国会質問

質問日:2024年 2月 28日  第213国会  予算委員会

沖縄の教員不足深刻 赤嶺氏が政府に対応求める

衆院予算委分科会

 日本共産党の赤嶺政賢議員は2月28日の衆院予算委員会分科会で、沖縄県で深刻化する教員不足や長時間労働の問題を取り上げ、政府に抜本的な対応を求めました。

 赤嶺氏は、同県は精神疾患による教員の休職率が全国で最も高く、教員のメンタルヘルス対策としてスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)のニーズが高いと指摘。SCへの相談の3~4割は教職員だという文部科学省の調査結果も示し、正規雇用と常勤配置を求めました。

 盛山正仁文科相は「SC、SSWの配置は教師の負担軽減のためにも有効だ」として、2024年度予算に1万校分の重点配置を計上していると答弁しました。

 赤嶺氏は、同県中城村で18年度から1クラス約16人の学級編成にしたことで、校務が減少し、長期欠席児童もゼロになり、保護者や教員から喜びの声が上がっていると紹介。早急に中高を35人学級に、将来的には小中高のすべてで20人学級を実現するなど抜本的な少人数学級の推進を求めました。

 盛山文科相は「小学校35人学級の計画的な整備を含む教員定数の改善が重要だ」と答弁するにとどまりました。

 赤嶺氏は、全国学力テストや教員評価システム、教員給与特別法の廃止も求めました。(しんぶん赤旗 2024年3月2日)

 

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沖縄の教員不足 抜本的対応を(衆院予算委分科会)

議事録

○赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 今日は、沖縄県における教師不足、教師の長時間労働の問題について質問をいたします。
 沖縄県教育委員会によると、沖縄県内の公立小中高校と特別支援学校の教員の未配置数は、二〇二四年一月時点で百三十七人に上っています。その要因として、病休や産休などに対する臨時的任用教員の配置が追いついていないこと、特別支援学級の増加を挙げています。特に、精神疾患による休職者の多さは深刻であります。
 文科省が実施した二〇二二年度の調査結果によると、精神疾患を理由に休職した教職員は全国で六千五百三十九人と過去最高になりました。沖縄県でも二百二十九人と過去最多で、文科省が公表を始めた二〇一八年度以降、五年連続全国ワーストの状況が続いております。
 こうした要因について、琉球大学の西本裕輝教授は、厳しい労働環境が一因であることは間違いない、このように指摘しております。とりわけ沖縄県は、子供の貧困率も高く、母子家庭を中心に一人親家庭が多く、一人一人の子供に向き合うだけの教員の数が全く足りておりません。
 大臣に伺いますが、このような状況についてどのように受け止めておられるか、そしてその背景には何があると考えておられるか。いかがでしょうか。

○盛山国務大臣 令和三年度及び令和四年度の人事行政状況調査においては、沖縄県における教員の精神疾患による休職者の割合が全国最多となっております。
 一般的に、精神疾患による休職の要因としては、業務の質の困難化や、教員間の業務量や内容のばらつきなどといった要因が考えられますが、沖縄県教育委員会からは、教員職員の精神疾患による病気休職の要因について、職務内容に起因するものだけではなく、家庭の状況や生活環境等様々な背景があると考えられると聞いております。
 文部科学省としては、令和五年度から、病気休職の原因分析やメンタルヘルス対策等に関するモデル事業を実施しており、沖縄県教育委員会においても本事業に取り組んでいただいているところです。
 令和六年度予算案においても同事業に必要な経費を計上しており、引き続き、個々の教員や学校が置かれた状況を踏まえて適切な対策が講じられるよう、メンタルヘルス対策の取組を進めてまいります。

