工事用車両の通行に反対の方もいる。通行が困難な状況がさらに悪化していることを踏まえ、工事用道路を整備することにした。できる限り環境に対する影響がないように評価を考えた。

赤嶺 モノレールであれば木は伐採しなくて済んだ。自然に配慮しているという言い分は絶対に通らない。

 赤嶺氏は、返還されるのは使用不可能な土地だと米海兵隊が認めていることをあげ、「移設条件を付けているから、20年来、事態が進まない。移設条件をつけないで無条件で返還すべきだ」とただしました。(しんぶん赤旗 2016年10月4日)

 

質問の映像へのリンク

高江オスプレイパッド/条件つけず直ちに返還を(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、沖縄県の出身で、沖縄一区からこの国会に送り出していただきました。

 きょうは、今政府が沖縄本島北部の東村高江区周辺で米軍のオスプレイやヘリが離着陸する着陸帯の建設を進めている問題について質問していきます。

 少し経緯を振り返りたいと思いますが、この問題の直接のきっかけは、一九九五年の少女暴行事件でした。十二歳の少女が三人の米兵に拉致され、集団暴行され、痛ましい事件が発生をいたしました。事件に抗議し、八万五千人が結集して沖縄県民総決起大会が開かれました。県民の怒りの広がりを受けて、日米両政府は、翌九六年、SACO最終報告に合意をいたしました。普天間基地の返還などと並んでそこに盛り込まれたのが米軍北部訓練場の部分返還であります。

クリックするとPDFが開きます

 パネルを見ていただきたいと思いますが、北部訓練場は、沖縄県の本島の北部の国頭村、東村にまたがる県内最大規模の米軍演習場です。米海兵隊の管理のもとに、米本国の部隊を含めて、海兵隊、陸軍、海軍、そして空軍の各部隊がジャングル戦闘訓練などを行っております。約七千五百ヘクタールある訓練場のうち、北側を中心に約四千ヘクタールを返還するというのが政府の計画です。
ただし、そこには二つの条件がつけられております。

 一つは、宇嘉川河口周辺の土地と水域を新たに米軍に提供することです。ちょうど海に突き出した斜線の部分であります。これによって、米軍は、海からの上陸訓練が可能になります。これについては、既に一九九八年に提供されています。

 もう一つの条件が、返還区域にある着陸帯を残る南側に移設することです。ごらんいただければわかるように、南側には既に十五カ所の着陸帯があります。白い丸印です。これは、防衛局が提出する地図等にはなかなかつけられておりませんが、この十五カ所の着陸帯があるところに、今度は、これに加えて、N4地区に二つ、N1地区にも二つ、眼鏡形に配置して新たな着陸帯をつくり、そしてG地区、H地区という場所に一個ずつつくる計画です。赤丸で書かれているものです。東村高江区の集落は、これら六つの着陸帯に取り囲まれることになります。

 N4地区の二つは既に完成し、訓練場の返還に先行して二〇一五年二月に米軍に提供されました。
高江区の住民は、九九年、二〇〇六年の二度にわたって区民総会を開き、着陸帯の建設に反対する決議を上げました。しかし、政府は、住民の声を聞き入れず、着陸帯の建設を推し進めてきました。

 さきの参議院選挙では、新たな米軍基地建設に反対する伊波洋一候補が、安倍政権の現職大臣に十万票以上の大差で圧勝しました。ところが、安倍政権は、投票日の翌日早朝から、残る四つの着陸帯の建設に着手をいたしました。全国から機動隊五百人を動員し、反対する住民を力ずくで排除し、工事を強行しています。
 まず、総理に伺いますが、総理は所信表明演説で、〇・九六ヘクタールのヘリパッドを移設することで北部訓練場四千ヘクタールの返還が可能になると述べました。この〇・九六ヘクタールの積算根拠を明らかにしていただけますか。

 

○深山政府参考人

 数字の計算の問題でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 ヘリパッドの面積としては、現在建設を進めておりますのは直径四十五メートルでございまして、この一個の面積は、計算しますと〇・一六ヘクタール。六つでございますので、〇・九六ヘクタールという計算でございます。

 

○赤嶺委員

 直径四十五メートルの着陸帯六カ所部分の面積が〇・九六ヘクタール。

 工事が行われるのは着陸帯だけではないはずです。これまで政府は、着陸帯の周りには十五メートルの幅で無障害物帯をつくる、そこでは、樹木を伐採して、米軍機の離着陸の障害にならないようにすると言ってまいりました。

