翁長県政が誕生して16日で1年を迎えた。この1年、安倍内閣相手に波乱にとんだたたかいを挑んできた。新基地建設を許さないオール沖縄の団結はますます強固になり、たたかいの輪は、県内外で大きく広がっている。どう喝や懐柔策を動員して、県政つぶしに躍起になった安倍首相らのたくらみはすべて失敗に終わっている。
知事は、10月13日、埋め立て承認を取り消した。関連工事は完全にストップした。
なんとか工事を再開しなければと菅官房長官らがとった手段が「行政不服審査法」にもとづく「審査請求と執行停止」、「地方自治法」にもとづく「代執行」の二つの手続きだ。
この事続きを強行して「知事の承認取り消し処分は無効になった」として、工事再開を強行した。
行政不服審査法は、不当な行政処分に対して国民の権利利益を擁護するものであり、国がこれを行使するのはあまりにも乱暴だ。全国の行政法の研究者が法治主義を破壊する行為として抗議声明をだした。代執行の手続きは、司法を利用して知事の権限を国がとりあげようとするもの。ところが係争中は、政府は工事を再開することができない。批判の強い行政不服審査法を行使したのは、執行停止が可能だからだ。工事を再開できるのだ。
私人の顔をして行政不服審査法を使い工事を再開する。国の顔で地方自治体に関与できる代執行の裁判をおこした。政府に都合のいいところだけ法律をつまみ食いしている。もはや、安倍内閣には法治も民主主義もない。立憲主義を壊した内閣の独裁政治は、辺野古問題でも止まらない。
しかし、工事を再開しても、海中に土砂を投入する本格的なエ事を始めるためには、政府はたくさんのハードルを越えなければならない。権限を持つ稲嶺名護市長と翁長知事の反対を合法的にクリアするのは不可能なことだ。
その翁長知事や名護市長のたたかいの展望を切り開いているのが、国民連合政府構想だ。安倍内閣打倒をめざす国民的闘争の高揚は、沖縄をさらに元気づけている。(しんぶん赤旗 2015年11月18日)