○赤嶺分科員 今おっしゃったような事例があるわけですが、私も、今回、問題意識を持って多くの先生方や組合の方々にも意見を伺ってまいりました。その中で、教員のメンタルヘルス対策で必要なのは、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの抜本的な増員が求められるということを切々と訴えられてきました。
 沖縄県の教職員組合の話を伺いましたら、現場のニーズからするとまだまだ足りない、子供は心を開くのに時間がかかる、常駐してくれることにより先生も生徒のことなど相談することができると話されておりました。子供だけでなく先生にとっても求められております。
 二〇〇七年に文科省が行ったスクールカウンセラーに関するアンケートで、相談の割合については、約三割から四割が教職員からの相談となっています。
 大臣、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの役割が先生たちにとっても求められているという認識、これは間違いないですね。

○盛山国務大臣 不登校児童生徒数が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にあって、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの配置は、児童生徒に向き合う教師の負担を軽減する観点からも有効なものと認識しており、その配置拡充のために必要な経費を令和六年度予算案に計上しているところです。
 加えて、文部科学省においては、メンタルヘルス不調などの健康障害に関する相談窓口の設置、周知などに取り組むことを各教育委員会に対して求めるとともに、令和五年度より、教師のメンタルヘルス対策に関して、セルフケアやラインケアの充実、ICTやSNS相談員などを活用したモデル事業を実施しており、令和六年度予算案においてもその実施に必要な経費を計上しております。
 引き続き、教師が心身共に健康な状態で児童生徒と向き合うことができるよう、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいります。

○赤嶺分科員 大臣も、その必要性と効果について認められております。
 私も、この方々のお話を聞いてまいりました。そうしたら、子供にとっても教職員にとっても大変必要とされている実態をみんなが認めておりながら、私たちは非正規だ、一人で何校も受け持ち、巡回は一校当たり週一回だ、これでは子供や教員が安心していつでも相談することはできない、このようにお話しされているんですね。現場の認識と余りにもかけ離れている制度の仕組みになっています。
 正規雇用で常駐という労働環境が整ってこそ、子供や先生たちがいつでも相談でき、信頼関係が生まれます。現場からの強い要望であります。これに応えて、彼らを教職員定数に加え、全ての学校への常勤配置、これを決断すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○盛山国務大臣 様々な課題を抱える児童生徒に対しては、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと教師とが連携協力し、チームで支援を行うことが重要であります。
 このため、文部科学省では、令和六年度予算案において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置について、基礎配置に加えて、それぞれ千校に対して重点配置を行うこととしており、引き続き配置の充実に努めてまいります。
 また、委員の御指摘も含め、スクールカウンセラー等を常勤化すべきとの御要望があることは承知しております。文部科学省においては、スクールカウンセラー等が常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等の検討に資する調査研究を実施しているところです。
 他方で、スクールカウンセラー等の常勤配置に当たっては、財政的な課題を始め、学校設置者の受入れの体制、適切な人材の確保など解決すべき課題も多いことから、今後、検討を引き続き進めていきたいと考えております。

○赤嶺分科員 スクールカウンセラーの役割について、高い評価で、常勤化も本当に目指したいという気持ちは表れておりました。
 二〇一五年十二月の中教審の答申があります。ここでは、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカー共に、これらは、「国は、将来的には学校教育法等において正規の職員として規定するとともに、義務標準法において教職員定数として算定し、国庫負担の対象とすることを検討する。」これが中教審答申なわけですね。
 それで、こういうことを求めたのが八年前です。あれから八年過ぎました。現場の要求に応えるために、正規雇用あるいは常駐の体制をいち早く整えるべきだと重ねて強く要求したいと思います。
 財政云々の話ではないと思います。子は、子供たちの教育は、本当に日本の未来の宝でありますから、お金がないからというようなことを文科省から言い始めたら、これはもう本当に、いい教育環境をつくる上で一体文科省は何を考えているかということを言われかねません。
 次に……(盛山国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)

○井出主査 何か訂正があるそうで、どうぞ。

○盛山国務大臣 済みません。先ほど、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、私、千校と言いましたが、一万校の間違いでございます。
 そして、今の御発言もしっかり受け止めさせていただきます。

○赤嶺分科員 今の発言は八年前の中教審答申の話ですから、八年かかっているということを是非認識していただきたいと思います。
 教師のストレスとの関係で現場からもう一点指摘があったのは、教員評価システムの問題であります。この教員評価システムは、地方公務員法に基づくもので、一般の地方公務員に適用されているものと事前に文科省から説明を受けました。
 では、実際に学校現場において誰がどのように一人一人の教員を評価しているのか、説明していただけますか。