 ここに、二〇〇六年二月の、当時の那覇防衛施設局が作成した「環境影響評価図書案のあらまし」というパンフレットがありますが、ここでも着陸帯の周りにぐるりとドーナツ形で無障害物帯が描かれています。

 なぜ着陸帯だけを切り出して説明するのですか。

 

○深山政府参考人

 御指摘のとおり、着陸帯の周りには無障害物帯を設置いたしております。

 これは、全部を合わせますと一・七〇ヘクタールという計算になりますが、中心をなすのはヘリパッド自体でございますので、御指摘のような数字になったものでございます。

 

○赤嶺委員

 中心をなすのは着陸帯でありますのでって、無障害物帯がなければ着陸帯が機能しないと言ってきたのはあなた方でしょう。あなた方じゃないですか。着陸帯だけでつくるんじゃない、直径七十五メートルある。だから、あなた方のパンフレットには、総理、このパンフレットには、着陸帯と無障害物帯などを合わせ、合計約三ヘクタールですと書かれているんですよ。何でこれまでと違う説明をするんですか。

 事業に伴って整備が必要になるのはそれだけではありません。着陸帯につながる進入路も整備をいたします。工事用道路もあれば、先ほど申し上げた宇嘉川河口周辺の新規提供もあります。

 防衛大臣、事業に伴って整備が必要になる面積はどれだけか、明らかにしていただきたいと思います。

 

○深山政府参考人

 お答えいたします。先生からあらかじめ御質問のありました着陸帯自身、そして無障害物帯、あとG地区ともう一つの地区がございますが、そこへの進入路、その他工事用道路、そしてまた追加提供された河口部分等を含めますと、全部で百六十二・九三ヘクタールという数字になります。

 ただし、そのうちの追加提供された土地及び水域の面積は百五十九・一九ヘクタールでございますが、その水域につきましては、追加提供の後に、安波訓練場四百八十ヘクタールと水域七千八百九十五ヘクタールが返ってきております。そうした事実もあわせて申し述べさせていただきたいと思います。

 

○赤嶺委員

クリックするとPDFが開きます

 返還するかわりに、残る地域に幾らの面積の施設がつくられるかという点では、水域も土地も入れなきゃいけないんですよ。数字を小さく小さく見せようとしてやっている。

 今、防衛省が答弁した面積を合計すると百六十五ヘクタールです。そこに、着陸帯以外にも、大量の樹林を伐採して、自然環境に影響を及ぼす、そういう地域が含まれています。総理は〇・九六ヘクタールの移設だと繰り返していますが、それにとどまらない事業であることをまず指摘させていただきます。

 大事なことは、その着陸帯の建設が周辺住民にどのような影響を与えるかという点です。

 総理に伺いますが、四年前の二〇一二年十月、普天間基地にオスプレイが配備されました。それ以降、沖縄本島全域で飛行訓練が行われています。

 オスプレイが配備された二〇一二年以降、東村高江区ではどのような騒音被害が発生しているか、総理はどのように認識していますか。

 

○浜田委員長

 稲田防衛大臣。(赤嶺委員「何で、総理に聞いているのに」と呼ぶ)その後に総理から答弁願います。

 

○稲田国務大臣

 私も先月沖縄に参りまして、東村、国頭村の村長にお会いして、北部訓練場四千ヘクタールの返還についてお話をさせていただきました。それについては、御理解いただいていることに感謝申し上げたところでございます。

 その際、今委員御指摘の騒音の問題、それから安全性に関する不安の問題等さまざま要望をいただいたことも事実でございます。それらに対しては一つ一つ誠実に対処していくということを申し上げたところでございます。

 また、北部訓練場周辺の騒音については、政府として継続的な把握に努めております。平成二十七年度の騒音発生回数……(赤嶺委員「まだ聞いていない、そこは。いいんですよ、次の質問で答えてもらいますから。防衛大臣、いいです」と呼ぶ)はい。ただ、今騒音のことをおっしゃいましたので、なのでお答えをしたところでございます。今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めてまいります。

 

