国会質問

質問日:2025年 5月 30日  第217国会  安全保障委員会

海兵隊の役割なし 外交で中国と関係改善を 赤嶺議員に参考人

衆院安保委

 衆院安全保障委員会は30日、トランプ米政権発足後の国際情勢や安保3文書について参考人質疑を行いました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ准教授に在沖米海兵隊の必要性について質問。同氏は「台湾海峡のウォーゲーム(机上演習)に何回も参加したが、海兵隊の役割はほとんどない」「トリップワイヤー(仕掛け線)のような役割で、危険で軍事的必要性はない」と述べました。

 赤嶺氏は「米中対立が激化するもとで、日本はどのような外交を進めるべきか」と質問。モチヅキ氏は「日米同盟を堅持する」としつつも、「近隣諸国との協力・連携を深める。中国が入っているミニラテラル(少数国連携)も促進し、日中韓の協力体制を深めることが重要だ。日本は中国との関係を改善するために、もっと強く外交で踏み込んだことをしなければならない」と述べました。

 赤嶺氏が、政府が具体化を進める先島諸島住民の九州・山口への避難計画に関し、「九州・山口は有事の際に避難できる安全な場所か」とただしたのに対し、黒江哲郎・元防衛事務次官は「仮にその地域が危険であれば、別の避難先を探すことが必要になる」と答えました。(しんぶん赤旗ホームページ)

 

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海兵隊の役割なし(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 ケビン・メア参考人に伺います。
 私は沖縄県の出身でありますが、沖縄一区、那覇、那覇市近辺の七つの離島を選挙区にしております。
 それで、メア参考人に、冒頭、参考人のかつての沖縄に関する発言をめぐってでありますが、多くの沖縄県民が言葉にならないほどの憤りを感じ、今も決して忘れることのできない方々がいるということは率直に申し上げておかなければなりません。
 ただ、あの問題はアメリカ国務省として一定の区切りをつけ、また、今日は参考人として御意見を伺う場でありますので、忌憚のない御意見を伺うことができればと思います。
 いわゆる敵基地攻撃能力の保有について伺いますが、参考人は、敵基地攻撃能力の使用に関して、アメリカと日本、台湾が、情報収集や、標的の選択、割当て、戦闘被害の評価などで協力する必要があると述べておられます。そのために、統合ネットワーク化された指揮統制ということも強調しておられます。この統合ネットワーク化された指揮統制とは具体的にどのようなものなのか。なぜそれが必要なのか。この点について参考人の御意見をお願いできればと思います。

○メア参考人 ありがとうございます。
 私が申し上げた統合ネットワークと合同作戦、統合と合同、日本語で意味が曖昧な違いがあるんだけれども、合同作戦をやる必要があるということは、申し上げているように、中国に対処する数がないから、圧倒的に中国の人数と戦闘機の数とか船の数とか戦艦の数が多いので、合同作戦であれば、ネットワーク性があれば、例えば具体的な例を一つ申し上げます。
 アメリカのF35戦闘機が飛んで、日本のイージス艦が別のところで動いている。センサーはいろいろあるから、攻撃されたらその地域の別々の場所で別のレーダーを使って見る。ネットワーク性があれば両方が同じものを見えるようになるので、そして運用上どうやって反応すべきか、どうやって一番効果的に反応するか、司令官が決めることができる、日本人であってもアメリカ人であっても。もちろん、反撃するかどうかを決めることは、日本だったら日本の方が決める、アメリカだったらアメリカの方が決める。統合性、合同性、ネットワーク性があっても、あくまでも指令権が、日本側は日本が指令権がある、アメリカ側はアメリカの指令権がある。
 でも、連携できる、効果的に反応できるようにネットワーク性と合同性が必要であるというふうに考えています。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 次に、小谷、黒江両参考人に伺います。
 今政府は、安保三文書に基づいて、敵基地攻撃能力の保有や南西地域の抜本的な軍事体制の強化を進めております。危惧されるのは、こうした軍事体制の強化が相互不信と緊張を高め、偶発的な衝突に至ることであります。そのような事態に至ったときに、沖縄を始め日本列島がどのような状況になることを想定しておられるのか。そして政府は、先島諸島の住民など十二万人の九州・山口への避難計画、疎開計画の具体化を進めておりますが、沖縄戦を振り返っても、対馬丸と同じことになるのではないかという危惧を持ちますし、避難先に戦火が及ぶことも想定されるのではないか、こう思います。
 両参考人はこうした避難計画の現実性についてどのようにお考えでいらっしゃるか、この点について御意見をお伺いできればと思います。

○黒江参考人 お答えいたします。
 今御指摘の、先島からの退避の計画でございます。これは、事態は様々あろうかと思います。実際に、政府がどのような事態なのでこういう避難が必要なんだということを、その事態に合わせて判断をすることになると思います。その際に、実際に必要な数だけの住民の方を安全なところに避難させることが大事でございますので、ですから、先ほどちょっとほかの御質問の際にもお答えしましたが、それを判断するタイミング、それに合わせた政府としての権限が必要だろうと思っております。
 現実性という意味でいいますと、もちろん有事の場合にもそういうことは必要でございますので、それ以外の例えば大規模な災害にこの種の計画が使えないことは全くないと思いますので、私自身は現実性は十分ある、役に立つ計画であるというふうに思っております。

