国会質問

質問日:2023年 11月 22日  第212国会  予算委員会

辺野古見積もり 過少 埋め立て14% 支出は47% 衆院予算委 赤嶺氏が追及

 

 

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、土砂を投入する「埋め立て工事」の進捗(しんちょく)率が14%にすぎないのに、2019年12月当時の見積もり額の47%にあたる1704億円が22年度時点で支出されていたことが、22日の衆院予算委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員の質問で明らかになりました。

 防衛省は19年12月、軟弱地盤の改良に伴い、辺野古新基地建設の総工費見積もりを当初から2・7倍の9300億円に引き上げましたが、22年度時点で既に46%にあたる4312億円が支出されたことが明らかになっています。木原稔防衛相は、これまでの支出額の内訳を初めて明らかにしました。

 さらに赤嶺氏は防衛省提出資料に基づき、「埋め立て工事」が全土量の14%の進捗率にもかかわらず、見積もり額3600億円のうち47%にあたる1704億円に達しているとして、「完成までに1兆2200億円かかる計算になる」と指摘。「なぜこんなことになっているのか。当初の予算見積もりの説明が事実と違っていたのではないか」とただしました。

 木原防衛相は「資材価格や人件費が上昇傾向にある」と弁明。赤嶺氏は「19年当時から埋め立て用の岩ズリは上がっていない。労務単価の上昇も8%にすぎない」と反論しました。

 さらに木原氏は、陸上部の施設を再配置するための「キャンプ・シュワブ再編成工事」も、当初の見積もり額750億円を超える786億円が既に支出されていることを明らかにしました。

 赤嶺氏は「19年当時の見積もりは実際より小さく見せかけるものだった可能性がある」と指摘。「これでは辺野古の予算(の見積もり)は、あってないようなものだ」と批判し、当初の見積もりの根拠の調査・報告と、現時点での正確な見積もりを国会に提出するよう求めました。

 岸田文雄首相は辺野古新基地建設について、「世界一危険とされる普天間飛行場(基地)の固定化を避けるための唯一の解決策だ」と改めて正当化。赤嶺氏は、米軍が住民の土地を囲い込んで普天間基地を建設したことや、日本政府が滑走路や格納庫などを整備し、他の基地から部隊が配備されてきた経緯にふれ、「危険な基地にしたのは日米両政府自身だ」と強調。「移設条件」付きではなく無条件撤去を求めました。

 

 

 

赤嶺政賢議員の質問

衆院予算委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は22日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をはじめとした沖縄の基地増強、イスラエル・パレスチナ紛争の即時停戦をめぐり、政府を追及しました。

赤嶺氏 基地たらい回しでは解決せぬ

首相 “唯一の方法”と固執

 赤嶺氏は、「米軍普天間基地は沖縄戦で住民が収容所に入れられている間に、米軍が住民の土地を一方的に囲い込んで建設したものだ」と指摘。1972年の沖縄の本土復帰以降、日本政府が滑走路や格納庫などを整備し、沖縄県内外の基地から米軍の部隊が移駐するなど、普天間基地の強化をすすめてきたと告発。同基地の強化に反対し、返還を求めてきた保守・革新を超えた県民の願いに「日米両政府は見向きもしなかった」として、「現在のような危険な基地にしたのは、日米両政府自身だ」と迫りました。

 岸田文雄首相は「普天間飛行場(基地)の固定化は絶対に避けなければならない。沖縄の基地負担の軽減のために全力を尽くしていく」と述べましたが、普天間基地を「世界一危険」な基地にしてきたことへの反省は一切示しませんでした。

 赤嶺氏は新基地建設では基地の「たらい回しで、問題の解決にならない。普天間基地を世界一危険な基地にした失敗を繰り返そうとしている」として、「たらい回しをやめるべきだ」と迫りました。岸田首相は、同基地の固定化を避ける「唯一の方法が辺野古への移転だ」と強弁しました。

 さらに赤嶺氏は、新基地建設現場の近隣の辺野古区における騒音発生状況を追及。木原稔防衛相は、防衛省沖縄防衛局が2018年8月から開始した辺野古区における航空機の騒音測定で、60デシベル以上の騒音が発生した回数は今年の9月までで累計1万630回、1年あたり2130回にのぼったと明らかにしました。