○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 教員評価システムにつきまして、具体的な方法ということでございますが、具体的な方法については各教育委員会において定められているものでございますが、校長等の管理職が、日常の職務活動の観察を通じまして得られた情報などを総合的に踏まえつつ、各教師の能力と業績を期末面談等において確認した上で評価を実施する、こういうものでございます。

○赤嶺分科員 現場の校長は、教師にとっては、教育の先輩としていわば大変尊敬、敬愛の対象となっている存在だったと思います。
 ところが、この教員の評価システム、学校で管理職である校長先生が一人一人の教職員と面談、評価し、さらにはその評価が給与にまで反映されているということでした。これが教師にとっては相当のストレスになっている、このように現場の先生方から話を伺いました。給与に反映するから校長に意見ができない、どうして自分の評価が下がってしまったのか分からない、やる気がなくなった、家に帰ってからも評価が気になって頭から離れない、このような声を聞きました。自分のどこが悪かったのかと自分を責めている、そういう自分を責めている先生方が子供にどんな気持ちで向き合えるのか、本当に深刻な話だなと思いました。
 先生たちは、一生懸命支え合って働いています。本来、実践の経験を共有し、能力を高め合うはずの同僚を評価し、教師の間に競争意識と分断を持ち込むような仕組みになっております。こうした評価制度の学校現場への持込みは大変異質なものだと思います。やめるべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○盛山国務大臣 公立学校の教師は地方公務員であるため、地方公務員法に基づく人事評価制度の下、人事評価を実施し、任用、給与等の人事管理の基礎として活用する必要がございます。
 文部科学省としても、教師の能力と業績を適正に評価し、評価結果が処遇上も報われるようにすることは、学校教育全体への信頼性を高め、頑張る教師を励まし応援していく上で重要と考えており、評価結果を給与等に活用するなど、人事評価を活用した人事管理に一層努めるよう、各教育委員会に対して通知しているところです。
 引き続き、各教育委員会において、地方公務員法の規定を踏まえた上で、人事評価の実施、及びその活用を適切に実施していただきたいと考えております。

○赤嶺分科員 現実は学校の先生方の激励になっていないですよ。多くの人たちが、評価を気にして、自分のことが気になって、子供たちとの向き合い、それを本当に真摯に真っすぐやっていけるような状態になっていない。私は、こういう評価制度は、学校現場にそぐわないこうした仕組みが教職員にストレスを与えていること、これを文科省が正面から受け止めて、廃止するよう強く求めていきたいと思います。
 教員の業務改善のために指摘したいのは、全国学力テストの問題であります。
 毎年四月に全国の小学校六年生、中学校三年生を対象に行われ、その結果が都道府県別に公表されます。そのため、学力テストのための対策テストなどが行われています。これも私が伺ってきた話でありますが、ある学校では、三年生のときから既にこの対策テストが行われており、子供たちはテスト漬けの日々になっているとのことでした。現場では常に数字が求められ、テストの採点など、教員の負担が重くなっていました。
 学力テストが現場にこうした混乱と教員への更なる負担を、また子供たちにとってもストレスを与えている状況、こうした実態、大臣、どのように把握されておりますか。

○盛山国務大臣 全国学力・学習状況調査は、単に平均正答率のみに着目するのではなく、個々の児童生徒がどの点を理解し、どの点につまずいたかなど、具体的な解答内容や学習状況等を把握することで、児童生徒一人一人への学習指導の改善等に役立てることを目的として実施しているものです。
 各学校においては通常の授業時数の中で実施するものであり、児童生徒や教師にとって過度な負担になっているとは認識しておりません。
 また、調査の結果公表に当たっては、学校の序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することも重要であると考えており、都道府県教育委員会等に対してもそのような配慮を求めております。
 なお、学校等において、仮に、この調査の数値データの上昇のみを目的にしていると受け止められかねないような行き過ぎた取扱いがあるのであれば、それは調査の趣旨、目的を損なうものであると考えております。各種の機会を通じて、その旨を周知しております。
 今後とも、全国学力・学習状況調査の結果の積極的な活用を通じて、教育委員会や学校における取組がより一層充実したものとなるよう支援してまいります。

