国会質問

質問日:2021年 4月 20日  第204国会  本会議

「辺野古推進確認」を批判 衆院本会議

首相訪米報告で赤嶺議員

 日米首脳会談に関する菅義偉首相の報告と質疑が20日の衆院本会議で行われ、日本共産党の赤嶺政賢議員は、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設に固執する政府の姿勢を追及し、普天間基地の無条件撤去を求めました。

 両首脳は、普天間基地の固定化を避ける唯一の解決策だとし、新基地建設の着実な推進を再確認しました。赤嶺氏は、1996年の普天間基地の返還合意から25年が経過したことを挙げ、「この計画こそが四半世紀もの間、普天間の固定化をもたらしてきた」と批判しました。

 日米共同声明が、自由・民主主義・人権・国際法などの価値を強調していることに関し、「ならばなぜ、新基地建設反対の沖縄県民の意思を受け止めないのか。国際法に違反して構築した普天間基地は無条件撤去すべきだ」と迫りました。

 菅首相は「辺野古移設が唯一の解決策」だと繰り返しました。

 赤嶺氏は、同声明が日米同盟の一層の強化と日本の防衛力強化への決意を明記したことについて、「米軍の中距離ミサイル配備や敵基地攻撃能力の保有など軍事態勢の強化は、地域の緊張を高め、軍事対軍事の悪循環に陥る」と指摘。「台湾海峡の平和と安定の重要性」に言及したことについて、「米国の対中戦略に沿い、台湾海峡をめぐる問題に軍事的に関与していくのか」と追及しました。

 菅首相は「台湾海峡への軍事的関与などを予断するものではない」と答弁。赤嶺氏は「台湾住民の自由に表明された民意を尊重し、平和的な話し合いで解決されるべきだ」と強調しました。

 

“バイデン氏のものと認識”

五輪めぐる質問 首相が釈明

 菅義偉首相は20日の衆院本会議で、日米首脳会談後の共同会見で、東京五輪・パラリンピックをめぐり、「公衆衛生の観点から準備ができていない段階で進めるのは無責任ではないか」との米メディアの質問に答えなかった問題で、「バイデン大統領への質問と認識し、結果として回答漏れがあった」と釈明しました。日本共産党の赤嶺政賢議員への答弁。

 赤嶺氏は、開催ありきの姿勢を批判し、「大規模検査による感染封じ込め、医療機関への減収補てんと病床確保、事業を続けられるだけの十分な補償に直ちに踏み出し、今夏の東京大会は中止を決断すべきだ」と強調しました。

 

 

首相の訪米報告に対する赤嶺議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の赤嶺政賢議員が20日の衆院本会議で行った、菅義偉首相の訪米報告に対する質問(要旨)は次の通りです。


 東京五輪・パラリンピック開催への菅首相の決意に、バイデン米大統領から支持表明があったとしていますが、他国の大統領の意向ではなく、世界的な感染拡大の状況と国内の医療提供体制から判断すべきです。会見で菅首相は、「公衆衛生の観点から準備ができていない段階で進めるのは無責任ではないか」との質問に答えませんでした。今夏の開催中止を決断すべきです。

 日米両政府による普天間基地の返還合意から25年。5年ないし7年以内との約束は果たされず、政府は、(辺野古新基地建設に関わる)軟弱地盤の改良工事で、更に12年、9300億円かかるとしています。この計画こそが、普天間の固定化をもたらしています。

 共同声明は、自由と民主主義、人権、国際法などの普遍的価値を強調しています。ならば、沖縄県民の新基地建設反対の意思をなぜ受け止めないのか。国際法に違反し、住民の土地を奪って構築した普天間基地は無条件で撤去すべきではないですか。日米地位協定の抜本改正をなぜ提起すらしないのですか。

 辺野古の埋め立てに沖縄戦最後の激戦地である本島南部の土砂を使用する政府の計画に、県民の怒りが広がっています。沖縄戦遺骨収集ボランティアの具志堅隆松代表のハンガーストライキを、多くの県民が激励し、「血や肉や骨が土に戻った場所を埋め立てに使わないでほしい」「南部は遺族、県民にとって祈りの地。静かに眠らせてほしい」と訴えました。戦没者を冒涜(ぼうとく)し、遺族の気持ちをかき乱す計画の撤回を強く求めます。

