国会質問

質問日:2021年 3月 19日  第204国会  外務委員会

思いやり予算延長へ 衆院委で可決 赤嶺氏「容認できぬ」

 

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の支出根拠となる特別協定を1年延長する改定議定書の承認案が19日、衆院外務委員会で採決され、自民、公明、維新、立民などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は反対討論で、同協定による駐留経費負担は日米地位協定上「日本が負担する義務の全くないものだ」と指摘。1978年から「思いやり予算」として基地従業員の福利費や施設整備費の負担に踏み切り、87年の特別協定締結で負担範囲を拡大し、開始以来の総額は8兆円近くに上ると強調。「コロナ禍で多くの国民が困窮するときに、負担を続けるのは断じて容認できない」と批判しました。

 また赤嶺氏は、日本政府が、駐留経費の米側負担額や基地内外の居住者数、隊舎・家族住宅への入居率、米政府が公表している在日米軍の駐留人数など基本的な情報を明らかにしていないと指摘。「これで実質的な質疑ができるのか。国会と国民への説明責任を果たすべきだ」と求めました。

 赤嶺氏は、16日の外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)で中国に対抗するため「日米同盟の抑止力・対処力の強化」を確認したことに関し、「軍事対軍事の悪循環に陥ってはいけない」と批判。新たな米軍部隊の配備や駐留経費の負担増に応じないよう強調しました。

 採決に先立つ質疑で赤嶺氏は、米国務省が公表した資料に次期協定に関して「拡大された」合意に向けて交渉を継続していると明記し、日本側負担の拡大を求める姿勢を明確にしていると指摘。増額要求を拒否し、特別協定は廃止するよう強く求めました。(しんぶん赤旗 2021年3月20日)

 

 

泡消火剤事故を追及

赤嶺議員 専門家入れ調査体制を

衆院外務委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は19日の衆院外務委員会で、那覇市の航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出した事故(2月26日)に関し、空自の当初の説明と異なり、有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOSが泡消火剤から検出された問題を追及しました。

 赤嶺氏は、事故後に空自は「PFOSは含まれていない」と説明していたにもかかわらず、京都大学の原田浩二准教授の分析では基地外に流出した泡消火剤から1リットルあたり244ナノグラムのPFOSが検出されたと指摘。政府の暫定目標値(同50ナノグラム)の約5倍になると述べ、「空自の説明と矛盾するのではないか」と迫りました。

 防衛省の中山泰秀副大臣は「PFOSが検出されたとの報道を受け、泡消火剤の分析についての契約を締結した」と答弁。赤嶺氏は、事故原因の究明と再発防止策の周知は急務であり、防衛省本省の責任で第三者の専門家も入れた調査体制をつくるよう求めました。中山副大臣は「速やかに分析を行い、その後の調査体制も検討したい」と述べました。

 赤嶺氏は、那覇基地でのPFOS含有泡消火剤の処分状況を質問。防衛省の杉山真人大臣官房施設監は、交換済みは約2万リットルで、そのうち処分済みは約1800リットル、未交換は約1600リットルで、未処分と未交換を合わせた1万9800リットルを21年度末を目標に処分すると述べました。(しんぶん赤旗 2021年3月21日)

質問の映像へのリンク

空自那覇基地からの泡消火剤流出事故、思いやり予算特別協定で質問(衆院外務委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、自衛隊基地からの泡消火剤の流出事故について質問をいたします。
 二月二十六日、航空自衛隊那覇基地で、航空燃料保管施設に付設された消火施設から泡消火剤が流出する事故が起こりました。泡消火剤は基地の外にも飛散し、周辺のモノレールの駅や保育園、三キロほど離れた那覇市役所付近でも確認をされています。空自は、事故後、那覇市などに対して、流出した泡消火剤にPFOSが含まれておらず、毒性や損傷性がないことを伝えただけで、触れてしまった場合の危険性や対応方法については一切説明をしていませんでした。
 たとえPFOSが入っていなかったにせよ、子供が誤って触れたり誤飲すれば重大な事故になりかねません。触れた際の洗浄の徹底などを呼びかけるべきだったのではありませんか。

○中山副大臣 ありがとうございます。
 まず初めに、本事案に関しまして、近隣住民の皆様に御不安を与えており、誠に申し訳なく思っております。
 近隣の保育園においては、仮に泡消火薬剤が皮膚に付着した場合には水で洗い流すように注意喚起をしたところでありますが、県や市に対しても同様の説明を行うべきであったと考えてございます。
 いずれにしましても、今後、同様のことが発生しないよう再発防止に努めてまいりたい、そのように考えてございます。

