国会質問

質問日:2020年 6月 18日  第201国会  沖縄北方特別委員会

沖縄伝統芸能 コロナで継承困難 赤嶺氏「国が財政支援を」

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は18日の衆院沖縄北方特別委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス感染症で深刻な影響が出ている沖縄県の伝統芸能への財政支援を求めました。

 赤嶺氏は、公演の延期や中止で収入が絶たれる一方で稽古を行う道場の土地代や家賃が重い負担となり、芸能をあきらめる沖縄伝統芸能の実演家が多くいる実態を示し、「伝統芸能の継承にとって大きな痛手だ」と強調。新型コロナで影響を受ける文化芸術団体への支援を目的として5月に創設された「文化芸術復興創造基金」に国が1000億円規模の拠出を行うよう求めました。

 衛藤晟一沖縄・北方担当相は「首里城の復元や琉球文化の復興などを全体で進めなければいけない」と述べました。

 赤嶺氏は、新型コロナの影響で減収した事業者が沖縄振興開発金融公庫へ融資を申請した際、過去の借り入れを理由に門前払いされた事例があると指摘。「事業者の実情に応じて最大限配慮する」とした政府の通知(3月6日)の周知徹底を求めました。衛藤担当相は「現場で徹底されるように求めていく」と答弁しました。(しんぶん赤旗 2020年6月23日)

 

質問の映像へのリンク

新型コロナ 文化芸術への支援を(衆院沖縄北方特別委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 初めに、文化芸術への支援について質問をいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、沖縄県内で文化芸術活動に携わっている方々にも深刻な影響が出ています。
 この間、県内の芸能関係者などでつくる沖縄県芸能関連協議会、沖芸連の皆さんから何度かお話を伺ってきました。公演やイベントの自粛、中止による影響を把握するために、沖芸連として、ことし三月から四月にかけて、県内の芸能、舞台芸術関係者を対象にアンケートを実施しています。
 これによりますと、延期や中止による二月から四月の減収見込み額は、回答のあった二百七十三人の合計で一億二千五百六十万円に上ります。緊急にインターネットで実施したものであることから、これは氷山の一角にすぎない、このように強調しておられました。
 この一週間のうちに、全国的にも活躍するアーティストを多数輩出している店舗を含めて、ライブハウスの閉店が相次いでいます。
 沖縄の伝統芸能の実演家も例外ではありません。公演が中止になり、弟子の稽古も休みにせざるを得ず、一切の収入が断たれる一方で、道場の土地代や家賃が重くのしかかっています。家族を養うためにコンビニで働きながら公演の再開を待つ人、芸能を諦めて職をかえようとしている人もたくさんいるとのお話でありました。
 沖縄北方担当大臣に伺いますが、こうしたコロナの影響に苦しむ沖縄の芸能関係者の現状、これをどのように把握しておられますか。

○衛藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症防止対策として、沖縄県内でも多くの公演やイベントが延期、中止を余儀なくされていると認識いたしております。
 国立劇場おきなわにおいても、今お話ございましたように、本年二月下旬から六月までに公演の中止、延期が二十八件となっておるということで、大変心を痛めている次第でございます。
 しかし、なかなか、三カ月以上にわたって直接行って見ることができなくて申しわけなく思うところでございますけれども、そういう中で我々も、いろいろな情報を入れながら、このことについてできるだけ把握しようとしているところでございます。
 そういう中で、公演等の延期等によりまして伝統芸能実演者や舞台芸術関係者が出演料や謝金を受け取れなくなった結果、ことし四月に沖縄県内の芸能関係団体が行った調査においては、このまま中止や延期が続けば生活に影響が生じるという意見もあったことも、そういう意味では十分承知している次第でございます。
 その後、沖縄県としては、県主催のイベント等の実施ガイドラインを策定し、更に、昨日十七日に、改定によりましてイベントの上限人数を徐々に緩和する予定とお聞きいたしております。
 各実施主体に対しても、感染予防対策を徹底した上でイベント等を実施するよう呼びかけていることから、次第にイベント等の機会は回復していくものと考えていますが、文化庁における文化芸術活動者への支援の状況等とあわせて、状況を見守ってまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。

