衆院予算委 赤嶺氏が追及
日本共産党の赤嶺政賢議員は17日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、埋め立て土砂の7割が戦没者の遺骨が残る本島南部から調達されるのは「戦没者への冒涜(ぼうとく)」だと批判し、土砂採取計画を撤回し遺骨収集に全力を挙げるよう求めました。
赤嶺氏は、遺骨が眠る土砂を米軍基地の建設に使うのは「人間のやることではない」などの怒りの声が県内で広がっているとして、「戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、中止を指示すべきだ」と追及。岸信夫防衛相は「南部から土砂を調達する場合でも、遺骨がないか業者が目視で調査する」と述べ、南部からの土砂採取を否定しませんでした。
赤嶺氏は、土に埋もれる遺骨は土と同じ色で判別が難しく、業者は重機で掘り起こすため遺骨に気づかずに採取されることになると指摘。「業者が目視で判別できる保証などない」と強調しました。
赤嶺氏は、本島南部で犠牲者が多いのは当時の日本軍が南部に撤退しながら戦闘を続けたからで、「政府がこの事態をつくった歴史的な責任を負っていることを忘れてはならない」と述べ、認識をただしました。菅義偉首相は沖縄の歴史への言及を避け、「南部で採取する場合は遺骨に十分に配慮するよう求める」と述べるのみでした。
赤嶺氏は、小渕恵三元首相(故人)が学生時代、占領下の沖縄でたびたび遺骨収集に参加してきたことにもふれ、「かつての自民党政権は沖縄の歴史への最低限の認識を持ち、沖縄でやってはいけないことを知っていた。しかし、安倍・菅政権には(その認識を)全く感じない」と厳しく批判。戦没者を冒涜する土砂採取計画は撤回するとともに、新基地建設の中止を強く求めました。
低空飛行訓練 中止を
赤嶺議員 米との協議求める
日本共産党の赤嶺政賢議員は17日の衆院予算委員会で、沖縄県各地で米軍機による低空飛行訓練が昨年末から相次いでいる問題をとりあげ、低空飛行訓練の中止を求めました。
赤嶺氏は、かつてないほどの超低空の飛行訓練が慶良間諸島や国頭村辺戸(へど)岬などで複数目撃されており、住民に不安が広がっていると指摘。従来の政府の対応は「住民への配慮」を米軍に求めるのみだと批判し、「住民の生活圏で危険な訓練を行わないよう日米間で話し合うべきだ」と迫りました。
岸信夫防衛相は慶良間、辺戸岬で低空飛行が行われた事実は認めた上で、「米軍から日米合意に基づいて行っていると回答があった」と述べ、容認する姿勢を示しました。
赤嶺氏は「政府の対応では住民の安全は守れず、日本列島を米軍の訓練場として差し出すようなものだ。主権国家の政府がやることではない」と厳しく批判しました。
論戦ハイライト
沖縄戦への歴史的責任 忘れてはならない
「危険な普天間」つくったのは日米政府
衆院予算委 赤嶺氏が迫る
17日の衆院予算委員会で、米軍辺野古新基地の埋め立て土砂をめぐり、沖縄戦の戦没者の遺骨が今も眠る沖縄本島南部からの調達は許されないと追及した日本共産党の赤嶺政賢議員。沖縄戦の犠牲者が南部に集中した歴史的経緯を語り、新基地建設の中止を迫りました。
埋もれた骨の色
岸信夫防衛相は、「採石業者は、開発前に遺骨がないかを目視で調査している」などと答弁。赤嶺氏は、遺骨収集の実像を示しました。
赤嶺 土に埋もれた骨がどういう色をしているか知っているか。
菅義偉首相 承知していない。
赤嶺 白いと思われるかもしれないが、土と同じ色をしている。手にして重さを比べないと、サンゴのかけらと区別がつかない。
赤嶺氏は、「子どもの指の骨はボールペンほどの細さしかなく、自分たちでも見つけるのは難しい」という、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表の話を紹介。「採石業者は重機で掘り進めるのだから、多くは遺骨に気づかず、丸ごと採取することになる」と批判しました。