○赤嶺委員 回収した汚染水について聞きますが、今、どこでどのように保管し、いつまでに処分するのですか。
 あわせて、昨年二月のPFOS処理実行計画に基づいて那覇基地全体でこれまでに交換、処分したPFOS含有泡消火薬剤の量と、未交換、未処理の量、今後の処理計画を明らかにしていただけますか。

○杉山政府参考人 お答えいたします。
 回収した泡消火薬剤を含む液体は、ドラム缶に入れた上で、漏えいした場合でも地面にしみ込むことがないよう、舗装されている那覇基地内の消防車庫の中で、ブルーシートを敷いた上で保管しております。現在、その液体のPFOSの含有の有無について分析を行っているところでございます。現時点において処分の時期は未定ですが、いずれにしましても、法令に従い適切に処分したいと考えております。
 また、令和元年度末に那覇基地で保有していたPFOS含有泡消火薬剤について、PFOS処理実行計画に基づき交換済みの泡消火薬剤の量は約二万リットルであり、そのうち約千八百リットルの処分を完了しております。交換を完了していない泡消火薬剤の量は約千六百リットルでありまして、交換を完了し、基地内で保管されているものを含め、残りの処分量は約一万九千八百リットルとなります。全ての処分の完了時期につきましては、令和三年度末を目標としております。

○赤嶺委員 空自は、今回流出した泡消火剤は交換した後のもので、PFOSは含まれていないと説明をしているわけです。ところが、京都大学の原田浩二准教授が基地外に飛散した泡消火剤を分析したところ、一リットル当たり二百四十四ナノグラムものPFOSが検出されております。
 政府は、暫定目標値をPFOS及びPFOAの合計で五十ナノグラム以下としておりますが、今回検出された量はその五倍であります。なぜPFOSが検出されたのか、空自の住民に対する説明と矛盾するのではありませんか。

○中山副大臣 ありがとうございます。
 防衛省としましては、PFOS処理実行計画に基づきまして、泡消火薬剤を順次PFOSを含まないものに交換をしている最中でありますが、二月二十六日に航空自衛隊那覇基地の外に出た泡消火薬剤は、PFOSを含まない泡消火薬剤であるとの報告を受けておりました。
 三月十日の飛散した泡消火薬剤からPFOSが検出されたとの報道を受けまして、翌十一日には回収した泡消火薬剤の分析についての契約を締結したところでございます。
 速やかに御指摘の内容の分析を行い、PFOSの含有の有無をしっかりと確認してまいりたい、そのように考えてございます。

○赤嶺委員 この非常に矛盾した、しかも国の基準を超えたPFOSが含まれていたというのは、住民を不安に陥れる、最初の説明から住民に対しての丁寧な姿勢が足りないなということを強く思います。
 防衛省は今、全国の基地あるいは駐屯地でPFOSの処理を進めていますが、同じことを繰り返してはいけないと思います。徹底した事故原因の究明と、再発防止策の全省への周知は急務であります。
 そのためにも、現場の自衛隊任せにしないで、防衛省本省が責任を持ち、第三者の専門家も入れた調査体制をつくるべきだと思いますが、この点、いかがですか。

○中山副大臣 ありがとうございます。
 今回の件につきましては、那覇基地から様々な報告を受け、防衛省本省、航空幕僚監部共に協力してその対応を検討し、逐次様々な助言を行っているところでございます。
 また、先般回収した泡消火薬剤につきましても、速やかにその内容を分析、その上で、その後の調査体制についても検討してまいりたい、このように考えております。

○赤嶺委員 中山副大臣、現場は私の自宅の近所なんです。だから、幾らでも情報が入ってくる。それだけ市民の不安が訴えられているということでありますから、徹底してやっていただきたいと思います。
 特別協定について質問をします。
 政府は、今回、現行協定の有効期間を一年延長し、その上で、二〇二二年四月以降の新たな複数年度の協定締結に向けて交渉を継続するとしております。
 この間の経緯を振り返って、まず、ただしておかなければならないと思うのは、米軍基地で働く労働者の権利の問題です。
 アメリカのトランプ政権は、米軍駐留経費の負担を、日本政府には四倍以上、韓国政府には五倍以上に引き上げるよう、法外な要求を行ったことが報じられました。期限までに交渉がまとまらなかった韓国では、基地労働者の約半数、四千人が無給休職に追い込まれました。自分たちの基地を支える労働者に対してこんな扱いをするのかと、非常に強い憤りを覚えたものであります。
 翻って、日本はどうかといえば、日本の労働法令が米軍との労務提供契約に十分に反映されず、米軍の判断一つで解雇や非正規雇用への置き換えが行われている実態があります。三六協定や安全衛生委員会の設置についても、いまだに日米間で合意に至っていません。
 防衛副大臣に伺いますが、同じ日本で働く労働者であるにもかかわらず、働く場所によって労働者としての当たり前の権利が保障されない現状は、直ちに改める必要があると思います。今後、この点、どのように取り組む考えですか。

