航空自衛隊那覇基地で発生した有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤の流出事故に関し、防衛省が全国の陸海空自衛隊部隊に再発防止策を周知徹底する通知文書を出していたことが、21日の衆院安全保障委員会でわかりました。岸信夫防衛相が日本共産党の赤嶺政賢議員に明らかにしました。
岸氏は事故について陳謝した上で、PFOSを含まない泡消火剤への交換に際しては、(1)作業前に配管等の老朽化の状況を点検する(3月1日)(2)タンクや配管経路を洗浄し、洗浄水を適切に廃棄する(4月19日)(3)環境や健康に影響を及ぼす恐れがある物質の流出に備え、適切な処理方法をあらかじめ確認し、地域住民への周知体制を構築する(同日)―ことを徹底したと述べました。
防衛省は昨年2月に公表した計画に基づき、全国の部隊でPFOSを含む泡消火剤の処理を進めています。那覇基地では今年2月、交換作業中の配管の破損により、PFOSを含む泡消火剤が周辺の住宅地に飛散。赤嶺氏が事故原因の徹底究明と全国の部隊への再発防止策の周知徹底を求めていました。(しんぶん赤旗 2021年5月28日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
初めに、宮古島の下地敏彦前市長が収賄の容疑で逮捕された件について聞いていきます。
防衛大臣は、防衛省側の対応に問題があったとは考えていないと述べていますが、そうであるなら、下地市長との面談記録を始め、この問題に関わる内部文書を全て出すべきであります。
候補地選定に至る経過で、下地市長との間でどのようなやり取りがあったか、面談記録を提出するよう求めておりますが、その存在は確認できましたか。
○鈴木政府参考人 まず、地元自治体との意見交換の逐一につきましては、その内容の詳細を含め、個別具体的に申し上げることは差し控えさせていただいているということをまず御理解いただきたいと思います。
その上で申し上げますと、面談記録につきましては、委員の方から御要望ございました各面談について、現在、確認作業を進めております。開示、不開示部分の確認作業等に一定の期間を要しますが、確認作業の上、提出させていただきたいと思ってございます。
○赤嶺委員 面談記録も出さないでいて、市長と防衛省の側がどんなやり取りがあったかも隠していて、防衛省には何の落ち度もなかったということ、これは言えませんからね。当然、行政文書ですから作っておくべきものですよね。公開の対象ですよ。だから、疑われているわけですよ、防衛省は。面談記録が出ていない以上。そういうような態度は、やはりちょっと指摘しておきたいと思います。
二〇一五年一月から三月にかけての面談の中で、下地市長が千代田カントリークラブの取得を働きかけた際の発言をまとめた防衛省の内部文書があります。先ほど局長は分からないと言っておりましたが、二〇一五年に宮古テレビが報道し、最近も様々なところで取り上げられています。
その中には、千代田カントリークラブに係る調整状況というタイトルのペーパーがあり、市長の発言内容が記載されています。この内部文書の提出も求めております。これはどうなったんですか。
○土本政府参考人 お答え申し上げます。
報道されましたお尋ねの資料、今委員御指摘の資料につきましては、少なくとも防衛省としてこれまで公表した資料であるとは承知しておらず、どういった経緯で入手されたものか等も明らかでないため、資料の真贋や位置づけ、内容等についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 防衛省が自ら進んで発表するわけないじゃないですか。マスコミがスクープしたわけですよ。文書も映像や画像で示されています。答えられないというのは通用しません。
下地市長に関しては、地元では早くから様々な疑惑が取り沙汰されてきました。私もこの委員会で取り上げてまいりました。
防衛省が自らの対応に問題はないというのであれば、それを検証できる資料をきちんと公開すべきだということを強く求めておきたいと思います。
問われているのは、自衛隊基地の受入れが、住民合意に基づくどころか、私腹を肥やすためのものだったのではないかという点であります。
元々、千代田地区周辺の自治会は配備に反対の決議を上げておりました。弾薬庫を整備している保良の住民も、粘り強く反対の声を上げています。住民の意思を切り捨てて配備を受け入れた判断が、根底から壊れる事態であります。
このような状況の下で、何事もなかったかのように保良部落への弾薬の搬入を強行するなどということはあり得ないと思いますが、大臣、この点、どのように対応されますか。