 赤嶺氏は、同測定調査で20年度には午後10時~午前7時に577回も騒音が発生していることも指摘し、「今でもこれだけの騒音が発生している。新基地ができたら、住民が一層激しい騒音に悩まされる」として新基地建設の断念を迫りました。

 岸田首相は、地元の負担軽減に向けて「米軍の協力を求めていきたい」としましたが、赤嶺氏は、「現に基地の被害に直面している県民にとって非常にうつろに響く」と批判。日米地位協定がある限り、「米軍に対して何もできない日本政府が騒音被害を抑えることなどできるはずがない」と指摘しました。

 さらに赤嶺氏は、17年12月に普天間基地周辺の保育園に米軍ヘリの部品が落下したときに同園に子どもを預けていた女性の「普天間基地がなくなればと本当に思うけれど、その負担を名護市民に移すのは、普天間の危険を知る私だからこそできない。県民が今こそ踏ん張る時です」との声を紹介。「現に基地の被害を受けている住民に、こういう苦しい思いをさせていることについてどう思うか。苦しみは移すのではなく、なくすべきだ」と迫りました。

 岸田首相は、「基地負担軽減は政権の最重要課題だ。成果を着実に積み上げたい」と述べました。

 これに対し赤嶺氏は、現在沖縄で、安保3文書によって自衛隊のミサイル基地が強化され、民間空港・港湾まで軍事利用され、米海兵隊が離島にまで展開しようとしている状況にふれ、「負担の強化でしかない。平気で負担の軽減で努力すると言う総理の発言はとても受け入れられるものではない」と厳しく批判しました。

 

 

 

赤嶺氏 ガザ即時停戦の立場に立て

首相 停戦要求明確に否定

 イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが、一部の人質の解放と引き換えに、4日間の戦闘中断で合意しました。

 赤嶺氏は、イスラエルのネタニヤフ首相がハマスを壊滅するまで戦争を続けると明言し、住民が避難したガザ地区南部への地上戦の拡大も取り沙汰されていると指摘。日本政府は一時的な戦闘中断は求めても、停戦には固く口を閉ざしてきたと批判し、「今回の合意を恒久的な停戦につなげるために、まず日本政府が即時停戦を求める立場に立つべきだ」と迫りました。

 岸田首相は「歴史的な経緯や複雑な背景事情をかんがみると、停戦が一朝一夕になるとは期待できない」「人道目的の戦闘休止、人道支援活動が可能な環境の確保をイスラエル側に求めていく」と述べ、停戦を明確に否定しました。

 赤嶺氏は、日本政府が従来、欧米諸国とは一線を画し、イスラエルとパレスチナ双方に停戦を求めてきた立場にも反すると指摘。ハマスのテロ行為を非難した上で、日本政府がやるべきことは、アメリカの顔色をうかがってイスラエルによる軍事攻撃を容認することではなく、停戦を求めることだと重ねて追及しました。(しんぶん赤旗 2023年11月23日)

 

質問の映像へのリンク

辺野古見積もり 過少(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 名護市辺野古への米軍新基地建設について質問をします。
 建設費用の問題から伺いますが、防衛省は、二〇一九年十二月、軟弱地盤の改良工事に伴い、新たな経費の見積りを公表しました。それまでの三千五百億円を九千三百億円、二・七倍に引き上げました。パネルを用意してきましたが、環境保全措置が七百億円、埋立工事の関連で仮設工事が二千億円、護岸工事が千五百億円、埋立工事そのものが三千六百億円、附帯工事が百二十五億円、飛行場施設の整備が六百二十五億円、キャンプ・シュワブ再編成の工事が七百五十億円、合計で九千三百億円となっています。
 まず、防衛大臣に伺いますが、この計画に基づいてこれまでにどれだけの予算を支出してきているのか、総額、内訳を示していただけますか。

