衆議院で予算が可決されたのは1日未明の3時半ごろ。「草木も眠る丑(うし)三つ時」に、過半の時間は、民主と自民の疑心暗鬼と腹のさぐりあいに浪費された。
ところで、参院の予算委員会が始まったばかりなのに、前原外相が辞任においこまれた。外国人からの政治献金が発覚したからだ。親米政治家として知られる彼とは、今国会で、米軍再編や尖閣諸島問題、高江のヘリパッド建設問題などで激論を交わした。
あれから1週間余しかたっていない。彼の場合、政治資金パーティー券購入問題でも疑惑がでており、すべてを説明した上での辞任ではない。臭いものにふたをする幕引きなら許されない。
前原外相辞任のニュースとほぼ同時に、米国務省のケビン・メア日本部長の暴言が伝えられた。「沖縄の人々は、ごまかし、ゆすりの名人」「沖縄の人々は怠惰で(他県以上に)ゴーヤーも育てられない」「沖縄の人々は、普天間が世界で最も危険な基地だと主張するが、福岡空港や大阪の伊丹空港も同様に危険だ」と、言いたい放題だ。
かつて、嘉手納基地の司令官が「(嘉手納基地で)少しの騒音を出して申し訳ないが、これを〝自由のメロディー″と受け止めたい」とスピーチしたことがあった。少女暴行事件が起こる2年前だ。米国からみれば、沖縄は日本政府によって軍事優先が許されているアメリカの属領の扱いなのだ。
普天間基地が世界で最も危険な飛行場という認識は、2003年当時、ラムズフェルド国防長官が発言したことだ。ゴーヤーが九州をはじめ本土各地にひろがっているのは、沖縄と本土の科学者たちの不妊虫放飼(ふにんちゅうほうし)という息の長い害虫駆除の方法の成功によって本土移出が可能になったからだ。ゴーヤーのもつ亜熱帯の食材の不思議な魅力の広がりが、メア氏には「沖縄人の怠惰」に映る。
誰が外相になっても対米従属政治を続ける限り、県民に対する米国の傲慢(ごうまん)な姿勢と蔑視は改まらない。土深い矛盾の根っこを引き技く力、日本共産党をもっともっと大きくしたい。(しんぶん赤旗2011年3月9日)