○赤嶺委員 沖縄の伝統芸能は、本土の歌舞伎のような世襲制ではなく、幼いころから芸の道に親しみ、みずからその道に進んだ人たちが支えています。
 国の重要無形文化財で、ユネスコの無形文化遺産にも記載されている組踊、この組踊の場合、最終的に実演家として舞台に立てるのは全体の五%にすぎないというお話でありました。そうであるにもかかわらず、芸の道から離れようとしている方々が生まれていることは非常に残念ですし、伝統芸能の継承にとって大きな痛手であります。
 沖芸連の玉城節子副会長は、沖縄の文化を現場で支えている方たちが孤立して追い詰められている、一度失ったものを取り返すことは難しい、このように訴えております。
 こうしたもとで芸能関係者の方々が文化芸術への支援策として強く求めていたのが、文化芸術復興創造基金に対する国の財政支援でありました。民間任せにせず、文化芸術団体や議員連盟も求めているように、国が一千億円規模の拠出をしてほしいとおっしゃっていました。
 ぜひ、この点も私からも強く要望したいと思いますし、この点については、六月十二日の参議院予算委員会で文部科学大臣は、国としても国の役割を果たしていく、そういう準備をしていきたい、このように答弁をしております。
 文科副大臣に伺いますが、国も財政的な支援を行う方向で検討していると理解してよろしいでしょうか。今どのような検討状況になっているのでしょうか。

○上野副大臣 お答えいたします。
 今般の第二次補正予算では、文化芸術活動の再開に向けて、我が国の文化を支える担い手である実演家、そして、技術スタッフの方々や文化芸術団体に対して、その活動継続や技術向上に向けた積極的な取組や収益力を強化するための取組への支援を行うこととしております。
 先日の六月十二日の参議院の予算委員会における大臣の答弁におきまして、官民の役割を分担するという前提として国の役割を果たしていくという趣旨を述べたものと理解しておりますが、国といたしましては、第二次補正予算の迅速かつ確実な執行に努めるとともに、更に周知、広報に努めてまいりたいと思っております。

○赤嶺委員 国の役割、広報というのじゃなくて、国の役割はきちんと果たしていく必要があると思うんですが、現時点でその基金にはどのくらいの寄附が集まっているんですか。

○上野副大臣 同基金に対する民間からの寄附の受入れについては、六月十七日時点で約百六十二万円でございます。

○赤嶺委員 百六十二万円、全国で。これで文化の振興ができるとまさか思っていないですよね。国の責任は基金を集めるためのPRとも思っていないですよね。やはり、超党派の議員連盟が、文化芸術のコロナ禍からの支援のために一千億円、国も拠出すべきだということは強く求めておきたいと思います。
 政府が五百四十一億円を出資して芸術文化振興基金を創設した例もあります。ぜひ早急に具体化を図っていただきたい。そういう実演家が伝統芸能から離れていく、これは非常に大きな損失になります。
 沖縄北方大臣、衛藤大臣に伺いますが、昨年は組踊が首里城正殿前のウナー、中庭ですね、ウナーで初演されてから三百年の節目の年でありました。伝統組踊保存会などの関係諸団体によって、さまざまな記念行事が取り組まれました。ウナーでの記念式典と公演を数日後に控えていた十月三十一日に首里城は焼失をいたしました。当委員会委員長を先頭に首里城の焼失現場を視察いたしましたが、本来であれば、向こうの場所で、あの場で、組踊三百年の、そういう文化を堪能できる場所であったわけです。
 今、内閣府は沖縄県と連携して首里城の再建に向けた取組を進めておりますが、首里城の再建は有形の文化復興です。伝統芸能という無形の文化振興と一体でこそ意義を持ちます。沖縄の文化芸術の火を絶やすことのないよう力強い支援を求めたいと思いますが、いかがですか。

○衛藤国務大臣 首里城の復元につきましては、今お話ございましたように、ハード面での復元ということが非常に大きいわけでございますが、しかし、この復元の中で、沖縄が持っております、例えば赤瓦などの伝統的な建築技法とか、いろいろなものもございますので、それからまた美術工芸等もあります。また、その中で、今ありました組踊や空手などの琉球文化の復興などを、全体を進めなければいけないというぐあいに認識をいたしております。
 首里城の復元につきましては、令和八年までの復元を目指して取組を進めています。そういう中で、これに関連する、首里城に象徴される琉球の歴史、文化の復興に向けても取り組まなければいけないというぐあいに認識している次第でございます。
 沖縄において育まれてきました国際色豊かな独自の文化芸術は、沖縄の地域資源として非常に重要なものであり、これまでにも県内の文化芸術活動に対する支援にはソフト一括交付金等も活用されています。内閣府としても、県が進めることとしている基本方針の具体化の取組も含め、現状を注視してまいりたいと思っております。
 なかなか、このコロナの間、県とのいろいろな連絡が、お互いに行き来ができなくて大分薄くなってきたところでございますけれども、この十九日にやっと交流ができるということになりましたら、私ども、一層の連絡をとり合って、この実現に向けて頑張ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

○赤嶺委員 首里城の再建というのは、沖縄の文化芸術の振興と一体なんです、首里城というのは。そこを見ていただきたい。
 次に、医療現場の現状についても伺います。
 第二次補正予算が成立しました。こうした施設に対して、感染防止対策の支援はありますが、事業の現状そのものの補填その他はありません。
 沖縄の医療機関も、倒産の危機をずっと訴えております。第二次補正予算には損害の補償がないということが大きな問題になっておりますが、厚労副大臣に伺いますが、現在の対策だけで医療機関や介護施設などの経営破綻、廃業を防ぐことはできるという考えですか。

