衆院安保委
日本共産党の赤嶺政賢議員は7日の衆院安全保障委員会で、鹿児島県・屋久島沖の米空軍CV22オスプレイの墜落事故を取り上げ、事故原因の究明と再発防止策が講じられるまでのオスプレイ全機の飛行停止と全面撤去を求めました。
赤嶺氏は、2016年にオスプレイが沖縄県名護市沖に墜落した際、日本政府が「安全が確認されるまでの飛行停止」を求めたことに言及。ところが今回は、「安全が確認されてから飛行する」よう求めただけだったとして「なぜ『飛行停止』に言及しなかったのか」とただしました。木原稔防衛相は、「直接的な表現は異なるものの、飛行に関わる安全確認がされなければ、飛行を行わないと求めた」と弁明しました。
赤嶺氏は、自衛隊関係者からも「安全確認」について、「何を求めているのか、さっぱりわからない」との声が上がっていることを紹介し、「事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまで全機の飛行停止を求めるべきだ」と迫りました。
赤嶺氏は、日本への配備以降も墜落とトラブルを繰り返してきたと指摘。防衛省の大和太郎地方協力局長は、配備後の墜落や緊急着陸、部品落下等が計34件発生していることを明らかにしました。
赤嶺氏は、「住民の頭上をいつ墜落するかもわからない欠陥機が飛行し続ける現状を、これ以上放置できない」として、「オスプレイは全面撤去すべきだ」と強調しました。
殺傷兵器輸出やめよ
赤嶺氏 紛争地で使用の可能性
衆院安保委
日本共産党の赤嶺政賢議員は7日の衆院安全保障委員会で、政府・与党が検討を進める殺傷兵器の輸出解禁をやめるよう求めました。
政府・与党は、安倍政権が2014年に策定した「防衛装備移転三原則」と同運用指針を見直し、殺傷兵器の輸出を解禁しようとしています。
赤嶺氏は、米国内でウクライナやイスラエルへの軍事支援により武器弾薬の不足が指摘されていることに言及。政府・与党が、米国のライセンスを使用して国内企業が製造した戦闘機やミサイルなどの完成品をライセンス元の米国やそれ以外の国に輸出可能にしようとしているとして「日本製の殺傷兵器が直接紛争地で使用される可能性が出てくる。そのようなことを認めるのか」と追及。上川陽子外相は「見直しの内容は決まっていない」として答弁を避けました。
赤嶺氏は、輸出対象から戦闘地域の除外が検討されていることについて「米国の在庫不足を補うために輸出するのであれば、米国による紛争地への輸出を後押しするようなものだ」と批判。国内の軍需産業が安保3文書に基づく大軍拡で生産ラインを次々と拡大しているとして、「戦争で自国の経済を潤すような国になってはならない」と強調しました。(しんぶん赤旗ホームページ)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
今までちょっと憲法審査会に出ておりまして、戻ってきたら、米軍が世界中のオスプレイの全機飛行停止を求めているというニュースに接しました。それに関連した質問は後ほどやっていきます。説明もそのときに防衛大臣にはお願いしたいと思うんですが、ただ、これまでのオスプレイの墜落に関する日本政府の対応については、検証すべき問題が幾つかあると思います。そこから防衛大臣には問うていきたいと思います。
十一月二十九日、米軍のオスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落をしました。
防衛大臣に伺いますが、政府は、二〇一六年、名護市安部に墜落したときは、安全が確認されるまでの飛行停止、これを米側に申し入れました。安全が確認されるまでという曖昧な内容ではありましたが、それでも、飛行停止、これ自体は明示的に求めておりました。言及していました。ところが、今回は、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うことを申し入れただけであります。飛行停止には言及をしていません。なぜ飛行停止に言及しなかったんですか。
○木原国務大臣 まずは、今回のような事故の発生は、地域の皆様に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾であります。
米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、事故の状況等について早期の情報提供を求めておりました。
二〇一六年の話もございました。名護市沖のオスプレイの事故の際は、防衛省から米側に対し、御指摘のように、安全が確認されるまでの飛行停止を要請いたしました。
今回の事故に際しても、米側に対し、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請をしておりまして、飛行に係る安全が確認されなければ飛行を行わないということを明確に求めているというところであります。
○赤嶺委員 全然違いますよね。
