国会質問

質問日:2020年 6月 16日  第201国会  安全保障委員会

イージス超す費用 赤嶺氏 辺野古新基地やめよ 衆院安保委

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は16日の衆院安全保障委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設には、「システム改修に相当なコストと期間がかかる」として計画を停止した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をはるかに上回る費用がかかると強調し、「工事を止め、再検討すべきだ」と迫りました。

 赤嶺氏は、イージス・アショア導入の経費は6000億円超とされる一方で、辺野古新基地の建設費は総額2兆5500億円と沖縄県が試算していると指摘。「イージス・アショアをはるかに上回るコストがかかるのが辺野古新基地建設だ。なぜ停止しないのか」とただしました。

 河野太郎防衛相は「工事を着実に進める」と強弁。赤嶺氏は「米軍基地の見直しは聖域だという姿勢は許されない」と工事中止を求めました。

 沖縄県は、防衛省沖縄防衛局が4月に提出した辺野古新基地建設の設計変更承認申請書では、埋め立てに使用する土砂の採取場所・量が不明瞭だとして採取場所ごとのストック量を明らかにするよう求めています。

 赤嶺氏は、埋め立て承認の留意事項では土砂の採取場所・量を記載した図書を変更する場合は県の承認を受けると明記しており「具体的な採取場所が分からない今回の申請書は留意事項違反だ」と指摘。防衛省の辰己昌良総括審議官が「留意事項に示された図書を添付し、申請書を提出した。違反ではない」と強弁したのに対し、赤嶺氏は「従来と異なり場所が不明な申請だ。県民の抗議を恐れて採取場所を隠している」と批判しました。(しんぶん赤旗 2020年6月17日)

 

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辺野古も停止せよ(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 冒頭、昨日のイージス・アショアの停止表明について質問をいたします。
 SM3のブースターを演習場内や海上に確実に落下させるためにはシステム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明したとのことですが、具体的に、どのような改修が必要で、どのくらいのコストと期間がかかることが判明したんですか。

○河野国務大臣 具体的なコスト、期間の見積りは、これはアメリカ側の協力が必要でございますので、現時点において確たることは申し上げることはできませんが、例えば、SM3ブロック2Aの開発で、これは日米で共同で行ったものでございますが、日本側が一千百億円、アメリカ側が同額かそれ以上開発費を負担をしておりますので、なおかつ、開発に十二年かかっております。恐らく、それに近いコストと期間になるというふうに考えております。

○赤嶺委員 共同開発で日本側の負担が一千百億円。
 システムの改修に伴うコストの増加分を含めた場合、現時点でのイージス・アショアの導入経費の総額と内訳、これはどのように見積もっておられますか。

○武田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま大臣からも申し上げましたが、システム改修に伴う具体的なコストについては、米側の協力を得て見積もることが必要でございます。したがいまして、現時点において確たることはお答えできない点については御理解いただきたいと思います。

○赤嶺委員 確たることは申し上げられないというわけですが、イージス・アショアの導入経費は総額六千億円と言われてきました。そこにまた新たに千二百億円が追加されるということになると、七千億円ということになります。
 一方、辺野古の経費は三千五百億円というのが当初の説明でありました。地盤改良工事に伴い九千三百億円になったというのが政府の説明です。イージス・アショアをはるかに上回る新たなコストがかかることが判明しているわけです。
 辺野古の新基地建設のコストはどんどんどんどん上がってきました。コストと期間という点でいえば、なぜ辺野古は停止しないんですか。一旦工事をとめて、事業そのものを再検討すべきだと思いますが、いかがですか。

○河野国務大臣 防衛省といたしましては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するべく、引き続き、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと思います。

○赤嶺委員 コストと期間という点では、あと十二年ですよ、それに九千三百億円。沖縄県の試算では二兆五千五百億円。まさにイージス・アショアとともに、コストと期間というのであれば、辺野古も停止すべきだ、私たちはこのように訴えたいと思います。自衛隊であろうと米軍であろうと、膨大なコストのかかる基地建設事業である点では全く同じです。米軍基地の見直しは聖域だという姿勢は許されないということを申し上げておきたいと思います。
 政府は、緊急事態宣言下の四月二十一日、沖縄県に設計変更承認申請を提出いたしました。これに対して、沖縄県は五月二十五日、五十六項目の補正を指示いたしました。これによりますと、埋立てに用いる岩ズリの採取場所を県名ではなく、これまでと同様に地区名で記載して、それぞれのストック量を示すよう沖縄県は求めております。
 埋立承認願書の添付図書では、採石場のある地区ごとにストック量が明記されていました。今回、なぜ記載ぶりを変えたんですか。