○橋本副大臣 お答えをいたします。
 新型コロナウイルス患者への対応を行っているか否かにかかわらず、医療機関では外来患者、入院患者の減少により経営が悪化していると承知しておりまして、地域医療を継続できるようにしていくことが必要でございます。このことは全国的な課題ではありますが、もちろん、沖縄県の医療機関においても、あるいは介護の機関においても同様なんだろうというふうに理解をしております。
 私どもといたしましては、地域の医療機関は、複数の医療機関が連携して面で対応するものであって、その一部が欠ければ成り立たないため、医療機関全体として必要な診療の継続を確保することによって初めて医療提供体制を維持することができる、このように考えております。
 先ほどお話がございましたように、一次の補正それから二次の補正において、新型コロナ緊急包括支援交付金等々の拡充を図ってきておることによって、例えば、休止をした病床だとか、空床として持っているだけではなくて、そのために休止とした病床についても補助の対象にするでありますとか、あるいは診療報酬上の評価の引上げでございますとか、介護報酬上の介護の事業所については介護報酬上の特例を設けたり、また、かかり増し費用の助成などなどということで、さまざまな支援策を行っているところでございます。
 もちろん、まず私どもとして、こうしたことをしっかりと執行し、医療機関あるいは介護施設等々が経営を継続できるようにしていただきたい、こうした思いで取り組んでおりますけれども、同時に、やはり今後とも、関係団体などからしっかり丁寧にお伺いをし、また、徐々にレセプトのデータが上がってまいりますので、そうしたものも見ながら、医療機関や介護事業所の経営状況を適切に把握をしてまいるというふうに考えております。

○赤嶺委員 一次補正、二次補正では医療機関の危機は救えません。これは沖縄だけじゃなくて全国的にそうでありますが、私のところにも、ある介護施設の理事長は、こういうファクスを送ってきました。
 コロナ禍の中、公私ともに負担を強いられている現状の職員に対して、減収のため、現状のままでは十分な手当の支給ができなくなります。日々利用者の方のために頑張っている職員の士気が下がること、また、それが離職につながることを危惧しております。職員と利用者の方、またその家族を守るために、緊急に減収分の補填をしていただきますように要望いたします。
 減収分の補填、これが中心になっているんですよ。そこを避けたら医療崩壊を防ぐことはできない。沖縄でも全国でも同じだということを強く申し上げておきたいと思います。
 ちょっと時間がありませんので、沖縄振興開発金融公庫の特別貸付けについて伺います。
 新型コロナの影響で収入が減少し、公庫に融資を申請しようとしたものの門前払いされたという相談が私のもとに寄せられました。
 負債残高、この方の負債残高というのは、この方がつくったんじゃなくて、三十年前、四十年前の保証に入った、それが残っていたということで百万円、これがあるそうですが、申請に行くと、担当者から、借金を返さなければ融資はできないと言われたそうであります。
 政府は、融資審査に際しては、融資先の赤字や債務超過、貸出条件の変更といった形式的な事象のみで判断するのではなく、事業者の実情に応じて最大限の配慮を行うよう、三月六日に通知を出しています。
 ところが、現場では、機械的な対応をされる事例が起こっております。改めて通知内容の周知徹底をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○衛藤国務大臣 沖縄振興開発金融公庫におきましては、一月二十七日に特別相談窓口を設置いたしまして、新型コロナウイルスの影響を受けた地元企業に対する特別貸付け等を行っています。
 政府系の金融機関として金融面のセーフティーネット機能を担う同公庫においては、急激に社会的、経済的環境変化が生じている現在の状況下においてこそ、一層のその機能を的確に発揮することが求められているものと認識いたしております。
 政府としても、これまでも同公庫に対して、赤字や債務超過、貸付条件の変更先といった形式的な事象のみで融資判断することなく、事業者の実情に応じて最大限の配慮を行うよう要請してきたところですが、引き続き、本店、支店も含めて、そうした対応が融資の現場で徹底されるよう求めてまいります。

○赤嶺委員 この方は、事業も真面目に取り組んできて、開発金融公庫に借金は一円もない方です。コロナで業者が溺れかかっていて、その浮き輪に、みんなで沈まないようにそこの浮き輪にしがみついている。それを今回、開発金融公庫がいろいろ条件をつけて貸さないのは、溺れかかった我々業者から浮き輪を取り上げるようなものだと言って、非常に怒っておりました。
 個別にも改善を求めていきたいと思いますが、開発金融公庫が、ぜひ沖縄の非常にコロナ禍に苦悩している業者に対する支援の役割を果たしていただくように強く要望しまして、質問を終わります。

すべて表示

このページをシェアする