エッセイ

水曜随想  野田内閣と民意の衝突

 

 通常国会が始まった。1月24日から6月21日までの150日間だ。どんな展開になるか、だれも予測できない。「一寸先は闇だ」という言葉が実感をもって迫ってくる。開会日の議員団総会では志位委員長があいさつ。どんな局面でも、国民の立場にたった根本的な論戦で政治を動かしていくために、全力あげる方向を確認した。

 

 野田首相は、消費税増税について、「きちっと結論を出す国会にしたい」と繰り返している。メディアの関心は、野田首相の国会戦略の成否に集まっている。民自公連携をよびかけ、消費税成立を説くメディアも多い。

 

 消費税引き上げ「反対」60%、「賛成」37%が開会直近の世論調査の結果だ。野田首相は、既に国民の反対世論に包囲されている。原発もTPPも同じだ。

 

 そんな中で、入閣直後から問題発言を繰り返している田中直紀防衛大臣が、沖縄を訪問した。

 

 23日、宜野湾市の嘉数高台に立って、普天間基地を視察している最中、基地に隣接している普天間第二小学校上空での軍用機の飛行について「飛行経路が円盤状に広がるとすぐ学校の頭上にヘリコプターが下りてくるというが、そういうケースはそれほど多いわけではないのでしょう」と防衛官僚に質問した。宜野湾市が行った昨年度の騒音調査では普天間第二小学校周辺で1日平均42・5回の軍用機の飛行が確認されている。記者会見では、「そんな発言はしていない」と否定しているが、沖縄県内のニュースでは、大臣の発言がはっきり録音され流されている。否定しようがない。「たいした被害でもないのに、沖縄が騒ぎすぎる」という程度の認識で沖縄入りしたのだろう。お粗末すぎる。大臣の資格はない。

 

 野田内閣は、3月末の消費税増税とともに、6月までに辺野古新基地建設の埋め立て申請提出を米国に約束している。県民の理解が得られるはずはない。財界と米国の一言一句を忠実に実行することを固く決意している野田内閣は民意との衝突は避けられない。(しんぶん赤旗 2012年1月25日)

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