国会質問

質問日:2024年 4月 25日  第213国会  憲法審査会

平和主義と地方自治一体 赤嶺氏 大軍拡強行の政権批判

衆院憲法審

 衆院憲法審査会は25日、自由討議を行い、日本共産党の赤嶺政賢議員は憲法と地方自治について発言しました。「憲法の平和主義と地方自治は一体のものだ」と述べ、地方自治を蹂躙(じゅうりん)し、大軍拡を強行する岸田政権を批判しました。

 赤嶺氏は沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、政府が「代執行」によって新基地に反対する玉城デニー知事の権限を奪い工事を強行したことについて「国に逆らう自治体は徹底的に排除する強権政治そのものだ」と批判しました。

 新基地反対の圧倒的民意を一顧だにしないばかりか新基地建設と沖縄振興をリンクさせ振興予算を減らし続ける一方、県を通さず市町村に直接補助金を出す仕組みまでつくり県を排除しようとしていると指摘。「カネで自治体の声を押しつぶし、基地建設を強行するのは許されない」と強調しました。

 安保3文書に基づき、地方自治体が政府との間で、自衛隊が優先利用できる確認書を交わすことを条件に空港や港湾を整備する仕組みをつくったことについて「地域振興のためにインフラ整備を求める自治体の要望につけ込み軍事利用を迫るきわめて卑劣なやり方だ」と厳しく批判しました。

 さらに、地方自治法改定案で政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす」と判断すれば、個別法に規定がなくても、自治体に「指示」できる仕組みまで導入しようとしていることについて「国と地方の対等・平等原則を投げ捨て、自治体を国に従属させるもの。沖縄県での強権的なやり方を全国に広げようとするものであり断じて容認できない」と強調しました。

 

質問の映像へのリンク

平和主義と地方自治一体(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 憲法と地方自治について意見を述べます。
 今、地方自治をめぐって重大な問題は、政府が地方自治も民主主義も無視して基地建設を強行していることです。
 最も顕著なのが沖縄です。辺野古新基地建設をめぐって、玉城デニー知事が、公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局の設計変更申請を不承認としたのに対し、政府は、国民の権利救済のための行政不服審査法を悪用して、知事の決定を取り消しました。さらに、玉城知事に設計変更申請を承認するよう指示し、知事が従わないと、地方自治法上の代執行によって県知事の権限を奪い、工事を強行したのです。国に逆らう自治体は徹底的に排除するという強権政治そのものです。
 政府はこれまでも、県の承認取消しや撤回に対し、国の機関である防衛局が国土交通大臣に審査請求し、救済するという自作自演を繰り返してきました。こうした政府のやり方に対し、百十名の行政法学者らが、法治国家にもとるとの批判の声明を出し、全国知事会は、国と地方自治体は対等であるという原則に基づき制度を見直すよう繰り返し求めています。にもかかわらず、行政不服審査法を濫用したばかりか、代執行を強行したことは、地方自治そのものを否定する暴挙です。
 そもそも、新基地建設反対は県民の圧倒的な民意です。二〇一三年一月、沖縄県内の全四十一市町村、議会、県議会、経済社会団体の代表が上京し、米軍普天間基地を閉鎖、撤去し、県内移設を断念することを求める建白書を政府に提出しました。まさに島ぐるみの要求です。その後も、二〇一九年の県民投票や三度の県知事選挙によって、新基地建設反対の民意を示し続けています。県が基地建設に反対するのは当然のことです。
 ところが、政府は、この民意を一顧だにしないばかりか、新基地建設と沖縄振興策をリンクさせ、分断を図ってきました。
 二〇一三年十二月に、安倍首相は、向こう十年間、毎年三千億円台の沖縄振興予算を確保することを表明し、当時の仲井真知事は埋立てを承認しました。この仲井真知事の裏切りに県民の怒りが沸き上がり、一四年の県知事選挙で翁長雄志知事が勝利すると、政府は一転して、振興予算を減らし続けてきました。その一方で、県を通さず市町村に直接補助金を出す仕組みまでつくり、県を排除しようとしています。金で自治体の声を押し潰し基地建設を強行しようなど、許されるはずがありません。
 重大なのは、この地方行政をゆがめるやり方で、安保三文書の下で全国でも強めようとしていることです。その典型が、公共インフラの軍事利用の強化です。
 政府は今月、三文書に基づき、地方自治体が政府との間で自衛隊が平素から優先的に利用できるようにする確認書を交わすことを条件として、空港や港湾を整備する仕組みをつくりました。今年度は、全国で十六の空港と港湾を特定利用空港、港湾に指定し、三百七十億円かけて整備すると公表しています。地域振興のためにインフラ整備を求める自治体の要望につけ込み軍事利用を迫る、極めて卑劣なやり方です。
 さらに、政府は、今国会に地方自治法改定案を出し、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼすと判断すれば、個別法に規定がなくても自治体に指示できる仕組みまで導入しようとしています。国と地方は対等、平等という原則を投げ捨て、自治体を国に従属させるものです。沖縄県での強権的なやり方を全国に広げようというものであり、断じて容認できません。
 日本国憲法は、戦前の中央集権的な体制の下で、地方自治体が侵略戦争遂行のための国家総動員体制の一翼を担ったことへの反省から、地方自治を明記しています。これは憲法の平和主義と一体のものです。
 この地方自治の精神を破壊し、戦争遂行のための体制強化を進めようということは絶対に許されないと強調し、発言を終わります。

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