国会質問

質問日:2021年 5月 6日  第204国会  憲法審査会

衆院憲法審 国民投票法改定案 可決

共産党反対 政権の改憲策動 断固阻止

 衆院憲法審査会で6日、与党提出の改憲のための国民投票法改定案が採決され、賛成多数で修正のうえ可決されました。日本共産党は反対しました。国会の外から採決に反対する国民の声が委員会室に響くなか、日本共産党の赤嶺政賢議員が反対討論。法案の採決をもって自民党の「改憲4項目」の議論に進むことは許されないと述べ「安倍・菅政権による改憲策動を断固として阻止する決意だ」と表明しました。

 討論で赤嶺氏は、与党案について安倍晋三前政権の下で9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設など自民党の「改憲4項目」の議論を進める“呼び水”として提出されたものだと指摘。菅義偉首相が改定案成立を「改憲4項目」の議論を進める一歩と述べていることを批判し、「国民は改憲を政治の優先課題とは考えていない。政治がなすべきは新型コロナ対策に全力をあげること」だと主張しました。

 また、現行の投票法は最低投票率の問題など、民意をくみつくし正確に反映させる上で根本的な欠陥があると指摘。3年をめどにCM規制などを検討する修正をしたからといって、欠陥を放置したままの与党案の採決は許されないと強調しました。

 日本共産党の本村伸子議員は質疑で、投票所の削減や政党への外資企業への献金問題をとりあげ、「審議は尽くされていない」と審議継続を求めました。

 採決後の自由討議で自民党の新藤義孝議員は、採決は「一つの通過点」と述べ、憲法本体の議論を進めるべきだと主張。来週以降の審査会開催を求めました。立憲民主党の奥野総一郎議員はCM規制などの議論をきちんとすべきだと述べました。

 自民党は11日の衆院本会議で改定案を採決しようとしています。(しんぶん赤旗 2021年5月7日)

 

 

 

国民投票法改定案・修正案に対する赤嶺議員の反対討論

衆院憲法審

 6日の衆院憲法審査会で採決が行われた、与党提出の国民投票法改定案と修正案に対する、日本共産党の赤嶺政賢議員の反対討論は次の通りです。


 与党案に反対する第一の理由は、安倍晋三前首相が2020年と期限を区切って改憲を主張する下で、改憲議論に進む「呼び水」とするために提出されたものだからです。

 自民党は、4年前の安倍前首相の号令の下、「改憲4項目」を策定し、これを審査会に提示し、改憲原案のすり合わせをしようと画策しました。野党が「安倍改憲」に反対するもとで、自民党は審査会を動かそうと、突如与党案を持ち出してきたのです。

 しかしこの3年間、安倍政権が改憲を叫べば叫ぶほど、「安倍改憲」に反対する国民世論は大きくなりました。安倍氏自身が退陣にあたって「国民世論が盛り上がらなかったのは事実だ」と認めた通りです。

 にもかかわらず、菅義偉首相がまた、国民投票法改定案の成立を「改憲4項目」の議論を進める一歩とすると述べていることは看過できません。

 国民はいま、憲法改定を政治の優先課題とは考えていません。いま政治がすべきは新型コロナ対策に全力を挙げることであり、改憲を優先する必要は全くありません。

 第二に、与党案は国民投票法がもつ根本的な欠陥を放置していることです。

 現行の国民投票法は、最低投票率の問題や、公務員の運動を不当に制限している問題、資金力の多寡によって広告の量が左右される問題など、民意を酌み尽くし正確に反映させるという点で、重大な欠陥があります。これらの問題は、2007年の法制定時や14年の改定時にも国会の附帯決議で指摘され、与党も賛成したものです。この根本問題にこそ真摯(しんし)に向き合うべきであり、これを脇に置いたまま、7項目のみ採決することは許されません。

 さらに、この間の審議で、公職選挙法並びで本当に民意を酌み尽くすことができるのかという問題が浮き彫りになりました。公選法も含め、いまの選挙制度に問題があるということに他なりません。国民の意思を正確に反映する制度のあり方へと抜本的に見直すべきです。

 なお、修正案については、有料広告のあり方などの問題について3年間検討するというものですが、それをもって欠陥を放置したままの与党案を採決してよいということにはなりません。審議は続行すべきです。

 ましてや、この問題を済んだこととして、「改憲4項目」の議論に入ることなど断じて認められません。安倍・菅政権による改憲策動を断固として阻止する決意を申し上げて、反対討論とします。