○河野国務大臣 公有水面埋立法に基づく申請の添付図書であります埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書は、公有水面埋立実務便覧において、埋立用材が確保されているかを審査するために必要な事項を記載するとされております。
 これを踏まえ、今回の変更承認申請書においては、土砂等ごとの全体の採取量及び調達可能量とこれらの採取場所を記載して提出したと承知をしております。

○赤嶺委員 埋め立てる場合に、埋立資材、この場合は岩ズリですが、これが本当に確保できるかどうかというのは、従来、沖縄県は埋立ての審査をするときに重要事項としてきました。
 沖縄県内の採取場所については、これまでは、本部地区六百二十万立米、国頭地区五十万立米と具体的に明記されておりました。ところが、今回は、北部地区、南部地区というまとめられ方になっているわけです。
 北部地区、南部地区というのは、具体的にどこを指すんですか。

○村岡政府参考人 お答え申し上げます。
 先日、四月二十一日でございますけれども、沖縄防衛局から沖縄県に提出いたしました変更承認申請書につきまして、五月二十五日付で沖縄県から、申請書の形式面の確認結果を踏まえた補正の要求がございまして、現在、沖縄防衛局において、申請書の補正について検討を進めているところでございます。
 この変更申請書におきましては、岩ズリの供給者の採取場所といたしまして、北部地区と南部地区、この記載があります。これ以上の詳細につきましては、補正後、県の形式審査を経まして、告示、縦覧による公表をされるものでありますため、現時点では明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○赤嶺委員 要するに、あなた方は、沖縄県の形式面の調査のチェックでさえ、全然答えていないような抽象的な書き方をしているわけです。
 二〇一四年に防衛省が委託調査をしたときには、本部、国頭両地区に加えて、糸満市が加わっていました。南部地区というのは糸満市にある鉱山のことを指しているんですか。

○村岡政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、今、県の方から補正の指示が来ておりまして、この指示に基づきまして、県が形式審査を経まして、告示、縦覧により公表されることになると思います。
 でありますので、現時点では、これ以上については控えたいと思っております。
 以上です。

○赤嶺委員 今までは、最初から、本部地区、国頭地区というぐあいに明記していたわけですよ。それを今回隠している。皆さんの調査では、糸満市にある鉱山も候補地に挙がっている。それさえ説明しようとしない。沖縄県は、鉱山の所在地を市町村名で記載することを求めています。
 そもそも、沖縄県の埋立承認には留意事項が付されておりますが、添付図書の変更を行う場合は、どのような手続、これを踏むことが求められておりますか。

○辰己政府参考人 添付図書につきましては、平成二十五年に沖縄県が、公有水面埋立ての承認書、これに関して付された留意事項において、埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書、埋立ての用途及び利用計画の概要を表示した図書、環境保全に関し措置を記載した図書、これについて、これらを変更して実施する場合は、沖縄県から承認を受けることとされております。
 沖縄防衛局は、この留意事項で示された図書を添付した上で、四月二十一日に、沖縄県に対して変更承認申請書を提出しております。

○赤嶺委員 留意事項は、埋立てに用いる土砂等の採取場所や採取量を記載した図書を変更する場合には沖縄県の承認を受けることを明記している。今の答弁のとおりですが、ところが、今回、具体的な採取場所や採取量がわからない形で申請書を提出しているわけですよ。これは留意事項違反だと思いますが、いかがですか。

○辰己政府参考人 繰り返しになりますが、留意事項において、先ほど申しましたように、埋立てに用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書、これを変更して実施する場合は、沖縄県から承認を受けることとされておりますので、今回、この留意事項で示された図書を添付して、そして変更承認申請を提出しているので、留意事項違反とは考えておりません。

