エッセイ

水曜随想  仁比さん 熱い基地告発

 

 仁比聡平さんの郷土の先輩で、北九州出身の作家、火野葦平が50年代の銃剣とブルドーザーの土地強奪の様子を「ちぎれた縄」という短編の作品にしている。舞台は伊江島、そして那覇市内の平和通りや桜坂の雰囲気が随所にでてくる。パスポートをもたなければ渡航できなかった時代に、よくあれだけの取材ができたものだと感心した。同じころ、小倉では松本清張が「黒地の絵」という作品を書いた。脱走した黒人兵が小倉の町で次々、日本人の家庭を襲う内容だ。あの作品を読んだ時、住宅街を暴れまわっている米兵におびえていた自分の少年時代を思い出した。

 

 普天間基地問題で、鳩山前総理と岡田外相を厳しく追及する仁比聡平さんのDVDが話題だ。仁比さんに詰められた鳩山前首相の答弁が、今見たら実に滑稽だ。

 

 沖縄県委員会参院選対本部の事務所開きでも紹介された。仁比さんの気迫あふれる質問はおしかけたマスコミのみなさんも注目していた。政府に切り込む角度、米軍基地におびえる沖縄の子どもたちの様子、徳之島の住民集会での熱いあいさつ、多くの人に仁比候補のDVDみてほしい。半世紀を経て、変わらぬ基地の島の現実を、力強く告発する九州男児の登場だ。

 

 「アメリカに対して正面から基地の無条件撤去を主張した政治家は、日本共産党の志位委員長だけだ」と、嘉手納町の宮城町長も熱い。「自民党も民主党も社民党の代表も、米国に対して正面から交渉したことはない」と、他党の政治家をはなから信用していない。

 

 「安保条約と地位協定のしくみがあるかぎり、沖縄の負担軽減は全く信用できない。希望は持てない」と、日本共産党以外の政治家は名指しでばっさりだ。沖縄選挙区の革新共同候補の伊集唯行候補は「あなた方のような基地問題にまじめにとりくむ政治家がふえなければ現状は変わらない」と励まされた。基地に苦しむ自治体の首町の実感のこもった発言だ。日本共産党は頑張らなければならない。

 

 普天間と消費税が2大争点になった参議院選挙、自分の真価がためされている。毎日、毎日、全力を尽くして、党の前進を切り開きたい。(2010・6・23 しんぶん赤旗 西日本のページ)

 

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