エッセイ

水曜随想 「苦難解消に寄り添う心」

 

 新型コロナウイルス感染症が猛威をふるうなか、沖縄でも感染した人が相次いでいる。

 安倍首相による「イベントの自粛」「学校の一斉休校の要請」以来、国際通りや平和通りからは、修学旅行生のにぎわいが一瞬にして消えた。クルーズ船も一隻も寄港せず、空の便は国内線の減便、国際線は週230便がゼロになり、外国人観光客もいまは全く姿がみえない。

 観光関連業の休業、自宅待機が相次ぎ、観光バスの運転手や観光ガイドさんの間では「解雇」の不安もひろがっている。無給で自宅待機の希望者を募る企業も出てきた。ホテルの経営者からは「雇用調整助成金の手続きが煩雑すぎる。事態にあわせてもっと簡単にしてほしい」と悲鳴が上がった。沖縄経済をけん引してきたのは観光だ。感染拡大をうけた緊急の経済対策をとらなければ、倒産も相次いでしまう。

 そんな中、先週末、菅官房長官が来県し、業界団体を集めて、「新型コロナ感染症が収束したときに備えて、沖縄観光のV字回復をめざす経済対策を計画している」と打ち上げた。

 観光関連産業を中心に経済活動が完全にとまっている。いまをどう生き延びるのか、そのための緊急策を必死に求めている業者の中には違和感を持つ人もいる。

 県内の旅行代理店の社長さんと懇談した。「いま必要なのは直接給付だ。私は共産党に投票したことはないが、共産党の国会質問は必ずみている。頑張れるのはあなたがただ」と言われた。

 6月の県議選を前に、政府や自民党幹部が来県しては、振興策の花火を打ち上げるが、基地とリンクした振興策のねらいが透けて見える。県民の苦難解消に寄り添う心がない。

 日本共産党沖縄県議団は玉城デニー知事と連携して、170億円の次年度補正予算を成立させた。国会では観光関連産業に対する直接助成を小池晃書記長が求めた。首相は「思い切った対応をしていきたい」と答弁した。その規模も内容もあいまいだが、声を上げれば政治は変わる。

 経済危機を打開する上で日本共産党の役割と責任は大きい。県議選のたたかいの中で、心底実感している。(しんぶん赤旗 2020年4月1日)

 

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