国会質問

質問日:2023年 11月 9日  第212国会  安全保障委員会

辺野古の軟弱地盤 政府は07年に把握 「確認なし」と偽り県に申請

衆院安保委 赤嶺議員が報告書入手

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、日本政府が2013年の埋め立て申請以前の07年に軟弱地盤の存在を知りながら、「確認されていない」と事実を偽って申請していたことがわかりました。日本共産党の赤嶺政賢議員が防衛省から埋め立て予定海域についての調査報告書(07年)を入手し、9日の衆院安全保障委員会で追及しました。

 

 

 赤嶺氏が入手した「シュワブ(H18)地層調査」と題した報告書には、「調査地には軟弱な沖積層が広く、厚く分布している」と明記。「今後の追加調査」として「ボーリング調査の実施」を提案していたにもかかわらず、沖縄防衛局は2013年に県に提出した辺野古埋め立て申請書に「長期間に渡って圧密沈下する軟弱な粘性土層は確認されてない」と記載していました。赤嶺氏は「事実を偽って申請したということではないか」と追及しました。

 木原稔防衛相は、同沖積層については申請書にも記載しており、設計段階、施工段階で必要な調査・検討を行ってきているとして「対応には問題がない」と強弁しました。

 これに赤嶺氏は、報告書には同沖積層に、短期間で沈下が収束する「砂礫(されき)」だけでなく、長期間にわたって沈下する「シルト」(粘性土)が含まれるとも明記しているのに、申請書では沖積層の性状(性質と状態)について粘性土層に言及がなく、砂礫としか書いていないと告発しました。

 赤嶺氏は、辺野古・大浦湾側の軟弱地盤の存在によって工期が当初の5年から12年以上に延び、費用も当初の約2・7倍の9300億円に膨らみ、それ以上かかることは確実だと告発。埋め立て申請の当初から「虚偽の申請をやって辺野古(新基地建設)を進めていることは絶対に許せない」と批判しました。(しんぶん赤旗 2023年11月10日)

 

 

ガザ攻撃 中止求めよ

赤嶺氏、政府の姿勢追及

衆院安保委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は9日の衆院安全保障委員会で、イスラエルによるガザ地区などへの軍事攻撃を取り上げ、攻撃中止を求めない政府の姿勢を追及しました。

 赤嶺氏は、上川陽子外相が衝突後初のイスラエル外相との電話会談(10月12日)で、「自国及び自国民を守る権利を有することは当然」と伝えたことに言及し、イスラエルによる軍事攻撃を容認しているのかとただしました。上川氏は同じ発言を繰り返したうえで、「すべての行動は国際法に基づいて行われなければならない」と述べました。

 赤嶺氏は、ガザ地区が世界で最も人口密度が高い場所の一つで、「そこで空爆や地上侵攻を行えば市民に甚大な犠牲が出ることは明らかだ」と指摘。現に攻撃開始後の1カ月、病院や学校、難民キャンプなどが連日攻撃されてきたとして、今月の中東訪問で「なぜ正面から軍事攻撃の中止を求めなかったのか」と追及しました。上川氏は「国際人道法の規範は守らなければならない」と述べるだけでした。

 赤嶺氏は、政府が従来は欧米と一線を画し、パレスチナ・イスラエル双方に自制と対話を求めてきたことを挙げ、「暴力の応酬に加担するなど絶対にやってはならない」と強調しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

質問の映像へのリンク

辺野古の軟弱地盤 政府は07年に把握(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 パレスチナ、イスラエル紛争について質問をします。
 外務大臣は十月十二日、イスラエルのコーエン外務大臣と衝突後初の電話会談を行い、今回のハマスによる無差別攻撃を非難した上で、イスラエルが国際法に従って自国及び自国民を守る権利を有することは当然であると述べられました。
 日本政府は、イスラエルによる軍事攻撃、それ自体は容認しているわけですか。