質問の映像へのリンク

国民投票法改定案・修正案に反対討論

議事録

○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、与党提出の国民投票法改定案及び修正案に反対の討論を行います。
 与党案に反対する第一の理由は、安倍前首相が二〇二〇年と期限を区切って改憲を主張する下で、改憲議論に進む呼び水とするために提出されたものだからです。
 自民党は、四年前の安倍前首相の号令の下、改憲四項目を策定し、これを審査会に提示し、改憲原案のすり合わせをしようと画策しました。野党が安倍改憲に反対する下で、自民党は審査会を動かそうと突如与党案を持ち出してきたのです。
 しかし、この三年間、安倍政権が改憲を叫べば叫ぶほど、安倍改憲に反対する国民世論は大きくなりました。安倍氏自身が、退陣に当たって、国民的世論が十分に盛り上がらなかったと認めたとおりであります。
 にもかかわらず、菅首相がまた、国民投票法改定案の成立を改憲四項目の議論を進める一歩とすると述べていることは、看過できません。
 国民は、今、憲法改正を政治の優先課題とは考えていません。今政治がすべきは新型コロナ対策に全力を挙げることであり、改憲を優先する必要は全くありません。
 第二に、与党案は国民投票法が持つ根本的な欠陥を放置していることです。
 現行の国民投票法は、最低投票率の問題や公務員の運動を不当に制限している問題、資金力の多寡によって広告の量が左右される問題など、民意を酌み尽くし、正確に反映させるという点で重大な欠陥があります。これらの問題は、二〇〇七年の法制定時や二〇一四年の改定時にも国会の附帯決議で指摘され、与党も賛成したものであります。この根本問題にこそ真摯に向き合うべきであり、これを脇に置いたまま、七項目のみを採決することは許されません。
 さらに、この間の審議で、公選法並びで本当に民意を酌み尽くすことができるのかという問題が浮き彫りになりました。公選法も含めて、今の選挙制度に問題があるということにほかなりません。国民の意思を正確に反映する制度の在り方へと抜本的に見直すべきです。
 なお、修正案については、有料広告の在り方などの問題について三年間検討するというものですが、それをもって欠陥を放置したままの与党案を採決してよいということにはなりません。審議は続行すべきです。
 ましてや、この問題を済んだことにして、改憲四項目の議論に入ることなど、断じて認められません。安倍、菅政権による改憲策動を断固として阻止する決意を申し上げ、反対討論とします。(拍手)

 

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○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 公明党の國重議員の質問の趣旨は、コロナ禍の中での国会の在り方、憲法の在り方、緊急事態という議論の文脈の中で出ていると思いますが、私たちはそういう文脈の下での議論は必要ないと思います。
 これには根拠がありまして、実は、四月二十六日に日経新聞が世論調査をしているんですが、トップが七一%で新型コロナウイルス対策なんですね。新型コロナウイルス対策が必要だからといって、では、それを憲法と結びつけているかというと、この調査では、憲法については僅か八%なんですよね。下位中の下位なんですよね。国民は誰もコロナ対策で改憲を求めているものではない。
 読売新聞が非常に興味深い解説を出していたんですが、読売新聞の世論調査で、憲法を改正して政府の責務や権限に関する規定を条文に明記する、五九%。非常に高いですよね。それについて読売新聞がどんな解説をしているかというと、「政府のコロナ対策への不満が、現状の対応では限界があるとの認識につながっているようだ。」政府のコロナ対策をきちんとやれば、裏を返せば、こういう数字なんか出てこないんですよ。
 大事なことは、コロナ対策をきちんとやること。医療を放棄して、そしてPCR検査も世界で国際的にも最下位の方で、こういうような事態を、コロナ対策を曖昧にして、国会議員が、憲法を変えよう、緊急事態をやろうというものでは決してない。
 したがって、自民党は、新藤議員は、あの下村発言、あの発言を是とするのか非とするのか、これは今後の憲法審査会の運営にも関わっていくことですから、明確な態度を取っていただきたいという具合に思います。

○赤嶺委員 志位委員長がコロナ対策で憲法の在り方まで言及しているというのは、私、志位委員長の下で憲法審査会に出てきているわけですが、それは曲解にもほどがある、真摯な議論ではないと。
 憲法を作るときに、憲法担当大臣の金森さんがおっしゃったのは、この憲法の民主的な枠組み、人権尊重の枠組み、これに緊急事態という考え方を入れたら憲法の基本が壊れる、そういう考え方を入れてはいけないということを憲法制定議会の中で発言しているんですね。
 ですから、まさに今、そういう憲法の基本的な枠組み自体を壊す議論として緊急事態が出されてきている、これには反対だということを強く申し上げたいと思います。

