国会質問

質問日:2025年 2月 26日  第217国会  予算委員会

沖縄米軍犯罪 昨年10月の「再発防止策」以降も43件 特権認める地位協定改定を 衆院予算委で赤嶺氏

先送りは「県民への裏切り」

 日本共産党の赤嶺政賢議員は26日の衆院予算委員会で、沖縄県などで相次ぐ米軍犯罪に米側の「再発防止策」が何ら効果のない実態を示し、日米地位協定の抜本改定を求めました。

 赤嶺氏は、2023年12月に沖縄県で起きた米兵による16歳未満の少女誘拐・性的暴行事件を日本政府が公表せず、その後も立て続けに4件の性暴力事件が起きたと告発。石破茂首相の「米側が発表した再発防止策が実際に事件・事故の再発防止につながることが重要」との国会答弁は「沖縄県民の認識とかけ離れている」と批判しました。

 在日米軍が24年10月に午前1~5時の基地外での飲酒禁止を全軍種に広げる「再発防止策」を開始して以降の沖縄県での米軍関係者による事件・事故件数をただすと、坂井学国家公安委員長は、刑法犯18件、交通人身事故2件など計43件だと答弁。赤嶺氏は「地位協定抜本改定と基地の縮小・撤去が必要だ」「米軍の再発防止策では防止できないという認識に立つべきだ」と求めました。

 石破首相は昨年11月に自民党の特命委員会を立ち上げ地位協定の見直しに関する検討を指示しましたが検討の期限が設けられていません。赤嶺氏は「なぜ期限を設けないのか」などと追及。「(地位協定と日米安保条約が)一体であるが故に(改定の)議論は難しい」と言い訳した石破首相に赤嶺氏は、首相は昨年9月の沖縄での自民党総裁選演説会で地位協定見直し着手を掲げたのに今頃になって安保条約と一体だから簡単にできないというのは「県民に対する裏切りだ」と断じました。

 地位協定17条で、犯罪を起こしても起訴前であれば日本の警察に拘束されないとされるなど不当で差別的な地位協定の米軍特権があるから犯罪が次々起こると指摘し地位協定改定を要求。米軍駐留と米軍犯罪の「因果関係を知らない」と開き直った石破首相に対し「こんなことは許されない」と厳しく批判しました。(しんぶん赤旗 2025年2月27日)

 

 

 

 

論戦ハイライト

米軍の「再発防止」機能せず

衆院予算委 赤嶺議員が質問

 日本共産党の赤嶺政賢議員は26日の衆院予算委員会で、沖縄で相次ぐ米兵による性暴力事件への対策として米軍が始めた再発防止策が機能していない実態を示し、米軍に特権を与えている日米地位協定の改定を求めました。 


 赤嶺氏は、2023年12月、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)所属の米兵が16歳の少女を誘拐し、性的暴行を加える事件が発生し、その後も昨年1、5、6、11月と立て続けに米兵による性暴力事件が発生していると指摘。米軍がすべての軍種に対し、午前1~5時の基地外での飲酒を禁止する再発防止策を開始した昨年10月以降の事件・事故の発生状況をただしました。

 坂井学国家公安委員長は、24年10月1日~25年2月12日に刑法犯18件、交通人身事故2件、道路交通法違反20件、特別法違反3件の計43件だと答弁。再発防止策実施後も事件・事故が相次いでいる実態を明らかにしました。

おとがめはなし

 赤嶺氏は、昨年11月、酒に酔った米兵が進学塾のドアを壊して侵入した事件の発生時刻は午前2時台で、禁止時間帯の酒気帯び運転も頻繁に摘発されており、外出制限も、禁止時間帯を過ぎた後に基地内に帰ればおとがめなしだと指摘。そもそも23年12月の事件発生時刻は午後6時ごろで、深夜の飲酒制限は再発防止策になるはずがないと強調しました。

 赤嶺 米軍の再発防止策では事件・事故の防止はできないという認識に立つことが、この問題の大前提だ。

 首相 1件でも(事件・事故が)あるべきではないとの姿勢で臨む。

 赤嶺 1件でも起こるべきでないことが何十件、何百件とずっと繰り返し起こっている。言葉だけで1件でも起こってはならないと言っても何の意味もない。責任ある首相の答弁とは到底思えない。

因果関係存じず

 石破首相は自民党が昨年11月に立ち上げた特命委員会で日米地位協定の見直しを指示しましたが、期限を設けていません。

 赤嶺 いつまでに検討を終えるのか。

 首相 これまで3回開催。具体的内容はいえない。地位協定は日米安全保障条約と一体で、全部セットで議論するのに期限が簡単にできるはずがない。

 赤嶺 昨年沖縄で開催された総裁選の演説会で首相は地位協定の抜本改定をやると言っていた。安保条約と一体だから簡単にはできないなどと今ごろ言うのは県民に対する裏切りだ。

