衆院憲法審査会は13日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、過去最大の大軍拡予算や、次期戦闘機の輸出、日米司令部機能の一体化、公共インフラの軍事利用強化などを取り上げ、「岸田政権が平和国家としての理念を次々と破壊しようとしていることは極めて重大だ」と厳しく批判。憲法9条を生かした外交努力こそ求められていると主張し、「平和を希求する多くの国民と連帯し、憲法破壊の政治を転換させることに全力を尽くす」と強調しました。
赤嶺氏は、政府が英国・イタリアとの次期戦闘機の共同開発を決め、その前提として第三国への輸出を認めたことは「死の商人国家への道を突き進むものだ」と批判。武器輸出禁止の原則は、衆参両院の全会一致の国会決議で確立した、憲法の平和主義に基づく国是であり、「一片の閣議決定で覆すことは許されない」と強調しました。
さらに、政府が空港や港湾の軍事利用を進めるため、拒否する自治体には指示を出して強制させることを可能にする地方自治法改定案を推し進めていると指摘。政府・与党は国会の立法権も行政監視機能も形骸化させ、地方自治体も国民経済も軍事に動員する体制づくりを進めていると述べ、自民党などが国会機能の維持を理由にあげて国会議員任期を延長するための改憲を主張しているのは「全くのまやかしだ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2024年6月14日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
私はこれまで、現実の憲法破壊の政治を放置して改憲議論をすることは許されないと主張してきました。今国会でも、岸田政権は、憲法の原則をじゅうりんする法案を強行しています。とりわけ、憲法の平和国家としての理念を次々と破壊しようとしていることは極めて重大です。
まず、大軍拡予算の問題です。
政府は、五年間の軍事費を四十三兆円とする安保三文書の下で、今年度は、過去最大となる八兆円もの軍事予算を計上しました。防衛省の有識者会議では、四十三兆円にとどまらず、更に増額することまで議論されています。
財政制度等審議会が五月二十一日に政府に提出した建議書は、軍事費の増額を前提に、社会保障費や教育費など、国民の生活に不可欠な予算の削減を求めています。軍事最優先で、国民の暮らしを犠牲にするものであります。
この大軍拡予算を保障するため、いわゆる長期契約法を時限立法から恒久法に改定しました。自衛隊の兵器などの調達は、特例として、国庫債務負担行為の年限を十年まで可能とするものです。国会の予算審議権を侵害し、憲法の財政民主主義に真っ向から反するものです。
次に、武器輸出の問題です。
政府は、次期戦闘機をイギリスやイタリアと共同開発することを決め、その前提として、第三国への輸出を認めました。世界の紛争を助長し、武器輸出によってもうける死の商人国家への道を突き進むものです。そもそも、武器輸出禁止の原則は、衆参両院の全会一致の国会決議で確立した、憲法の平和主義に基づく国是です。一片の閣議決定で覆すなど、到底許されるものではありません。
さらに、政府は、アメリカとの最新鋭のミサイルの共同開発や、米英豪の軍事的な枠組み、AUKUSとの先端軍事技術の協力を進めようとしています。そのために、政府が指定する秘密を経済分野にまで拡大し、広範な民間労働者や技術者、研究者を政府の秘密保護体制に組み込み監視、処罰する制度の導入を推し進めています。軍事兵器の開発のために、憲法で保障された国民の知る権利や、思想、良心の自由、プライバシー権をじゅうりんするなど、断じて認められません。
米軍と自衛隊の一体化も重大です。アメリカのオースティン国防長官は、在日米軍司令官を大将に格上げし、作戦指揮権限を付与することを検討していると述べています。日本は、自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部を創設する計画です。日米の司令部機能を統合し、自衛隊を米軍の指揮下に一層深く組み込んで、兵たん支援から敵基地攻撃に至るまで日米の一体化を推し進めようとしています。
公共インフラの軍事利用の強化も進められています。政府が空港や港湾の整備に予算を出すのと引換えに、地方自治体に確認書を結ばせ、米軍や自衛隊の優先利用を確保する仕組みがつくられています。その上、地方自治法を改定し、軍事利用を拒否する自治体には政府が指示を出して強制させることまで可能にしようとしています。地方自治を破壊し、自治体を国に従属させるものです。さらに、政府が食料の供給を確保できないと判断すれば、農家に増産や生産物の転換を強制する法案まで押し通そうとしています。まさにありとあらゆるものを軍事に動員しようとしているのが、岸田政権のやっていることです。
この憲法審査会では、いついかなるときも国会機能を維持するために改憲が必要だという主張が繰り返されています。しかし、今実際に政府・与党が進めているのは、国会の立法権も行政監視機能も形骸化させるやり方で、地方自治体も国民経済も強権的に動員する体制づくりです。国会機能の維持などというのは全くのまやかしであります。
今必要なのは、軍事力の拡大ではなく、憲法九条を生かした対話による外交努力です。戦争の準備ではなく、平和の準備こそ求められています。平和を希求する多くの国民と連帯し、憲法破壊の政治を転換させることに全力を尽くすことを述べて、発言とします。