○赤嶺分科員 文科省が行っている学力テストの趣旨をよく理解してほしいということですけれども、その趣旨は達成されるに至っていないと思います。結局、学校現場では、学力テストがある限り点数や序列を気にせざるを得ないというものを文科省の学力テストがつくっているんですよ。
 いろいろ通知を出しているとおっしゃいますけれども、今月の十四日、参議院の国民生活・経済及び地方に関する調査会でも、参考人の小国喜弘先生、東京大学大学院教授からこの点で何度も指摘がありました。先生の御指摘は、学力テストの点数が〇・五点全国平均よりも高いだけで校長先生は舞い上がり、〇・五点低いだけでも落胆している先生もいる、こういうことを参議院の調査会で指摘しておられました。
 能力や学力は数字では測れないものがあります。繰り返し文科省が学力テストの趣旨の通知を出しても、競争教育の渦中にいながら、順位や数字を気にしないということの方がとても難しいことのように思います。学力テストがある限り過剰な対策テストはなくならないということを現場に行ったら実感します。文科省は全国学力テストの中止を決断すべきだということも申し上げておきたいと思います。
 次に、こうした教員の働き方、教師不足の解決には抜本的な対策が必要であります。
 まずは、教職員の大胆な増員です。そのためにも少人数学級を進めることが重要です。少人数学級がいかに大切なのか、沖縄県で中城村の事例を学んできました。
 中城村では、二〇一八年度から、小学校一年生から小学校三年生を対象に一クラス十六人程度の少人数学級編制を実施しております。これにより長期欠席はゼロになりました。その背景として、地元の新聞にも次のように現場の先生の声を紹介しております。子供一人一人にかけられる時間が多くなった、あるいは、変化に気づきやすくなった、朝から子供と会話できる、このように話しております。
 効果は子供の成長だけではありません。教師の働き方の改善も報告されております。少人数制実施によって学校に配置される教員が増えるため、校務の仕事も分散できている、体育の実技など、少人数だから順番が回ってくる回数が多い、多くチャレンジできる分、上達も早いと思う、ノートチェックや採点も、これは沖縄県の基準よりも半分のクラスですから、半分の量と時間で済む、学級事務も少なくなった。
 このように、少人数学級の効果が子供の面や学校の先生方の働き方の面でも報告がされているんですね。子供にとってもよい学習環境が、先生たちにとってもよい働く環境になっております。
 中城村の事例から分かるように、少人数学級を進めることが教員の働き方の改善につながると思います。大臣も同感だと思いますが、いかがですか。

○盛山国務大臣 学校における働き方改革は、何か一つやれば解決するというものではなく、国、学校、教育委員会が連携し、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備することが重要だと考えます。
 国に期待される役割の一つとして、小学校三十五人学級の計画的な整備を含む教職員定数の改善が重要と考えており、令和六年度予算案において、小学校五年生の学級編制の標準の引下げや高学年における教科担任制の強化、教員業務支援員の全ての小中学校への配置を始めとする支援スタッフの充実などに必要な経費を盛り込んでいるところです。
 引き続き、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいるつもりです。

○赤嶺分科員 働き方改革はそれだけにとどまらないというのはそういうことなんでしょうが、少人数学級、今文科省が段階的に進めている、これを一気に解決して、そして教師の負担も減らし、子供たちにも目配りが行けるようにしていただきたいと思います。
 もう時間がありませんけれども、給特法ですね。
 今日は、この廃止についても強く大臣に申し入れて、何か、四%が一〇%になれば残業させても構わないような議論ではなくて、給特法の廃止こそ、ブラック労働の教師の状態をつくっており、なり手不足をつくっている、この廃止も大事だということを申し上げて、質問を終わります。

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