○小谷参考人 私からもお答えいたします。
 例えば、二〇二二年二月二十四日にロシアによるウクライナの本格的な侵攻が始まりましたけれども、これを受けて、当時、ウクライナの総人口が四千万人、そのうち四十万人が退避を余儀なくされたというふうに理解しております。
 万が一日本を巻き込むような有事があった場合、民間人の避難というのは当然政府の責任として行わなければならないわけですが、ウクライナと日本、特に南西地域の最大の違いは、ウクライナは地続きで隣国に退避することができますが、日本の場合はそれができませんので、空路及び海路を使って行わなければならない。
 そのためには、事前に相当入念な計画を立てて準備をしなければなりませんし、政府、自衛隊、海上保安庁、そして地元の自治体との常日頃の連携が必要なものというふうに認識しておりますので、しっかりと計画を立てた上で避難に関する訓練、演習等も頻繁に行うことでこれらの計画をより実効性のあるものにしていくことができるでしょうし、避難計画を立てることも、やはり、抑止力を強化する一つの方策であるというふうに認識しております。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 それで、現実性はありということですが、私は、先ほどの質問の中で、もう一問。それじゃ、先島諸島の人たちが避難すると言われている九州・山口は有事の際には避難できる安全な場所かという疑問も持っているんですが、その点はいかがでしょうか。

○黒江参考人 お答えいたします。
 先ほど、済みません、私、舌足らずだったかもしれないんですが、状況に応じて政府が判断する中には、どこの場所に避難をさせるかということも当然判断の中に入るわけでございます。ですので、当然、あらかじめ計画を立てておく中で、九州地域が安全だという一つの前提の下で、現在、九州・山口へということで計画を立てておるというふうに私は認識しております。
 仮に、その地域が本当に危険であるということであれば、別の避難先を探すことが当然必要になろうかと思います。そこはまさに柔軟に対応しなければならない、そういう問題ではないかと思います。

○小谷参考人 黒江参考人とほとんど同じ答えになってしまうかと思いますけれども、それは、状況に応じて避難先をどう判断するかというのを政府が主体となって考えるということではないかというふうに思います。
 ウクライナの例を見ておりましても、避難先、あるいは避難に使われる鉄道の拠点などが攻撃を受けることも実際にあるわけですから、それらも踏まえて、どこに避難させることが一番安全なのかということを臨機応変に考えることが必要ではないかというふうに考えます。

○赤嶺委員 次に、モチヅキ参考人に伺います。
 参考人は、沖縄県のアドバイザリーボードや、新外交イニシアティブの提言などにも関わってこられました。先日公表された新しい提言においても、同盟による抑止というシステムが制度疲労を起こしている今、新たな外交の可能性に本気で取り組むチャンスだということを書かれておられます。
 米中間の対立が激化する下で、日本は具体的にどのような外交を進めるべきとお考えか、その点の御意見をまずお伺いしたいと思います。

○モチヅキ参考人 もちろん、日米同盟を堅持しながら、継続しながら、私は、すごく強調しているのは、近隣諸国との協力連携を深めるということで、一番重要なパートナーは韓国だと思います。そしてその後は、豪州、オーストラリアとか、ニュージーランドとか、東南アジア、カナダとかヨーロッパの、ライクマインデッドの国々との連携です。
 もう一つは、もちろん、アメリカ中心のミニラテラルのクアッドとか、そういうあれは今までどおり進めるべきだと思いますが、しかし同時に、中国が入っているミニラテラルも促進すべきだと思います。例えば日中韓の三か国の協議を、協力体制をますます深めるということは重要だと思います。
 そして、日本が中国との関係を改善、最近、石破政権はそっちの方向に動いているんですが、もっと踏み込んだ外交をしなければいけないと思います。
 今日の質疑では、対中抑止力が重要だということは参考人の皆様が強調していたんですが、僕もそれはある程度同感ですが、しかし、残念ながら、中国との関係を改善、安定したものにするということについて議論がほとんどなかったということで、私は残念に思います。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 モチヅキ参考人は、沖縄の辺野古新基地建設についても機会あるごとに発言をされてきました。とりわけ、沖縄に駐留する海兵隊の必要性について疑問を投げかけておられます。この点についての御意見もお伺いしたいと思います。

○モチヅキ参考人 私は台湾海峡のウォーゲームに何回も参加したんですが、海兵隊の役割はほとんどないんですね。
 私は、海兵隊の任務というものは、一つのトリップワイヤーみたいな役割だと思います。ですから、それは非常に危険なあれだし、軍事的には必要性がないと思います。
 ですから、できるだけ早く海兵隊を削減して、南西諸島の防衛に日本の自衛隊が責任を持つということが一番望ましい政策だと思います。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 これで終わります。

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