○中山副大臣 ありがとうございます。
 在日米軍従業員の労働条件につきましては、日米地位協定第十二条5の規定に基づき、雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、別段の合意をする場合を除き、我が国の法令で定めるところによることとされております。
 その上で、具体的な労働条件は日米間で締結している労務提供契約において規定しており、その内容については、その時々の労働関係法令や労働環境等を踏まえ、適正なものとなるよう、労働組合の同意を得た上で、改正を積み重ねてまいっております。
 さらに、労務提供契約に基づきまして、実際に米側が労務管理を行う際にも、労働関係法令等の趣旨を踏まえた適正なものとなりますように、日米間で不断に協議をしております。
 防衛省といたしましては、引き続き、御指摘を踏まえ、米側や労働組合と緊密に連携をしつつ、雇用主の立場から、雇用の安定や適切な労働環境の確保に全力を尽くしてまいりたいと思います。

○赤嶺委員 適正になるようにこれからも努力していくというお話でありましたが、今の米軍の基地の中で働く労働者に日本の国内の労働法令の全てが適用されていない実態、全駐労もその改善を強く求めてまいりました。引き続きの、本当に、雇用主は防衛省ですから、きちんとした対策を取っていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、協定の国会審議に当たっての政府の説明責任についてであります。
 私は、昨年五月の本委員会で、米軍駐留経費の米側負担額が二〇一一年度以降公表されなくなっている問題を取り上げました。先日の本会議でのやり取りを聞いていましたら、相変わらずその点を明らかにしていませんでした。国会に協定の審議を求めるに当たって、日米双方の負担額と負担割合がどうなっているかを明らかにするのは、これは当たり前だと思います。
 外務大臣に伺いますが、今回の国会審議に当たって、アメリカ側に対してアメリカ側負担額を明らかにするよう求めたんですか。

○茂木国務大臣 まず、ホスト・ネーション・サポートについての基本的な考え方を申し上げたいと思います。
 日米の負担割合、これを論じる前に、まずは我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割であったりとか任務の分担を行っていくべきなのか、また、その下で我が国の負担規模が適切か否かを考えることが大事だと思っております。
 その上で、我が国のHNSの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効率的な運用を支えるHNSは引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、日本として主体的に判断をしております。
 日本政府としては、もちろん、交渉の中で米側から提供される情報であったり関連する情報を最大限収集した上で交渉に臨み、その上で、一層厳しさを増す地域の安全保障環境や我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、米側と真剣に協議を重ねていきましたが、その具体的なやり取り、そして米側から提供された情報の内容につきましては、相手方との交渉、さらには、今後、複数年度の協定の交渉、これもあるわけでありまして、そういったものへの影響もあることから、差し控えさせていただきたいと思います。

○赤嶺委員 私が聞いているのは、ごくごく常識的、当たり前のことだと思いますよ。
 特別協定を国会で審議をするに当たって、外務大臣は、まず、金額とか負担割合とかじゃない、最初に日米同盟があるんだ、こうおっしゃっておりますが、日米安保条約の下で結ばれている地位協定の枠を外れているのが今度のHNSですよね。特別協定ですよ、これは。暫定的、限定的というわけですよ。
 そういう特別協定を審議するに当たって、日米双方の負担額と負担割合がどうなっているかを明らかにするのは、これは当たり前ではないか。その当たり前のことを、国会審議に当たって、アメリカ側に対し米側の負担額を明らかにするよう日本の外務省は求めたのかどうか。これは、しかし求めたら交渉事で相手が都合が悪いとか、そんな問題ではないと思いますよ、これは特別協定ですから。いかがですか。

