国会質問

質問日:2023年 4月 27日  第211国会  安全保障委員会

軍事企業 国が丸抱え 支援法案 衆院委可決 共産党は反対

赤嶺氏が追及

 

 国内軍需産業の基盤を強化するための財政支援措置を盛り込んだ「軍需産業支援法案」が27日の衆院安全保障委員会で、自民、公明、維新などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 共産党の赤嶺政賢議員は討論で、同法案は、国が採算のとれない軍事企業の製造施設を買い取り、設備投資や維持管理の負担せずに経営できるようにするものだと指摘。「事実上の『工廠(こうしょう)』の復活に道を開く」と批判しました。

 また、同法案が、契約企業の従業員に守秘義務を課し、漏えいだけでなく企てや教唆なども刑事罰の対象となると指摘。「メディアの活動を萎縮させ、国民の知る権利を侵害する」と批判しました。

 赤嶺氏は同日の質疑で、国による製造施設の取得について「譲渡先が見つからず、国が保有し続けることになりかねない」と追及。浜田靖一防衛相は「(買い取りの)応募がなければ製造を委託し続ける」と述べ、国が保有し続ける可能性を認めました。

 また、現在も防衛省は契約上の措置として従業員に守秘義務を課しているものの、漏えいは30年前に1件しかないと指摘。日米安保協議委員会(2プラス2)などで軍事情報の保全体制強化を日米両政府は確認しており、同法案の守秘義務規定は米国の要求に基づくものだと迫りました。

 赤嶺氏は、下請け企業にも守秘義務が課されると指摘し、対象の規模をただすと、防衛装備庁の土本英樹長官は「約1万5千人を見込む」と答弁。赤嶺氏は「多数の従業員に秘密保全を強制するものだ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2023年4月28日)

 

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軍事企業 国が丸抱え(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 まず、前回に続いて、軍事企業への財政支援について伺います。
 前回、財政支援の対象には製造ラインの増設も含まれるという答弁がありました。製造施設の国有化についても、国が新たな施設を造って、企業に委託することも可能だということでした。
 今、防衛省は、五年間で防衛力を抜本的に強化するとして、長射程ミサイルなどの誘導弾や弾薬の製造に五兆円をつぎ込み、一気に整備する計画です。しかし、企業からすれば、五年後以降も同規模の受注が見通せなければ、製造ラインの強化に二の足を踏むことも考えられます。
 今回の法案は、軍事企業の施設投資費を国が肩代わりして施設や設備を増設させ、それでも足りなければ国が買い取って施設を新設し、固定費も国が負担して企業に兵器を造らせる、そういうことが可能になると思いますが、いかがですか。

○浜田国務大臣 企業の設備投資は、防衛大臣の認定を受けた装備品安定製造等確保計画に基づく特定取組として、製造等の工程の効率化に適合する限り、本法律第二章による財政上の措置の対象となります。
 また、指定装備品等の適確な調達を図るために必要な施設、土地、設備については、管理の委託を受けて当該指定装備品等の製造等を行う防衛関連事業者がいることを前提に、他に手段がない場合には、この制度の趣旨に合う範囲内において増設することは可能であります。
 いずれにしても、これらの制度の運用に当たっては、具体的な案件ごとに法律の要件を満たすか、個別に判断していく必要があると考えております。

○赤嶺委員 私は、こういうことが可能になれば、企業にとっては初期投資も維持管理費も一切負担せずに経営することができることになると思います。究極の軍需産業支援措置にほかならないということを指摘しておきたいと思います。
 その原資は国民の血税です。防衛省に国民への説明責任があります。ところが、法案には、国会や国民への報告についての規定は一切ありません。計画を認定した企業、支援措置の内容、国が支払った金額を国民に明らかにするべきだと思いますが、いかがですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 一般的に、国の支出の原因となる契約に係る情報につきましては、財務大臣通知、「公共調達の適正化について」に基づきまして、原則公表することとされております。
 このため、特定取組の実施に係る契約を締結した場合には、この通知に基づきまして、自衛隊の任務遂行能力に関する弱点を追認されるおそれがない範囲で、契約の相手方や契約金額などに係る情報の公表を原則行うこととなるというところでございます。