○岸国務大臣 まず、捜査に関することについては、防衛省からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、捜査当局からの要請等があれば、防衛省として協力をしてまいります。
一方、宮古島への陸自部隊配備は、南西地域の防衛体制を強化するために不可欠であります。また、所在部隊の誘導弾、弾薬を島内に保管することも、抑止力、対処力を維持する上で必要であります。このため、これらの誘導弾、弾薬を保良訓練場に整備した火薬庫に保管するとの方針に変更はございません。
陸自の宮古島駐屯地の保良地区に整備いたしました火薬庫については、先週、沖縄防衛局から宮古島に対し、誘導弾、弾薬の搬入を開始していく旨の御説明をしたところでございます。
他方で、弾薬の搬入に係る具体的な日時等については、弾薬輸送の安全の確保の観点から、お答えは差し控えさせていただくことについて御理解をいただきたい、このように考えておるところでございます。
○赤嶺委員 現在の宮古の市長さんは、市民の安全のためにもそういう防衛省の計画は公表しろと強く要求しております。同時に、宮古島への自衛隊の駐屯地の誘致、これは結局、蓋を開けてみたら、前の市長の私腹を肥やすためであったと。その経過について、防衛省は、警察から求められるだけじゃなくて、私は、面会記録の中身については、もうずっと以前から公開せよと言ってきております。あのときに公開していたら、こんなことにはならなかったはずですよ。だから、公開すべきであります。
それから、マスコミの報道の中身についても、その真贋が分からないと言いますけれども、それをきちんと、そんな言い訳や弁解は許されないですよ、報道されていますから。そこもきちんと公開しない限り、防衛省はこの事件に無関係でございますとどんなに説明しても、これは納得できないということを申し上げておきます。
次に、泡消火剤の流出事故の問題を質問をいたします。
二月二十六日に、航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出する事故が起こりました。防衛省は今、全国の基地、駐屯地でPFOSの処理を進めております。今回の事故は、PFOSを含まない泡消火剤への交換作業中に、配管が破裂して流出したものでした。
私は、この間の質疑で、事故原因の徹底究明と、再発防止策の全省への周知を求めてきました。先日、防衛省から、これまでに三通の通知文書を出したことについて報告があり、文書そのものも御提出いただきました。
大臣、いつ、どのような内容の文書を発出したのかを明らかにしていただけますか。
○岸国務大臣 この件に関しまして、改めて、近隣住民の皆さんに御不安を与えてしまったことに対して、誠に申し訳なく思っておるところでございます。
防衛省としては、今回の事故を踏まえて、一つ目として、PFOSを含まない泡消火薬剤への交換に際しましては、作業前に配管等の老朽化の状況等を改めて点検すること、二つ目として、泡消火薬剤のタンクや配管経路を洗浄し、洗浄水についても関係法令に従い適切に廃棄をすること、そして三つ目として、PFOSに限らず、環境や健康への影響を及ぼすおそれがあるような物質が流出などした場合に備えて、適切な処理方法をあらかじめ確認するとともに、地域住民への周知体制を構築しておくということ、この三点について、防衛省の関係機関に周知徹底したところでございます。
今後、これらの対策によって、再発の防止に万全を期してまいりたいと考えます。
○赤嶺委員 基地内の水路の上流からPFOSが検出されたことについて、再度分析を行う方針も明らかにしておりました。この点、今どういう対応になっていますか。
○杉山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の水路上流は那覇基地内に流入する敷地境界付近でございまして、その場所で検体採取を行い、分析を行ったところ、PFOSが検出されたものです。
この水路につきましては、基地外から基地内に流入しているものであるため、今回分析した結果と那覇市の分析結果も含めて、今後、那覇市とよく相談してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 契約も結んでいますよね。それはいつまでに分析を終了させて発表するということになっていますか。
○杉山政府参考人 お答えいたします。
再分析におけます水質調査の速報値を当初は四月二十八日までに報告するという形になっておりましたが、受注者の方から、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言に対応した会社の業務体制を取るため、速報値の報告日を変更したいという申出を受けまして、報告期日を五月十四日に変更したところであります。
