エッセイ

水曜随想  245日国会で得た「希望」

 
 今年の通常国会は、1月26日に召集された。当初の150日の会期が95日延長し、245日という戦後最長の国会となった。
 
 
 安倍首相は、集団的自衛権の行使容認を具体化した戦争法案(安保関連法案)を平和安全法案とネーミングし、戦争につながる政治を平和への道といいつづけた。NHKなどのメディアを動員し、同様のプロパガンダをつづけた。
 

 

 しかし、全ては、国民によって見破られ、破たんした。逆に安倍政治は、かつてない抗議の声に包囲された。「標的の村」や「戦場ぬ止み」(いくさばぬとぅどぅみ)の映画監督、三上智恵さんは、「国会前が『辺野古』にみえました。沖縄の人たちの抵抗の形がメジャーになってきたと思いました」と語っている。全く同感だ。これが今国会の最大の特徴だろう。

 

 9月16日の夜、憲法学者をはじめとする著名な学者の方々が、議員会館前路上で抗議行動を開催した。

 

 「例えこの法案が成立したとしてもわれわれは絶対あきらめてはいけません。今日のこの集会自体がわれわれの明日への希望の礎になっています。ごくごく普通の一般市民の方々がご自身の判断で、いかなる組織、いかなる団体に動員されることもなく、ご自身の判断でここに集まって抗議の声を上げておられるではないですか。これこそが、日本国憲法の精神が日本社会に本当に根付いたということを示しています」

 

 「ですから、例えこの法案が成立することがあろうとも、まだまだあきらめることはありません。明日へ向かって前へどんどん続けていきましょう」
 早稲田大学憲法学教授の長谷部恭男先生はこう訴えた。

 

 立憲主義の回復、戦争法廃止の国民連合政府構想はこれらの国民的大闘争のなかで培われてきたものだ。

 

 激しく対立していた自民党議員は、提案の威力に驚愕(きょうがく)し、「これでは共産党にやられてしまう」と悲鳴をあげた。安倍内閣打倒のたたかいの帰趨(きすう)をにぎるのが来年の参議院選挙だ。「これは楽しみだ」という人々がふえている。私たちが戦後最長の通常国会の闘争で獲得したのは「希望」だ。(しんぶん赤旗 2015年10月14日)

 

このページをシェアする