○赤嶺委員 極めて限られた部分しか公表しない、そういう答弁ですよね。国民の血税で軍事企業を優遇しておきながら、その使い道や金額、全体像を明らかにしないなど、これは認められないと思います。
 更に伺いますが、法案は、国が取得した施設などを早期に譲渡するよう努めるとしていますが、一方で、管理を委託している企業の円滑な製造に支障がないよう配慮すると書かれています。これはどういう意味でしょうか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法律案では、取得した指定装備品製造施設等につきまして、国は早期譲渡に努めることとしているところでございます。他方で、本法律案では、装備品等の安定的な製造等の確保を進めることを目的としているところ、これに支障を生じてまで早期に譲渡する努力義務を防衛大臣に課しているものではないとの趣旨を、念のために規定している条文でございます。

○赤嶺委員 これまでの防衛省の説明でも、そもそも、他に製造できるところがない、継承先も見つからないものを買い取るというものになっています。国が所有したからといって、譲渡先が見つかる保証はありません。国が施設や設備を保有し続けることになりかねないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○浜田国務大臣 製造施設等の管理委託契約の期間満了前に当該製造施設等を買い付けて、装備品等の製造等を行う事業者を公募いたします。その公募に対し、そのような事業者が応募してきた場合は、現行の管理委託契約終了後に、当該事業者に製造施設等を売却することとなります。
 他方、このような公募に対して応募する事業者がいない場合は、管理委託契約を新規締結又は更新し、装備品等の製造等を引き続き行わせることとなります。

○赤嶺委員 結局、委託先、譲渡先というのか、その保証は全くないわけです。防衛省が、軍事力の強化のために、採算も効率も度外視して施設を買い取り、増強し、製造させるというものです。参考人質疑では、有事の際に業務従事命令を課すべきだという主張も出ていました。戦前の工廠をほうふつとさせるものであります。日本の経済や産業も軍事最優先に転換していこうというものであり、これも絶対に認められません。
 次に、企業への秘密保全措置について質問をします。
 法案は、防衛省と契約した企業の従業員に対し、いわゆる省秘の保全を法律上の義務として、違反者には罰則を科すとしています。しかも、企て、教唆、幇助も対象としており、国民の知る権利を脅かす危険は重大であります。
 今でも防衛省は、契約上の措置として、秘密を取り扱う従業員に保全義務を課しています。これまで、従業員が情報を漏えいし、問題となったことがあるんでしょうか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 装備品等秘密として指定することを想定しておりますいわゆる省秘につきまして、三十年近く前ではございますが、当時の防衛庁の許可なく、当時の庁秘に該当する情報を事業者が流出しました事案を一件確認しております。
 本件事案を受けまして、企業における情報保全を確実なものとするため、装備品等の調達に係る秘密保全対策ガイドラインの策定など、必要な対策を講じたところでございます。

○赤嶺委員 三十年前に一件だけですよ。それも、従業員が情報を漏らしたという事案ではありません。
 その後、防衛省は、省秘保全に関する訓令も改定いたしました。その下で問題は起きておりません。
 今でも企業は、下請まで含めて、厳しく情報管理を徹底している、このように聞いております。にもかかわらず、なぜ今回、刑事罰までつけて、民間事業者に守秘義務を課していくんですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 近年、安全保障環境が厳しさを増し、防衛産業におきましてもサイバー攻撃の脅威などのリスクの増大が見られ、また、諸外国からの装備品等の導入や共同開発の進展に伴い、これまで以上に、契約事業者が取り扱う装備品等に関する情報管理の徹底が必要となっております。
 特に、防衛省から提供いたしました秘密情報を含む装備品等の情報が、万が一、契約事業者を通じて漏えいした場合、我が国の安全保障上の影響や諸外国からの信頼喪失につながり、その後の装備品等の開発や調達に多大な支障が生じることとなります。
 このため、防衛産業の保全制度の一層の強化のため、契約事業者に提供する装備品等秘密に関しまして、これを取り扱う従業者に対する守秘義務を法定化した上で、これを漏えいした場合の罰則を設け、保全の強化を図ることとしたところでございます。

○赤嶺委員 刑事罰まで科すわけですよね。しかも、近年厳しくなっているとお決まりの文言を使っておりますが、三十年前に一回あったきりですよ。それ以後ないわけですよね。
 結局、二〇一五年に改定された日米ガイドライン、ここに、秘密情報の保護に関連した政策、慣行及び手続の強化における協力を維持する、このようにしております。二〇一九年四月の日米2プラス2でも、共通の経済及び防衛上の優位性の保持のために政府全体の情報保全を強化すること、防衛産業基盤と名指ししてサプライチェーンセキュリティーを進めることを確認しております。
 こうした協議の内容を今回具体化するものではないかと思います。日米間でどんな話合いをしてきたんですか。