速報値につきましては五月十四日に受領したところでございますが、そのデータにつきまして、その結果を責任を持って説明できるように、現在、考察を加えているところでございます。
今後、事前に那覇市にその内容についてお知らせをした上で、速やかに公表したいと考えております。
○赤嶺委員 泡が付着した民家の洗浄に向けた事前調査を行ったというのが報じられております。どういう場所を対象に実施しようというのですか。
○杉山政府参考人 お答えいたします。
那覇市の住民の方から、今回の事案により、泡が自宅に飛散したので自宅を洗浄してほしいという要請があったため、航空自衛隊那覇基地の隊員がその方のお宅を訪問し、泡が付着した場所やその状況について説明をいただいたところでございます。
現在、その方と、どの場所を洗浄したらよいかなどについて調整を行っているところでございまして、引き続き誠実に対応していきたいと考えております。
○赤嶺委員 PFOSに関連して外務省に伺いますが、米軍がPFOSを含まない泡消火剤への交換を行う際に、配管の洗浄、自衛隊の今度の漏出の原因になったものですね、配管の洗浄、これは米軍は行うことになっていますか。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
米側からは、泡消火剤の交換作業を行う際、適切に配管の洗浄を行っているとの説明を受けております。
政府としては、PFOS等をめぐる問題全般に取り組む中で、在日米軍施設・区域におけるPFOSを含む泡消火剤の交換等の問題についても、引き続きしっかりと日米間で対処してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 自衛隊が今度取る措置と同じように、配管の点検も行っていると米側から回答があったわけですね。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
米側からは、泡消火剤の交換作業を行う際には配管の洗浄を行っているというふうに説明を受けております。
○赤嶺委員 普天間基地では、二〇一九年十二月と昨年四月に、PFOSを含む泡消火剤の漏出事故が発生をいたしました。米軍は、事故後の対策として、普天間基地のPFOS含有の泡消火剤を全て交換する方針を明らかにし、昨年九月にそのための契約を行いました。
ところが、微量のPFOSを含む製品に取り替えようとしていることが分かりました。昨年十一月の本委員会で、米軍が調達しようとしている泡消火剤の製品名とPFOSの含有量を示すよう求めましたが、今も明らかにされておりません。
外務大臣、外務大臣も最初からこれに関わっておられますが、その後、米軍が取り替える製品名、そしてPFOSの含有量、これは分かったんですか。
○茂木国務大臣 普天間飛行場において発生しました泡消火剤の流出事故、これは地元の住民の方々に不安を与える重大な事案と認識をいたしておりまして、事故発生直後から米側に対して厳重に抗議をするとともに、事故対応に当たって、環境補足協定に基づく立入り等を行ってまいりました。
本件事故を受けまして、米側は昨年の九月に報告書を公表し、この中で具体的な再発防止策を示し、取り組んでいるものと承知をいたしております。
米側として徹底した事故調査を行ったと認識をしておりますが、これまでも米側に対して、報告書に示された再発防止策が徹底されるよう申入れをしてきておりまして、引き続き、地元の住民の方々の懸念を払拭すべく、米側に申入れを行ってまいります。
PFOS等をめぐる問題全般に取り組む中で、在日米軍施設・区域におけるPFOS含有消火剤の交換等の課題についても、しっかりと日米間で対処していきたいと考えております。
○赤嶺委員 米軍は、取り替える契約は去年の九月に行っているわけですよね。作業も今年九月末までに終えるということになっているわけですが、私が伺っているのは、その作業に使っている製品名、これが分からないわけですよ。これを説明していただきたいということなんですが、いかがですか。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
在日米軍を含む米軍全体として、現在所持しているPFOSを含む泡消火剤から、定量可能なレベルのPFOSを含まない、より環境に優しい代替製品への交換を進めているものと承知しております。
米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品名については、米側に累次確認してきておりますが、米側からは、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けております。