二〇一六年のときには飛行停止を明示的に求めていたわけですよ。今回はなぜそれを求めなかったのか。飛行停止という文言で明示的に求めていないわけです。要請内容を変えたわけですよ。その要請内容を変えた理由、これを明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。
○木原国務大臣 二〇一六年は安全が確認されるまでの飛行停止を要請、今回は、直接的な表現は異なるものの、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請、つまり、飛行に係る安全が確認されなければ飛行を行わないということ、これを明確に求めていたというところであります。
○赤嶺委員 つまり、考えなければ分からないんですよ。
安全が確認されてから飛ぶようにということは、やはり、はっきり飛行停止ということを求めた場合には、米軍も、ああ、そうかということになるわけですが、政府は安全を確認してから飛行するよう求めたとはいえ、事故原因は明らかになっていないわけです。明らかになっていないにもかかわらず、安全を確認するとは、どういうことを確認するよう求めたのか、これも分からないわけですね。
事故原因が明らかになっていない以上、一般的な確認にならざるを得ないのではないかと思いますが、いかがですか。
○大和政府参考人 先ほど大臣から御答弁があったように、今般の事故発生を受けて、防衛大臣、外務大臣からの要請も含め、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう正式に要請しております。それから、防衛大臣が在日米軍司令官と会った際にも、原因の究明というものを求めているところであります。
そして、これらの要請を踏まえて、アメリカからは、まず一日に、今般事故を起こしたCV22の飛行を現在行っていないということ、それから、事故に関する可能な限り詳細な情報を透明性を持って日本政府に共有する旨、説明がございました。また、日本に配備されている全てのオスプレイは、徹底的かつ慎重な整備と安全点検を行った上で運用されているという説明を受けたところであります。さらに、全てのオスプレイの部隊は、CV22の事故をしっかり踏まえた上で、安全点検及び予防的な整備を行っているとの説明を受けています。
そして、先ほど大臣から御説明いたしましたが、日本時間の七日の九時台に、空軍からCV22の全機の運用停止ということ、そして、これを受けて、米海軍、米海兵隊が全てのオスプレイの運用を停止したということを発表したところであります。
いずれにせよ、米軍機の運用に当たっては、飛行の安全を確保することが最優先でありまして、今回の措置も含めて、今、詳細を確認しているところでございます。
○赤嶺委員 今回の要請については、大臣、自衛隊の関係者からも疑問の声が上がっているわけですね。安全が確認されてからと言うけれども、自衛隊員は日々、安全確認をしてから飛んでいるわけですよね。一体、安全確認と言うけれども、大臣、何を求めているのかさっぱり分からないというのが報道されているわけです。
飛行停止にも明示的に言及せず、何を求めたかも分からないような要請だから、国防総省の報道官の、正式な要請は受けていないなどという発言につながったのではないかと思います。
沖縄では、墜落後も、何事もなかったかのように、住民の頭上をオスプレイが飛び回っていました。米軍の都合をおもんぱかるにもほどがある、こういう怒りが広がりました。
鹿児島県は、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまでは、オスプレイの飛行を停止することを求めています。沖縄県も同じです。住民の命に責任を持つ立場からすれば、これは当然のことです。
今朝の報道で、米軍は、独自の判断として、世界に配備している全ての種類のオスプレイの飛行停止を決めたことが報じられております。その点の事実関係、改めて政府として、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまで、オスプレイ全機飛行停止を継続するようアメリカに求めるべきだと思います。大臣、いかがですか。
○木原国務大臣 事実関係ということでございますけれども、米空軍が日本時間の七日の九時台に、調査が継続している中、リスクを軽減するため、米空軍CV22オスプレイの運用停止を指示した、そして、初期的な調査情報は、潜在的な物質的不具合が事故を引き起こしたことを示唆しているが、根本的な原因は現時点で不明である、この運用停止はCV22が飛行活動に復帰することを確保するための原因と推奨策を導き出すための徹底的な調査を行う時間を与えるものである旨をホームページで発表しております。
さらに、これを受けて、米海軍及び米海兵隊は、その米空軍の決定を受けて、全てのオスプレイの運用停止措置、つまり、海軍の場合はCMV22、そして海兵隊の場合はMV22でございますが、全てのオスプレイの運用停止措置を導入しているところである旨を同様に発表をいたしました。
そして、私どもでございますけれども、米側に対しては、事故の状況等について早期の情報提供を求める中で、事故の原因究明についても要請しているところであります。
