国会質問

質問日:2023年 11月 10日  第212国会  安全保障委員会

全土を「戦場」と想定 日米共同訓練 赤嶺氏が中止要求

衆院安保委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は10日の衆院安全保障委員会で、全国で拡大する日米共同訓練を取り上げ、沖縄をはじめ日本全土が戦場になると想定した訓練の中止を求めました。

 政府は先月、陸上自衛隊と米海兵隊の国内最大規模の共同訓練(レゾリュート・ドラゴン23)を実施。沖縄県の2度にわたる自粛要請を無視し、新石垣空港で陸自オスプレイが負傷兵を後方に輸送する訓練を強行しました。

 赤嶺氏は「空港管理者は県だ。なぜ強行したのか」と追及。防衛省の加野幸司防衛政策局長は「申し入れはあるが、必要との観点から使用した」と強弁しました。赤嶺氏は「地方自治を無視するやり方そのものだ」と批判しました。

 木原稔防衛相は、同空港の使用は「日頃からの実地での訓練は不可欠」(10月24日会見)だと述べています。赤嶺氏が「沖縄が戦場になることを前提とした訓練ではないか」とただしたのに対し、木原氏は「特定の地域を念頭に置いたものではない」と弁明。赤嶺氏は、井上雄一朗石垣駐屯地司令が同駐屯地は「中国が台湾侵攻を考えれば、地政学的に重要な位置づけになる」と述べていることを挙げ、台湾有事を想定した訓練そのものだと批判しました。(しんぶん赤旗 2023年11月14日)

 

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案については賛成であります。
 沖縄を始め全国で拡大する日米共同訓練、空港、港湾の軍事利用拡大について質問をいたします。
 今年一月の日米2プラス2の共同発表は、日本の南西諸島を含む地域において、日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習、訓練を増加させると述べております。
 先月十四日からは、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊が実施する国内最大規模の共同訓練、レゾリュート・ドラゴン23が行われました。日米が各地で共同調整所を設置し、新石垣空港には陸上自衛隊のオスプレイが初めて降り立ちました。ホワイトビーチから嘉手納弾薬庫まで、公道を使った弾薬などの輸送訓練も行われました。
 私は、アメリカの戦略に日本を組み込む共同訓練そのものに反対の立場ですが、このレゾリュート・ドラゴンは、元々は沖縄の負担軽減の一環として県外で行われていたはずのものです。なぜ今回、県内で行うことになったのですか。負担軽減に逆行しているのではありませんか。

○木原国務大臣 まず、本法案については賛成という御発言をいただきまして、赤嶺委員には感謝を申し上げます。
 そして一方で、レゾリュート・ドラゴンについて御質問をいただきました。
 十月十四日から十月三十一日までの間、米海兵隊等と南西地域を担当する陸上自衛隊西部方面隊等が島嶼防衛のための作戦を共同して実施する場合の連携要領を、北海道、九州及び沖縄において演練をいたしました。
 本訓練を実施するに当たっては、訓練地域の広さといった訓練基盤の状況等のほか、訓練目的を達成できるか、参加する部隊等を総合的に検討し、実施場所を決定したところであります。
 その結果、今回の訓練に参加する西部方面隊の担当地域である九州内及び沖縄県内の自衛隊並びに米軍の施設、そして、良好な射撃訓練基盤を有する北海道の矢臼別演習場等において本訓練を実施しました。
 その上で、今般の訓練では、沖縄県外の高遊原分屯地、これは熊本ですが、を米海兵隊MV22の航空基盤として九州の演習場において各種訓練を実施することで、米海兵隊MV22の沖縄県内における駐留及び訓練時間が削減をされて、その結果、沖縄の負担軽減に資するものになったというふうに考えております。

○赤嶺委員 レゾリュート・ドラゴンにおける沖縄のオスプレイの訓練が何がしかの負担軽減になったというのは、防衛大臣の錯覚です。改めてください。
 新石垣空港では、二度にわたる県の自粛要請を無視して、最近も墜落や緊急着陸を繰り返しているオスプレイの使用を強行いたしました。
 空港管理者は沖縄県であります。県の意向を無視して、なぜ訓練を強行したんですか。これが負担軽減ですか。管理者の意向は無視しても構わないということですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 陸上自衛隊は、レゾリュート・ドラゴン23におきまして、陸自のオスプレイを使用した患者後送訓練を実施するために新石垣空港を使用いたしました。
 このオスプレイでございますけれども、高い航続性や速度を有しているところでございまして、事態対処や国民保護、災害対処等におきまして、極めて有用性の高い装備品だというふうに考えております。こうした有用な装備品をいざというときに円滑に運用できるようにするためには、平素から実地において訓練を実施することが必要でございます。
 自然災害、人的な災害、人為災害を含めまして、予期し得ない事態への対処能力を可及的速やかに向上させることは、離島が多い沖縄において住民の安全を確保するために必要なことであるというふうに考えている次第でございます。

