国会質問

質問日:2023年 4月 21日  第211国会  安全保障委員会

武器輸出推進 具体化 軍需産業支援法案 赤嶺氏が批判

衆院安保委

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は21日の衆院安全保障委員会で、政府が国内の軍需産業を強化するための財政支援措置を盛り込んだ軍需産業支援法案について質問しました。

 同法案は、支援措置の一つとして、企業の武器輸出に対し、国が経費を助成するとしています。

 赤嶺氏は、国家安全保障戦略が武器輸出を「官民一体となって推進する」としており、法案は「これを具体化するものだ」と指摘。政府はこれまで「武器輸出を国家戦略として推進することは考えていない」(安倍晋三元首相)と答えてきたとして、「今回、まさに国家戦略に武器輸出を進める方針を明記した。過去の答弁と違う」と批判しました。

 赤嶺氏は、安保3文書が軍事企業を防衛力そのものと位置づけ、その強化のために政府が企業の販路拡大に取り組むとしていると述べ「軍需産業を成長産業にしようとするものだ」と指摘。アメリカがウクライナに提供している兵器を製造する米巨大軍事企業の株価が過去最高水準になっていることなどを示し、武器輸出の拡大は「企業の利益のために戦争を利用する道につき進むことになる」と厳しく批判しました。

 浜田靖一防衛相は「防衛産業の成長のために促進するものではない」と答えました。

 赤嶺氏はさらに、政府が殺傷能力のある兵器の輸出を可能とすることを検討していると指摘。浜田防衛相自身が過去に戦闘機の輸出に言及していたことを挙げ「殺傷能力のある兵器の輸出を解禁し、企業のもうけにしようとするなど、日本国憲法に真っ向から反するもので断じて許されない」と厳しく指摘しました。(しんぶん赤旗 2023年4月22日)

 

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案について質問をします。
 今回の法案は、武器を輸出する企業に対し、防衛大臣が求める仕様変更を行うのに必要な経費を国が助成する仕組みを盛り込んでおります。安保三文書は、「防衛装備移転を円滑に進めるための各種支援を行うこと等により、官民一体となって防衛装備移転を進める。」としております。今回の措置はこれを具体化するものであります。
 大臣に伺いますが、安倍元首相は二〇一六年一月七日の参議院本会議で、「武器輸出を国家戦略として推進するといったことは全く考えておりません。」と、このように答弁をしております。二〇一七年には当時の稲田防衛大臣が同様の見解を表明しています。
 ところが、今回、まさに国家戦略である国家安全保障戦略で、官民一体となって武器輸出を進める方針を明記いたしました。これまでの方針を変えたということですか。

○浜田国務大臣 御指摘の平成二十八年一月七日の参議院本会議における安倍元総理の答弁は、井上議員から、経団連は、提言を発表し、安保関連法の成立で自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる下、武器輸出を国家戦略として推進すべきと強調しています、総理はこの答弁に基づき武器輸出を国家戦略として推進するつもりですかとの質問に対し、安倍元総理からは、「御指摘のように、武器輸出を国家戦略として推進するといったことは全く考えておりません。」と答弁したものです。
 これは、経団連の提言における、安保関連法の成立で自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる下という部分も含めて、ただいま申し上げた井上議員の質問全体に対して「御指摘のように、」と答弁したものであり、防衛装備移転推進そのものを否定した答弁ではないと考えております。
 なお、平成三十年十二月に閣議決定された防衛計画の大綱においても、「防衛装備移転三原則の下、装備品の適切な海外移転を政府一体となって推進する」旨を記載しているところであります。

○赤嶺委員 いやいや、当時の安倍総理の答弁は、もしそれを正確に言うなら、経団連の御提案のように国家戦略とすることはできないという、経団連の提案全体に対する答弁にはなっていないんですよ、私も読み返してみましたけれども。やはり、武器移転を国家戦略にすることはないと。
 国家安全保障戦略は、武器輸出を、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略などを受けている国への支援のための必要な政策手段だと位置づけております。まさに、国家戦略として、望ましい安全保障環境をつくるために武器輸出を進める、そういうことではありませんか。安倍首相の答弁の趣旨とは全く違うと思います。いかがですか。