さらに、沖縄戦で住民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦となったのは、本土決戦を遅らせようとした「捨て石作戦」のためで、「住民の犠牲者9・4万人の半数以上が南部で亡くなった」と指摘。当時の日本軍が住民の避難していた南部に撤退しつつ持久戦を選んだことで、狭い地域に住民と兵士が混在し、住民は壕(ごう)を追われ、食料を奪われ、口封じのために赤ちゃんに手をかけるよう強要されたと語り、「南部は、ありったけの地獄を集めたような戦場になった。そうした事態をつくりだした歴史的責任を忘れてはならない」と迫りました。
国際法に反する
赤嶺氏は、沖縄での米軍基地の形成の歴史も強調。「米軍は、沖縄戦で上陸して住民を収容所に入れている間に土地を一方的に奪って基地を構築した。占領下でも私有財産の没収や略奪はハーグ陸戦法規で禁止されている」と述べました。
赤嶺 沖縄の基地の形成過程をどう認識しているのか。
首相 普天間飛行場は戦時中に米軍が土地を接収して建設されたと承知している。
米軍が土地を接収した事実は認めたものの、「いずれにしても世界一危険といわれる普天間飛行場の固定化は避けないといけない」と続け、辺野古新基地建設に固執した菅首相。赤嶺氏は、「街の真ん中に普天間基地をつくったのは米軍で、容認しているのが日本政府だ。『世界一危険な基地』は日米両政府がつくっている」と批判し、「国際法に反して強制的につくった基地は無条件撤去が当然だ」と力を込めました。(しんぶん赤旗 2021年2月18日)
質問の映像へのリンク
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
今日は、まず、米軍機による低空飛行訓練の問題から質問をいたします。
沖縄の地元紙のコピーを配付させていただいておりますが、昨年以来、沖縄県慶良間諸島の座間味村や渡嘉敷村、沖縄本島最北端の辺戸岬、金武湾、大宜味村など、県内各地で、米軍機によるかつてなかったような超低空での飛行訓練が立て続けに目撃をされています。住民からは、これまでとは全く違う、島に突っ込んでくるようだった、こういう不安の声が上がっています。
米軍機が飛行する様子は住民が動画で撮影しており、沖縄の地元紙などが公開をしています。それを見ますと、本当に超低空で住民の方に迫ってきて、目の前をかすめるように飛んでいく米軍機の姿が収められております。
総理に、事前に動画を御覧いただくようにお願いをしておりました。御覧いただけたと思いますが、どのようにお感じになりましたか。
○菅内閣総理大臣 昨年末から、沖縄で米軍が実施する飛行訓練について、地元の皆様から不安の声が上がっていることは承知をしております。
また、御指摘をいただきました動画は拝見をいたしました。飛行高度の分析には専門的な知見が不可欠なため、私がコメントすることは差し控えたいと思います。
ただ、いずれにしろ、米軍による飛行訓練は、日米安保条約の目的達成のため重要なものでありますが、実施に当たっては、ルールを守って、安全面に最大限配慮し、地元の皆様方に与える影響が最小限にとどまるよう、防衛省、外務省にしっかり対応させたい、このように思います。
事実関係は防衛大臣に答弁をさせていただきます。
○赤嶺委員 率直な感想も伺いたかったところであります。
座間味村の宮里村長や渡嘉敷村の座間味村長は、村民の生活圏での訓練はやめてほしい、このように訴えております。観光への影響も危惧しております。当然の訴えだと思います。昨日は、沖縄県議会が、低空飛行訓練の即時中止を求める決議、意見書を、自民党も含めて全会一致で可決をいたしました。
米軍機による低空飛行訓練は、これまでも日本全国で問題になってきました。訓練による騒音だけでなく、訓練中の墜落、木材運搬用ケーブルの切断、衝撃波による土蔵の崩壊、窓ガラスの破損、家畜への被害など、繰り返されてきました。ところが、政府は、日米安保の目的達成のためには必要な訓練だとして容認し、問題が起きたときだけ住民への配慮を求める、こういう対応に終始してきております。これでは、住民の命も暮らしも守ることはできません。
少なくとも住民の生活圏でこうした危険な訓練が行われることがないように、日米間でしっかり話し合うべきだと思いますが、総理、いかがですか。
○岸国務大臣 昨年十二月二十八、二十九及び本年の一月六日の慶良間諸島の周辺に及ぶ飛行、また二月四日の国頭村辺戸岬周辺における飛行、これについては、日米間の合意に基づいて行っているということの回答を米側から受けているところでございまして、関係自治体にはお知らせをしているところでございます。