○木原国務大臣 総額と内訳ということでございます。
 普天間飛行場代替施設建設事業等に係る二〇〇六年度、平成十八年度から二〇二二年度、令和四年度までの支出済額は約四千三百十二億円となっております。
 その内訳でございますが、環境影響評価等に要する経費、すなわち環境影響評価、環境現況調査及び環境保全措置等に係る経費として三百六十六億円、埋立工事に要する経費、すなわち仮設工事、護岸工事、埋立工事及び附帯工事に係る経費として三千百五十九億円、飛行場施設整備に要する経費として約一億円、キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費、すなわち陸上部における施設を再配置するための経費として約七百八十六億円となっております。

○赤嶺委員 二〇二二年度までの支出総額が四千三百十二億円という説明でありました。既に全体の四六%を支出していることになります。
 具体的に聞きますが、埋立工事は全体で三千百五十九億円を支出しているとの説明でした。仮設工事や護岸工事を除いた埋立工事そのものについてどれだけ支出しているか、説明していただけますか。

○木原国務大臣 お答えします。
 埋立工事そのものの支出額ということでございますが、普天間飛行場代替施設建設事業等の支出済額については、環境影響評価等に要する経費、埋立工事に要する経費、飛行場施設整備に要する経費、キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費に区分してそれぞれ先ほどお示ししたところでありますが、このうち、埋立工事に要する経費については、埋立工事そのものの経費のほかに、仮設工事や護岸工事、附帯工事という区分の経費が含まれているところであります。
 その上で、工事契約については、同一契約の中に複数の区分の工事が含まれていることがありますが、そのような契約についても、通常、区分ごとに支払いを行うのではなく、契約額の総額を支払っているところです。
 このため、支出済額については、埋立工事に要する経費全体として整理されてきておりまして、お尋ねの、仮設工事や護岸工事、附帯工事を除いた埋立工事の支出済額というものを正確にお示しすることは困難であるということを御理解いただければと思います。

○赤嶺委員 私たちは、この質問を準備する前に、契約の一覧表を求めました。それには予算総額も書いております。
 既に埋立経費として二二年度までに十四件契約しておりますが、その合計で、防衛大臣、幾らですか。分かるはずですよ。

○木原国務大臣 いわゆる契約件名に埋立工事との記載のある工事の支出総額を合計すると、これは足し算ですので、約一千七百四億円になるわけでございます。
 しかしながら、先般、委員から御依頼いただいて提出した資料……(赤嶺委員「委員長」と呼ぶ)いや、まだ途中でございまして。済みません。(赤嶺委員「いやいや、千七百四億円と言ったじゃない」と呼ぶ)足し算をするとそうなりますが、正確に説明をさせていただきますと、契約件名に埋立工事と記載がある工事の中には、埋立工事のほかに仮設工事などが含まれているものもあるんです。
 一方で、同じく委員から御依頼で提出した資料の中に記載しているように、契約件名に埋立工事と記載がない工事にも、実際には埋立工事も含むものも、これは技術的にそういうものが含まれているものがあります。
 こうしたことから、契約件名に埋立工事と記載されている工事の支出済額を足し合わせても、単純に足し算をしても、仮設工事や護岸工事、附帯工事を除いた埋立工事の支出済額にはならないということであります。
 お尋ねの、埋立工事の支出済額のみを区分して正確にお示しすることは物理的に困難であるということで御理解いただけたらと思います。

○赤嶺委員 埋立工事契約という、ちゃんと防衛省の中の資料があるんです。そこにいろいろなものが含まれているから物理的に困難だといって、そんな、自分たちの使った予算も説明できない省庁というのはあるんですか。それ自体がおかしいですよ。
 私たちが取った資料の十四件のうち、さっき防衛大臣は、足し算すると千七百四億円と言いました。埋立工事そのものは、さっきのパネルにも示しましたが、三千六百億円の見積りでしたが、既に、説明がありましたように、千七百億円余りを出しています。四七%です。
 ところが、その間に、実際に今埋め立てたのは、全体の土量の一四%にすぎません。一四%で千七百億円ですから、一〇〇%全て完了するには一兆二千二百億円かかる計算になります。当初の三千六百億円で収まるはずがありません。政府が見積りを示してから二二年度末までに僅か三年です。
 総理、なぜこんなことになっているんですか。当初の説明が事実と違っていたのではありませんか。