○上川国務大臣 我が国といたしましては、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識をしております。同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合においても国際人道法の基本的な原則、規範は守らなければならないということでございます。

○赤嶺委員 国際法を守るかどうかという、私が聞いたのは、イスラエルの軍事攻撃そのものは容認しているのか、いないのかという点です。
 自国を守る権利があるとイスラエルに伝えた以上、容認していることは明らかではありませんか。

○上川国務大臣 我が国といたしましては、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識をしているところであります。同時に、全ての行動、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならないということであります。いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範、これは守らなければならないというふうに考えております。

○赤嶺委員 ガザ地区は、世界で最も人口密度が高い場所の一つです。市民の生活の場とハマスの軍事拠点が混然一体となっています。そこで空爆や地上侵攻を行えば市民に甚大な犠牲が出ることは、これはもう明らかです。これまでもそうでした。なぜ軍事攻撃を容認するんですか。

○上川国務大臣 ガザ地区の状況でございますが、深刻化の一途をたどっているということでございます。地域に飛び火して情勢が不安定化することに対して、日本としても深刻な懸念を持っているところであります。事態が早期に鎮静化され、地域にテロと暴力のない平和と安定が実現することを強く望んでいるところでございます。
 目下の最優先課題でありますが、まさにこのガザ地区においての人道状況の改善であるところであります。状況は深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来ある子供、また、女性、高齢者が大きな被害に遭っていることに大変心を痛めている状況でございます。
 そのような被害の拡大を防止する観点から、まずは、同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道目的の戦闘休止及び支援活動が可能な環境の確保をイスラエル側に強く求めているところでございます。

○赤嶺委員 それで問題が解決するかということです。
 外務大臣は、今回の中東訪問で、イスラエルに連帯の意を表明し、自国を守る権利を有することを再確認したと述べました。
 この一か月、ガザ地区の病院や学校、難民キャンプなどが連日空爆され、市民を巻き添えにした軍事攻撃が繰り返されてきたにもかかわらず、なぜ正面から軍事攻撃の中止を求めなかったんですか。

○上川国務大臣 いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範、これは守らなければならず、例えば、子供を含む無辜の民間人を無用に巻き込む、こうした攻撃は国際人道法の基本的な原則に反するものであり、正当化することはできない、こんなふうに考えております。

○赤嶺委員 その答弁がうつろに響くんですよ。
 アメリカ政府は、一貫してイスラエルによる自衛権行使を支持する考えを示してきました。人道目的の戦闘休止を求める国連安保理決議に拒否権を行使したのも、自衛権への言及がなかったからでした。今も、ハマスを利するとして、停戦には反対をしています。
 日本政府もこのアメリカと同じ考えなのですか。だから、停戦、これに口を閉ざしているんですか。

○上川国務大臣 我が国は、イスラエル、パレスチナ両当事者の抱える問題につきましては、暴力によって解決されるものでは決してなく、当事者間の交渉と相互の信頼を築く、その努力によってのみ解決されるものという立場でございます。
 その上で、今般のハマス等によるテロ攻撃は、多数の一般市民を標的として殺害や誘拐を行う残虐な無差別攻撃であり、どのような理由であれ正当化し得ず、これを断固として非難してまいりました。
 また、我が国が、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有するという認識をしているところでありますが、同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範は守られなければならないと考えているところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、我が国は、全ての当事者が国際法に従って行動することを一貫して求めてきております。イスラエルに対しましても、これまで、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する旨を伝えた上で、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきているところであります。こうした点につきまして、私が先般訪問したイスラエルに対しまして、直接この旨を伝えたところでございます。
 引き続き、刻一刻と現地情勢が動いているという状況でありますので、関係国、国際機関との間で意思疎通を行い、人道状況の改善や、また事態の早期鎮静化に向けた外交努力を粘り強く積極的に働き続けてまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 我々も、ハマスの行為は国際人道法に違反するもので、絶対に認められないという立場であります。しかし、国際人道法に違反することは認めないと言いながら、目の前でイスラエルによる攻撃が繰り返されて、本当にみんな胸の痛む思いをしている。
 これまで、日本政府は、中東和平の問題では、欧米諸国とは一線を画してきました。パレスチナとイスラエルの双方に自制を求め、対話による解決を働きかけてきました。
 これまでに、一方の側の軍事力行使を容認した事例はありますか、日本政府は。

