エッセイ

水曜随想  沖縄の闘いを背にして

 

 高江も辺野古も緊迫した情勢をむかえている。高江のオスプレイ着陸帯建設は、当初防衛省が示した2007年の環境アセスをことごとく踏みにじって強行されている。アセスは工事に着工してから3回も変更した。その結果自然破壊がどんどん広がっている。

 

 いま着工しているオスプレイ着陸帯G地区は、やんばるの森のなかでも最も自然度が高い地域で、国際自然保護連合もその地域に注目して世界自然遺産条約登録への期待を寄せていた。

 

 沖縄県はアセスの変更を認めない立場だ。ところが政府は「自主アセス」だといって全く聞く耳をもたず無法の限りをつくしている。もう法治国家ではない。こんなやりかたは必ず失敗すると警告しておきたい。

 

 辺野古新基地建設の埋め立て承認を取り消した翁長知事の判断を違法とした福岡高裁判決もひどい内容だ。判決文を読んで改めて日本の司法の劣化を思い知らされた。

 

 沖縄県は最高裁に上告した。その根拠にしているのが、日本国憲法だ。「新基地建設を強行することは憲法92条で保障された『地方自治の本旨』を侵害する」と訴えた。

 

 地元メディアも、「米軍への新たな施設区域の提供は、日米合同委員会で決められるが、沖縄県は決定の場に参加することができず、事前に意見を述べることもできない。住民の合意を得ずに強引に基地建設が進められ、完成後は米軍が排他的使用権を持ち、国内法を適用することもできない」と指摘している。

 

 憲法の上に安保体制が君臨し、人権も民意も押しつぶされている。沖縄の米軍基地は、国際法に違反し、銃剣とブルドーザーの強権によってつくられた。今日の憲法のもとでこのようなことを繰り返すことは絶対に認められない。

 

 今週から「憲法審査会」が始まる。改悪にむけた発議案作成が目的だから、憲法審査会は動かすべきではない。憲法の最高法規としての復権をもとめる沖縄県民の不屈の闘いを背に、憲法審査会でも頑張りたい。(しんぶん赤旗 2016年11月9日)

 

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