○木原国務大臣 辺野古移設の工事を進めていくに当たって必要となる経費につきましては、令和元年の十二月に、地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直しの結果や、また当時の工事の進捗状況等を踏まえ、約九千三百億円とお示ししたところであります。
 そのうち、先ほど御指摘のあった約三千六百円につきましては、埋立工事に要する経費のうち、仮設工事、護岸工事及び附帯工事を除いた埋立工事そのものの経費でありまして、地盤改良工事の追加に係る費用や、また、令和元年、二〇一九年当時の埋立材や、また人件費の単価などの要素を踏まえて、沖縄防衛局において見積もられたものとなるわけであります。

○赤嶺委員 埋立材が上がっているわけはないんですよ。岩ズリの値段は上がっていませんよ。資材というのは岩ズリですよね、埋立材は。上がっていませんよ。人件費と言うけれども、設計労務単価そのものも、上がっているのは僅か八%ですよ。こんなに予算規模が膨らむはずがないんです。
 実際には間違った説明をしていたことになると思いますが、総理、いかがですか。

○小野寺委員長 防衛大臣木原稔君。(赤嶺委員「防衛大臣だったらいいです。またさっきと同じ説明だから」と呼ぶ)具体的な内容ですので、大臣に説明をさせます。

○木原国務大臣 一般的に、建設業界、防衛施設だけではなくて建設業界においては、令和元年の当時から人件費や資材価格が上昇傾向にあるということを承知しております。
 その上で、普天間飛行場代替施設建設事業等における人件費や、また資材価格の上昇率については、それぞれの業務や、また資材により異なることから、一概にお答えすることはなかなか難しいのではないかなと思います。

○赤嶺委員 それじゃ、私たちが調べたら、埋立資材価格、岩ズリですよ、上がっていませんよ。上がったと言うなら、その根拠をちゃんと資料として出してください。
 人件費は一般に上がっています。しかし、ダンプで岩ズリを運ぶ運転手の設計労務単価もほとんど上がっていないですよ。それもきちんと説明をする資料を出してください。
 今は埋立工事を申し上げましたけれども、今度は埋立工事だけではありません。オレンジ色のマークがもう一つついていると思うんですが、キャンプ・シュワブ再編成工事は七百八十六億円を支出しております。既に当初の七百五十億円を超えているんですね。
 防衛大臣、キャンプ・シュワブ再編成工事、これはどのような工事なのか、なぜ僅か三年で当初の見積りを超えたのか、明確にしていただけますか。

○木原国務大臣 キャンプ・シュワブ再編成の工事に要する経費につきましては、令和元年十二月に、経費の概略として、委員御指摘の約七百五十億円とお示しをしておりますが、令和四年度、二〇二二年度までの支出済額の総額については約七百八十六億円というふうになっております。
 キャンプ・シュワブ再編工事については、個々の施設ごとに日米間で具体的な検討を行った上で、合意したものから工事を進めていくこととしているわけですが、個々の施設整備に係る所要額を計上してきた結果、当時の見積りを上回ったということになるわけであります。
 防衛省としては、引き続き、経費の抑制に努めつつ、キャンプ・シュワブ再編工事を着実に進めてまいりたいと思っております。

○赤嶺委員 当初予算をはるかに超えたのは、個々の施設の工事について個々にアメリカと相談しながらやってきた、今そういう答弁でしたけれども、普通は予算の範囲内でということになりますよね。予算がこれだけだからということになりますよね。予算を超えてアメリカが、米軍が要求してきたら、いやいや、これは予算を超えますからと、そういう説明になりますよね、普通は。
 基地の完成というのは、沖縄県から軟弱地盤の承認を得てから、少なくともこれから十二年はかかるというのが政府の説明でした。それとセットで示した経費の見積りが僅か三年で超えてしまうというのは、これはどう考えても納得できるものではありません。
 最初の七百五十億円の積算根拠、これと、現在の、個々の施設について米軍と相談して決めてきたこと、ありましたが、このキャンプ・シュワブ再編成工事というのは終わったわけじゃなくて、今後も施設の整備は続きますよね。どれだけの施設整備を予定しているんですか。