飛行の安全の確認を行う中にあっても、事故に関する可能な限りの情報も透明性を持って共有されていたものというふうに認識しております。飛行を行うに当たりましては、その飛行に係る安全が確認されることが何よりも重要であるという、そういう認識は日米間で共有されているところであります。
○赤嶺委員 ですから、日本は、アメリカがそういう措置を取るまで、海兵隊のMVオスプレイはじゃんじゃんじゃんじゃん飛ばしていたわけですよ。事故が起きたその日も住宅地上空を飛んでいたわけですよ。
今度こそ、アメリカに対して、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまで、オスプレイ全機の飛行停止は継続するようアメリカに対して求めるべきだと思いますが、アメリカの説明をまつまでもなく求めるべきだと思いますが、その点、いかがですか。
○木原国務大臣 米側に対しては、事故の状況等についての早期の情報提供を求める中で、事故の原因究明についても要請をしております。
飛行の安全の確認を行う中にあっては、事故に関する可能な限り詳細な情報も透明感を持って共有されるものというふうに認識をしております。
防衛省としては、飛行の安全が確認されることが何よりも重要であるということを十分に踏まえて、今後、適切に対応してまいる所存です。
○赤嶺委員 オスプレイは、開発段階から墜落事故を繰り返してきた危険極まりない欠陥機であります。オートローテーションの機能の欠如、あるいはクラッチの不具合などの構造的欠陥を抱え、日本に配備されてからも墜落とトラブルを繰り返してきました。
これまでに何件の墜落、緊急着陸、部品落下を引き起こしていますか。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
日本国内における米軍オスプレイの事故、それから緊急着陸等の件数は、これまで三十四件発生しておりまして、うち、予防着陸が二十三件、緊急着陸が一件、部品落下等が七件、不時着水が一件、墜落が一件、そして、脚、ギアですね、脚を出すことができず、パッド上に着陸したものが一件というふうになっております。
なお、この中での不時着水については、平成二十八年、二〇一六年十二月十三日、沖縄北東の海上で、夜間、空中給油訓練を実施していた米海兵隊MV22のプロペラがMC130の給油ホースと接触したことにより、名護市の沖合に不時着水したものであります。
○赤嶺委員 名護市安部のことをまだ不時着水と言っていますけれども、名護市への最初の連絡は墜落だったんですよ、防衛省からも、米軍からも。それをまだ、いまだに不時着水と言い換えている。本当に、私は、この態度が絶対に納得いきません。
国民の不安と反対の声を押し切って米軍基地への配備を容認して自衛隊への導入を進めてきた日本政府の責任は極めて重大だと思います。
そればかりか、米軍の運用最優先で、飛行停止さえ求めなくなっています。こんな対米従属姿勢で、国民の命を守れるはずがありません。住民の頭上をいつ墜落するかも分からない欠陥機が飛行し続ける現状をこれ以上放置することは許されません。オスプレイは全面撤去すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、武器輸出の拡大についてです。
政府・与党は、安倍政権が二〇一四年に策定した防衛装備移転三原則と同指針を見直し、殺傷兵器の輸出解禁に踏み切ろうとしています。
外務大臣に伺いますが、アメリカ政府は、今回のハマスによる攻撃直後から、イスラエルに対する武器の供与を拡大しています。どういう武器を供与しているのか、日本政府はそれについてどのような見解なのか、明らかにしていただけますか。
○上川国務大臣 御質問でございます、第三国間の関係につきまして日本政府としてコメントすることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 答弁を控えさせてもらうということですが、迎撃ミサイルや精密誘導弾や軍用車両、暗視機器など、次々とアメリカからイスラエルに送られていることは、報道でも明らかです。さらに、今アメリカで審議中の補正予算には、ウクライナとイスラエルへの十六兆円の軍事支援を盛り込んでいます。人道目的の戦闘休止が必要と言いながら、軍事攻撃を継続するための支援は着々と進めているわけです。
今、与党のワーキングチームで、いわゆるライセンス品の輸出解禁が議論されております。国内企業がアメリカのライセンスを使用して製造した戦闘機やミサイルなどの完成品を、ライセンス元のアメリカやそれ以外の国に輸出可能にするというものです。
今、アメリカは、ウクライナやイスラエルへの軍事支援で、武器や弾薬が不足してきています。日本からライセンス品の輸出を解禁すれば、日本製品の殺傷兵器が直接紛争地で使用される可能性が出てきます。外務大臣は、そうしたことをお認めになるんでしょうか。
○上川国務大臣 防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度、この見直しの内容につきましては現時点で決まっておりませんで、仮定の質問に対して予断を持ってお答えすることはなかなか困難であると考えております。
