国会質問

質問日:2016年 11月 15日  第192国会  安全保障委員会

沖縄・高江 米海兵隊・訓練ルート整備 4694本もの樹木を伐採 赤嶺議員に答弁

 

 防衛省は11月15日の衆院安全保障委員会で、米軍オスプレイパッド(着陸帯、沖縄県東村高江など)建設に関し、米海兵隊用の歩行訓練ルート整備で伐採された樹木が4694本に上ることを明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢議員に対する答弁。

 

 同省沖縄防衛局は10月28日、新たな環境アセスを沖縄県に提出。宇嘉川河口から「G地区」の着陸帯につながる約2・6キロメートルの区間を整備し、急峻(きゅうしゅん)な場所には階段を設置するとしています。

 

 赤嶺氏は、同局の環境影響評価図書(2007年)には、歩行訓練ルートの整備について具体的な整備方法や環境影響について一切明記されていないと指摘。県が環境アセスに記載されていない「新たな工事」だとして中止を求めたこともあげ「欠陥アセスではないか」と迫りました。

 

 防衛省の深山延暁地方協力局長は、「当初は人力での作業を想定していた。建設工事に反対する方もいて、車両や資材の輸送に困難な状況が続いており、重機を使用するために、立木の伐採を行っている」と述べ、建設に反対する市民らに責任を押し付けました。

 

 赤嶺氏は「東村のやんばるの森にしか住んでいない世界的な固有種がいる。環境への配慮などお構いなしに自然破壊を推し進めるヘリパッド工事には反対だ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2016年11月16日)

質問の映像へのリンク

南スーダンPKO、高江オスプレイパッド建設について質問(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 次に、高江の米軍オスプレイパッド建設について質問をいたします。
 沖縄防衛局は十月二十八日、新たな環境影響評価検討図書を沖縄県に提出しました。この事業に係る環境アセスは、いわゆる自主アセスとして二〇〇七年二月に行われました。ところが、沖縄防衛局はことし七月以降、その内容を変更する検討図書の提出を繰り返しております。今回で三度目です。
 今回の検討図書は、宇嘉川河口からG地区の着陸帯につながる歩行訓練ルートの整備に関するものです。約二・六キロの区間で樹木を伐採し、砂利を敷いて幅一・二メートルの歩道を整備し、急峻な箇所については階段を設置するとしています。
 防衛大臣に伺いますが、これまで二回の検討図書は従来のアセスの内容を変更するものでした。ところが、今回の歩行訓練ルートの整備については、二〇〇七年のアセスでは具体的なことは何も書かれていません。二〇〇七年当時、樹木を伐採して歩行訓練ルートを整備するということを、沖縄県を初めとする関係自治体、高江区の住民などに説明しておりましたか。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 北部訓練場の過半、四千ヘクタールの返還条件といたしましてヘリパッドを移設することとしておりますが、その附帯施設といたしまして、提供水域に係る訓練や隊員の救助を支援するため、G地区のヘリパッドから提供水域までの既存の通行路を補修する、今御指摘のルートでございますが、補修することといたしております。
 この補修については、最小限のものであり、当初は主に人力による施工を計画しておりまして、環境への影響はほとんどないものと想定いたしました。このため、これに係る環境への影響の予測評価を行っておりませんでした。
 ところが、ことし工事を再開いたしまして、その後いろいろな、反対される方々もいらっしゃいまして、車両とか物の輸送に困難な状態が続いておりました。その一方で、できるだけ早く御地元の意向に沿った形で返還するということを行う必要があると考えたところでございます。
 このため、この補修について早期に完了すべく、重機等を使用した工法に変更することといたしました。このため、先般、御指摘のように、防衛省の自主的な判断、いわゆる自主アセスといたしまして環境影響評価図書を作成、沖縄県に提出を行いまして、現在、立木の伐採を行っているところでございます。
 我々といたしましては、このような工事を経まして、北部訓練場の過半、四千ヘクタールの年内返還に向けまして、引き続き、環境の保全及び施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を進めてまいりたいと考えているところでございます。