○茂木国務大臣 そうは申し上げておりません。交渉の中で米側から提供される情報であったりとか、関連する情報を最大限に収集した上で交渉に臨んでいる、このようなお話を申し上げました。
 国民の税金を使う我が国としてどれだけ負担をするか、我が国が果たすべき役割としてそれが適切であるかどうか、このことはしっかり御審議をいただきたいと思っております。
 一方で、どういうやり取りをしたか、それに使った情報はどうなのかということに関しては、相手方との関係、さらには複数年度の今後の交渉もあるわけであります。それへの影響等も当然交渉というものは考えなきゃなりません。全てが終わっているわけではないわけでありますから、そういう観点から差し控えたい、このように申し上げただけです。

○赤嶺委員 全ては終わっていないんですが、日本はそういう米軍の駐留経費の額を定めているわけですよね。発表しているわけですよ、日本側は。そうでしょう。米軍の駐留経費の負担額は、日本政府も当たり前に公表している基本的な情報であります。アメリカ政府も、かつては毎年議会に提出する報告書で明らかにしておりました。
 アメリカは、これは何で明らかにしたらまずいと、アメリカが言っているのか、日本政府が考えているのか、そのまずいと思っているところをもっと具体的に説明してくれませんか。

○市川政府参考人 お答え申し上げます。
 委員が御指摘のとおり、以前、米側は、米側が試算した在日米軍駐留に係る米側の負担額ということを二〇一〇年の時期まで提供しておったわけでございますが、現在そういうことはしておらないということでございます。
 なぜ米側がそういうことをしないのかということはつまびらかではございませんけれども、いずれにしましても、先ほど大臣から申し上げましたとおり、私ども、交渉に当たってはでき得る限りの情報収集を行いますし、交渉の中で、米側とのいろいろなやり取りの中で、できる限りの、米側が負担するような情報についても入手した上で交渉を行うということは当然でございます。
 ただ、先ほどから大臣が申し上げているとおり、交渉事でございますので、その交渉の中でどのようなやり取りをしているかということは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。

○赤嶺委員 米側は公表しない理由をつまびらかにしていないけれども、それは交渉事であるから日本は理解しよう、そういう公表をしていないということを。しかし、交渉の中で米側から得られる情報をできるだけたくさん得ようという努力はしている、そういう話ですね。
 これは情けないんじゃないですか。そういう特別協定を結ぶに当たって、地位協定でさえ定められていないようなお金を出すに当たって、こんな交渉のやり方しかできないのか、私はそう言いたくなります。
 今日、午前中のやり取りの中でも出ておりましたけれども、三月十七日に、アメリカの政府監査院、GAOが日本と韓国の駐留経費負担に関する報告書を公表いたしました。
 これによりますと、二〇一九年の米側負担額は五十三・四億ドルとなっています。ところが、そのうちの三十一億ドル、五八%は米軍兵士の給与であります。どこに駐留しようと当然支払うことになる兵士の給与まで駐留経費だと言っている一方で、家族住宅や軍事施設の整備、維持費用は四億ドルにすぎません。
 同じ年の日本の負担額は、思いやり予算とSACO関係経費、米軍再編関係経費が合わせて三千九百九億円、施設の借料や周辺対策などで千九百十四億円、基地交付金などで四百十一億円、提供普通財産借り上げ試算が千六百四十一億円、これらを全て合計すると七千八百七十五億円、一ドル百九円で換算をすると七十二億ドルです。
 駐留経費の大半を日本が負担する実態になっているのではありませんか。今からでも、米側負担額と日本側の負担割合をきちんと確認して、国会に、本委員会に報告すべきではありませんか。

○市川政府参考人 お答えいたします。
 委員が御指摘になりましたGAOの資料でございますけれども、果たしてこれが米側の駐留経費の全体像を表しているかどうかというようなことは、必ずしも明らかではないというところでございます。
 例えば、軍属の人件費などは入っておらない一方で、大使館等の費用も入っているというようなことでございますので、その意味で、それを根拠とした概算あるいは計算というのは、一概に適切かどうかということは言いかねると思います。
 その上で、先ほど来大臣も申し上げておりますけれども、日米の負担割合を論じる前に、やはり我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割、任務の分担があるのか、その下で我が国の負担規模、これが適切か否かということを考えることが大事であるということでございます。
 今後、複数年度にわたります交渉が行われますが、その際におきましても、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSが引き続き重要であるという点を踏まえた上で、厳しい我が国の財政状況、それから我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮して、主体的に判断してまいりたいと思います。
 以上でございます。