 赤嶺氏は、地位協定17条の不当性について、23年12月の事件で少女の母親が日本の警察に通報したが、警察は犯人を逮捕せず米軍に問い合わせたことをあげ、日本の警察が米軍と一緒にいれば(現場での)犯人の身柄確保の権限が米軍側にあると指摘しました。

 赤嶺 この状況を変えてほしいというのは不当なのか。こんな差別的・特権的なものがあるから米軍の犯罪が次々と起こるのではないか。

 首相 米軍が駐留することによって犯罪が起こっているという因果関係を私は存じ上げない。

 赤嶺氏は、米軍の駐留によって起こる米兵犯罪の横行を否定した首相の言葉に「大変驚いた」と述べ、日米地位協定改定を先延ばしにするなど「許されない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2025年2月27日)

 

 

主張

米軍犯罪の首相答弁

基地と特権が温床なのは明白

 「(沖縄に)米軍が駐留することによって(米兵)犯罪が起こっているという因果関係を私は存じ上げない」。石破茂首相の答弁に驚きと怒りの声が上がっています。

 沖縄で相次ぐ米兵犯罪について日本共産党の赤嶺政賢議員が2月26日の衆院予算委員会で、米軍が「再発防止」「綱紀粛正」を何度口にしても一向になくならない事実を追及したことへの答弁です。

■再発防止効果なし

 沖縄では、2023年12月に嘉手納基地所属の米兵が少女を誘拐し性的暴行を加える事件が起こりました。政府は半年間も事件を公表せず、県内外で激しい怒りが沸き起こりました。しかも、沖縄での米兵の性暴力事件はその後も、24年に4件立て続けに発生しました。

 こうした事態を受け、米軍は24年10月から、再発防止策の一環として、午前1時~5時の基地の外での飲酒を禁止しました。

 しかし、赤嶺氏の質問に坂井学国家公安委員長は、24年10月1日~25年2月12日までの米軍関係者の事件・事故が刑法犯18件、交通人身事故2件、道路交通法違反20件、特別法違反3件の計43件に上ることを明らかにしました。

 事件・事故が起こるたび米軍が打ち出す再発防止策に何の効果もないことを示しています。しかも、そもそも23年12月の少女誘拐暴行事件が起きたのは午後6時で、「深夜の飲酒制限が同様の事件の再発防止になるはずがありません」(赤嶺氏)。

 沖縄に米軍が駐留していなければ、駐留米兵による犯罪が起こらないことは自明です。米軍基地の縮小・撤去こそ米兵犯罪を根絶する一番の道です。

 同時に、基地があるもとでも米兵犯罪を減らすには、日米地位協定の抜本的な改定が必要です。

 地位協定は、公務外であっても、犯罪を起こした米兵容疑者が基地に逃げ込めば、日本側は起訴するまで身柄を拘束できないと定めています。米兵犯罪の発生を抑えることができないのは、日本側が容疑者を逮捕できず、取り調べも難しい差別的・特権的な仕組みが要因の一つです。

■地位協定改定急げ

 沖縄県が、日本側が容疑者の身柄引き渡しを要請すれば米側は速やかに応じるよう規定の見直しを求めているのは当然です。

 石破氏は24年9月、自民党総裁選の演説会(那覇市)で「地位協定の改定に着手すべき」だと述べました。しかし、首相就任後は口を閉ざしています。24年11月に地位協定の改定などを検討する自民党の特命委員会を発足させ、これまで3回の会合が開かれていますが、結論を出す期限は設けられていません。

 赤嶺氏の追及に石破氏は「地位協定は(日米)安全保障条約と一体のものなので…セットで議論するのに、期限(を切ること)が簡単にできるはずはない」と開き直りました。1960年締結の日米地位協定はこれまで一度も改定されていません。しかし、米国の同盟国であるドイツや韓国では改定が行われています。日米地位協定改定の先延ばしは許されません。(2025年3月6日 しんぶん赤旗)