また、それぞれの飛行を受けて、防衛省から米側に対しまして、航空機の運用に際して、引き続き日米合意を遵守するとともに、より沖合で訓練を実施するなど、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように申入れを行っているところでございます。
引き続き、今後とも、米側と連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、住民の、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 低空飛行訓練は日米の合意に基づいてやっているとアメリカが言い、日本政府は住民の安全に配慮してほしいと言い、一向に改善をされないわけですよ。今のような政府の対応では、住民の安全を守ることはできないどころか、日本全土に、沖縄だけじゃないですよ、既に本土でも広がっておりますが、こういう訓練、日本全土に、米軍の訓練場として日本列島を差し出すというようなことになっていきます、止めるすべがないわけですから。これは主権国家の政府がやることではないですよ。低空飛行訓練の中止を強く求めておきたいと思います。
次に、辺野古の問題について質問をいたします。埋立土砂の調達場所の問題です。
政府は当初、辺野古の埋立てに用いる土砂は、沖縄県外を中心に調達する計画でありました。昨年四月の設計変更申請の際に、これを変更して、沖縄戦最後の激戦地である沖縄本島南部から大量の土砂を調達しようとしております。戦後七十五年を経た今なお、戦没者の遺骨が発見され、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域であります。戦没者の血がしみ込み、遺骨の眠る地域の土砂を米軍基地の建設に使うことに、人間のやることではない、そして、戦没者を冒涜するものだ、こういう怒りの声が広がっております。
総理、この間の国会質疑の中で、関係法令で認められた採石場から調達されると答弁しておりますが、しかし、問われているのは法律に基づいているかどうかではありません。総理の政治的な判断の問題として、こういうことを認めるのかどうか。
この地域は沖縄戦跡国定公園に指定をされています。戦跡を保護することによって、戦争の悲惨さ、平和の尊さを認識し、戦没者の霊を慰めることを目的に掲げています。戦跡としての性格を有する国定公園は全国でもここだけであります。戦没者の無念と遺族の心情に寄り添って、この地域の土砂を辺野古の埋立てに使用することはやめるように指示していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○岸国務大臣 変更承認後の埋立てに使用される土砂の調達先については、工事の実施段階で決まるものですから、県内、県外どちらから調達するかも現時点では確定していないところでございます。
さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今なお、厚生労働省と沖縄県で役割を分担して、戦没者の御遺骨の収集が進められております。開発業者及び採石業者が作業中に御遺骨を発見した場合には、市町村、警察へ通報し、沖縄県が設置しました戦没者遺骨収集情報センターが御遺骨を収集する仕組みが構築されていると承知をしております。
また、南部地区の採石業者においては、開発前に御遺骨がないかを目視でまず事前調査を行うとともに、御遺骨が眠る可能性のあるガマがある場所は開発を行わないなど、御遺骨に配慮した上で事業が営まれていると承知をしております。
変更承認後の土砂の調達先は決まっていないところですけれども、仮に南部の鉱山から土砂の調達が行われるとしても、現在行われている関係機関による遺骨収集の仕組みや採石業者の取組を踏まえて、御遺骨の取扱い等については契約関係の中で明記をし、採石業者によるしっかりとした対応を求めていくこととしたいと考えております。
○赤嶺委員 遺骨があるかないかを判断して採石業者は開発するようなこともおっしゃっておりますが、総理、私、伺いたいんですが、土に埋もれた骨がどういう色をしているか、御存じですか。