○赤嶺委員 これまで提出していた形式と明らかに違うような形で、場所が不明になるような形で出していて、それを留意事項違反ではありませんと言って、留意事項をつけて出したから留意事項違反ではないなんて、そんな一方的で本当に身勝手な、そういう申請は許されないと思います。
 私は、今回の申請書というのは、留意事項さえ踏まえない欠陥申請書だと思いますが、採取場所に関する直近の調査では、平成三十年シュワブ資材調達検討業務という委託業務の中で行っています。受注者がアンケートをとって、採石場ごとのストック量を調べております。その内訳の資料を提出するよう、ことし一月から私は求めておりますが、いまだに提出されておりません。国会も閉会されようとしております。もちろん、閉じるべきではありません。会期を延長するべきでありますが、この調査結果、なぜ提出しないんですか。いつ提出するんですか。これは公開できない話なんですか。

○村岡政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問の業務でございますけれども、調査対象地点の資材供給能力等に関する資料収集、整理等を行うこととされておる業務でございます。
 これは、現在履行期間中でございますので、現時点で沖縄防衛局が業務報告書を受注者からまだ受領していないということから、提出するのは困難でございます。
 この業務報告書でございますけれども、履行期限でございます今年度末までには、受注者が必要な業務を終えた上で、沖縄防衛局に提出するものと承知をしております。

○赤嶺委員 結局、県民の抗議活動を恐れて、採取場所に関する情報を隠そうとしている、そういうぐあいに疑わざるを得ません。民意に反する事業であることを象徴するものだ。採取場所を明らかにしたら反対運動がどんどんどんどん広がっていく、だから明らかにしない。そういう民意に反する事業を示すものとして、厳しく指摘しておきたいと思います。
 沖縄防衛局は、十二日、辺野古の工事を再開しました。沖縄県は、工事再開に先立ち、ジュゴンの保護策をめぐって、四月、六月の二度にわたって行政指導文書を防衛局に出していました。防衛省、どのような内容の指導を沖縄県から受けていたんですか。

○辰己政府参考人 委員今おっしゃったように、四月十七日付で沖縄県知事から、六月四日付で沖縄県土木建築部長、環境部長から文書を受領しております。
 その文書では、ジュゴンの生育範囲に変化があったことに関する原因調査を含め、事業によるジュゴンへの影響を再評価すること、ジュゴンの保護対策について県と協議が終了するまでの間、事業を再開しないことなどについて要求があったものです。
 これらに対しましては、六月十一日、沖縄防衛局より県に回答しておりまして、環境監視委員会の指導も踏まえながら警戒監視を強化し、引き続き、現在の環境保全措置を継続し、ジュゴンの影響に適切に配慮しながら工事を進めることなどが可能であるということを回答しているところでございます。

○赤嶺委員 沖縄本島の周辺では、辺野古の事業を実施する前には三頭のジュゴンが確認されていました。このうち、個体Cについては二〇一五年六月を最後に、個体Aについては二〇一八年九月を最後に、昨年三月に、個体Bについては今帰仁村の漁港で死亡が確認をされました。
 こうしたもとで、国際自然保護連合、IUCNは、昨年十二月に改訂したレッドリストで、日本の南西諸島に生息するジュゴンについて、絶滅の危険度が最も高い深刻な危機にあると評価を引き上げました。成熟個体数は十頭以下、生息数は減少傾向にあり、野生絶滅の一歩手前の状況にあるという評価であります。
 沖縄県の行政指導文書は、こうした経緯に触れた上で、南西諸島のジュゴンの絶滅が現実味を帯びているとの認識を示しています。防衛大臣は、そうした認識を持っておりますか。

○河野国務大臣 ジュゴンは、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧1A類に指定されていると承知しております。

○赤嶺委員 絶滅危惧種、環境省のみならず、IUCNも非常に懸念を表明している。もともと絶滅が危惧されていたジュゴンが、辺野古の事業の着手後にほとんど確認されなくなり、危機的状況に陥っているということです。
 こうした中で、ジュゴンが行方不明になっている中で、今回、辺野古、大浦湾の施行区域内にあるK4地点でジュゴンの鳴き声が確認をされました。ことし二月から三月にかけて、合計で九日間、四十二回の鳴き声が確認されました。多くは、工事が行われていない休みの日や深夜の時間帯に確認をされています。要するに、工事が行われているときには近寄れず、工事が行われていないときに餌場を求めて辺野古、大浦湾に来遊してきている、そういうことではありませんか。