更に申し上げれば、米国の国防授権法におきまして、原則として、二〇二四年十月以降はPFOSを含むPFASを含む泡消火剤を使用してはならないと規定されており、これに基づいて、現在、米国防省は、米軍の所要を満たし、かつPFASを含まない代替品を開発するための調査研究を進めておると承知しております。
現在米側が行っている交換は、二〇二四年の非PFAS化に向けた取組を進める中で、現時点でできる限りの措置として進められているものと認識しております。
○赤嶺委員 私、製品名を聞いているんですよ。いろいろ周辺を説明してもらっても、それで納得できるわけないんですよね。何で、累次問い合わせているけれども、そういう製品名もちゃんと情報として提供できないのか。
経済産業省にも今日来ていただいていますが、そもそも二〇一〇年にPFOSの輸入や製造を原則禁止して以降、日本国内で微量のPFOSを含有する泡消火剤の使用というのは、これは認められているんでしょうか。
○安居政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのPFOSは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律におきまして、二〇一〇年に第一種特定化学物質に指定されておりまして、製造及び輸入が禁止されているところでございます。加えて、PFOSを使った新たな製品の製造やPFOSを含有する製品の輸入も禁止されております。
ただし、第一種特定化学物質に指定される前に製造及び輸入された第一種特定化学物質を含有する製品につきましては引き続き使用することも可能でございまして、PFOSを含有する泡消火剤も同様でございます。
また、ほかの化学物質を製造、輸入する際に、第一種特定化学物質が副生物として微量含まれる場合がございますが、その場合には、いわゆるBAT報告として事前に厚労省、経産省、環境省に報告をいただいた上で、環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれ等がなく、その含有割合が経済的、工業技術的に可能なレベルまで低減されていると認められた場合には、製造及び輸入が可能となっております。
○赤嶺委員 微量に含む場合には、化審法に基づいてちゃんと報告があり、そして審査の上やっていると。
米軍の場合は、今経産省から説明があったような報告、審査の手続はどうなっていますか。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品については、米側に累次確認しているところでございますが、米側からは、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けているところでございます。
○赤嶺委員 何で、九月までに完了すると言っているんでしょう、米軍は。全部取り替える、だから安全だと言っているわけですよね。製品名が決まっていないということは、まだ取替え作業もやっていないということですか。
やる場合には、化審法に基づいて、ちゃんと日本の政府に報告し、審査も受けるということでいいんですね、その理解で。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しで恐縮でございますけれども、米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品については、米側より、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けております。
これ以上につきまして、仮定の御質問についてはお答えは差し控えたいと思います。
○赤嶺委員 いや、製品は決まっていない、それ以上については仮定の質問だからって。使う場合にはちゃんと報告し審査を受ける、化審法に基づいてと、そういうことをさっき経産省は答弁で言っているわけですよ。仮定の問題じゃないわけですよ。
外務大臣、結局、私は、この問題は、米軍に化審法が適用されていないために全て米軍任せになっていて、累次問合せしているけれども何も教えてもらえない。やはり米軍に化審法を適用し、日本の基準で審査できるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。
○茂木国務大臣 いずれにしても、地元の住民の方々に不安を与える、こういう状況があってはならないと考えておりまして、米側に対しても、適切な対応をこれからもしっかり求めてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 いずれにしましてもと言って、化審法に基づく報告や審査がどうなるか分からないまま安心せよと言われても、これは安心できるものではありません。米国にもちゃんと日本の国内法が適用するということを強く求めておきたいと思います。
終わります。