○菅内閣総理大臣 承知をしておりません。
○赤嶺委員 骨がどういう色をしているかといえば、白いと思われるかもしれませんが、土と同じ色をしているんですよ。そして、簡単に見分けがつくものではないんです。しかも、沖縄ではサンゴのかけらが土に混じっていますから、実際に手にして重さを比べてみないと、それが遺骨かどうかは区別がつかないんです。採石業者は重機で掘り進めるわけですから、多くは遺骨に気づかず丸ごと採取することになってしまいます。
沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの代表に具志堅隆松さんという方がいらっしゃいます。私も何度となく遺骨収集の現場に同行させていただいておりますが、子供の指の骨、その骨はボールペンほどの細さしかなく、自分たちでも見つけるのは難しい、このようにおっしゃっています。
そうした現場の状況を踏まえれば、業者が目視で確認をするとか遺骨に配慮するとかといっても、そんな保証はどこにもないのではありませんか。いかがですか。
○岸国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、まだ土砂の調達先については決まっていないところでございます。
いずれにいたしましても、関係機関による遺骨収集の仕組み、また採石業者の取組も踏まえて、御遺骨の取扱い等については契約関係の中でしっかり明記をして、採石業者によるしっかりとした対応を求めてまいりたいと思います。
また、その上で、採石業者に求めることとなる具体的な内容については、これまでの取組や状況を踏まえつつ、しっかり検討してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 先ほどから、例えば遺骨収集は厚労省と沖縄県の仕組みがあるんだとか、いろいろおっしゃっていました。
戦没者遺骨収集情報センターが収容する仕組み、これはボランティアの人たちが一生懸命求めてできている仕組みなんですよ。もう厚労省なんか、沖縄での遺骨収集は終わったという認識だったんですよ。終わったという認識のときに、開発現場で、区画整理の開発の現場やその他で遺骨がどんどんどんどん見つかる。終わっていないじゃないかということで、ボランティアの人たちが遺骨収集を始めた。厚労省や沖縄県も重い腰を上げた。だから、厚労省と沖縄県の仕組みがあるから大丈夫だというのは、大丈夫じゃないんですよ。まさにボランティアの努力で、今、遺骨収集をずっとやっているわけです。今までの後ろ向きの姿勢を改めさせたのは県民の側だ。
今やるべきは、もちろん辺野古に使うと決まったわけじゃないと言っておりますが、辺野古の候補地になっているんですよ、総理、糸満、南部は。七割ですよ、そこから。七割の土砂が辺野古に使うという候補になっているわけですから、これをやめて遺骨収集に全力を挙げるというのを国がやるべきことだと思います。
私、改めて、七十六年前の沖縄戦、あの地域で、今皆さんが土砂を採取しようとしている候補地域で何があったか、是非認識していただきたいことがあります。
沖縄は、さきの大戦で、住民を巻き込んだ悲惨な地上戦の場となりました。国体護持を至上命題とし、本土決戦を遅らせるための捨て石作戦で、日米合わせて二十万人以上が犠牲になりました。最も多かったのが住民の犠牲者で、約九万四千人です。その半数以上が南部で亡くなったものであります。なぜ南部で犠牲が集中したのか、当時の日本軍の責任が重大であります。
当時、学徒たちを動員して、ちょうど火災で焼失した首里城、首里城の地下には、第三十二軍司令部ごうが動員によって造られました。那覇市の首里城の地下には三十二軍司令部ごうがあります。
その司令部ごうが陥落をすれば沖縄戦は終わると誰もが思っておりました。嘉数高台、前田高地、天久、そして首里に近づいてくる。もうこの首里城で三十二軍が攻められたときには終わりだ、陥落だと思っていたときに、三十二軍司令部は南部に撤退することを決めたのであります。南部は多くの住民が避難していた地域ですよ。多くの住民が避難していることを分かりながら軍隊を下げたわけです。