○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 日本政府として、過去の様々な事例については、その時々の状況に応じて、当事者に対してメッセージを発出して、事態の早期の鎮静化を図り、文民の被害を最小限にするよう努めてまいりました。

○赤嶺委員 いや、ですから、今までは、パレスチナとイスラエルの双方に自制を求め、対話による解決を働きかけてきたわけですよ。今はスタンスが違うんです。イスラエルの自衛権を認めた上であれこれ言っているわけです。こういう一方の側の軍事力行使を容認した事例、これはありますかと聞いているんです。同じ答弁なら駄目ですよ。

○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 委員の御質問の容認という言葉の意味次第かもしれませんけれども、日本として、直接の当事者じゃない武力紛争において、その一方の側の立場を完全に支持する支持しないということはなかなか申し上げにくいと思います。
 いずれにしても、我々としては、この中東和平の問題といったものは、最終的にはイスラエルとパレスチナの当事者が交渉によって解決をする、その解決の方向性としては、イスラエルと将来のパレスチナ国家が平和裏に共存する二国家解決というものを通して解決をするということが重要であり、そのための外交努力を続けてまいりました。

○赤嶺委員 それはそのとおりなんですよ。ところが、今回、イスラエルの自衛権を認めるといって、この戦闘の停止を求めない。ここに、日本政府は、中東問題、パレスチナ問題、非常に転換したんじゃないかというような疑問を持つわけです。
 やっぱり、今の答弁にもありましたように、この問題で重要なことは、長年にわたる暴力の連鎖をいかに断ち切るかということです。暴力の応酬に加担するなど絶対にやってはならないことです。
 今、アラブ諸国では、欧米だけでなく、日本に対する怒りも渦巻いています。取り返しのつかない過ちを犯していることを自覚すべきだということを厳しく指摘しておきたいと思います。
 次に、辺野古新基地建設について質問をします。
 防衛省が、埋立申請前の二〇〇七年、辺野古、大浦湾の海域に軟弱地盤が存在し、追加のボーリング調査などが必要であることを認識していたことが分かりました。
 資料をお配りしていますが、委託業者が当時まとめた報告書に傍線を引いてありますが、軟弱な沖積層が広く、厚く分布することや、追加の調査が必要であることが明記されていました。ところが、防衛省が二〇一三年に提出した埋立承認申請書では、長期間にわたって圧密沈下する軟弱な粘性土層は確認されていないと否定しています。軟弱地盤の存在を認識しながら、確認されていないと事実を偽って申請を行っていた、そういうことではありませんか、大臣。

○木原国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立承認願書の作成に当たっては、沖縄防衛局において、設計段階で必要な調査を行い、御指摘の沖積層についても認識した上で検討を行ったものであります。
 沖縄防衛局は、この地層の存在も含め、平成二十五年の埋立承認願書に記載するとともに、その審査過程において施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県に説明した上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものと承知をしております。
 その後、施工段階で必要な調査検討を行った結果、地盤改良工事が必要であることが判明し、同工事の追加などを行うこととしたものであります。
 このように、それぞれの段階において必要な調査検討を行ってきたものであり、このような対応には問題がないというふうに考えております。