○萬浪政府参考人 御指摘の答弁の中で、安倍総理の答弁のところ、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、すぐ前のところで、「防衛装備の海外移転についてお尋ねがありました。」とありまして、防衛装備の海外移転につきましては、我が国としては、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持してまいりますと。その後に「防衛装備移転三原則の下、海外移転が許されるのは、」とありまして、これが「平和貢献・国際協力の積極的な推進又は我が国の安全保障の観点から積極的意義がある場合に限定されています。」という言い方でございまして、御指摘の武器輸出という言葉と、防衛装備移転三原則の下の海外移転というのは、違う段でというか、違う言い方をしておりまして、私どもが、防衛装備移転三原則、平成二十六年以降のものでございますが、これで海外移転をしていくということを否定しているというものでは全くないということでございます。

○赤嶺委員 こんなふうに説明をつけ加えないと理解できないような答弁を、意識的に答弁書を書いているとしか思えません。今度の場合、国家戦略としては武器輸出は位置づけないと言ったものを、国家安全保障戦略で明確に位置づけているわけですよ。過去の答弁とは違うということを強く申し上げておきたいと思います。
 三文書は、軍需産業を防衛力そのものと位置づけ、その強化のために政府が企業の販路拡大に取り組むとしています。
 政府が三文書の策定に向けて設置した有識者会議、その有識者会議でも、出席した委員から、軍事企業の成長のために政府が海外に市場を広げる方策を議論すべきだとか、日本は武器輸出を制約してきたことが軍事企業の成長を妨げてきたなど、武器輸出の拡大で軍需産業を成長産業にすべきだという発言が相次ぎました。
 三文書の方針は、この有識者会議の議論と同じ立場に立って、軍需産業を成長産業にしていこうというものであると思いますが、いかがですか。

○浜田国務大臣 有識者会議に参加いただいた有識者の皆様は、それぞれの経験と知識に基づいて御意見を述べていただいたものと承知をしておりますので、これを尊重し、拝聴したところであります。
 その上で、防衛装備品の海外への移転は、国家安全保障戦略に記載のとおり、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段であると考えております。
 また、防衛力整備計画にあるとおり、防衛装備移転はあくまで防衛産業の成長性の確保にも効果的ということであり、防衛産業を成長産業にするために防衛装備移転を促進するというものではございません。

○赤嶺委員 アメリカの巨大軍事企業であるロッキード・マーチン社やレイセオン社は、イラク侵略戦争で米軍が使用したトマホークや戦闘機を製造し、莫大な利益を得ました。この二社は今、アメリカがウクライナに提供しているスティンガーやジャベリンも製造しております。ウクライナ戦争が始まって以降、株価は過去最高水準になっております。
 武器輸出拡大の行き着く先、これは、戦争や紛争を企業の利潤拡大のために利用する、こういう道に突き進むことになる、このように懸念をしております。いかがですか。

○浜田国務大臣 我々は、あくまでも先ほども申し上げたとおりでございまして、常に、防衛産業というものを考えるに当たっては、先ほども申し上げたとおり、防衛産業を成長産業とするために防衛装備移転を促進するということは考えておりません。

○赤嶺委員 政府は、イエメンの内戦に軍事介入したUAEに対しC2輸送機を輸出することを検討していると報じられております。これは、武器輸出で利益を出そうとすれば、軍事紛争に群がって、企業のもうけの種にしていくことにならざるを得ません。移転三原則にも反するものであります。
 安保三文書は、さらに、装備移転三原則や運用指針の見直しを検討すると明記しております。政府・与党は殺傷能力のある兵器の輸出を可能にするよう検討していると報じられておりますが、大臣はどのように考えておりますか。私は、地域の緊張を高め、紛争を助長するだけだと思いますが、いかがですか。

○浜田国務大臣 防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しに関わる具体的な内容については決まっておらず、具体的な内容に関わる御質問にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思いますが、政府としては、平和国家としての基本理念を堅持することに変わりはございません。