そういうようなことをやって、戦闘を終わらせるのではなくて、住民が避難している南部に撤退しながら、最後まで持久戦を継続することを選びました。狭い地域に住民と兵士が混在することになり、住民は、米軍の攻撃だけでなく、日本軍からも砲弾の雨の中をごうから追い出され、食料を奪われ、口封じのために赤ちゃんに手をかけるよう強要されました。まさにありったけの地獄を集めたような戦場になったのが、今政府が土砂を採取しようとしている地域の、この地域であります。
今年で戦後七十六年になります。しかし、政府がそうした事態をつくり出した歴史的な責任を負っているということは、絶対にこれは忘れてはならないと思います。
総理、この点、どのように認識しておりますか。そして、南部からの土砂採取、これはやめるべきではありませんか。これは防衛大臣の答弁は要りません。総理の認識を聞いております。
○菅内閣総理大臣 先ほど来防衛大臣が言っていますように、変更承認後の埋立用土砂については、県内と県外のどちらから調達するかも含め、現時点では確定をしていないということです。
そして、仮に南部で土砂を採取する場合には、沖縄防衛局が契約を締結する際に、業者に戦没者の御遺骨に十分配慮した上で行われるよう求めてまいりたいと思います。
○赤嶺委員 候補地ですよね。南部は、土砂採取地の、埋立ての七割の土砂を向こうから取る候補地になっているわけですよ。十分配慮するだろうって、どうやって配慮するんですか。技術的にも絶対に無理ですよ。
私は、こんな激戦地から土砂を取るのかと、こういうことを知ったときに大変愕然としました。私も、沖縄で保守の方々とよくお話をする機会があります。そうした中で感じるのは、今の政権と、今の菅政権、安倍政権ですよ、この政権とかつての自民党政権との違いであります。
二〇〇〇年の沖縄サミット開催を決めた小渕首相。小渕首相は、学生時代に占領下の沖縄を度々訪れ、遺骨収集に参加しておりました。沖縄を第二の故郷とまで話していました。そういう話をよく保守の方々からも聞きます。沖縄戦の激戦地から遺骨の混じった土砂を米軍基地の建設に使うという計画になってしまったことを亡き小渕総理が知ったら、どんな気持ちを抱くでしょうか。戦没者を冒涜する土砂採取計画は撤回することを重ねて強く申し上げておきたいと思います。
これには、菅総理とかつての小渕さんたち、もちろん、小渕大臣も辺野古を進めた方です。だから、私のその進めたやり方に対する気持ち、感情はあります。それでも、最低限の沖縄の歴史、最低限の沖縄の認識、沖縄ではこんなことは絶対やってはいけない、こういう認識は、以前の自民党なら持っていたと思いますよ。それを菅内閣や安倍内閣には全く感じられません。だから、沖縄に冷たい、こう言われるわけですよ。そういうようなことは本当に撤回すべきだと思います。
ちょっとまた、今年はSACO合意二十五年になりますから、今それをどう考えるかということについて質問を移します。
今年は日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから二十五年になります。当初の五年から七年以内に返還するという約束、普天間基地は五年から七年以内に返還するという約束は果たされませんでした。四半世紀にわたって普天間の危険性は放置され続けてまいりました。その上、今になって軟弱地盤が見つかったといって、更にあと十二年かかると言っているんですね、政府は。費用も一兆円近くが必要だとしています。
今日は埋立土砂の問題を取り上げてきましたが、南部からの調達を計画しているのは、県外の土砂に外来生物が混入し、その駆除のためには大量の土砂を高熱処理しなければならなくなって、現実的な対応策を見出せなくなっているからです。土砂調達一つ取っても行き詰まっています。辺野古の新基地建設は、政治的にも技術的にも破綻をしております。
私は、SACO二十五年たっても何も変わらない現状、これをどう考えるべきか、この原点は何かということから考えるべきだと思います。
そもそも沖縄の米軍基地は、沖縄戦で上陸した米軍が、住民を収容所に入れている間に、住民の土地を一方的に奪って構築したものであります。占領下であっても、私有財産の没収や略奪はハーグ陸戦法規という国際法で禁止をされております。