○赤嶺委員 ちょっと時間がなくなってきていますけれども、外務大臣も、辺野古の問題ですから、外務省マターで大事な角度ですから、私の質問を聞いていただきたいんですけれども。
 今、あらかじめ、防衛大臣は申請のときには書いてあったと言っておりますが、二〇〇七年の報告書では、沖積層には短期間で沈下が収束する砂れきだけでなく、長期間にわたって沈下するシルト、つまり粘性土層が含まれていることが明記されています。ところが、願書では、粘性土層は確認されていないと書かれているわけですよ。粘性土層が確認されていたのに、なぜ確認されていないのか、こういう問題があるわけです。
 別のページには、土質条件について書いたページがあります。そこでは、沖積層の性状は、砂れきとしか書いていません。粘性土層も確認されているのに、それについての言及がありません。これはなぜ書かなかったんですか。

○青柳政府参考人 お答えいたします。
 まず、最初に申し上げておきますと、沖積層というのは、これは一般に他の地層と比較して軟らかい場合があることは事実ですけれども、必ずしもそれをもって地盤改良工事が必要となる地層ではないと我々は考えております。
 そして、平成十九年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質が粘性土ではなく、砂れき等、これが中心だったということから、設計段階では更なる土質の調査を実施しなかったところでございまして、それを踏まえまして、我々が出しました環境保全図書の中には、砂、砂れき層が主体であり、長期間にわたって圧密沈下する軟弱な粘性土質は確認されていない、すなわち沈むことのない土質であるということを記述させていただいたところでございます。

○赤嶺委員 報告書にはより詳しく書いているんですよ。
 願書の審査過程で、沖縄県もこの点に疑問を持って、皆さんに照会しております。沖縄県が液状化や沈下対策の検討のために評価結果を示すよう求めたのに対し、防衛省は、計画地の直下には圧密沈下を生じるような粘性土層は確認されていないため、圧密沈下は生じないものと想定しています、こうはっきり書いているわけですね。
 軟弱地盤の可能性があるのでボーリング調査で確認する、このように書かなければいけなかったわけですよ。それが土質調査の報告書なんですよね、二〇〇七年の。ところが、ボーリング調査の必要もないかのような願書を出した。沈下は生じないと言っている。
 その結果、当時、防衛大臣は何と言ったかといいますと、辺野古には軟弱地盤はないので五年間で完成しますと。五年間で完成しますと言ったんですよ。一日も早い普天間の危険性の除去、今どうですか。軟弱地盤が見つかって、十二年じゃないですか。うそをついたんですよ。
 そして同時に、予算規模も、当初は三千五百億円ですよ。それが、軟弱地盤が見つかって、今、九千三百億円。新垣邦男議員が質問しておりますが、九千三百億円でとどまらないことはみんな知っていますよ。
 こういう、非常に、虚偽の申請を当初やって今の辺野古を進めていることは、絶対に許せないと思います。いかがですか、大臣。

○簗委員長 青柳整備計画局長、申合せの時間を経過しておりますので、御協力願います。

○青柳政府参考人 はい。
 お答えいたします。
 先ほど申しましたけれども、我々、当初の設計段階におきましては、まさに必要な調査を行いまして、沖積層というものは認識した上で、我々として、埋立願書を提出し……(赤嶺委員「沖積層は軟弱地盤なんですよ」と呼ぶ)いや、沖積層は必ずしも、今回は砂れきが……(赤嶺委員「この場合は軟弱地盤なんですよ」と呼ぶ)当時の調査では砂れき中心ということで、我々は、これは土地改良を必要とするというものではないと認識しておりました。
 そして、さらに、沖縄県の審査過程におきまして、施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県にも説明した、この上で知事から埋立承認を得たものでありまして、我々としては、適切な対応を行ったと考えてございます。

○木原国務大臣 施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県には説明した上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものというふうに承知しております。
 また、工事計画等については、その工事の実施段階において、工事の進捗であるとか、また現場の状況、あるいは気象とか海象の条件、そういった様々な条件を踏まえて、更に綿密なものとするために、不断に予算などの検討も進めていくこととなります。

○赤嶺委員 終わります。

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参考資料

委員会配布資料

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