○浜田国務大臣 機微な技術情報を始めとする情報保全体制の徹底や、装備品に係る安全なサプライチェーンの確保は、日米同盟の重要な基盤であり、この認識は従来から日米間で完全に一致しているものであります。
 日米間の協議内容については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えますが、御指摘の記述等を踏まえ、米国との間では、情報保全体制の強化や安全なサプライチェーンの確保に関し、不断に検討を行っております。

○赤嶺委員 今年一月の2プラス2の共同声明も、同盟にとっての情報保全の基盤的な重要性を強調しています。アメリカの要求に基づくものだということは明らかであります。
 法案で守秘義務を課せられる契約企業の従業員には、プライム企業だけでなく、防衛省と直接契約関係のない下請企業、ここも含まれるんですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法律案により守秘義務が課される従業者の範囲は、契約事業者が装備品等契約に従い、装備品等秘密を取り扱うこと等について、あらかじめ同意を得た従業者となります。
 下請事業者が装備品等秘密を取り扱う必要がある場合は、防衛省は下請事業者とも装備品等契約を締結し、元請企業と同じ保全措置を求めることになるため、当該下請事業者の従業者に対しましても、本法律案の守秘義務が課されることとなります。

○赤嶺委員 含まれるわけですね。
 今回の措置により守秘義務を課せられる従業員、これはどういう業種で、規模はどのくらいになると想定していますか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法律案により守秘義務が課される事業者の業種につきましては、装備品等の製造や研究開発を行う事業者が想定されるところでございます。その従業者数につきましては、約一万五千人程度を見込んでいるところでございます。

○赤嶺委員 一万五千人の人がこの法案の成立で一挙に刑事罰まで科せられる。今でも契約上の措置として、企業に対し、省秘を取り扱う従業員の情報は報告させていると思います。その事業者数と業種、契約数、従業員数、これも明らかにしていただけますか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 委員お尋ねの、まず、省秘を取り扱う特約条項を適用した契約を結んだ事業者数は約百四十者。業種につきましては、様々ございますので、一概に申し上げられませんが、機微情報を含む装備品等の製造事業者や、研究開発等に当たる事業者が該当します。契約数は約三百五十件。省秘を取り扱う従業者数は、先ほど申しましたように、約一万五千人程度となります。

○赤嶺委員 やはりこれも、下請企業まで含め、多数の従業員に秘密保全を強制し、刑事罰の対象としようというもので、認められない。
 そして、論点はまだたくさん残っている。今日で採決というようなことになっておりますが、これでは非常に不十分な議論で、危険な法律が成立させられようとしていることに大変危惧の念を持っております。
 そういう法案は廃案にすべきだということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、軍需産業支援法案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、憲法九条を踏みにじり、日本経済、産業の軍事化を一層推し進めるものです。
 法案は、国内の軍需産業を防衛力そのものと位置づけ、生産・技術基盤を強化するとした安保三文書を具体化するものです。
 軍事企業が製造体制の強化などに必要と言えば、国が費用を丸ごと肩代わりし、さらには、直接、製造施設を買い取って、設備投資や維持管理の負担なしに事業を行うことを可能にするものです。究極の軍事企業支援策であり、事実上の工廠の復活に道を開くものです。
 しかも、新たな販売拡大のために、武器輸出への助成も進めるとしています。戦争を企業のもうけや経済成長に利用するなど、断じて容認できません。
 第二は、軍事機密の保全体制を拡大、強化するものだからです。
 法案は、広範な契約企業の従業員に、従来の契約上の措置にとどまらず、法律で省秘の守秘義務を課し、刑事罰の対象にするものです。しかも、漏えいだけでなく、企て、教唆、幇助も処罰の対象としており、メディアの活動を萎縮させ、国民の知る権利を侵害するものです。
 政府は、敵基地攻撃用ミサイルの射程や数、保管場所さえ国民に示しておりません。国民の目、耳、口を塞ぎ、大軍拡を進めるなど、絶対に許されません。
 アメリカは、軍事情報の共有や共同研究開発を推進するため、官民一体の情報保全対策の強化を日本に求めてきました。
 政府が進める武器輸出の拡大も、中国包囲網の構築を狙うアメリカの戦略に沿ったものです。
 こうしたアメリカ追従の軍事体制強化は、東アジアの緊張を一層高めるものです。軍事力の強化ではなく、地域の包摂的な平和の枠組みを発展させる外交に全力を尽くすよう政府に求め、討論を終わります。

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