いずれにいたしましても、今後どのような形で制度の見直しを行っていくかにつきましては、国際情勢の変化を見据えながら、与党における検討も踏まえまして、政府として適切に判断していく考えでございます。
○赤嶺委員 私は、今回、報道によりますと、国民の批判を恐れてか、戦闘行為が行われている国、地域を輸出対象から除外すると言い出しています。しかし、アメリカの在庫不足を補うために輸出するのであれば、アメリカによる紛争地への輸出を後押しするようなものです。
今、日本の軍需産業は、安保三文書に基づく軍拡で、生産ラインを次々と拡大していることが報じられています。一旦拡大した生産体制は、一体どうやって維持していくのか。戦争で自国の経済を潤すような国になってはなりません。殺傷兵器の輸出解禁は絶対にやるべきではないということを強く申し上げたいと思います。
最後に、イスラエル、パレスチナ紛争についてです。
イスラエル軍は、今月一日、ガザでの戦闘を再開しました。ガザ全域で空爆を激化させ、住民を避難させた南部にも地上戦を拡大しています。逃げ場のない状況に置かれ、子供たちを含む民間人の犠牲者が更に拡大しています。イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅するまで戦争を継続することを明言しています。
今回の軍事衝突の直接の契機となったハマスによる無差別攻撃が絶対に許されないことは明らかです。しかし、同時に、こうした事態が起こった根底には、イスラエルが、国連決議も無視してヨルダン川西岸とガザを占領下に置き、パレスチナ住民を排除しながら入植地を拡大してきたことがあります。ガザに対しては、分離壁で封鎖して、天井のない監獄と呼ばれる非人道的な状態をつくり出し、度重なる空爆で多くの住民を犠牲にしてきました。
外務大臣は、こうしたイスラエルによる占領や入植、封鎖については、どのような見解ですか。
○上川国務大臣 我が国といたしましては、この入植活動は国際法違反でありまして、二国家解決の実現を損なうとの立場でございます。この間、イスラエルに対しましても、入植活動を完全凍結するよう強く求めてまいりました。
ガザ地区の状況につきましては、深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来ある子供たち、また女性、高齢者を含む多くの死傷者が発生していることに、大変心を痛めている状況でございます。
そうした中におきまして、戦闘休止、人質の解放及び人道支援物資のガザ地区への搬入増大を歓迎していたところでございますが、戦闘が再開されたことは誠に残念でございます。戦闘再開により、現地の危機的な人道状況が更に深刻化することを強く憂慮しているところでございます。また、ハマス等によりまして誘拐され、長期にわたりまして拘束されている方々も、極めて厳しい状況に置かれております。
こうしたことから、こうした危機的な人道状況の改善、そして事態の早期鎮静化を実現するためには、合意への復帰が重要でありまして、再度の戦闘休止に向けた関係者への働きかけなどを通じまして、我が国としても、外交努力を払ってまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 パレスチナ住民の怒りは、長期にわたるイスラエルによる占領、入植、封鎖、殺りくという不正義に対して向けられたものです。
外務大臣は、イスラエルに対し、自国を守る権利があると繰り返し伝えてきていますが、軍事力の行使は暴力と憎しみを一層拡大することになると思いますが、この点はいかがですか。
○上川国務大臣 今次の事案の経緯、また複雑な背景事情等に鑑みまして、停戦に至るまでは、引き続き一つ一つの成果を積み重ねていく必要があるというふうに考えておりまして、まさに、我が国は、人道目的の戦闘休止と人道支援の活動が可能な環境の確保に向けまして、尽力してまいったところでございます。
現下の人道危機の状況に大変憂えているところでございまして、あらゆる場、安保理、そして様々なG7の取組、さらには二国間の関係、こうしたことを通じまして、一日も早く状態が改善できるような取組につきましては、粘り強い外交努力を重ねてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 二〇二一年の軍事衝突以降、イスラエル国内のユダヤ人とアラブ人約一千人を対象に世論調査を続けてきたというヘブライ大学のエラン・ハルペリン教授のインタビューが報じられていました。ハルペリン教授は、対立の背景として、ユダヤ人とアラブ人の双方が、集団的に強い被害者意識を持っていることを挙げています。そして、占領下でパレスチナ住民を排除しながら入植地を拡大してきたことがあります。
是非、その双方の平和的な和解のための努力、戦闘を停止することをイスラエルにきちんと要求して、双方の和解のための努力を尽くすことこそ、憲法九条を持つ日本の国の役割ではないかと思います。
これを要請しまして、質問を終わります。