国会質問

質問日:2022年 5月 19日  第208国会  憲法審査会

平和実現の根幹覆す 赤嶺氏 「9条改憲より外交努力」 衆院憲法審

 

 衆院憲法審査会は19日、安全保障をテーマに自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、県民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦の実相に触れながら、同県糸満市の摩文仁(まぶに)の丘にある平和祈念資料館の「戦争をおこすのは人間です しかし 戦争を許さない努力のできるのも人間」との言葉を示し、「9条改憲は平和憲法の根幹を覆す。必要なのは戦争にしないための外交努力だ」と主張しました。

 赤嶺氏は「平和の島」実現を求めた玉城デニー沖縄県知事の「建議書」について触れ、「県民の願いに逆行し、沖縄を含む南西諸島で自衛隊が配備され、日米一体での軍拡が進められている。沖縄を再び戦争の最前線にしようとすることは断じて容認できない」と主張。「台湾有事は日本有事だ」という主張について、安保法制=戦争法を発動し、台湾問題に介入した米軍の軍事作戦に自衛隊が加わるものだと指摘し、「そのとき軍事拠点となるのは南西諸島だ。住民が犠牲になるのは明らかだ」と強調しました。

 赤嶺氏はさらに、政府が集団的自衛権の行使として「敵基地攻撃」を行うことは可能だと答弁したことを批判し、「日本に対する武力行使が行われていないにもかかわらず、他国を攻撃するなど憲法9条のもとで許されない」と述べました。

 立憲民主党の奥野総一郎議員は、多くの国民は9条改憲に慎重だとして「改憲ありきの議論はすべきでない」とけん制しました。(しんぶん赤旗 2022年5月20日)

 

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9条改憲より外交努力(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私は、前回、沖縄の本土復帰五十年となるに当たり、当時の屋良建議書や玉城デニー知事の新たな建議書を紹介し、沖縄県民が願った平和の島としての沖縄は実現していないことを指摘いたしました。
 五月十五日の式典で、玉城知事は、改めて平和の島の実現を求めています。沖縄の地元紙だけでなく、在京紙や地方紙でも建議書が取り上げられ、今でも日米地位協定と米軍基地によって憲法が踏みにじられている沖縄の実態が改めて注目されています。この沖縄の現実こそ変えるべきだと改めて強調したいと思います。
 五十年前、沖縄県民が最も強く願ったのが、九条を持つ日本国憲法の下に復帰することでした。その根底には、県民の四分の一が犠牲となった悲惨な沖縄戦を経験し、二度と戦争を起こしてはならないという強い決意があったからにほかなりません。
 復帰五十年がたった今、この県民の願いに逆行して、沖縄を含む南西諸島での自衛隊配備が推し進められ、日米一体での軍拡が進められています。沖縄を再び戦争の最前線にしようというものであり、断じて容認できません。
 さらに、安保法制により、この南西地域が戦場となる危険性が増大しています。今、台湾有事は日本有事だなどという主張がされていますが、それは、台湾問題にアメリカ軍が軍事介入し、日本がそれを重要影響事態や存立危機事態と認定して、米軍の軍事行動に参戦するというものです。そのとき日米の軍事拠点となるのが、南西諸島の島々です。相手が反撃してくれば、島の住民が犠牲になるのは火を見るより明らかです。
 重大なことは、安保法制の下で、敵基地攻撃能力保有の検討が進められていることです。政府は、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことも可能と答弁しています。日本に対する武力攻撃が行われていないにもかかわらず他国を攻撃するなど、憲法九条の下で許されるはずがありません。相手国を攻撃すれば、それ以上の反撃を受けることになり、日本全土が攻撃にさらされることになります。
 前回、安保法制について、憲法審査会でも何度も議論が行われたという発言がありました。国会の特別委員会で安保法制が審議されていた二〇一五年六月四日、この衆議院の憲法審査会に参考人として出席した三人の憲法学者は、そろって安保法制は憲法違反だと発言しました。ところが、自民党の委員からは、参考人の方が意見を言うのは自由だが、国を守るのは憲法学者ではなく我々政治家だなどという発言があり、参考人の意見を無視したのです。
 しかし、これを契機に、国民の中で、憲法を守れの声が大きく広がりました。国民が国会を包囲する中、自公政権は安保法制を強行したのです。安保法制は憲法違反という憲法学者の指摘にこそ立ち返るべきであります。
 玉城知事の新たな建議書が強調しているように、南西諸島での軍事強化や核兵器の共有、敵基地攻撃能力の保有など軍拡の動きは、悲惨な沖縄戦を経験した県民の平和を希求する思いを踏みにじるものです。今、県民が最も恐れているのは、軍事力の増強が緊張を高め、武力衝突へと発展し、沖縄が攻撃目標になることです。だからこそ、建議書は、武力によらない、各国の協議を基本とする外交を求めているのであります。これは、沖縄戦を経験した県民の強い思いです。
 沖縄県糸満市の摩文仁の丘にある平和祈念資料館に、次のような言葉が掲げられています。
 沖縄戦の実相にふれるたびに
 戦争というものは
 これほど残忍でこれほど汚辱にまみれたものはない
 と思うのです
 このなまなましい体験の前では
 いかなる人でも
 戦争を肯定し美化することはできないはずです
 戦争をおこすのはたしかに人間です
 しかしそれ以上に
 戦争を許さない努力のできるのも
 私たち人間ではないでしょうか
 戦後このかた私たちは
 あらゆる戦争を憎み
 平和な島を建設せねばと思いつづけてきました
 これが
 あまりにも大きすぎた代償を払って得た
 ゆずることのできない
 私たちの信条なのです
 今、ウクライナ危機に便乗し、憲法九条を変えるべきだという主張がなされておりますが、これは平和憲法の根幹を覆すことであり、絶対に認められません。今必要なのは、国と国との争い事を絶対に戦争にしないための外交努力だということを指摘して、発言を終わります。

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