○安倍内閣総理大臣

 ただいま、どういう影響が出るかということだったものでありますから、今大臣から、例えば騒音についてお答えをさせて……(赤嶺委員「総理の認識を聞いているんですよ、影響について」と呼ぶ)だから、影響についてまさに大臣がお答えをしようとしたところでありますが、影響について、一つその大きな影響としては騒音があるわけでありますから、騒音についてお答えをさせていただきます。

 北部訓練場の周辺における騒音については、政府として継続的な把握に努めておりまして、環境基準を満足しているところでありますが、今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていく考えであります。また、住宅密集地や学校上空の飛行を回避するため、米軍と協力して必要な措置を講じていく考えであります。

 また、自然環境について申し上げますと、この移設工事は法的に環境影響評価を義務づけられているものではありませんが、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、自主的に環境影響評価を行っております。

 これを踏まえまして、移設に当たっては自然環境に配慮し、現在七つのヘリパッド全てを移設するのではなく、最低限の六つにとどめること、そしてまた、その大きさも、米側の要望を踏まえると、直径七十五メートルの大きさで土を掘り返して整地する必要があったところ、必要最小限度の四十五メートルに、七十五メートルを四十五メートルに縮小することを日本側から米側に働きかけることにより合意に至ったものであります。

 また、移設工事に当たっても、例えば集落をできる限り避けた経路で資機材を搬入すること、そしてノグチゲラ等の貴重な動物種の繁殖時期に配慮することなどの措置を講じているところでありまして、今後とも十分な配慮を行いながら基地の返還を行っていきたい、このように考えているところでございます。

 それと、先ほど委員から、百二十一ヘクタールの水域、三十八ヘクタールの土地が米側に追加提供されているじゃないかということ、これも足すべきだというお話がございましたが、それを言うのであれば、既に四百八十ヘクタールの土地と七千八百九十五ヘクタールの水域が返還をされておりまして、こちらの方を我々は言っていないものでありますから、今言われたところは言わなかったということでございます。

 

○赤嶺委員

 安波地域の訓練水域を移動することによって残りのところに上陸訓練ができるようになった、これはアメリカの運用上必要だからそうしただけなんですよ。

 そして、着陸帯が〇・九六ヘクタールといいますけれども、これは、無障害物帯を加えたら、あなた方の出したパンフレットでも三ヘクタールなんですよ。〇・九六ヘクタールではないということを申し上げておきたいと思います。

 それで、今、総理は、自然環境にまで答弁をいたしました。私が聞いたのは騒音だったんです。

 騒音はほぼ防衛大臣と同じような答弁でいただきましたけれども、パネルを見ていただきたいと思います。

 これは、沖縄防衛局の騒音測定調査に基づいて、高江での騒音発生状況をまとめたものです。騒音基準でうるさいとされる六十デシベル以上の騒音発生回数を書いています。

 オスプレイが配備された二〇一二年度の騒音発生回数は、昼間は四百六十五回でした。ところが、二〇一三年度は七百四十六回、二〇一四年度は千二百八十回、N4地区が米軍に提供された後の二〇一五年度は二千九百八十八回に急増しています。夜間も、二〇一二年度の百二回から、一三年度は百七十二回、一四年度は百九十四回、一五年度は五百五十二回と増加しています。

 とりわけ、ことしの六月には、オスプレイが三機編隊でやってきて、激しい飛行訓練を繰り返しました。六月の一カ月だけで、昼間は六百回、夜間は三百八十三回の騒音が発生しています。

 総理は、住宅密集地や学校上空の飛行を回避する、このように答弁されたわけですが、それはもともと、普天間基地へのオスプレイ配備に先立って、日米両政府が約束していたことです。

 二〇一二年九月の日米合意は、米軍施設・区域周辺における飛行経路について、周辺住民への影響を最小限とするため、進入及び出発経路を、可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定するとともに、可能な限り海上を飛行する、このように書かれております。

 全く約束が守られていないからこういう結果になっているのではありませんか、総理。

 

○安倍内閣総理大臣

 繰り返しになりますが、四千ヘクタールの土地が返ってくるためには、アメリカとの約束において、六つのヘリパッドを既に米軍の施設内につくるという約束の中で初めて返ってくるわけでありますから、これが返ってこなければ、そもそも既設のヘリパッドは別途あるわけでありますから、そこは全く動かないわけでありまして、これは、まさに二割、今までで最大の米軍の施設が返還されるということは、前提として考えていただきたいと思います。