○赤嶺委員 全く聞いていることに答えません。
 私が聞いたのは、新石垣空港は沖縄県の管理であり、沖縄県の二度にわたる自粛要請を無視しているということで、管理者の意向は無視しても構わない、そういうことなんですか。

○加野政府参考人 お答えを申し上げます。
 管理者の方からお申入れをいただいているという次第はございますけれども、私どもといたしまして、やはり、このオスプレイ、その有用性といったもの、あるいは、離島が多い沖縄におきまして住民の安全を確保するために必要なことであるという観点から、今回の演習におきまして使用させていただいたということでございます。

○赤嶺委員 管理者の意向も無視して、必要な訓練だからといってこれを強行する、これは本当に地方自治を無視するやり方そのものであります。
 防衛大臣は、先月二十四日の会見で、今回の空港使用について、日頃からの実地での訓練は不可欠、このように述べておられます。
 実地での訓練とは、これはどういうことですか。防衛大臣の発言ですよ。防衛大臣の記者会見での発言ですよ。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論といたしまして、各種の空港でございますとか、あるいは港湾でございますとか、やはり、それぞれによって状況が違うところがございますので、そうしたところについて、きちんと平素から使用する際における状況等について確認をしておく必要があるということは、かねてから私ども防衛省・自衛隊として心がけてやっておるということがございます。

○赤嶺委員 何か答弁が非常にずれまくっているわけですが。
 今回の訓練は、島嶼防衛作戦の訓練とプレスリリースに書いておりますが、そうではないんですか。

○加野政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回のレゾリュート・ドラゴンでございますけれども、その訓練の趣旨といたしまして、陸上自衛隊の戦術技量の向上あるいは米軍との連携強化を図ることを目的としているわけでございまして、そうした中の訓練項目として、離島における作戦といったものも加味しながら訓練させていただいているということでございます。

○赤嶺委員 今度オスプレイで行ったのは、負傷した兵士を後方に輸送する訓練であります。これは、沖縄や離島が戦場になることを前提とした訓練そのものではありませんか。

○木原国務大臣 先ほど、実地とは何かということでございました。
 説明をしたつもりでしたけれども、訓練の区域が非常に今回広く、広域にわたるということ、そして、訓練基盤の状況等を鑑みて、その訓練の目的を達成できるか、あるいは参加する部隊の状況などを総合的に考えて、最も適した場所ということで実施場所を決定したわけでありまして、本訓練は、特定の地域における事態の発生を念頭に置いたものではございません。

○赤嶺委員 特定の地域において事態の発生を想定したものではないという大臣の今の答弁ですが、石垣駐屯地トップの井上駐屯地司令は、次のように言っております。尖閣諸島を含む八重山地域は防衛の最前線だ、南西諸島からフィリピンに至る列島線は、もし中国が台湾侵攻を考えれば、地政学的に重要な位置づけとなる、このように述べております。今回の訓練は、台湾有事に対処するための実地での訓練、負傷兵が出たときの輸送だとか、そういう訓練そのものであります。ごまかすことはできません。
 今日から、改めて自衛隊の統合演習が始まっております。岡山、大分、奄美、徳之島の各空港で、戦闘機による離着陸訓練などが初めて行われます。なぜ、空港で訓練を行う必要があるんですか。どういう想定での訓練なんですか。

○木原国務大臣 御指摘のとおり、自衛隊は、本日から今月の二十日にかけて、防衛、警備等に係る自衛隊の統合運用能力の維持向上を目的として、日本全国において自衛隊統合演習を実施いたします。その中で、航空自衛隊の基地が使用できなくなった場合というのを想定して、航空自衛隊の戦闘機等が、岡山空港、大分空港、奄美空港及び徳之島空港において離着陸訓練を実施する予定であります。
 防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態において自衛隊の能力を最大限発揮するため、自衛隊が多様な空港を使用できるようにしていくことは重要でありまして、平素から民間空港を使用した訓練を行う必要があるというふうに考えております。

○赤嶺委員 平素から空港で訓練を行う。
 空港で訓練を行うことで、何らかの事態が発生した場合に、その空港自体が攻撃される可能性も高まることになりませんか。

○木原国務大臣 本演習というのは、あらゆる事態を想定して、自衛隊の対処能力の向上を図るために実施するものですが、そういう、今委員が御指摘になったような詳細については、各種の事態における我が国の具体的対応に関わるものであるため、事柄の性質上、その詳細はなかなか申し上げにくいということを御理解いただきます。

○赤嶺委員 よく、今の答弁、趣旨が分からなかったですね。
 いわゆる事態が発生した場合に、自衛隊の空港と違って民間の空港ですから、その空港自体が攻撃される可能性、これは出てくるわけですよね、ジュネーブ条約とは違うわけですから、軍事利用しているわけですから。いかがですか。