○木原国務大臣 お答えします。
 キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費につきましては、平成二十一年、ですから二〇〇九年当時に、当時は大まかな見積りとして、普天間飛行場及びキャンプ・シュワブに所在する施設の規模等を踏まえて、約六百億円とお示しをしてきたものであります。
 その上で、令和元年、十年後、だから二〇一九年の十二月に経費の概略としてお示しした約七百五十億円につきましては、これは平成二十一年から令和元年までの人件費や資材の物価上昇分を反映した見積りであります。
 キャンプ・シュワブ再編成工事につきましては、先ほど申し上げましたが、個々の施設ごとに日米間で必要な調整を経た上で、日米合意したものから工事を進めていくということとしておりまして、その結果として今のような状況というふうになっているわけでございます。
 日米間で合意した施設整備の計画について、引き続きこれは適切に公表してまいりたいというふうに思っております。

○赤嶺委員 まだこれからも施設整備が続くわけですね。既に当初の見積りは超えているわけです。しかも、僅か三年で見積りの予算が超えてしまうというのは、これは納税をしている国民としては絶対に納得できるものではないんじゃないですか。
 一体どういう積算根拠、七百五十億円という数字を出してきたのか。これは、さっきの、アメリカとの個々の調整でということですから、そういうものを、再編成工事でこれからも既に超えて予算を支出していくということになると思います。
 それで、総理にこの件で伺いますけれども、二〇一九年の見積りは、実際は、埋立土量、岩ズリの埋立ての費用や、今のキャンプ・シュワブ再編成事業、これらも二〇一九年の見積りは実際よりも小さく見せかけるものだったという可能性、疑いを持っております。
 さっきも求めましたけれども、総理にも二点求めたいと思います。
 一つは、二〇一九年の見積りが一体どういう根拠によるものだったのか、これを調査し、報告すること。
 もう一つは、現時点での正確な見積り。あと十二年かかりますから、総理。今後の正確な、あとどのぐらいかかるのかという正確な見積り、これを示すことは政府の最低限の責任だと思います。
 そういう根拠を、総理、示していただけますか。約束してくれますか。

○木原国務大臣 辺野古移設の工事を進めていくに当たりましては、その経費につきましては、令和元年十二月に地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直しを行いまして、その結果、その当時の進捗状況を踏まえて約九千三百億円とお示ししたところであります。
 そういう、三千六百円ということを冒頭御指摘をいただいておりますけれども、地盤改良工事の追加に係る費用であるとか、あるいは、令和元年、二〇一九年、つまり、十年後の、そのときの埋立材あるいは人件費の単価、そういった様々な要素を踏まえまして、これは沖縄防衛局において見積もられるということになるわけであります。

○赤嶺委員 これは、今の答弁を聞いていても、辺野古の新基地建設の予算はあってないようなものです。
 アメリカとの交渉でどんどんどんどん上がっていく。あと十二年かかるんですよ。もう既に予算はなくなりつつあるんですよ。それに対して根拠を示すのは、政府として最低限の責任だと思います。
 予算委員会への資料の提出を求めたいと思います。

○小野寺委員長 後刻、理事会で協議いたします。

○赤嶺委員 政府は、これまで、普天間基地の一日も早い危険性除去のために、辺野古に代替施設を造ると強調してきました。
 そもそも、普天間基地がどのようにして現在のような危険な基地になったか、総理はどのように認識しておられますか。

○岸田内閣総理大臣 普天間飛行場の場所、私も沖縄担当大臣を務めたことがありますが、その当時から歴史について様々な方から伺ってきました。
 戦前、普天間飛行場の場所、役場や国民学校、郵便局、病院などが所在した、街道が通っていた、さらには、集落が所在する、田畑が広がっていた、こういった話を聞きました。そして、戦時中、昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収し、普天間飛行場が建設された、こういった歴史をたどったと承知をしております。