 そこで、この騒音対策については、北部訓練場の周辺における騒音については、政府として継続的に把握に努めております。環境基準を満足しているところでありますが、今後とも継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていく考えであります。

 そしてまた、東村における騒音状況については、本年七月に地元の村長や教育長から改善要請があったことは報告を受けております。政府としては、要請を受けた後、直ちに、米側に対し、集落の上空を飛行しないよう強く申し入れを行ったところであります。
米軍としても、住宅密集地や学校上空の飛行を回避すべきことは認識をしておりますが、必ずしも徹底されていない理由は、上空からパイロットが住宅や学校を十分認識できない場合があるという問題がありまして、そこで、だから私たちはわかったということではもちろんないわけでありまして、このため、パイロットが住宅密集地や学校の位置を上空から把握できるように、要請を受けた後、本年九月に東村に航空標識灯を二カ所設置したところであります。

 北部訓練場の周辺における騒音については環境基準を満足しているところでありますが、今後とも、継続的に調査を行うとともに、さらなる影響の軽減に努めていきます。

 地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう、米軍と密接な連携を図りながら、万全を期していく考えでございます。

 

○赤嶺委員

 さっきも、防衛大臣も国頭村の村長や東村の村長にお会いしてきたとおっしゃっていましたが、オスプレイには反対なんですよ、着陸帯をオスプレイが使うことには反対です。

 継続的に日本政府は監視していると言いますが、監視して、何でこんなにふえていくんですか。改善の跡が見えない監視、四千ヘクタール返ってくるためにはこういう騒音は我慢しろと言うんですか。四千ヘクタール返すのであれば、移設条件をつけないで返せ、これが当たり前じゃないですか。この問題は後でもやりますけれども。

 琉球大学の渡嘉敷准教授が、ことし四月に東村内の小中学生を対象にアンケートを実施しています。

 それによると、学校で遊んでいるときや授業を受けているときに飛行機やヘリコプターの音が気になったことがありますかという設問に、よくあるが三九%、あるが三八%、合わせて七七%が気になったことがあると答えています。自由記述欄には、うるさくて授業に集中できないことがある、学校周辺はやめてほしい、夜十時ごろよく空を飛んでいるのでうるさい、うるさくて寝られない、家の上は飛ばないでほしい、こういう言葉が並んでいます。子供の言葉からも、日米合意が全く守られていないということがよくわかります。

 高江は、山原の自然に抱かれた静かな集落です。そこにオスプレイが三機編隊でやってきて、二時間近く、パイロットの顔が見えるような低空で何度も旋回飛行を繰り返すんです。

 総理、学校がよく認識できないだろうから標識灯をつけるという話がありましたが、低空飛行なんですよ、向こうでの訓練は。パイロットの顔も見えるんですよ。こんな低いところから飛んで、学校も見えないことなんてあり得ないですよ、住宅が見えないなんてあり得ないですよ。

 低空飛行を繰り返す、家のガラスが響き建物が揺れる、寝ていた赤ちゃんが飛び起きる、飛んだ後は頭痛、吐き気がする、こういう悲痛な声が上がっています。夜の十時台までそういう訓練を繰り返すこともあります。

 二つの着陸帯が完成しただけで、深刻な騒音被害が発生しています。残り四つの着陸帯をつくってしまったら、被害が一層拡大することが明らかではありませんか、総理。

 

 ○安倍内閣総理大臣

 先ほど申し上げましたように、この四千ヘクタールというのは、今まで、陸上においては最大の返還の面積でありまして、米軍の沖縄における区域の約二割の返還がなされるわけでございます。その二割の返還をさせるためには、この六つのヘリパッドというのが米側との約束でございまして、つまり、それを実行するためにはやらざるを得ないということは御理解をいただきたい、このように考えております。

 いずれにせよ、できる限り騒音等が軽減するよう、我々も最大限努力をしながら、米軍ともしっかりと緊密に連携をしていきたい、このように考えております。

 

○赤嶺委員

 この地域での低空飛行訓練というのはオスプレイだけじゃないんです。その前のヘリからなんです。

 問題は、四千ヘクタール返ってくるから、こういう騒音の被害が拡大する地域があっても仕方がないという政府の考え方なんですよ。条件をつけないで。これは十五カ所あるんですよ、今のところに。今のところに十五カ所あって、さらに六つつくる。これを認めなければ返さないというのは、返さないという国の方がおかしいんじゃないですか。こんな日米外交のあり方はおかしいと思いますよ。