○赤嶺委員 安倍総理の発言については、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったのは事実だと。そして、菅首相も、ニューズウィークのインタビューに答えて、我々は何度か改正を試みてきたが、現状では非常に難しいと認めなければならない、国会で可決されなければならないので、政権の考えで簡単に変えられるようなものではないという、政権の介入が間違っていたということを暗に認めているわけですよ。
 と同時に、衆参三分の二の時期があったにもかかわらず、何で改憲ができなかったか。それは、国民が改憲を望んでいないし、憲法を変えることに反対の世論が大きかったからだということを申し上げたいと思います。

 

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○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 菅首相は五月三日の憲法記念日に、改憲派の集会に送ったビデオメッセージで、九条改憲などを盛り込んだ自民党の改憲四項目に言及し、憲法改正に関する議論を進める最初の一歩として、まずは国民投票法改正案の成立を目指していかなければなりませんと述べました。
 前回指摘したように、自民党は、安倍首相が二〇二〇年と期限を区切った改憲を主張する下で、この改憲四項目をまとめ、審査会での議論を進めようとしてきました。その呼び水として突如持ち出してきたのが七項目の国民投票法改定案でありました。
 しかし、安倍改憲に反対する国民世論はこれを許さず、安倍前首相が掲げた二〇二〇年改憲の実現を阻んだのであります。安倍氏自身が国民的世論が盛り上がらなかったと述べたように、安倍改憲が破綻したことは明白です。にもかかわらず、菅首相が改憲四項目を持ち出し、国民投票法の成立を機にその議論を推し進めようとするなど、全く国民世論を見ないものであります。
 さらに、自民党は、安倍氏を憲法改正推進本部の最高顧問に据え、旗振り役にしようとしています。結局、破綻した安倍改憲に固執しているだけではありませんか。その下で、下村博文政調会長は、改憲に向け、今回のコロナを、ピンチをチャンスにして捉えるべきだなどと言い放っています。コロナ禍で多くの国民が苦しんでいる状況を改憲へのチャンスと述べるなど、言語道断であります。憲法を語る資格は全くありません。
 次に、新型コロナと憲法についてです。
 菅首相は同じメッセージで、コロナを例に、緊急時において国民の命と安全を守るため国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題ですと述べました。
 コロナ感染拡大を抑えるために必要なのは、抜本的な検査拡大、医療機関への減収補填を含めた医療体制の確保、移動自粛や営業自粛に対する十分な補償です。検査を拡大する、国民に十分な補償をするために、憲法を変える必要があるというのですか。余りにも荒唐無稽であります。
 今のコロナ感染の拡大は、安倍、菅政権が憲法に基づいてやるべきことを怠ってきたためです。国民からは、国はこの一年何をしていたのかという批判の声が上がっています。政府の失政を棚に上げ、国民の不安につけ込んで改憲議論をあおるなど、究極の火事場泥棒です。
 災害などの緊急時に必要なのは、事前の備えです。感染症対策では、平時から医療体制を確保しておくことが何よりも重要です。ところが、この間、自公政権の下で、医師や看護師、病床、保健所が削減され続けてきました。それがコロナ禍での医療危機を招いているのではありませんか。内閣に権力を集中すれば解決する問題ではありません。
 しかも、菅政権は、国民の移動を制限し、医療体制を確保するために緊急事態条項が必要だと言いながら、国内外から大勢の人が集まり、医療スタッフを大量に動員しなければならないオリンピック・パラリンピックの開催には固執し続けております。全く矛盾しているではありませんか。
 菅首相は、大会組織委員会が日本看護協会に五百人規模の看護師を派遣するよう要請したことに批判が上がっていることについて、休んでいる人も多いと聞いている、可能だと考えていると抗弁しました。これに対し、医療現場の実態を分かっているのか、医療スタッフはコロナ対応に充てるべきだという批判が出たのは当然であります。コロナ対策というなら、東京オリンピックは中止すべきです。
 今政治に求められているのは、コロナ禍で、憲法二十五条の生存権など国民の基本的人権を保障するために全力を挙げることだと強く指摘して、発言といたします。

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