○赤嶺委員 今の閣僚の中に、普天間基地は何もなかったサトウキビ畑の真ん中に造ったという認識をお持ちの方もいらっしゃいますので、今の総理の話をきちんと受け止めていただきたいと思います。どなたとは、あえて名前は言いません。
 そもそも、普天間基地は、沖縄戦で住民が収容所に入れられている間に、米軍が住民の土地を一方的に囲い込んで建設したものです。米軍の許可が下りて自分たちの家に戻ろうとしたら、集落丸ごと基地に変えられていたのです。住民は、米軍から割り当てられた周辺の狭い土地に住むしかありませんでした。
 総理、それでも、一九七二年の本土復帰の頃までは、今のような基地の運用はされていませんでした。当初は、滑走路も使われずに放置され、住民の出入りも耕作も可能でした。
 ところが、一九七四年に、米軍の那覇飛行場、現在の那覇空港ですが、この返還のためとして、そこに配備されていたP3C哨戒機を嘉手納基地に移駐して、訓練は普天間基地で行うことになりました。そのために、日本政府が普天間基地の滑走路を整備し直しました。突然、騒音の激しい基地に変わったわけですね。
 さらに、一九七八年には、北谷町にあったハンビー飛行場の返還に伴い、格納庫や駐機場を整備しました。当時、沖縄県は、保守、革新を問わず、普天間基地の強化に反対し、返還を求めてきましたが、日米両政府は見向きもしませんでした。
 それどころか、一九七六年には、岩国基地から千人規模の第一海兵航空団が県内に配備されました。そして、一九九二年には、ハワイからCH46Eヘリ十二機が配備されました。
 総理、普天間基地を現在のような危険な基地にしたのは日米両政府自身であります。基地のたらい回しでは同じ過ちを繰り返すことになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、昭和四十九年の米海軍P3Cの嘉手納飛行場への移駐、また昭和五十三年のハンビー飛行場の返還、さらには岩国基地からの移転など、今、様々な御紹介がありました。こういった経緯を経て現在のような運用が行われるようになった、このように承知をしております。
 形成過程については様々な議論があると承知をしておりますが、いずれにせよ、世界一危険と言われる普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと考えております。
 沖縄の基地負担の軽減のために全力を尽くしてまいります。

○赤嶺委員 要するに、いろいろな基地をたらい回しした結果、今のような危険な基地になったわけです。それをやったのは日米両政府です。
 いずれにしても、普天間基地を解消しなければならないといって辺野古に基地を造ろうとする。同じたらい回しじゃないですか。危険な基地を造るようなものじゃないですか。問題の解決にはならないと思いますよ。
 普天間基地を世界一危険な基地にした失敗をまた繰り返そうとしているのではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、沖縄の米軍施設・区域の形成過程につきましては様々議論があると承知をしております。
 ただ、普天間飛行場の固定化、世界で最も危険だと言われている普天間飛行場の固定化、これは絶対避けなければならない、これは県民の皆さんと思いを共有していると考えております。そのために努力をいたします。

○赤嶺委員 さっきの、普天間基地が危険になった過程は、議論じゃないんですよ、記録が残っているんですよ。政府にも残っているわけですよね。
 だから、同じことを、基地のたらい回しの結果、あの静かでのどかな基地だった、のどかと言うのはあれかもしれませんが、基地の出入りもできた、そういう普天間基地が今のような危険な基地になったのは、たらい回しの結果なんですよ。それを今度は、また辺野古にたらい回しをしようとしている。それはやめるべきじゃないですか。

○岸田内閣総理大臣 形成過程について、様々な評価があると考えています。
 しかし、いずれにせよ、普天間飛行場の固定化は避けなければならない、そして、そのための唯一の方法が辺野古への移転だと考えて取組を進めております。取組を進めてまいります。

○赤嶺委員 それじゃ、辺野古では基地を造ったら危険な基地にならないのか、この点について。
 辺野古の集落では、二〇一八年の八月から防衛省が航空機の騒音測定調査を行っています。この騒音測定調査、これが、防衛大臣、どういう経過で調査することになったのか、どれだけの騒音の発生が確認されているのか、説明していただけますか。