○赤嶺委員 今私たちが直面しているのは、GAOで米側が出した駐留経費よりも日本側が負担している駐留経費が上回っている、これに疑問を持つのは当然ですよね。
 それは、あれが全てではないとか、あるいは、米軍兵士の給与まで入れてこれは何だとか、いろいろな疑問がありますけれども、そういう、国会でやるなら日米同盟の大きな枠を議論しようじゃないか、その後、金額は別だというのでは話が通りませんよ。これは、お互いに負担割合をどうするかというのも重要な議論の核心点ですよ。GAOが出したことをきっかけにして、日本政府も駐留経費を全部明らかにせよと米側に求めるべきであります。
 政府の責任に関わってもう一点伺いますが、今回の2プラス2に先立って、アメリカの国務省が日米同盟の現状に関するファクトシートを公表いたしました。その中で、日本は約五万五千人の米軍人を受け入れているという記述があります。
 防衛副大臣に伺いますが、防衛省は二〇一三年三月末を最後に在日米軍の駐留人数を公表していません。国際社会における米軍に対する脅威のために情報が提供されなくなったというのが、これまでの防衛省の説明でありました。
 ところが、今回、こういう形でアメリカ政府自身が公表しております。これまでの説明と矛盾すると思いませんか、明らかにできるということではありませんか、いかがですか。

○中山副大臣 ありがとうございます。
 まずは、御指摘の記述について承知をいたしております。米軍人の人数に関する情報についていかなる情報が公表可能かについては、米側が判断をするものであり、防衛省といたしましては、その判断の是非についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 その上で、過去、政府が米側から入手し、公表していた在日米軍施設・区域内外に居住する地方公共団体別の米軍人等の人数については、二〇一四年以降、米側から、国際社会における米軍に対する脅威により、より厳しい考慮が必要であるとして、懸念が示され、政府に対して情報の提供がなされていないというのは委員御指摘のとおりでございます。
 防衛省といたしましても、米側の懸念について一定の配慮が必要と考えますが、在日米軍施設・区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることが重要だと考えております。
 防衛省としましては、米軍人等の人数に関わる情報の適切な取扱い等につきまして、関係省庁と緊密に連携しつつ、引き続き米側と協議をしていきたい、そのように考えてございます。

○赤嶺委員 米側はちゃんと自分たちを公表しているわけですからね。
 資料をお配りしております。防衛省がかつて公表していた二〇一三年三月末までの居住者数の推移です。
 軍人を見ると、二〇〇八年三月末には、全国が四万九千三百六十四人、そのうち沖縄が二万四千四百三十九人でした。ところが、二〇一三年三月末には、全国が五万二千七百八十六人、沖縄が二万七千七百九十一人となっています。沖縄で三千人以上が増加し、それがそのまま全体の増加につながっていることが分かります。軍属も全国で千人以上が増え、そのうち半数を沖縄が占めております。
 沖縄の負担軽減というのは、総理か外務大臣、防衛省から何度も聞かされました。負担軽減と言いながら、現実には駐留人数が増えていたことを示すものであります。その後、公表されなくなりました。
 米軍への脅威が理由と言いますけれども、アメリカの国防総省のホームページには、世界各国に駐留する米軍関係者の規模を公表しているサイトがあります。二枚目の資料は、沖縄県がそれを一覧表にまとめたものであります。ここでは、沿岸警備隊などの人数を除外しており、若干のずれはありますが、二〇一三年以降も基本的には増加の傾向にあることが分かります。
 二〇二〇年三月時点の日本の駐留人数は五万五千百四十八人となっています。二〇一三年との比較で、二千人以上が増えています。この一方で、この数字は国ごとに公表されているもので、その中で沖縄がどうなっているかは分かりません。
 要するに、政府が沖縄の負担軽減を言っているときに、アメリカ政府は独自の判断で駐留人数を増やしている。そうした実態をできる限り隠そうと、米軍への脅威は口実であって、公表するのを、隠すためにやめたという具合にしか受け取れませんが、いかがですか。

○中山副大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、先生御指摘の米軍に対する脅威というのは、ちょうど私が外務副大臣を仰せつかっていたとき、いわゆるISILのテロリストの者たちが、当時の連合軍、いわゆる空爆に参加をしたパイロットの住居、氏名、生年月日、そういったものを細かく詳細までインターネット上に公表をし、そして、その者たちの命を奪った者に金を払うというようなプロパガンダに使われていたというテロとの闘いの現実が当時ございました。
 したがいまして、そういった脅威というのはいまだに継続をしているものであるという認識が私自身にもございます。
 そんな意味を踏まえて、今回のこの米側の懸念について一定の配慮が必要だという考え、そして、在日米軍施設・区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることは重要だと政府も考えてございますが、引き続き、先ほど答えたように、関係省庁と緊密に連携しつつ、米側と協議をしていきたい、そのように考えてございます。

