国会質問

質問日:2022年 5月 26日  第208国会  憲法審査会

日米安保法体系こそ問え 衆院憲法審 赤嶺議員が強調

 

 衆院憲法審査会が26日に開かれ、自由討議が行われました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、自民党などがウクライナ危機に乗じて自衛隊を明記する9条改憲を主張していることについて、米軍に従属する自衛隊の実態を示して「米軍の存在を抜きに、自衛権の範囲や防衛力の質は変わらないという議論は成り立たない」と批判し、「憲法9条に反する日米安保法体系こそ問われるべきだ」と強調しました。

 赤嶺氏は、アメリカがサンフランシスコ講和条約と引きかえに日米安保条約を締結し米軍駐留を継続すると同時に、「日本を反共の防波堤」とするために再軍備を押し付けた経過にふれ、「安保体制のもとで自衛隊は米軍の軍事戦略を補完するために存在している」と強調しました。

 赤嶺氏は自衛隊の米軍への従属性は強まっていると述べ、自衛隊の海外派兵の拡大を指摘。日本政府は米軍の要求に応じてアフガニスタン戦争やイラク戦争に自衛隊を派兵して米軍の軍事作戦を支援し、さらに集団的自衛権行使容認の「閣議決定」と安保法制=戦争法により「地球上のどこであれ、どのような戦争であれ、自衛隊が出動して米軍を支援できるようにした」と批判しました。

 また、自衛隊と米軍があらゆる面で一体化していることを指摘。陸海空自衛隊の司令部機能が米軍基地に配置されているだけでなく、「いまでは事実上の日米統合司令部として、自衛隊全体が米軍の指揮に組み込まれている」と述べ、「まさに従属的な一体化だ」と強調しました。

 赤嶺氏は、国家安全保障戦略の改定や「敵基地攻撃能力」保有の検討もアメリカと調整しているとして、「『主権国家として自衛隊を明記し、統制する』などというのは幻想だ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2022年5月27日)

 

質問の映像へのリンク

日米安保法体系こそ問われるべき(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私は、この間、憲法の上に日米地位協定がある下で、沖縄県民の人権がじゅうりんされ、民主主義も地方自治も踏みにじられている実態を示し、この実態こそ変えるべきだと繰り返し主張してきました。
 今日は、地方自治その他の論点についてがテーマとなっていますが、私は、九条を持つ憲法体系と矛盾する安保法体系について幾つか意見を述べたいと思います。
 まず、日本国憲法施行直後から九条に反して行われた日本の再軍備の問題です。
 アメリカは、自らの世界戦略の下で、日本を極東における反共の防波堤とするために、日本の再軍備計画を策定しました。そこでは、日本の軍隊は米国によって組織され、訓練され、監視されるべきだとしています。このアメリカの要求を受け、日本は、警察予備隊を皮切りに軍備を進め、一九五四年に自衛隊を発足させました。自衛隊は、米軍への従属の下につくられたのであります。
 同時に、アメリカは、サンフランシスコ講和条約によって沖縄を本土から切り離して米軍統治下に置き続け、その裏で秘密裏に日米安保条約を締結しました。日本への米軍駐留を継続し、米軍基地の前方展開と極東への軍事的支配権を確保するために、占領軍である米軍が駐留軍に形を変えて存在し続けることになりました。
 全土基地方式と基地の自由使用は温存され、ベトナム戦争や湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などにおいて、在日米軍基地は出撃拠点として使用されました。
 強調しておきたいのは、この日米安保体制の下で、自衛隊は米軍の軍事戦略を補完するために存在しているということです。この米軍と自衛隊の関係は、七十年がたった今、一層強まっています。
 一つは、自衛隊の海外派兵の拡大です。
 日本政府は、アメリカの要求に応じて、自衛隊の海外派兵を推し進めてきました。湾岸戦争後の機雷掃海のために自衛隊を派遣したのを皮切りに、アフガニスタン戦争では、補給艦や護衛艦を派遣して、戦闘中の米軍などへの洋上補給を行いました。イラク戦争では、武装した米兵や武器弾薬を戦場へ輸送し、イラク本土へ自衛隊を出動させました。
 さらに、安倍政権は、一片の閣議決定によって集団的自衛権の行使を容認し、安保法制を強行して、地球上のどこであれ、どのような戦争であれ、自衛隊が出動して米軍を支援できるようにしたのであります。この下で、重要影響事態や存立危機事態における日米共同作戦計画の策定が進められ、自衛隊は米軍の作戦を支援する役割を担っています。
 二つ目に、運用から政策に至るあらゆる面での米軍と自衛隊の一体化です。
 自衛隊の陸海空司令部機能は、米軍の座間、横須賀、横田基地に置かれ、今では事実上の日米統合司令部として、自衛隊全体が米軍の指揮統制の下に組み込まれています。まさに従属的な一体化にほかなりません。
 台湾有事は日本有事というのも、日本が独自の判断で行うものではありません。アメリカが台湾海峡をめぐる問題に軍事介入することが前提であり、その米軍の軍事作戦を支援するために、日本が安保法制を発動して参戦するものです。
 南西諸島で推し進めている自衛隊ミサイル部隊の配備も、アメリカがインド太平洋地域での権益を確保するための軍事戦略の一端を担うものにほかなりません。
 年末に向けて改定の議論が進められている国家安全保障戦略や防衛大綱についても、防衛大臣はアメリカの戦略と目標や優先事項を整合させると明言しており、敵基地攻撃能力保有の検討もアメリカとの調整の下で進められています。
 自衛隊が徹頭徹尾米軍の従属軍であることは明らかです。
 ウクライナ危機に乗じて九条改憲が議論されていますが、主権国家として、自衛隊を明記し、統制するなどというのは幻想にすぎません。米軍の存在を抜きに、憲法に自衛隊を明記するだけで、自衛権の範囲や防衛力の質は変わらないなどという議論は成り立ちません。
 憲法九条に真っ向から反する日米安保法体系こそ問われなければならないということを指摘して、発言を終わります。

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