 さっき総理は自然環境についてもお答えになりましたが、改めて問うていきたいと思います。

 山原の地域は、東洋のガラパゴスと呼ばれ、ここにしかいない固有種や絶滅危惧種が多く生息する生物多様性に富んだ地域です。
まず環境大臣に、山原地域の自然環境の特性や重要性についての認識、これを伺いたいと思います。

 

○山本(公)国務大臣

 沖縄北部の三村、国頭村、大宜味村、東村、ここに広がる山原地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林でございまして、ヤンバルクイナなど多様な固有種や希少種が生息、生育する豊かな生態系を有する重要な地域であると認識いたしております。

 

○赤嶺委員

 山本環境大臣、一緒に沖縄問題を沖北委員会で取り組んできましたが、もうちょっと幅広く答弁なさるかと思いましたが、そういう豊かな自然を抱いた森です。ブロッコリーの森と呼ばれております。ちょうど上空から見たらブロッコリーのような、本当に豊かな自然が広がっております。稲田大臣、ヘリから見て見えたかどうかわかりませんが、そこは問いませんけれども、そうした山原の貴重な自然は、米軍基地の中でも米軍基地の外でも広がっております。

 ところが、政府は、基地の外では世界自然遺産の登録を目指すといいながら、基地の中では山を切り開いて米軍オスプレイのための着陸帯を建設しているのであります。極めて矛盾に満ちた対応と言わなければなりません。

 とりわけ問題なのは、七月以降の政府の対応です。

 もともと政府は、着陸帯の建設が環境に与える影響について、法律にも条例にも基づかないアセスメントを行いました。いわゆる自主アセスと言われているものです。ところが、その内容を変更するアセスの修正版を、七月と九月、二度にわたって出しました。

 当初は、工事の進め方について、動物への影響を少なくするために一つの地区ずつ行う、このように述べておりました。ところが、七月の修正版で、三つの地区同時に行う、このように変更をいたしました。それでも環境への影響については大きな変化はない、このように述べています。

 なぜ三つの地区同時に行っても問題ないという結論に変わったんですか。

 

○深山政府参考人

 事実関係に属することも多いので、私からまずお答えをさせていただきたいと思います。

 本年七月に、環境影響評価図書を新たに提出いたしました。これは、変更いたした点は、御指摘のとおり、着陸帯一地区ずつの施工から三地区同時に施工する、あるいは、資材の積みかえのために作業ヤードを新たに設置する、工事用モノレールあるいはヘリコプター等を使用する場合があるといった点で行わせていただいたものでございます。

 これは、一日も早く、北部訓練場、約四千ヘクタールの返還を実現するために、環境も見据えながら、可及的速やかな工事方法をとりたいということで提出させていただいたものでございます。

 

○赤嶺委員

 事業者が事業をやる場合に、一日も早くと事業者が考える、しかし、環境アセスの観点からいってそういうぐあいにはうまくいかない、その場合にはアセスを尊重するというのが普通の事業の場合は当然であります。

 早くオスプレイの着陸帯をつくって米軍に提供したい、そのために、今までアセスという決まりはないんだが自主的にアセスをやってきた、それを一カ所ずつやることによって環境が守られる、だけれども、今度は急いで提供したいから三つ一気にやる。これで環境が守られるわけないじゃないですか。

 沖縄県の環境影響評価審査会の宮城会長は、今度の政府のやり方についてこのように述べております。

 既に完成したN4地区の二基の着陸帯工事でも、雨水による土砂崩落事故が起きました。ここには既存の着陸帯があり、既に切り開いた場所を拡張する工事ですから、比較的容易なはずでした。それでも土砂崩落が起きました。これから工事する三地区四つの着陸帯は、全くの森林地帯を切り開いてつくります。でこぼこがあり、工事難航が予想されます。そこを、当初一年一カ月かけて工事する計画だったのに、急いで、半分以下の半年でやるというのです。同じ期間に何倍ものマンパワーが要るし、工事がずさんになる心配がある。一気に三地区工事すれば、想像できない環境負荷が出る可能性が高い、このように述べております。

 一体、防衛局は、防衛大臣、七月、九月のアセスの修正に際して専門家の意見は聞いたんですか。

 