○木原国務大臣 そういった、平素から様々な訓練を通じて我が国への攻撃に対する抑止力、対処力を高めること、このことで我が国への攻撃の可能性を低下させるものでありまして、それが、ひいては我が国国民の安全につながるものであるというふうに考えております。

○赤嶺委員 抑止力を高めると言いますけれども、今度の訓練は、現に攻撃された場合を想定した訓練になっています。
 例えば、那覇基地、ここでは滑走路被害復旧訓練を行うことになっています。これはどういう訓練ですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 滑走路被害復旧訓練でございますけれども、こちらにつきましては、被害が生じた滑走路を迅速に復旧し、航空機の運用を速やかに再開できるように演練するものでございまして、従来から日本全国の自衛隊の基地において実施してきているものでございます。
 今般の自衛隊統合演習におきましては、那覇基地で実施する滑走路被害復旧訓練でございますけれども、統合訓練の機会を活用いたしまして、陸自の部隊と空自の部隊が、それぞれの能力や知見を互いに共有しながら演練するというものでございます。

○赤嶺委員 抑止力という以前に、もう攻撃を受けたことを想定してやっている訓練です。非常に、住民を置き去りにしたもので、憤りを禁じ得ません。
 今、政府は、南西地域で訓練の拡大やインフラ整備を推し進めようとしています。沖縄の離島の空港でも戦闘機による訓練が行われることになるのではありませんか。

○木原国務大臣 いわゆる、あってはいけませんが、いわゆる有事においては具体的にどのような空港を使用するかについては、これは我が方の手のうちを明かすことということにもなりますので、お答えすることは御容赦いただきたいと思っております。

○赤嶺委員 軍事利用しないという立場であれば、手のうちを明かしても大丈夫ですよ。軍事利用するということですから、手のうちを明かしたくないという。手のうちを明かしたくない、住民には知らせたくない、そういうことだろうと思うんですよね。やはり、静かな離島で戦闘機が訓練する、あるいは港湾などの軍事利用は許されないと思います。
 政府は、八月二十五日、安保三文書に基づく研究開発や公共インフラ整備を推進する関係閣僚会議の初会合を開きました。
 そのときの資料によると、自衛隊、海上保安庁が平時から円滑に空港、港湾を利用できるよう、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設ける、このようにしています。
 この円滑な利用に関する枠組みとは、どういうものですか。具体的に何を定めていくんですか。

○村井内閣官房副長官 委員御指摘の公共インフラ整備については、国家安全保障戦略に基づき、総合的な防衛体制の強化の一環として、民生利用のニーズに加え、防衛省、海上保安庁のニーズも反映できるよう、先ほど御指摘いただいたとおり、八月に関係閣僚会議を開催し、閣僚間で認識の共有を図ったところであります。
 この取組においては、自衛隊や海上保安庁とインフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けることとしており、有事に際しての国民保護のためのニーズ等も念頭に、平素から訓練等で円滑に公共インフラを利用できるようにするとともに、そのために必要な調整等をインフラ管理者等と行う体制を構築することなどを想定をしております。
 こうした取組について、インフラ管理者等の、関係する自治体の理解が得られるよう、丁寧に説明を行ってまいりたいと存じます。

○赤嶺委員 都道府県知事が管理する空港の使用は、条例で、許可ではなく届出事項になっています。管理者の自粛要請を無視して使用を強行できたのは、そのためであります。
 その上、何を円滑な利用として定めようというのですか。どこに問題があるという認識ですか。

○簗委員長 室田内閣審議官。
 なお、申合せの時間を経過しておりますので、御協力願います。

○室田政府参考人 はい。簡潔にお答え申し上げます。
 今回の取組におきまして、私どもが今やっておりますのは、海上保安庁や自衛隊が優先的に利用できるようにするということを目的としたということではございません。既存の制度にのっとりまして、あくまで、関係者の中で協力をして、円滑な利用について調整をするための枠組みをつくっていきたいということでございます。
 なお、その円滑な調整の枠組みの目的の一つといたしまして、私ども、八月二十五日、関係閣僚会議でも書かせていただいておりますけれども、自衛隊、海上保安庁の艦船、航空機等の利用につきましては、国民保護のためということも、私ども、打ち出させていただいております。
 こういった点につきましても、しっかりと地元の皆さんにも説明をさせていただいて、御理解を得ながら進めたいというふうに考えております。

○赤嶺委員 取ってつけたように国民保護と言いますが、沖縄では軍隊は住民を守らないというのが沖縄県民の思いです。
 こういうことは絶対に許されない、円滑な利用の中身もはっきりしない、そういうことを指摘して、質問を終わります。

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