エッセイ

国民のたたかいこそ政治を変える

 

 参議院選挙後初の臨時国会は7月31日から8月6日までの8日間開かれました。参院で与党が過半数割れしたもとでの初の国会です。その期間、国会議事堂近くの赤坂の夜の街は民主党議員の会合でにぎわい、テレビのニュースも民主党派閥ごとの会合の様子を報じていました。政局の注目は、9月14日の民主党代表選で、民主党内のグループの「合従連衡」(がっしょうれんこう)がどんなかたちで形成されてゆくのかに集まってきています。誰が総理になるかは重要ですが、一方で誰が総理になっても、民主党政権では政治は変わらないことははっきりしています。

 

 臨時国会の最終日、衆院安全保障委員会の理事会が開かれました。国会閉会中の調査活動として、民主党から「自衛隊機を使った尖閣諸島と中国のガス油田開発の視察」が提案されました。石垣島の住民は、「尖閣諸島は石垣市の行政区域内」という認識を強く持っていますが、尖閣諸島の海域に軍事的緊張を拡大する行動は慎んでほしいと強く願っています。「日本の国会議員が軍用機を使って国境周辺を調査するのは、緊張を激化させるだけで、国益を害する」と強く反対しはじめたら、「自衛隊をつかって何も悪いことはない」と自民党の方から助け船が出て強行されました。どうも、最初の提案者は、自民党議員のほうで、この提案を民主党が積極的にうけいれて事を運んできたようです。参院で過半数割れした与党が、国会運営をスムーズにすすめるために、自民党に愛想をふりまいているようにも見えました。これが、パーシャル連合というものでしょうか。短い国会論戦でも「消費税」や「辺野古新基地建設」などで、自民党の攻勢に同調する菅首相の姿勢も目立ちました。

 

 2大政党を中心とした政界再編に注目があつまっていますが、真に注目すべきは、国民の動向です。

 

 被爆65周年の8月9日、長崎市の平和式典に参列しました。核兵器廃絶を願う被爆者の思いに挑戦するかのような菅総理の「核抑止力は必要」発言は、広島でも長崎でも強い抗議をうけました。「核なき世界」「戦争のない世界」への不退転の決意にふれて、私も新たな勇気をもらったものです。

 

 政治変革のマグマになろうとしているのは、実は、11月に闘われる沖縄県知事選挙ではないでしょうか。この選挙で、「普天間基地撤去」「辺野古新基地建設反対」をかかげた伊波洋一知事が誕生すれば、5月28日の「日米合意」は実行不能におちいります。また日米交渉のやり直しです。新しい総理が、アメリカへの従属的な態度を改めないなら、鳩山前総理がたどった道をくりかえすことになるでしょう。国民の闘いこそ、政治を変える力です。矛盾が解消されない限り、闘いはおわりません。九州・沖縄を駆け抜けながら、そのことを強く実感しています。 

 

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