○赤嶺委員 米側に配慮する余り、結果として、政府が取ってきた沖縄の負担軽減、逆に駐留兵士は増えていた、そんなふうになったら、負担軽減はまやかしで、それを沖縄県民に知られないために公表しなくなった、脅威は口実だったと言われても仕方がないですよ。だって、増えているんですから。負担が増大しているんですから。幾らこんなふうに説明しても、納得できるものではありません。
 駐留人数だけではありません。同じ頃には、それまで公表していた米軍基地内外の居住者数の内訳も公表しなくなりました。公表されていたときの推移を見ると、基地の外の居住者数が年々増える一方で、基地内の居住者数は減少していました。日本政府が思いやり予算で隊舎や家族住宅を造っているのに、基地の外の景色のいい海岸沿いに住む米軍関係者が増加して、地域住民が不安を訴えるということが起こってきました。そうした実態を、これも隠すために、基地内外の居住者数も公表をやめたのではありませんか。
 思いやり予算の審議を行う上で、そもそも、全国と各県、市町村に駐留、居住する米軍関係者がどれだけいるのか、そして、基地の中と外の居住者数や、基地の中の隊舎や家族住宅の入居率、この入居率も明らかにしていく、これは当然ではありませんか。

○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、過去、政府が米側から入手し、公表していた各種数字につきましては、二〇一四年以降、国際社会における米軍に対する脅威により、より厳しい考慮が必要であるとして懸念が示され、政府に対して情報の提供がなされておりません。
 他方、もちろん、沖縄の負担軽減については、政府として全力を挙げているところでございます。また、これも先ほど副大臣が答弁申し上げたところでございますけれども、防衛省としては、米側の懸念について一定の配慮が必要と考えますけれども、在日米軍施設・区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることが重要というふうに考えております。
 防衛省といたしましては、米軍人等の人数に係る情報の適切な取扱い等につきまして、関係省庁と緊密に連携しつつ、引き続き米側と協議をしてまいりたいと思っております。

○赤嶺委員 思いやり予算で基地の中に隊舎や家族住宅を造ったりしているけれども、実際には基地の外に住んでいる米軍兵士、しかも非常にリゾートですよ、リゾートのところに住んでいる、そういうのが増えている。それも実態が公表されないので、なかなか明らかにならない。
 しかし、少なくとも、HNSを審査する上で、家族住宅、基地の中の住宅の入居率、隊舎の入居率、これは国会審議で出すのは当たり前ですよね。ごくごく当然だと思います。外務大臣と私と日米同盟に対する考え方は違いますが、考え方の違いはともかくとして、こんなの、国民の税金を使う以上、審査の対象として資料を出すのは当たり前だということを、さっき努力するという旨のお話がありましたから、是非、これはきちんと公表していただきたいと思います。
 次に、今後の交渉についてであります。
 先ほどのファクトシートは、次期協定に関して、新たな拡大された複数年の合意に向けた交渉が継続している、このように述べております。拡大されたと明記して、日本側負担の拡大を求めるアメリカ政府の姿勢を明確にしています。
 そもそも、日本政府が一九八七年に特別協定の締結に踏み切ったのは、アメリカの財政赤字が最大の理由でありました。今どうなっているかといえば、債務残高の対GDP比を比較すると、日本はアメリカの二倍です。主要先進国の中で、ずば抜けて最悪の水準になっています。しかも、コロナ禍で多くの国民が生活に困窮し、赤字国債の発行額は急増しております。
 今後、切り縮められてきた医療機関や保健所の体制の立て直しに予算を振り向けていくことも必要になってきます。地位協定の負担原則に反する特別協定は廃止すべきであって、よもや増額するなどということはあってはならないことだと思いますが、政府は、この点、どういう方針で交渉に臨んでいるんですか。

○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

○茂木国務大臣 我が国を取り巻きます安全保障環境が厳しくなっていること、さらには我が国の厳しい財政状況、そういったものも踏まえて、しっかり交渉してまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 終わります。

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参考資料

在日米軍の駐留人数

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