国会質問

質問日:2021年 4月 22日  第204国会  憲法審査会

国民世論は改憲望まず 衆院憲法審 赤嶺・本村議員が主張

 

 衆院憲法審査会は22日、与党提出の国民投票法改定案の質疑と自由討議を行いました。早期に採決し改憲議論に進むべきだとする自民・公明両党や日本維新の会に対し、日本共産党の赤嶺政賢議員は「世論は改憲を優先課題とはしていない。国民が改憲を望んでいない以上、審査会を開くべきではない」と主張しました。

 維新の足立康史議員が「国民は改憲を求めていないとする根拠は」と質問したのに対し、赤嶺氏は、安倍晋三前首相が「20年を憲法改正の年にしたい」と述べ、そのもとで自民党も躍起になって改憲世論を高めようとしてきた経過を指摘。その安倍氏が首相退任の会見で「国民的な世論が十分に盛り上がらなかった」と述べたことをあげ、「これが国民の答えではないか」と切り返しました。

 定例日を増やせなどと主張する自民党などに対し、赤嶺氏は「15年の安保法制審議の際、憲法審査会に出席した3人の憲法学者が安保法制は憲法違反だと述べ、『憲法壊すな』という国民の声のもとで、1年半も審査会を開かなかったのは自民党だ」と述べ、「ご都合主義だ」と批判。国民投票法についてはCM規制などを含め、根本的な議論をすべきであり、採決は認められないと主張しました。

 

 

 日本共産党の本村伸子議員は、総務省の違法接待問題などの相次ぐ腐敗をあげ、改憲議論の前提を欠いていると改めて指摘しました。

 立憲民主党の山花郁夫議員は、CM規制なども同じ法律の改定議論であり「同時に決着すべきだ」と主張しました。

 これに先立つ幹事会では5月6日に審査会を開くことを決めました。採決については引き続き協議することとなりました。(しんぶん赤旗 2021年4月23日)

 

 

質問の映像へのリンク

国民世論は改憲望まず(衆院憲法審査会)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 前回の審査会で、野田委員から、日本は四月二十八日に主権を回復したとの御発言がありました。安倍政権は、二〇一三年四月二十八日に、我が国の完全な主権回復を記念するとして、主権回復を記念する式典を開催しました。
 しかし、沖縄にとって、この日は、サンフランシスコ講和条約によって本土から切り離され、米軍の施政下に置き去りにされた屈辱の日であります。その後、米軍による銃剣とブルドーザーで住民は土地を強奪され、基地は拡張されました。この屈辱の日を主権回復の日として祝うなど、今でも怒りを感じるものであります。
 野田委員は、自主憲法の制定とも言われました。凄惨な地上戦を経験し、米軍統治の下で苦しみを背負わされ、沖縄県民が願ったのは、平和憲法の下での復帰でありました。主権回復を強調し、改憲のてこにすることは絶対に許されないと、まず強調しておきたいと思います。
 次に、審査会の進め方についてです。
 前回、新藤委員は、憲法審査会というのは、日本国憲法と日本国憲法の改正手続に関する国民投票法、この二つを議論するのが役割だとか、発議権のない調査会と違い、もっと大きな責任を持って審査会というものを運営するようになった、議論を尽くした上できちんと手続を進めていくことも国民に対する責任だと発言をされました。
 そもそも、この憲法審査会は、第一次安倍政権の二〇〇七年に、安倍首相が自分の内閣で改憲を目指すとする下でつくられたものであります。政局から離れてと言いますが、まさに政局を持ち込んだのは安倍首相と自民党であります。
 安倍首相は、二〇一二年に政権に復帰すると、改憲議論を進めようと国会をあおってきました。二〇一七年五月三日の憲法記念日に、憲法に自衛隊を明記する九条改憲を提起し、二〇二〇年を憲法改正の年にしたいと、期限を区切って進めようとしたのです。
 私たちは、憲法尊重擁護義務を負う政府の長が国会の権限に介入したもので、三権分立に反すると安倍改憲に反対してきました。それに対して自民党からは職場放棄だなどの発言もあり、大問題となりました。
 安倍首相のかけ声の下、自民党も改憲世論を高めようと躍起になってきました。しかし、世論は、改憲が政治の優先課題だとしてはいません。安倍首相自身が、退任を表明した会見で、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べています。これが国民の答えではありませんか。にもかかわらず、改憲議論をするのが国会議員の責任だとか、定例日を増やして議論をなどというのは、全く、これまでの経過を踏まえたものであります。
 大体、二〇一五年六月四日、憲法審査会に参考人として出席された三人の憲法学者が安保法制は憲法違反だと述べたことをきっかけに、憲法を壊すなという国民の声が沸き上がる下で、一年半もの間、審査会を動かせなかったのは自民党ではありませんか。余りにも御都合主義であります。
 さらに、安倍首相は、九条に自衛隊を明記する考えを示したと述べました。ところが、九条改憲に反対の世論が変わらないと見るや、次は、コロナを理由に緊急事態条項だと言い始めております。そもそも、安倍首相は当初、九十六条改憲を主張し、自民党も声高に叫んでいました。結局、改憲できれば何でもいいということではありませんか。余りにも憲法を軽んじるもので、憲法を議論する姿勢を欠いていると思います。
 今必要なのは、目の前にあるコロナ感染を抑え込み、国民の命と暮らしを守るための議論であり、改憲議論など国民は求めておりません。
 さらに、つけ加えるならば、憲法審査会は改憲草案作りの場であり、国民が改憲を望んでいない以上、このような審査会は開くべきではないというのが私たち日本共産党の見解であることを述べておきたいと思います。
 最後に、国民投票法についてです。
 新藤議員は、改憲議論を進めるために早く採決をと述べられていますが、国民投票法はそんなに軽いものなのでしょうか。この間の議論で、本当に公選法並びでいいのかという疑問が起きています。また、CM規制の問題や最低投票率の問題など、国民投票法が抱える基本的な欠陥を解決していません。国民の民意を酌み尽くすための在り方を根本から議論すべきです。それを放置したまま採決などということは認められないということを改めて申し上げておきます。
 以上です。

 

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○赤嶺委員 先ほど、国民の多数は改憲を望んでいないということについて根拠を挙げろというお話がありましたが、さっき根拠を挙げて申し上げたつもりなんですが。
 結局この間の、二〇〇七年に、安倍政権ができて、そして安倍政権によって持ち込まれた改憲議論であるわけですよ。だから、審査会では、行政府の長が国会のルールを無視して改憲を押しつけるようなやり方は三権分立に反するということで、我々は安倍改憲には反対だということを強く述べてまいりました。
 その安倍さんがですよ、首相に就任以来、自分の内閣のときに絶対に改憲をするんだと言ってきたじゃないですか。これは皆さんもよく覚えていらっしゃると思います。二〇一七年の五月三日の憲法記念日に、憲法に自衛隊を明記する九条改憲を提起し、二〇二〇年を憲法改正の年にしたい、これも安倍さんは発言しております。
 ところが、退任のときに何と言ったか。先ほど紹介しましたが、国民的な世論が十分に盛り上がらなかった、このように安倍さんはおっしゃっているわけですよ。これが国民の答えではないかということを私は思っております。
 以上です。

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