○稲田国務大臣

 先ほど局長が答弁いたしましたように、本事業は、沖縄県環境影響評価条例の適用外で、法的に義務づけられているものではありませんが、防衛省として、自然環境保全にできる限り配慮するという観点から、自主的に環境影響評価を実施したところでございます。

 なお、いずれの検討図書についても、本来であれば事後調査において調査検討するものと考えますけれども、あらかじめ自然環境の保全の観点から環境に対する予測評価を行い、沖縄県に対してこれらの図書を提出して、その内容について説明をいたしているところでございます。

 防衛省としては、沖縄の負担軽減のために、四千ヘクタール返還に向けて、引き続き、環境の保全及び施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を着実に進めてまいりたいと思います。

 

○赤嶺委員

 専門家の意見を聞いていない。自主アセスと言いますが、あなた方は、アセス法に劣らないアセスをやったんだと言って、自慢げにずっとやっていたじゃないですか。今ここに来て、アセスのレベルを落としたから、自主アセスでありますから、こういうことをやらないでいいですというのは通らない話ですよ。

 これは、七月の修正版では、資材運搬のために工事用モノレールを使おうとしておりました。何で工事用モノレールを使うかと聞きましたら、伐採樹木が発生しない場所を選定していることから、環境に与える影響は回避されると述べていました。

 ところが、九月にまた新たな修正版を出して、モノレールはやめました、工事用道路を整備する計画に変更します、このように言って、あのやんばるの森、ブロッコリーの森と言われている自然豊かな森の三千七百本の、それ以上の樹木の伐採を進めて、工事用道路をつくったんですね。

 これは総理、総理に伺いますが、自主アセス、環境に影響ないようにといいますが、工事に合わせて都合よく評価を変えている。こんなこと、これは許されないんじゃないですか。

 

○深山政府参考人

 九月にもう一度提出いたしましたアセスについて、事実関係だけ御報告させていただきます。

 御指摘のとおり、当初、工事用モノレールという計画を持っておりましたが、工事用車両の運行、通行を計画しておりました道路の一部につきまして、大変反対の方等もいらっしゃり、通行が困難な状態がさらに悪化しているということを踏まえまして、モノレールにかえまして工事用道路を整備することといたしたものでございます。

 いずれにいたしましても、できる限り環境に対する影響がないように評価を考えまして、その上で評価を行いまして、アセスとして提出いたしたところでございます。

 

○赤嶺委員

 事実経過というのはもうちょっと真面目に答えてください。

 工事が難航しているのは、農道、村道は使っちゃいけないという村長の態度表明があったからですよ。モノレールであれば木は伐採しなくて済んだ、しかし、モノレールを使わなくなったから三千七百本の木を伐採した、それでも自然に配慮していますという、こんな言い分は絶対に通らないと思いますよ。

 大体、総理は四千ヘクタールの返還と言いますが、四千ヘクタールの返還地のオスプレイは七カ所ありました。しかし、それは、ふだんから住民が見ておりましたが、ほとんど使われていない着陸帯でした。使われていない着陸帯を、アメリカの海兵隊も最近の報告書の中で、返還される地域の着陸帯は使われていない、これを政府に返還したら日本政府が新しい着陸帯を六カ所つくってくれる、こんな効率的なものはないと言っているんですよ。

 地位協定の二条でも、使われていない基地は速やかに返還する、移設条件をつけてはいけないということになっているわけですよ。当然じゃないですか。移設条件をつけないで直ちに四千ヘクタール返還をすべきだと思いますが、これは地位協定上も当然の立場だと思いますが、いかがですか。

 

○稲田国務大臣

 冒頭委員も御指摘になったように、北部訓練場の過半の返還は、平成八年十二月にいわゆるSACOとして日米合意をし、普天間飛行場の移設と同様、二十年来の懸案事項でございます。

 今回、ヘリコプター着陸帯を移設、七カ所から六カ所にすることにより、七千五百ヘクタールある訓練場のうち、その過半の返還をいただくということでございます。

 

○赤嶺委員

 意味不明な答弁でしたが、移設条件をつけているから二十年来事態が進まないわけでありまして、沖縄の基地の整理縮小は、移設条件をつけないで無条件で返還すべきであるということを強く申し上げて、質問を終わります。

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参考資料

パネル① 高江ですすめられる着陸帯建設

パネル② 高江での騒音発生状況

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