 共同声明は、日米同盟の一層の強化と、日本の防衛力強化への決意を明記しました。同盟強化の具体的方法として何を検討するのですか。米軍の中距離ミサイル配備や日本政府による敵基地攻撃能力保有など軍事態勢の強化は、地域の緊張をさらに高め、軍事対軍事の悪循環に陥るだけです。沖縄の基地負担と軍事費・思いやり予算の更なる拡大をもたらす日米軍事同盟の強化は容認できません。

 共同声明は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すと明記しました。米国の対中軍事戦略にそって、台湾海峡をめぐる問題に軍事的に関与するということですか。この問題は、台湾住民の自由に表明された民意を尊重し、平和的な話し合いで解決されるべきです。米中双方に、緊張を高めるいかなる行動も厳に慎むよう働きかけるべきです。(しんぶん赤旗 2021年4月21日)

質問の映像へのリンク

「辺野古推進確認」を批判(衆院本会議)

議事録

○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表し、総理の訪米報告について質問をします。(拍手)
 初めに、新型コロナ対策の問題です。
 総理は、日米首脳会談後の共同記者会見で、東京五輪・パラリンピックの開催を実現する決意を伝え、バイデン大統領から決意に対する支持の表明があったことを明らかにしました。
 しかし、この問題は、他国の大統領の意向ではなく、世界的な感染拡大の状況と国内の医療提供体制から判断すべきものであります。
 感染力の強い変異株の流行と一部の国に偏るワクチン接種、逼迫する医療の現状を、総理始め、どう認識しているのですか。
 会見では、公衆衛生の観点から五輪の準備ができていない段階で進めるのは無責任ではないかとの質問が出されましたが、総理は答えませんでした。答えられる回答を持ち合わせていないということではありませんか。
 大規模検査による感染の封じ込め、医療機関への減収補填と病床確保、事業を続けられるだけの十分な補償に直ちに踏み出し、今夏の東京五輪・パラリンピックは中止を決断すべきではありませんか。
 四月十二日、日米両政府が普天間基地の全面返還に合意した一九九六年の橋本・モンデール会談から二十五年が経過しました。五年ないし七年以内に返還するという当初の約束は果たされず、政府は、今になって、軟弱地盤の改良工事のために、工期は更に十二年、経費も九千三百億円に拡大するとしています。
 総理は、首脳会談で、普天間の固定化を避けるための唯一の解決策である辺野古移設の着実な推進で一致したと述べていますが、この計画こそが、四半世紀もの間、普天間の固定化をもたらしてきたのではありませんか。
 今回の共同声明は、自由と民主主義、人権、国際法などの普遍的な価値が日米両国を結びつけていると強調しています。
 そうであるならば、度重なる選挙と県民投票で沖縄県民が示し続けてきた新基地建設反対の意思をなぜ受け止めないのですか。国際法に違反して住民の土地を奪って構築した普天間基地は、無条件で撤去すべきではありませんか。県民の人権をじゅうりんし、米軍の特権を保障する日米地位協定の抜本的改正を、なぜ提起すらしないのですか。
 これらに踏み切ってこそ、共同声明は中身を伴うものになるのではありませんか。
 今、沖縄では、辺野古の埋立てに沖縄戦最後の激戦地である本島南部の土砂を使用する政府の計画に県民の怒りが広がっています。
 三月には、沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表が、計画の断念を求めてハンガーストライキを行いました。多くの県民が激励に駆けつけ、血や肉や骨が土に戻った場所を辺野古の埋立てに使わないでほしい、南部は遺族、県民にとって祈りの地、静かに眠らせてほしいと訴えました。
 政府は、遺骨への配慮を求めると言いますが、あの地域の土砂を軍事基地の建設に使用すること自体が、戦没者を冒涜し、遺族の気持ちをかき乱すことになるのではありませんか。
 南部からの土砂採取計画は撤回することを強く求めます。
 共同声明は、日米同盟の一層の強化と、日本が自らの防衛力を強化する決意を明記しました。
 総理は、同盟強化の具体的方法について、両国で検討を加速すると述べていますが、何を検討するのですか。
 米軍の中距離ミサイル配備や日本政府による敵基地攻撃能力の保有が取り沙汰されていますが、このような軍事体制の強化は、地域の緊張を更に高め、軍事対軍事の悪循環に陥るだけではありませんか。
 沖縄の基地負担と軍事費、思いやり予算の更なる拡大をもたらす日米軍事同盟の強化は、断じて容認できません。
 さらに、共同声明は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すことを明記しました。日米両首脳が共同文書で台湾問題に言及するのは、日本が一九七二年に中国との国交を正常化して以来、初めてのことです。
 これは、日本が、アメリカの対中軍事戦略に沿って、台湾海峡をめぐる問題に軍事的に関与していくということですか。
 この問題は、台湾住民の自由に表明された民意を尊重し、平和的な話合いによって解決されるべきものです。そのために、米中双方に対し、緊張を高めるいかなる行動も厳に慎むよう働きかけをすることこそ、政府がやるべきことではありませんか。
 憲法の九条を生かし、東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を政府に求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