○木原国務大臣 赤嶺委員に、冒頭、私の先ほどの答弁の中で一か所、三千六百億円と言うところを、億が抜けていたので、済みません、そこは訂正いたします。
 その中で、航空機の騒音測定に関する防衛省の取組ということでありますが、御指摘の名護市の辺野古区は、米軍のキャンプ・シュワブに隣接する地域でありまして、キャンプ・シュワブの訓練場に米軍ヘリが飛来する際には、その飛行経路の下に入ることがございます。そのため、辺野古区においては飛来するヘリの騒音が発生してきているものと承知しております。
 こうした航空機の騒音については、地元住民の皆様方からの苦情のほかに、名護の市議会からも累次の要請をいただいていたことを踏まえて、防衛省においては、平成三十年、二〇一八年の八月から、辺野古区での航空機騒音測定を開始したところであります。
 具体的にどれぐらいかという御指摘もありましたので申し上げると、航空機の騒音測定を開始して以降、騒音状況の把握に努めてきた結果、これまで六十デシベル以上の騒音レベルが発生した回数について申し上げると、平成三十年の八月から令和五年の九月までの五年間の合計で一万六百三十回、一年当たりで言うと約二千百三十回の騒音が発生したことを確認しているところです。
 米軍による航空機の運用に当たっては、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであります。防衛省としては、米側に対し地元への配慮を求めるとともに、引き続き、米側とは密接に連携を図りながら、地元に与える影響が最小限にとどまるよう適切に今後も対応してまいります。

○赤嶺委員 総理、もう基地を移す前から今の防衛大臣のような説明の騒音が起こっているんですよ。着陸帯があるものですからね。
 そして、夜の十時から翌朝七時までの騒音も年間で五百七十七回。これは公共の安全に配慮した飛び方ですか、こんなのが、米軍に対して。こういうのが起きているわけですよ。
 だから、辺野古に新しい基地ができたら、住民が一層激しい騒音に悩まされると思いますが、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 こうした施設の運営には、地元の理解は欠かせません。地元の皆さんの負担軽減に向けて日米で努力をすることは重要であると思います。日本側として、米軍の協力を求めていきたいと考えます。

○赤嶺委員 今の総理の答弁は、現に基地の被害に直面している私たちにとって、非常にうつろに響いてまいります。米軍に対して何もできない日本政府、それが、騒音被害を抑える、こういうことなどできるはずがないと思います。これは日米地位協定があるからだという主張は、総理もよく理解できると思います。
 普天間に与那城千恵美さんという方がいらっしゃいます。二〇一七年十二月、米軍ヘリの部品が保育園に落下してきたときに、子供さんを預けていたお母さんの一人です。あの事故から、仲間たちと一緒に、子供たちに安全な空をと活動を続けています。
 政府が先月、代執行訴訟を提起したとき、玉城デニー知事を激励する集会が県庁前の広場で開かれました。そこで与那城さんは次のように訴えています。普天間基地がなくなればと本当に思うけれども、その負担を名護市民に移すのは、普天間の危険を知る私だからこそできない、県民が今こそ辺野古の新基地建設阻止をめぐって踏ん張るときです。このように訴えました。
 総理、現に基地の被害を受けている住民にこういう苦しい思いをさせていることについて、どのように思われますか。あの基地の苦しみは、移すのではなく、苦しみをなくすべき、そして、痛みの移転ではなくて、痛みをなくすべきと思いますが、総理、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣 沖縄県の皆様方には多くの米軍施設・区域が集中することによって大きな基地負担を担っていただいていること、これを重く受け止めています。具体的に苦しみに遭われた方々の思い、これは大事にしていかなければならないと思います。
 そういった思いを胸に、沖縄の基地負担軽減、これは政権の最重要課題です。一つ一つ成果を着実に積み上げたいと考えます。