○辰己政府参考人 今委員おっしゃったように、本年二月から三月において、水中録音装置の録音データから、ジュゴンの可能性が高い鳴音が検出されておりますが、これはさまざまな時間帯で検出されているものでございまして、工事の施行日でございました三月六日には八回、三月二十五日にも検出されております。こういうことから、検出状況に明確な傾向は確認できておりません。

○赤嶺委員 三月六日、二十五日、工事の途中でもジュゴンが確認されたといいますけれども、そのときの工事というのは、護岸で締め切られた辺野古側への土砂投入が主で、大きな水中音を発するものでなかったのではありませんか。

○辰己政府参考人 御指摘の三月六日、三月二十五日の二日は、いずれもK8護岸及びK9護岸からの揚土、それから埋立区域二への土砂投入、それからK4及びK8護岸の消波ブロック設置工事などを実施しております。
 これらの工事は、この日に限らず、継続的にこれまで実施しているものでございまして、そういう工事であるという性格でございます。

○赤嶺委員 水中音を発しない工事をしているときにジュゴンはあらわれていた、鳴き声が記録されている。
 もう一点伺いますが、辺野古、大浦湾内では、ジュゴンと作業船との衝突を避けるために監視用プラットホーム船という監視船を配置して、ジュゴンが確認された場合には施行区域周辺から離れるまで工事を中止するというのが環境保全図書に書かれておりました。
 ところが、先ほど説明があったように、三月六日、二十五日の両日ともに監視船は配置されていた。しかし、ジュゴンの接近に気づくことはできなかった。作業船は航行を続けていました。ジュゴンとの衝突のおそれがあったということであります。
 今回、監視船がジュゴンの接近に気づけなかった理由はわかったんでしょうか。

○辰己政府参考人 委員御指摘のとおり、ジュゴンの監視用プラットホーム船というのが出ております。これは、工事着手前までに、まず、その日の工事をやる前に三隻のプラットホーム船が施行区域全域を調査しました。その結果、ジュゴンは存在しておりませんでした。その後、工事着手後に、施行区域外において三隻のプラットホームがそれぞれ移動しながら監視を行い、進入すると思われる経路を中心に、隊形をつくって監視をしておったところでございます。
 本年の三月六日、二十五日においては、こういった形でプラットホーム船により警戒監視を行いましたが、ジュゴンの姿それからはみ跡は確認をされていないところでございます。また、船は常に見張りを励行して、速度を緩めながら、ジュゴンの姿があるかどうかも確認しながら、衝突を回避できるような速度で航行しておりますが、こういった作業船からもジュゴンの姿は確認されていないということでございます。

○赤嶺委員 要するに、あなた方がどんな対策をとったかではなくて、ここで大事なことは、ジュゴンの鳴き声が聞こえている、記録されているのに、あなた方は、ジュゴンとの衝突を避けるためにいろいろな監視体制をとっていますと言う。土砂を運ぶ作業船も通っていく。衝突のおそれは監視体制をとっているから大丈夫ですということを言い続けてきました。
 今回、ジュゴンの姿は見えなかった、はみ跡はまだ見つからなかった、しかし鳴き声は記録されている。だったら、あなた方のこれまでの監視体制では、環境保全図書ではこれは不十分だと……

○西銘委員長 時間です。

○赤嶺委員 こういうことになるのではありませんか。そういうことじゃないですか。

○西銘委員長 辰己審議官、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

○辰己政府参考人 この監視体制につきましては、環境監視等委員会において御説明をし、こういうようなプラットホーム船を、今まで三隻だったんですが一隻増加して、さらに、こういう隊形で監視をするということについても御指導、助言をいただいた上で、引き続き、工事に伴うジュゴンへの影響について適切に配慮しつつ、工事をやっていきたいと考えております。

○赤嶺委員 今回は、あなた方のジュゴン保護の監視体制が極めて不十分である。鳴き声はあるが姿も見つけ切れない、そういう中でジュゴン保護の安全ができるはずはないです。沖縄県が求めているとおり、工事を中止して、そしてジュゴン保護についてきちんと検討するということを強く求めて、質問を終わります。

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