衆院憲法審
衆院憲法審査会は16日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、深刻な人道危機が起きているイスラエル・ガザ紛争について、日本政府には「日本国憲法の平和主義に基づく外交が強く求められる」と主張しました。
赤嶺氏は、イスラエルの大規模な無差別攻撃により、ガザがジェノサイドの重大な危機に陥っている中で、国際社会による停戦に向けた緊急の働きかけが必要だと指摘。米国に追従し、イスラエルの軍事攻撃の即時中止を正面から求めない日本政府の姿勢を厳しく批判し、「イスラエルとパレスチナの問題は、武力で平和は絶対につくれないことを示している。憲法9条を持つ日本政府こそ、積極的な役割を果たすべきだ」と主張しました。
また、政府が沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設強行のために、玉城デニー知事の権限を奪う「代執行」訴訟を提起したのは「憲法に基づく地方自治を真っ向から否定する暴挙だ」と批判しました。
政府は沖縄県の民意を一顧だにせず、行政不服審査法を乱用し基地建設を強行してきたと指摘。最高裁も政府を追認する不当判決を出したと批判。「憲法が保障する民主主義も地方自治も無視し、新基地建設を強行することは絶対に認められない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2023年11月17日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
今、玉木代表から我が党への疑問も呈されましたが、私の毎回の主張から、是非私たちの主張を酌み取っていただきたいと思います。
まず、前回の海外視察の報告について一言感想を述べます。
報告の中で、森会長は、各国の憲法はその国の成り立ちや歴史を背負っていると述べられました。四年前、二〇一九年の海外視察でも、会長が、その国の憲法をめぐる政治文化や背景も考慮しなければならないと述べたことを思い起こしました。憲法を考える上で大変重要な指摘だと思います。
日本国憲法の原点は、さきの侵略戦争によってアジア諸国民二千万人以上、日本国民三百十万人に及ぶ犠牲者を出したことの痛苦の反省です。
憲法九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と述べ、争い事を絶対に戦争にしないことを求めています。九条を現実の政治に生かすことが私たち政治家の責務であります。今、この日本国憲法の平和主義に基づく外交が強く求められています。
イスラエルの大規模な無差別攻撃により、ガザはジェノサイドの重大な危機に陥っています。イスラエルは、自衛権を盾に、ガザの難民キャンプや病院、学校、検問所などへの攻撃を続けています。物資不足により病院が機能停止し、多くの新生児が死亡していると報道されております。
いかなる理由によっても、住民への攻撃は絶対に許されません。国連のグテーレス事務総長は、ガザは子供の墓場になりつつあると述べ、即時停戦を訴えています。国際社会は、停戦に向けた緊急の働きかけを強めるべきです。
ところが、日本政府は、アメリカに追従し、イスラエルは自国及び自国民を守る権利を有するなどといってその軍事攻撃を容認し、国連総会の人道的休戦を求める決議にも棄権しました。多くの市民の命が奪われ続けている中で、戦闘休止という日本政府の主張は余りにも空疎であります。
政府は、イスラエル軍事攻撃の即時中止を正面から求めるべきです。ハマスが人質を直ちに解放すべきことは言うまでもありません。
イスラエルとパレスチナの問題を考える上で重要なことは、イスラエルが、国際法も国連決議も無視して、圧倒的な軍事力でパレスチナ住民を弾圧し続けてきたことです。イスラエルは、パレスチナ自治区への占領と分離壁の建設、ガザの軍事封鎖を強行してきました。これに対して、パレスチナの武装勢力はゲリラ戦やロケット砲による攻撃で対抗し、イスラエルは自衛と称して空爆や地上侵攻を繰り返してきました。その結果、多くの罪のない市民が犠牲になり、憎しみの連鎖を広げてきたのであります。
イスラエル、パレスチナの問題は、武力で平和は絶対につくれないことを示しています。暴力と憎しみの連鎖を断ち切り、双方が話合いのテーブルに着くための外交努力が求められています。憲法九条を持つ日本政府こそ積極的な役割を果たすべきだということを強く指摘したいと思います。
次に、辺野古新基地建設についてであります。
政府は、先月、沖縄県の玉城デニー知事から埋立承認権限を奪い、国土交通大臣による代執行に向けた訴訟を提起しました。憲法に基づく地方自治を真っ向から否定する暴挙であります。
沖縄県民は、これまで、県民投票や県知事選挙、国政選挙などで新基地建設反対の民意を明確に示し続けてきました。戦後七十八年以上にわたって米軍基地の重圧に苦しめられてきた県民が、新たな基地建設に反対するのは当然のことです。
ところが、政府は、この民意を一顧だにせず、基地建設を強行してきました。そのために、行政不服審査法を濫用し、沖縄防衛局が私人に成り済まして同じ政府内の国交大臣に審査を申し立て、国が国を救済するというこそくな手法を繰り返しています。さらに、最高裁までもが政府の自作自演のやり方を追認し、民主主義も地方自治も無視する不当極まりない判決を出しています。政府の強権的な基地の押しつけとそれを追認する司法に対し、沖縄県民の批判は一層強くなっています。
今問われなければならないのは政府・与党の姿勢そのものであります。憲法が保障する民主主義も地方自治も無視し、新基地建設を強行することは絶対に認められません。国が強権的に民意を押し潰そうとしても、県民は何度でも立ち上がり、基地建設に反対し続けるということを強く申し上げて、発言といたします。