国会質問

質問日:2022年 6月 1日  第208国会  予算委員会

「建議書」受け止めよ 衆院予算委 赤嶺氏 基地のない沖縄 実現迫る

「日本列島が戦場になる」

 日本共産党の赤嶺政賢議員は1日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相に対し、沖縄の本土復帰50年にあたり玉城デニー知事が首相に手渡した新たな建議書を正面から受け止め、「基地のない平和な沖縄」の実現に取り組むよう迫りました。

 建議書は、普天間基地の運用停止や辺野古新基地建設の断念、日米地位協定の抜本的見直しなどを求めました。赤嶺氏は、建議書について首相は「しっかり受け止めたい」と述べるも、5月の日米首脳会談で辺野古新基地建設の着実な推進や軍事費の「相当な増額」を約束したと指摘。「建議書の内容を受け止めないどころか、真逆の方向に突き進んでいる」と批判しました。

 また、サンフランシスコ平和条約で沖縄が本土から切り離され、米軍占領下に置き去りにされたのと同じ4月28日に、政府が辺野古新基地建設に向けた防衛省の設計変更申請を承認するよう県に是正を指示したことについて、「沖縄の歴史への理解があれば選択できないはずの日だ」と強調しました。

 岸田氏は、「4月28日は沖縄県民にとって重要な日だ」とした上で、「当日に私は是正指示の報告を受けたが、法にのっとり判断されたと承知している」と答弁。赤嶺氏は、県民にとって「屈辱の日」と知りながら是正指示を出したのは「絶対に納得できない」とし、「自民党政権の沖縄に対する無理解、非情さには開いた口がふさがらない」と厳しく批判しました。首相が狙っている軍拡や敵基地攻撃能力保有について、「抑止が崩れた時に戦場になるのは沖縄であり、日本列島だ。住民避難は不可能だと沖縄戦の歴史が証明している」と強調しました。(しんぶん赤旗 2022年6月2日)

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「建議書」受け止めよ(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 今日は、沖縄の米軍基地問題について、総理に質問をします。
 五月十五日、沖縄が本土に復帰して五十年が経過しました。県民が望んだのは、平和憲法の下、基地のない平和な島としての復帰でした。ところが、占領下で構築された広大な基地が残され、五十年を経た今なお、県民の人権を脅かし続けております。真の復帰はいまだ実現していません。
 沖縄県の玉城デニー知事は、復帰五十年に当たり、平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書を取りまとめ、総理に手渡しました。普天間基地の速やかな運用停止と辺野古新基地建設の断念、米軍基地の更なる整理縮小、日米地位協定の抜本的見直しなど、基地のない平和な島の実現に一層取り組むこと、平和的な外交、対話によりアジア太平洋地域の緊張緩和と信頼醸成を図ることを求めました。総理は、政府としてもしっかり受け止めたい、このように述べました。
 ところが、総理は先日の日米首脳会談で、辺野古移設の着実な推進を再確認し、防衛費の相当な増額に向けた決意を表明しました。
 総理は建議書の何を受け止めたんですか。

○岸田内閣総理大臣 御指摘のように、先般行われた沖縄復帰五十周年記念式典に先立って、玉城沖縄県知事より建議書を受け取らせていただきました。
 本建議書では、五十年前の復帰措置に関する建議書に掲げられた考え方を尊重し、自立型経済の構築や基地のない平和の島の実現に一層取り組むことといった建議がされています。そして、あわせて、具体的に、普天間飛行場代替施設の建設の断念、そして日米地位協定の見直し、こうしたものについて建議をされています。
 こうした思いをしっかりと受け止めさせていただきながらも、具体的な個々の課題については政府としての考え方をしっかりと申し上げなければなりません。
 様々な御指摘の中で、普天間飛行場の辺野古移設については、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であるということ、これは政府の基本的な姿勢であります。地元の皆様の理解を得ながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に取り組んでいきたいと思いますし、日米地位協定に関しては、事案に応じた最も適切な取組を、一つ一つ具体的な問題に対応していくべく取り組んでいく、これが基本的な姿勢であります。
 補足協定など様々な形で課題に取り組んできた、こうした努力をこれからも不断に追求していきたいと思っています。

○赤嶺委員 結局、県民の、五十年たって、玉城デニー知事が県民とともにまとめた建議書の要求については一切聞く耳を持たないという態度しか、この間、繰り返されておりません。
 しかも、受け取った直後にバイデン大統領との間で、首脳会談で確認したのは、辺野古移設の推進、防衛費の増額であります。建議書の内容を全く受け止めていない、それどころか、真逆の方向に政府は進んでいると厳しく指摘をしておきたいと思います。
 首脳会談だけではないんです。
 政府は、四月二十八日、沖縄県が不承認とした辺野古の設計変更申請を承認するよう是正指示を出しました。四月二十八日というのは、一九五二年のサンフランシスコ講和条約で沖縄が本土から切り離され、米軍占領下に置き去りにされた日です。今も屈辱の日として県民の記憶に刻まれております。
 沖縄の歴史への理解があるなら選択できないはずの日であります。この日に是正指示を出すという方針に総理は異を唱えなかったんですか。

○岸田内閣総理大臣 御指摘のように、沖縄の歴史を考えますときに、四月二十八日、これは沖縄県民の皆さんにとって非常に重要な日であるということ、重々認識をしております。
 四月二十八日当日に私は是正の指示について報告を受けましたが、この是正の指示については、国土交通大臣において、法令にのっとり判断されたものであると承知をしております。

○赤嶺委員 四月二十八日が県民にとって屈辱の日だと知りながら、更に強権的に辺野古新基地を押しつける是正の指示をあえてその日に出した、この姿勢は絶対に納得がいきません。
 安倍元総理は、二〇一三年の四月二十八日に主権回復を祝う式典を行い、県民の怒りの声が上がりました。菅前総理は、翁長前知事との会談で、沖縄の歴史は分からない、日米合意が全てだ、こう述べました。この態度と岸田首相との間にどんな違いがあるでしょうか。
 全ては日米合意。県民の民意は強権で押し潰す。こういう自民党政権の沖縄に対する、これは無理解ですよ、非情ですよ。そういう態度を見るたびに、私は開いた口が塞がりません。
 建議書を正面から受け止め、辺野古新基地建設の断念、基地のない平和な沖縄の実現に取り組むべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
 総理は、軍事費を増額し、敵基地攻撃能力の保有にまで踏み切ろうとしています。
 地域の緊張が高まり、抑止が崩れたときに戦場になるのは沖縄県です。日本列島全体が戦場になる危険があります。住民避難ということがよく議論されますが、住民避難ということは不可能であります。これは沖縄戦の歴史が証明しています。
 沖縄県糸満市の摩文仁の丘にある平和祈念資料館には、次の言葉が掲げられています。
 戦争をおこすのはたしかに人間です
 しかしそれ以上に
 戦争を許さない努力のできるのも
 私たち人間ではないでしょうか
 戦後このかた私たちは
 あらゆる戦争を憎み
 平和な島を建設せねばと思いつづけてきました
 これが
 あまりにも大きすぎた代償を払って得た
 ゆずることのできない
 私たちの信条なのです
 これは、沖縄戦を体験した県民の、本当に譲ることのできない平和への決意であります。
 政府がやるべきことは、軍拡ではなく、東アジアに平和と協力の枠組みをつくるための、憲法九条を生かした外交努力だということを強調し、質問を終わります。

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