○赤嶺委員 自分たちがアセスの手続を誤り、そして県民に対する背信行為を繰り返していることを認めず、反対の声が大きいからという理由にする、こんなのは、まさにこの態度こそ改めるべきですよ。民意を無視して着工しているやり方に反対の声が多いのは当然じゃないですか。
 私、改めて二〇〇七年の環境アセス評価書を見てまいりました。事業実施区域を示す地図の中に赤い点線が引かれ、凡例の部分に歩行訓練ルートと書いてあるだけです。住民の意見と事業者の見解が示されたところに歩行訓練ルートで行われる訓練の内容を説明した箇所がありますが、あくまで訓練に関するもので、整備に関するものではありません。具体的にどのような整備を行うのか、人力によるものなのか、あるいは重機などによる機械施工なのか、樹木の伐採がどのような影響を与え、どういう対策をとるかについては一切書かれていないわけですね。
 二〇〇七年から今日までのもの、欠陥アセスではありませんか、大臣。

○深山政府参考人 繰り返しになりますが、二〇〇七年当時は人力による歩行ルート施工というのを想定しておりましたために環境への影響の予測評価を行っていなかったというふうに今申し上げたとおりでございまして、このたび、追加の環境影響評価を実施したところでございます。

○赤嶺委員 環境アセスはやっている、法的な義務づけはないんだが自主的にやっている、だからあの山原の森の環境は守られる、世界自然遺産条約の登録の対象になるような価値を持つ自然を破壊しないでヘリパッドができるという説明が、二〇〇七年段階の皆さんの説明であったわけですよ。
 沖縄県は沖縄防衛局に対して文書を発出しています。歩道整備はアセス手続時の環境影響評価図書に記載されていない新たな工事であるとした上で、自然環境への影響が増加するものであり、関係機関の意見を聞くこともなく実施することは環境影響評価制度の趣旨を大きく逸脱したものであり、実施すべきではないと厳しく指摘しています。
 にもかかわらず、政府は既に工事を始めています。昨日から民間ヘリによる資機材の空輸も始めました。環境への配慮などお構いなしに、まさに問答無用であります。
 ところで、そのアセスの中に、地形が急斜面な箇所では、建設資機材の運搬が可能だとして民間ヘリを使うとしていますが、ヘリを使うために、ヘリが荷物をおろすために、五メートル四方で樹木を伐採して荷おろし場所を整備するとしています。それを二十メートル間隔で三十カ所つくるとしております。
 今まで皆さんの説明で、樹木伐採、今回が四千六百九十四本、全体で二万八千九十四本になっていますが、三十カ所にヘリの荷おろし場所をつくる、ここでも新たな樹木の伐採があるのかどうか。三十カ所もヘリの荷おろし場所をつくる、こういうことがあの森の自然破壊を一層進めることになるのではないかと思いますが、その点について説明してくれますか。

○深山政府参考人 荷をおろす箇所につきまして、一部樹木を伐採する予定である。今、三十カ所につきましては、手元にそのものの資料がございませんので、確認をいたさせます。
 一方、立木の伐採につきましては、今申しました歩行ルートにつきましても、先生から御指摘のありましたように、ここで四千六百九十四本の伐採を、これは国有林野の範囲でございますけれども、予定しておりまして、沖縄森林管理署と協議をいたして、完了したところでございます。
 なお、ちょっと補足いたしますと、歩行ルートの中には国頭村が所有する〇・二四ヘクタールの土地も入っておるところでございますが、これに関しましては森林法十条の八の一項に基づく届け出を行っておりますが、これにつきましては本数による協議ではなくて面積による協議となっておりまして、この地区の面積については現在確認しておらないところでございます。

○赤嶺委員 先ほどのヘリの荷物をおろす場所、荷おろし場所三十カ所について、この点についても今答弁してくれますか。

○深山政府参考人 計画上伐採を予定している箇所につきましては、国有林野に関するものにつきましては沖縄森林管理署と協議をしておるところでございます。

○赤嶺委員 国有林野だったら伐採していいというところじゃないですよ、あの場所は。まさに、あの場所の樹木がどれほど自然にとって貴重なのか。地球上で、世界の中で、あの森にしかすんでいない希少動物、固有種がたくさんある中で、結局、工事先にありきで自然破壊を進め、アセスを無視するやり方に強く抗議をして、私の質問を終わらせていただきます。

すべて表示

このページをシェアする