○赤嶺委員 今答えるのは困難だ、これまでの立場に変わりはないということをおっしゃっていらっしゃいますが、大臣は、昨年十二月九日の記者会見で、イギリスやイタリアと共同開発する次期戦闘機について、両国を通じた第三国への輸出や日本が直接輸出することにも言及をしております。殺傷能力のある兵器の輸出を解禁し、それを企業のもうけにしようなど、日本国憲法の平和原則に真っ向から反するものであります。断じて許されないと厳しく指摘しておきたいと思います。
 次に、軍事企業への財政支援についてであります。
 法案は、防衛大臣が指定する兵器を製造する企業が行う供給網の強靱化、サイバーセキュリティーの強化、製造工程の効率化、事業承継の費用を政府が支払うとしております。この製造工程の効率化には具体的にどのような取組が含まれるのですか。そして、製造ラインの増設、これも財政支援の対象になるのですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法律案は、いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤を強化することを目的としておりまして、自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品等の適確な調達を行うため、財政上の措置等を行うことを想定しております。
 そのような考え方の下、本法律案にある指定装備品等の製造等の効率化に関する取組におきましては、既存の製造工程等を効率化するための設備投資等に財政上の措置を行うこととしております。
 具体例といたしましては、製造工程において、老朽化した工作機械を最新の工作機械に変更するといったことや、ベテランの従業員が実施している作業などについて例えば人工知能を活用して自動化を図るといったこと、こういったことを想定しているところでございます。
 委員御指摘の、製造ラインの増設等はこの財政措置の対象になるのかという点でございますが、お尋ねのその製造ラインの増設等がどのような設備投資等を想定されているか定かでないため、現時点でお答えすることは困難でございますが、いずれにいたしましても、個別案件ごとに、認定要件を満たすか適切に判断してまいる所存でございます。

○赤嶺委員 否定はされないという具合に受け止めたんですが、財政支援を受けるには、企業が防衛大臣に計画を提出して認定を受けることになっていますが、どのような場合に認定をされるかについては、これは何も書かれておりません。
 どのような要件があるんですか。そして、政府が支払うことのできる額に上限があるんですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 本法律案におきましては、防衛大臣から認定を受けた装備品安定製造等確保計画に係る特定取組が着実に実施されるよう財政上の措置を講ずることとしております。
 また、この財政上の措置に関しましては、予算の範囲内で行うこととしております。リスクや、装備品等の安定的な製造等に寄与する程度などを踏まえた上で、適切に措置してまいる所存でございます。

○赤嶺委員 そうすると、上限はないということですか。予算が増えればまた増えていくということですか。

○土本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、予算の範囲内で行うということでございます。

○赤嶺委員 いろいろおっしゃっておりますが、企業の言い値で国が費用を負担していくことになりかねません。私は、今度の法案は余りにも軍事企業優遇の法案だと思います。
 さらに、法案は武器製造施設の国有化を可能にしています。国が製造施設や設備を買い取り、企業に管理を委託する仕組みをつくるものであります。
 法案は、製造工程の効率化などの措置を取った上でも適確な調達を図ることができないと認める場合としておりますが、これはどのような状況を指すんですか。

○土本政府参考人 お答え申し上げます。
 装備品等のうち、自衛隊の任務遂行に不可欠であり、かつ、その製造等を行う特定の防衛関連事業者が製造等を停止すると調達に支障を生じるおそれがあるものであって、法律案第二章で規定する防衛産業への措置等を講じてもなお他に企業が安定的な製造等を図る手段がない場合には、当該装備品等を製造する施設である指定装備品製造施設等を防衛省が取得することができることになっております。
 防衛省としては、指定装備品製造施設等を取得する場合として、例えば、装備品等の製造等からの事業撤退に際し、自ら指定装備品製造施設等を所有するリスクを負わないのであれば装備品等の製造等の事業を行える防衛産業が存在する場合、次に、事業承継先の防衛産業は存在するものの、撤退に係る現在の指定装備品製造施設等が耐用年数を経過し老朽化しており、承継先の事業者がこれを新規取得することが困難なため、国が新規に建設する場合、このほか、指定装備品製造施設等が事故や災害で滅失し、防衛産業による復旧のめどが立たない場合に、国が新規に建設するといった場合などが考えられるところでございます。
 いずれにいたしましても、本制度の適用に際しましては、装備品等の適確な調達を図る観点から、個別具体的に検討していくことが必要と考えているところでございます。

○赤嶺委員 具体的に伺いますが、防衛省が施設や土地を取得した後に、国の予算で製造ラインを増設することも可能なんですか。

○鬼木委員長 質疑時間が、申合せの時間が。簡潔に御答弁願います。

○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁がございましたように、この制度の趣旨に合うという範囲内でございますと、対象となります指定装備品の製造施設等が増設の場合もあり得るということでございます。

○赤嶺委員 この続きは、次回またやります。どうぞよろしくお願いします。

すべて表示

このページをシェアする