○内閣総理大臣(菅義偉君) 赤嶺政賢議員にお答えをいたします。
 医療の現場や東京オリンピック・パラリンピックの開催についてお尋ねがありました。
 政府としては、各国の感染状況などを注視しており、また、国内の感染拡大を食い止めるために全力を挙げているところであります。
 このため、飲食を通じた感染防止、変異株の監視体制の強化、検査の拡大、安全、迅速なワクチン接種、そして医療提供体制の強化の五本の柱から成る総合的な対策を進めています。
 東京大会については、安全、安心な大会を実現するために、感染対策が極めて重要であり、内外の感染状況を踏まえ、具体的な内容を検討しています。
 IOCバッハ会長とも、昨年から、東京五輪は必ず実現することで一致しており、先月の協議においても、引き続き東京大会の成功に向けて緊密に連携していくことを確認しております。
 御指摘の記者からの質問については、バイデン大統領の質問と認識してしまい、結果として回答漏れになったことは事実です。
 いずれにしろ、引き続き、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携し、準備をしっかり進めてまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設及び日米地位協定についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場は、一九七二年の沖縄の本土復帰以後、米国が我が国から適法に提供を受け、使用しているものです。
 抑止力の維持と危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であることを今回も再確認いたしております。
 着実に工事を進めることこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還と危険性の除去につながるものです。これからも、地元の皆さんの御理解を得る努力を続けてまいります。
 また、日米地位協定に関しては、事案に応じた最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきており、これらの取組により、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 辺野古移設に係る埋立土砂についてお尋ねがありました。
 変更承認後の埋立土砂については、県内と県外のどちらかから調達するかも含め、現時点で確定していないと承知しています。
 さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今もなお、厚生労働省と沖縄県で役割を分担して、戦没者の御遺骨の収集が進められております。
 御遺骨の問題は大変重要であり、こうしたことを踏まえて、埋立土砂の調達については、防衛省が適切に判断するものと考えます。
 日米同盟強化の具体的方法についてお尋ねがありました。
 共同声明では、日米の抑止力及び対処力の強化や、領域横断的な防衛協力の深化などについて示しておりますが、その具体的な内容については、今後、外務、防衛当局間で協議を進めてまいります。
 いずれにせよ、我が国としては、沖縄の負担軽減や我が国の厳しい財政事情等を踏まえつつ、主体的、自主的な努力により、我が国と地域の平和と安定のために、必要な責任を果たしていく考えです。
 今回の首脳声明における台湾海峡への言及についてお尋ねがありました。
 我が国としては、従来から、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するとの方針は一貫をしております。
 御指摘の言及が我が国の台湾海峡への軍事的関与などを予断するものでは全くありません。(拍手)

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