○赤嶺委員 今、沖縄は、負担の軽減どころか、安保三文書によって、自衛隊のミサイル基地が強化をされ、民間空港、港湾まで軍事利用され、そして、アメリカの海兵隊が離島にまで展開する。負担の軽減どころか、今、現状は負担の強化ですよ。それを平気で、負担の軽減で努力するという総理の発言は、とても受け入れられるものではありません。
 ちょっと時間がありませんので、イスラエル・パレスチナ紛争について伺います。
 カタール政府は、イスラエルとハマスが、五十人の人質の解放と引換えに四日間の戦闘休止に合意したことを明らかにしました。大事なことは、これを恒久的な停戦につなげることであります。イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅するまで戦争を続けると明言をしております。住民が避難したガザ地区南部への地上戦の拡大も取り沙汰されております。そのようなことになれば、重大な事態になることは明らかです。
 これまで日本政府は、一時的な戦闘休止を求めても、停戦には固く口を閉ざしてきました。今回の合意を恒久的な停戦につなげるために、まず日本政府自身が即時停戦を求める立場に立つべきではありませんか。

○上川国務大臣 お答えをいたします。
 ガザ地区の状況は深刻化の一途をたどっていることに加えまして、地域に飛び火をして情勢が不安定化することに、日本としても深刻な懸念を持っております。事態が早期に鎮静化され、地域にテロと暴力のない平和と安定が実現することを強く望んでおります。
 こうした中におきまして、今我々がすべきことは、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求め、その実現に向け尽力することであります。このことこそが、現地で今苦しんでいる多数の子供たち、女性、高齢者を含む一般市民の惨状を少しでも和らげるために最優先であると考えております。
 そうした中で、日本時間二十二日でありますが、カタール政府の発表によりますと、イスラエルとハマスの間で、四日間戦闘を休止をし、少なくとも五十名の人質の解放、イスラエルにより拘束されているパレスチナ人の釈放及び人道支援物資のガザ地区への搬入増大を行うことで合意をし、また、それに先立ち、イスラエル政府も、人質の解放と引換えに戦闘休止を行う旨発表したと承知をしております。
 人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きとして歓迎するとともに、関係国による努力に敬意を表したいと考えております。この合意が着実に実施されることを期待をしております。
 今後も刻一刻と現地情勢が動いております。関係国等との間で意思疎通をしっかりと行い、児童を含む人道状況の更なる悪化を早急に防ぐため、先般我が国も賛成して採択されました安保理決議も踏まえた上で、人道状況の改善及びそれに資する人道的休止、さらに、事態の早期鎮静化に向けまして、外交努力を粘り強く積極的に続けてまいります。

○赤嶺委員 人質の解放の措置を取られるということは、これは別に、いいことですよ。
 ただ、私が求めたのは、日本政府は今こそ、そういうことをきっかけに停戦をイスラエル政府に求めるべきじゃないかと。ネタニヤフ首相は、これが終わったらまた戦闘を開始すると発言しているわけですね。またあの悲劇が続くわけですよ。私たちの目の前で幼い赤ちゃんが爆撃によって殺される、こんなのは本当に想像するのも恐ろしい話ではありませんか。
 これまでは、日本政府は双方の立場に立って停戦を求めてきたはずであります。是非、恒久的な停戦につなげるように、日本政府自身が即時停戦を求めていく、こういう立場を総理に求めたいんですが、いかがですか、総理。

○岸田内閣総理大臣 まず、ガザにおける状況については、深刻化の一途をたどっており、これは国際社会全体として深刻な懸念を持って状況を注視しています。
 平和と安定が実現すること、テロと暴力のない地域を取り戻すこと、これは関係者、関係国が強く望んでいるところですが、しかしながら、委員も御案内のとおり、中東の今回の事案に至るまでの歴史的な経緯ですとか複雑な背景事情を鑑みると、停戦が一朝一夕に成るとは残念ながら期待できない、これが現実であるとも受け止めております。だからこそ、こうした中で、今、我々がなすべきことは、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求めて、その実現につなげていくということであります。
 今回の休止の動き、これは人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きであると認識をしています。是非、こうした具体的な取組をこれからも日本として進めるべく貢献していきたいと考えています。

○赤嶺委員 イスラエルは、ハマスを壊滅するまで戦争を続けると言っています。イスラエルの国連憲章違反から、そういう歴史的背景から今回の問題が起こっております。もちろん、ハマスの、人質を拉致するようなことも許されません。
 しかし、日本政府は、アメリカの顔色をうかがうのではなくて、しっかり停戦を求めることを強く要求しまして、質問を終わります。

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