エッセイ

水曜随想  「手ぬぐい」とリフォーム

 

 庭は荒れ放題、部屋は新聞と資料の山積みで散らかり放題だった我が家を、やっとリフォームすることができた。

 部屋が機能的になり、小さいが芝生のある庭も出現した。

 新しくなった部屋に、「守ろう!馬毛島」「NO BASE NanSei Is.」と書かれた手拭いを飾った。鹿児島の大隅半島から種子島、屋久島、沖縄本島、宮古、石垣、西表、与那国の島々が「9」の字で結ばれている斬新なデザインだ。

 今年6月21日の日米合意で、名護市辺野古とともに、馬毛島にも空母艦載機離発着(FCLP)訓練移転が合意された。手拭いは6月中旬から続けてきた馬毛島基地化反対の署名が1万人をこえた記念に、「馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会」が作成した。

 馬毛島は、種子島のすぐ目の前に広がる無人島で、屋久島にも近い。

 この手拭いのことを、与那国島の調査にはいったときの懇談会で紹介した。与那国島は、民主党政権の手になる昨年末の「防衛大綱・中期防」のなかで、いち早く自衛隊駐屯地として標的にされ、予定地選定が進められている。町長は防衛省の権力を借りて、誘致促進の署名を集め、防衛大臣に誘致を要請した。

 誘致に反対する住民たちは、最近、誘致賛成署名を上回る反対署名を集める快挙を成し遂げた。地元新聞の世論調査では7割の住民が誘致に反対だ。人口1500人余、過疎化に悩むこの島に、女性たちを中心に、「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」が結成された。「イソバ」とは、その昔、当時の支配者の悪政から与那国島の人々を解放した女性の英雄の名前だ。「バンタ ドゥナンチマ カティンナヨ!」(私たちの与那国鳥を捨てないで!守ろうよ!)と、町民との対話活動を連日続けている。知恵も勇気もあふれた現代の「イソバ」たちだ。彼女たちが信念としているのは憲法9条だ。

 壁にかかった9条の手拭いは、「南の島々の平和の懸け橋になれよ」と、語りかけてくるようだ。心もリフォームされた。(しんぶん赤旗 2011年10月12日)

 

 

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