総理は、この沖縄の基地の形成過程をどのように認識しておられますか。住民の土地を奪って構築した基地は無条件で撤去するのが当然ではないかと考えますが、総理、いかがですか。
○菅内閣総理大臣 普天間飛行場の場所には、戦前、役場や国民学校、郵便局、病院が所在をし、街道が通るとともに集落が所在して田畑が広がっていたとされており、戦時中の昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収し普天間飛行場が建設された、このように承知をしております。
沖縄の米軍施設・区域の形成過程について様々な御議論があることは承知しておりますが、いずれにしても、世界で一番危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対避けなければなりません。また、沖縄の基地負担軽減のためにも全力で尽くしてまいりたいと思います。
○赤嶺委員 戦争中に米軍が強制的に奪って造った米軍基地ということを総理もお認めになりました。
いずれにしても、危険な基地と言いますけれども、宜野湾村の町の真ん中に普天間基地を造ったのは米軍ですよ。これを容認しているのは日本政府ですよ。世界一危険な基地は日米両政府が造っているじゃないですか。ハーグ陸戦条約でいえば、土地の強奪は許せない、私有財産の強奪は許せない、強制的に造った基地は、これは無条件で返還すべきというのが当たり前ではありませんか。危険な基地は、菅総理、あなた方が普天間基地へ外来機が飛んでくるのを無条件に認めている、米軍の運用を無条件に認めているから世界一危険になっているんですよ。
ハーグ陸戦条約に沿って無条件撤去をしなければ、普天間基地の問題は解決しない。あと十二年、危険なまま放置しておくんですか。無条件撤去を求めるべきだと思います。いかがですか。
○岸国務大臣 普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、先ほど委員からもお話がございました、市街地に位置して、住宅や学校に囲まれて世界一危険と言われている普天間飛行場の危険性の除去と返還でございます。
普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならないと考えます。これは地元の皆様との共通認識でもあると思います。
普天間飛行場については、一九九六年四月に、当時の橋本総理大臣とモンデール駐日大使との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に、全面返還することに合意をいたしました。
我が国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持、普天間飛行場の危険性の除去、これを考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策である、この点については米側政府と累次にわたり確認をしているところでございます。
辺野古への移設が実現すれば、埋立ての面積は百五十ヘクタールと、普天間飛行場の面積四百七十六ヘクタールの三分の一程度になります。滑走路の長さも、千二百メートル、オーバーラン三百メートルを加えても、普天間飛行場の滑走路の長さ二千七百メートルに比べますと大幅に短縮をされると……
○金田委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
○岸国務大臣 はい。
引き続き、普天間飛行場の危険性の除去と、それから辺野古移設に関する政府の考え方、これを、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明をし、御理解をいただきたいと考えております。
○赤嶺委員 大変長い答弁でしたけれども、本当に、かつての自民党の政治家だったら、戦場になった地域から遺骨混じりの、骨を基地に使うなんてことはやりませんよ。
そして、今、沖縄の米軍基地は、米軍のやりたい放題、占領下と同じなんです、植民地状態に置かれているんです。日本が主権国家という誇りが少しでもあるならば、辺野古の新基地建設はやめて、そして南部の土砂採取もやめるということを決意してもらうということを強く要求しまして、質問を終わります。