エッセイ

水曜随想  沖縄県民を励ます連帯

 

 6月1日、川崎市多摩区で、「(本土)メディアが伝えぬ沖縄」と題する講演会があった。日米同盟を賛美する勢力は虚構のニュースで国民をあおっている。そんな実態を話した。13日には、国会内で辺野古新基地建設反対の請願署名56万筆の提出集会があった。本土と沖縄の連帯したたたかいは沖縄県民を励ましている。

 祖国復帰闘争で、私には忘れられない思い出がある。1971年11月、国会では、沖縄返還協定の批准をめぐり激しい論戦が繰り広げられていた。協定は復帰に託した県民の願いを真っ向から裏切る内容だった。米軍統治下に銃剣とブルドーザーで奪い取って建設した米軍基地がそのまま残ることは県民にとってどうしても許せなかつた。

 批准に反対する国会闘争が沖縄県祖国復帰協議会によって組織された。当時私は八重山高校に赴任したばかりだったが、分会から308人の代表団の一人として派遣された。那覇から鹿児島への船旅、鹿児島からは夜行の急行列車で東京に向かった。停車駅のホームに着くと、そこには安保破棄中央実行委員会や各地の日本共産党、日本民主青年同盟の旗を掲げた人々が、代表団を激励するため集まっていた。数分間の出来事だったが、停車するたびにホームの集会は各地で続いた。

 その後、サンフランシスコ条約第3条によって分断された沖縄を取り返した。屈辱のシンボルだったパスポートは撤廃され、沖縄と本土の渡航の自由を勝ちとった。サ条約3条を死文化させたのだ。基地は残り、日本国憲法のもとへの無条件復帰の願いはかなわなかったが、たたかいは歴史を一歩動かした。

 国会は最終盤を迎えている。解散風が吹き荒れている。安保3文書をはじめ、原発推進法、人権無視の入管法、LGBT理解増進に名をかりた差別推進法、マイナンバーと一体となった保険証廃止法が次々と洪水のように押し寄せている。自公維国による悪政強行を許さない国民世論をひろげ、岸田内閣打倒のだたかいに挑みたい。(しんぶん赤旗 2023年6月14日)

 

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