エッセイ

水曜随想  戦争政策の放棄迫る

 15日から臨時国会が始まる。安倍首相は、改憲と集団的自衛権について、暴言を垂れ流し続けている。

 安倍内閣が力をいれているのが、「秘密保護法案」と「安全保障会議設置法等改正案」(日本版NSC創設)だ。「特別委員会」を設置して連日審議を強行し、早期成立を狙っている。

 日本版NSCとは、米国から得られた情報や自衛隊等から寄せられた情報に基づいて、総理と官房長官、防衛、外務の4者で情勢を判断し、対処策を取る仕組みだ。

 米国から寄せられる情報ほど、怪しいものはない。イラク戦争で証明済みだ。外交による平和的解決よりも、軍事的対応に傾斜しているこれらの人物たちに、国民の運命を左右する情勢判断を任せるわけにはいかない。

 「秘密保護法」は、日米間の軍事協力の基礎をなすものとして、3日発表された「日米安全保障協議委員会」(「2+2」)の中で、「情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みを歓迎」と評価された。自民党の改憲草案は、「国防軍」の設置と合わせて、「秘密に関する事項は法律で定める」と、秘密保護法の制定を規定している。国民は国策を知ることを許されず、暗闇国家への道を歩まされることになる。

 この二つの法律は、いわば、改憲関連法案といってもいい。

 ところで、民主党の北沢俊美元防衛大臣は「防衛相在任中に当時のゲーツ米国防長官と8回会談…『日本政府は集団的自衛権行使を容認すべし』との意見は全く聞かなかった」と語り、日本は専守防衛に徹すべしと論じている(「毎日」9月30日付夕刊)。米国が、日本をまきこんで、中国や北朝鮮と軍事的に事を構えるという想定は架空に映る。安倍首相の姿勢は、世界の流れからかけ離れている。

 志位委員長は、インドネシア訪問の意義について、「東南アジアのような平和的枠組みを、北東アジアにどうつくるか」と、実践から教訓を学ぶ外交と語った。この姿勢を本流にする論戦が求められる。おどろおどろしい戦争政策は放棄すべきだ。(しんぶん赤旗 2013年10月9日)

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