質問の映像へのリンク

特権認める地位協定改定を(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 沖縄県内で相次ぐ米兵による性暴力事件について質問をいたします。
 一昨年十二月、米軍嘉手納基地所属の米兵が十六歳に満たない少女を誘拐し、性的暴行を加えるという許し難い事件が起こりました。しかも、政府が半年もの間、事件を公表せず、沖縄県にさえ伝えていなかったことに、衝撃と激しい怒りが沸き上がりました。米兵による性暴力事件は、その後も、昨年は、一月、そして五月、六月、十一月と立て続けに起きています。
 総理は、よく米側が発表した再発防止策が実際に事件、事故の再発防止につながることが重要と述べていますが、率直に申し上げまして、これは沖縄県民の認識とかけ離れていると言わざるを得ません。事件が起こるたびに、綱紀粛正、再発防止という常套句を嫌というほど私たちは聞かされてきたからです。今回も、米軍は、再発防止策の一環として、昨年十月から全ての軍種で午前一時から五時までの基地の外での飲酒を禁止しました。
 国家公安委員長に伺いますが、米軍関係者による事件、事故は、それ以後どうなりましたか。

○坂井国務大臣 警察庁が令和七年二月の十二日までということで沖縄県の警察から概要について報告を受け、把握している件数について申し上げます。
 米軍関係者による事案のうち、沖縄県警察が対外的に明らかにしている事案であって、令和六年十月の一日以降に発生したものの件数は、刑法犯で十八件、交通人身事故で二件、道路交通法違反で二十件、特別法違反で三件、合計四十三件であると承知しております。

○赤嶺委員 事件、事故はその後も続発しております。何も変わっていないんですね。
 米軍は、事件が起こるたびに、決まって飲酒制限あるいは外出制限を打ち出しております。しかし、全く守られておりません。
 昨年十一月には、午前二時台に、酒に酔った米兵が進学塾のドアを壊して侵入する事件が発生しています。禁止時間帯の酒気帯び運転も頻繁に摘発されております。外出制限も、禁止時間帯にゲートに入らなければ、朝帰りをすれば、おとがめなしなんですよ。何の意味もないんですね。そもそも、少女の事件が起きたのは午後六時です。深夜の飲酒制限が、同様の事件の再発防止になるはずがありません。
 米軍の再発防止策は、いつもそういうことの繰り返しです。だから、私たちは、日米地位協定の改定を、抜本改正、基地の縮小、撤去を必要だと訴えてきているわけであります。
 総理に伺いますが、米軍の再発防止策では事件、事故の防止はできないという認識に立っていただく必要がありますが、この問題の大前提としてそういう認識が必要だと思いますが、いかがですか。

○石破内閣総理大臣 先ほどおっしゃいましたのは、リバティー制度をアメリカが見直したということでございます。午前一時から五時までの間、基地外の酒類を提供する飲食店への入店、公の場における飲酒を禁止したということでございますが、委員御指摘のように、じゃ、夕方の六時なんかはどうなんだ、酒を飲んでいなかったらよいのかというような問題は多々ございます。
 私どもとして、一件でもこういうことはあるべきだと思っておりません。一つ一つ、もう一度きちんと点検をしながらやっていかねばなりませんので、その点は、外務省におきましても、政府全体といたしましても、地位協定の改定には恐ろしく時間はかかりますし、詰めていかねばならない論点はたくさんあります。これは一件でもあるべきではないという姿勢で臨んでまいります。

○赤嶺委員 一件でも起こってはならないことが、何十件、何百件とずっと繰り返されてきているじゃないですか。だから、言葉だけで一件でも起こってはならないと言うのは、何の意味もないんですよ。答弁にならないんですよ。責任ある総理の答弁とは到底思えません。
 総理は、去年の九月、沖縄で行われた自民党総裁選の演説会で、日米地位協定の見直しに着手すると述べました。ところが、総理就任後の所信表明演説で、そのことに言及したことはありません。それどころか、これまでは一国会議員としての考えを述べてきたとか、一朝一夕に実現するとは思っていないなどという答弁を繰り返しています。一体沖縄でのあの発言は何だったのかと県民は怒りました。
 そうしますと、自民党の特命委員会を立ち上げて、地位協定の見直しに関する検討を総理は指示されました。ところが、その検討には期限が設けられていないと報じられているわけですね。
 なぜ期限がないんですか。いつまでに検討を終えるんですか。

○石破内閣総理大臣 我が党のアジアにおける安全保障のあり方特命委員会の会合は、これまで三回開かれておるものでございます。
 政府として具体的な内容について申し上げることはいたしませんけれども、これはいつまでに答えが出るというものではありません。地位協定は、御存じのとおり、安全保障条約と一体のものでございますので、安全保障条約が、今、非対称的双務関係で構成をされておるものでございます、それと一体の地位協定でございますから、全部セットで議論するのに期限が簡単にできるはずはございません。
 我が党として、見識のある者が集いまして、場合によっては有識者の判断もいただきながら、適切な結論をなるたけ早く出すということは必要なことです、しかし、いついつまでにということを申し上げることはいたしません。努力はいたしてまいります。

○赤嶺委員 安全保障条約と一体だ、だから大変難しいということを沖縄でおっしゃいましたか。一言もおっしゃっていないでしょう。地位協定の改定が必要だと、あの沖縄国際大学の事件を見て自分はそう思ったとおっしゃったじゃないですか。
 特命委員会は三回開かれたとおっしゃいましたが、その三回のうち一回でも地位協定が議題になったことはありますか。

○石破内閣総理大臣 それは地位協定というもののタイトルを読めば分かることであって、日米安全保障条約と一体ということは、地位協定のタイトルを見れば誰だって分かることでございます。これが一体のものであるがゆえにその議論は非常に難しいことであるが、難しいからといってやらないでいいという話には全くならないから、自民党の中でそういう議論が今濃密に行われているところでございます。
 地位協定と安全保障条約は一体であるというのは、私は沖縄で申し上げたこともございますし、これは世の中の常識でございます。

○赤嶺委員 私だって、安保条約と地位協定が一体だというのは、総理を前にして、憲法審査会でも何度も申し上げてきましたよ。しかし、あのときには、地位協定の抜本改定を、沖国大の事件も出して、やりますと言ったんですよ。これは県民に対する裏切り行為じゃないですか。今頃になって、それは安保条約と一体だから簡単にはできないでしょうと言ったら、米軍の犯罪はいつ抑えるんですか。我々が求めているのは、沖縄県民が求めているのは、地位協定の十七条で、いわば事件が起こっても日本の警察はアメリカの米軍犯罪を取り締まれない、犯人を逮捕することもできない、これは主権国家でこんなのが許されていいかと。
 この間の、十二月の事件もそうですよ。少女がレイプされて、母親が一一〇番をした。日本の警察は、その一一〇番を受けて犯人を逮捕しに行ったわけじゃないですよ、米側に問い合わせた。米側と日本の警察が一緒におれば、地位協定上、その身柄の確保は米側になってくるわけです。
 やはりこういう常識では考えられないような仕組みを改めるべきだ、地位協定の改定だと我々は言ってきたじゃないですか。いかがですか。

○石破内閣総理大臣 それは、我が党の沖縄県連も、この点に関しましては、地位協定の改定は御党と同じか、それと基本的な考え方は一緒であって、そこは、長い間アメリカとの関係についていろいろな状況を受けてこられた沖縄の、同じ共通の思いだと思っております。
 ただ、私が申し上げているのは、地位協定を改定しなければこの種の犯罪はなくならないというようなことを言っておっては駄目だということであって、この犯罪の根絶ということを求めて、私どもとして、アメリカ側に更に強く物は言っていかねばならないということでございます。
 そうしないと、日米安全保障条約の根底が揺らぎかねないと私は思っておりまして、この手の犯罪を撲滅する、根絶するということは、我が政府として更に強く沖縄県とともに取り組んでまいる所存でございます。

○赤嶺委員 アメリカが再発防止策や綱紀粛正を何度言っても、事件は度々起こっているじゃないですか。おととしの十二月に起こって、去年は四件も起こっている。そして、犯人を逮捕する権限さえ日本の警察は奪われている。これを変えてほしいというのは不当なことですか。これは正義じゃないですか。
 アメリカがどんなに再発防止策と言っても、事件は再発しているじゃないですか。どうやって事件を抑えるんですか。やはり事件を起こしても日本側に逮捕されない、あるいは基地の中で悠々と暮らせるような事態になっている、こんな差別的な、特権的なものがあるから、米軍の犯罪が次々起こるんじゃないですか。だから、地位協定を変えろと言っているわけですよ。いかがですか。

○安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔にお願いします。

○石破内閣総理大臣 私は、主権独立国家の在り方という問題だと思っております。御党と立場をそこは同じくすると言うと、何事であるかと逆に叱られるかもしれませんが、私は、主権独立国家の在り方としてこの地位協定の問題は捉えていかねばならないものだと思っております。
 しかしながら、米軍が駐留することによってこの犯罪が起こっているという因果関係を私は存じ上げませんけれども、この手のことを根絶するために、もっと沖縄県民と心を一にして我が政府として取り組んでいかねばならないし、そのことは米軍の中でも、このようなことは絶対にあってはならないということを更に徹底していただきたいし、そのことを慫慂したいと思っております。

○安住委員長 時間が参りました。

○赤嶺委員 総理、大変驚きました。米軍の駐留と米軍の犯罪の因果関係は、総理は知らないと言うんですか。(石破内閣総理大臣「知らないとは言っていない」と呼ぶ)知らないとおっしゃったでしょう。

○安住委員長 赤嶺君、時間がとうに過ぎていますので、まとめてください。

○赤嶺委員 こんなことは許されないということを申し上げて、質問を終わります。

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